貧血に効果がある市販薬
「貧血が気になるけどとりあえず市販薬で様子を見たい」
「どの市販薬が貧血におすすめなのか知りたい」
ふらつきやめまいがあると、「貧血かも?」と気になりますよね。病院に行く時間がなく、ひとまず市販薬を使ってみようと考えている方も多いのではないでしょうか。
そのような方に向けて、今回は貧血に効果がある市販薬について紹介します。貧血の症状や原因、予防法なども解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
貧血とは?
貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度が低くなった状態のことです。ヘモグロビンは鉄とたんぱく質が結合してできるもので、全身に酸素を運ぶ役割をもっています。
鉄が不足すると貧血になるといわれるのは、ヘモグロビンを合成することができなくなるためです。
貧血の症状
貧血の症状としては、次のものがよく見られます。
• 立ちくらみ
• 息切れ
• めまい
• ふらつき
• 頭痛
• 倦怠感
• 胸の痛み
立ちくらみやめまいがあると貧血を疑う方が多いようです。ただし、これらの症状のなかには、低血糖や低血圧などで起こるものもあります。
症状が出ている原因が本当に貧血のせいなのかは、医療機関で診てもらわないとわかりません。貧血ではないのに貧血用の市販薬を使用しても効果がないため、症状が気になるときは原因を明らかにするためにもできるだけ受診しましょう。
貧血の原因
貧血になる原因はさまざまです。もっとも多いのは鉄不足によるものですが、まれにほかの原因で起こっていることもあります。
• 鉄分不足
• 月経やケガなどによる出血
• 骨髄の異常
• 赤血球が壊れやすくなっている
• 赤血球がうまく作れなくなっている
女性の場合は、月経が貧血の原因となっていることも少なくありません。あまりにも出血量が多かったり、痛みがひどかったりする場合は婦人科を受診して検査をしてもらうと安心です。
貧血を予防する方法
貧血を予防するためには、食生活の見直しを行うことが基本となります。1日の食事から鉄を摂取する量は、成人男性では7.5mg、月経がある女性では10.5mg、月経がない女性では6.5mgが1日の推奨目安量です。
鉄を多く含む食品を毎日の食事にうまく取り入れていきましょう。豚レバーや鶏レバー、かつおや納豆、小松菜やほうれん草などに多く含まれています。
鉄分の吸収を高めるビタミンC、赤血球を作るのに必要な葉酸やビタミンB12なども同時に摂るのがおすすめです。ビタミンCは緑黄色野菜やくだもの、葉酸はブロッコリーやほうれん草、ビタミンB12は魚介類やチーズなどに含まれています。
貧血に効果がある市販薬
市販薬で貧血の治療をする場合、鉄剤が含まれるものを使うことが一般的です。ほかに、漢方薬が使われることもあります。
鉄剤
貧血の多くは鉄分が不足することによって起こる鉄欠乏性貧血が原因です。鉄欠乏性貧血の場合は外から鉄分を補給してあげることで症状を改善できます。
鉄分を摂ろうと食生活の改善を意識しても必要量を摂るのはなかなか難しいものです。鉄剤を利用すれば、忙しい方でも手軽に鉄分を補給できます。
漢方薬
貧血の症状がある方のなかには、胃腸が弱くて食事を摂れない方や、消化吸収の機能が落ちて栄養素をうまく取り込めなくなっている方もいます。そのような方は、漢方薬を活用するのも効果的です。
胃腸の働きをよくして食欲を回復させたり、消化吸収をよくしたりすることで食事からの鉄分を摂取しやすい状態へと促します。
貧血に使える市販の鉄剤に含まれる成分
貧血用の市販薬には、主成分である鉄剤を中心に、ビタミンCや葉酸、ビタミンB12などが配合されています。
• フマル酸第一鉄
• 溶性ピロリン酸第二鉄
• 葉酸
• ビタミンB12
• ビタミンC
鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄とがあり、ヘム鉄のほうが非ヘム鉄より5~6倍吸収されやすいことが特徴です。病院で処方される鉄剤や市販薬には非ヘム鉄が使われています。
一部のサプリメントにはヘム鉄が配合されているものもありますが、サプリメントは医薬品ではないため、摂取してもどれくらいの量が吸収されるのかは定かではありません。
貧血に使える市販の鉄剤3選
貧血に使える市販薬としてよく知られているのが、次の3つです。鉄剤のコーナーには必ずどれかが置いてあります。
ファイチ
溶性ピロリン酸第二鉄、葉酸、ビタミンB12が配合された鉄剤です。赤血球の生成を助ける葉酸やビタミンB12も配合されているため、バランスよく貧血の対策ができます。
胃で溶けず腸で溶けるように工夫されており、胃を荒らしにくいことが特徴です。1日1回の服用でよいので、続けやすいのもポイントでしょう。
エミネトン
主成分であるフマル酸第一鉄に加えて、鉄分の吸収を高めるビタミンC、胃を保護する銅クロロフィリンカリウム、赤血球の生成を助ける葉酸やビタミンB12などが配合されています。
1日2回服用する必要がありますが、鉄の含有量がファイチやマスチゲン錠より多いことが特徴です。
マスチゲン錠
溶性ピロリン酸第二鉄のほかに、ビタミンCやビタミンB12、葉酸などが配合されています。昔からある貧血用の鉄剤ですが、リニューアルし錠剤が小型化したことで以前より飲みやすくなりました。
1日1回服用するタイプの鉄剤です。ドリンクタイプの「マスチゲン-S内服液」も販売されています。
貧血症状に効果がある漢方薬
「鉄剤は胃のむかつきが出ることがあると聞いて不安」という方は、漢方薬を試してみるのもよいでしょう。
加味帰脾湯
加味帰脾湯(かみきひとう)は、血(けつ)を補う働きがある漢方薬です。血とは、おもに血液のことを指しており、体に栄養素を運ぶはたらきをしています。
消化器の働きを助ける効果もあるため、食事をなかなか摂れない方に向いているでしょう。体力が中等度以下の方に使われます。
人参養栄湯
人参養栄湯(にんじんようえいとう)は、食欲や体力を回復させるのによく使われる漢方薬です。消化機能を高めることで、摂取した栄養素が吸収されやすい状態にしてくれます。
体力が低下しており、倦怠感や手足の冷えがある方向けです。
まとめ
貧血は多くが鉄分の摂取量不足によって起こります。不足した鉄分を補うためには、鉄剤を活用すると便利です。1ヶ月ほど続けて服用することで症状の改善が見られるでしょう。
もし服用を続けても改善されない場合は、そもそも貧血ではなかったり、鉄を補うだけでは改善が難しい貧血だったりする可能性があります。そのような場合は早めに医療機関を受診するようにしてください。