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更新日:2022/10/08

経口補水液について、薬剤師が解説!

体調が悪く食事や水分摂取が難しいとき、脱水症状が出ているときなどに役立つのが経口補水液です。以前はスポーツドリンクしか市販では購入できませんでしたが、2004年からドラッグストアやスーパーなど身近なところで手に入るようになりました。

 

今では複数の経口補水液が販売されています。今回は、経口補水液とはそもそもどのようなものなのか、スポーツドリンクとはなにが違うのかなどを詳しく見ていきましょう。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

経口補水液とは?

経口補水液とは、水分や電解質、糖分が一定の割合で配合された飲料のことです。体液とほぼ同じ浸透圧で作られているため、速やかに吸収されます。

また吸収率も高いため、効率よく水分を補いたいときに便利です。口から水分や電解質を摂取できることから、飲む点滴と呼ばれることもあります。

経口補水液の成分・組成

経口補水液の主成分は、電解質ブドウ糖の2種類です。これらをバランスよく配合することで、吸収率と吸収スピードを高めています。

電解質

電解質とは、水に溶けると電気を通す性質がある物質のことです。体液には次のような電解質が存在します。

• ナトリウム
• カリウム
• クロール
• マグネシウム
• カルシウム

このなかでもナトリウムやカリウム、クロールは、汗とともに失われやすい電解質です。そのため経口補水液には、必ずこれらの電解質が含まれています。

ブドウ糖

ブドウ糖は、効率よくナトリウムを吸収するために必要な成分です。ナトリウムとブドウ糖を同時に摂取することで、水分の吸収が効率よく行われることがわかっています。経口補水液にただ甘みをつける目的で配合されているわけではないのです。

経口補水液はどんなときに必要?

経口補水液は、脱水症状があるときに使います。

• 下痢や嘔吐、発熱があるとき
• 食事や水分の摂取が難しいとき
• 熱中症を起こしたとき
• 過度な発汗により脱水症を起こしているとき

ただし、脱水症状が重度の場合は経口補水液だけに頼るのではなく、すぐに医療機関を受診するようにしてください。ふらつきや失神が見られる場合は重度の脱水状態になっている可能性があります。

また、軽度や中度の脱水症状の場合でも口から摂取すると嘔吐してしまう状態が続いている場合は、受診を考えましょう。点滴をしてもらったほうが速やかに水分摂取ができることもあります。

経口補水液の選び方

脱水症状の緩和や予防などに効果的な経口補水液は、基本的に飲みやすいものを選んでもらって問題ありません。ただし、製品やタイプによって使いやすさや特徴が異なります。日常的に飲むのか脱水症状があるときに飲むのかなどに合わせて選ぶとよいでしょう。

電解質の量で選ぶ

含まれている電解質の量は製品よって異なります。日常的に飲むのならナトリウムやカリウムの量が少ないもの脱水症状の緩和に使うときは多めのものがおすすめです。

アクアソリタやアクエリアス経口補水液はナトリウムやカリウムの量が少なめなので、日常の水分補給にも向いています。

 OS-1 アクアサポート アクアソリタ アクエリアス
経口補水液
ナトリウム 115mg 115mg 80mg 98mg
カリウム 78mg 78mg 78mg 80mg

タイプで選ぶ

経口補水液には、液体ゼリー粉末の3つのタイプがあります。すぐに飲みたい方、普段から常用したい方は液体、嚥下機能が弱っておりむせやすい方はゼリー、非常用として保管しておきたい方は粉末を選ぶとよいでしょう。粉末タイプはコンパクトに収納できるので、災害時にも役立ちます。

味で選ぶ

OS-1には通常のものとアップル風味のものとがあります。また、製品によって甘みの強さもやや異なりますので、飲みやすいものを見つけてみてください。

おすすめの経口補水液

以前はOS-1が主流でしたが、最近ではさまざまなメーカーから経口補水液が販売されています。電解質の濃度やタイプ、味などがそれぞれ違うので、用途や好みに合わせて選びましょう。

ドリンク(液)タイプのおすすめ

OS-1

定番の経口補水液です。どこの薬局やドラッグストアでも置いてあることが多いので、手に入りやすいでしょう。ナトリウムやカリウムの濃度が高いため、脱水症状が出ているときの飲用に向いています。スッキリとした味わいのアップル風味も2022年7月に発売されました。

アクアソリタ

ナトリウムやカリウムの濃度がやや低いため、脱水症状や熱中症の予防としても使えます。経口補水液のしょっぱい感じが苦手な方でも飲みやすいでしょう。OS-1と比べると電解質が少ないので吸収率は劣りますが、ゴクゴク飲みやすいといわれる方が多い製品です。

ゼリータイプのおすすめ

OS-1ゼリー

嚥下機能が落ちている方でも摂取しやすい、ゼリータイプのOS-1です。ベッドから起き上がるのが難しい方でもこぼすことなく飲めます。1袋あたり200g入りです。学童から成人は1日500~1,000gが目安となっているので、ゼリータイプを使う場合は複数個用意しておきましょう。

アクアソリタゼリー

りんご風味とゆず風味の2種類があります。嚥下機能が落ちている方はもちろん、おやつ代わりに水分摂取をしたい方にもおすすめです。子どもでも飲みやすい味付けになっています。

粉末の個包装

オーエスワンパウダー

1L用と500ml用の2種類があります。必要なときに水に溶かして使えるため、長期に保管しておく場合でも場所を取りません。開封後は湿気やすいので、早めに使い切りましょう。

エブリサポート 経口補水液 パウダータイプ

1包で500ml分の経口補水液が作れます。スティックタイプになっているので、携帯に便利です。やや薄味なので、味があまりないほうが飲みやすい方に向いています。

経口補水液とスポーツドリンクの違い

経口補水液は一定の濃度で電解質と糖分を配合したものです。スポーツドリンクは経口補水液よりも電解質の量が少なく、代わりに糖分が多めに配合されています。

経口補水液は電解質が多く日常的に飲むと塩分の摂りすぎにもつながるため、普段の水分補給にはスポーツドリンクのほうが適しているでしょう。

まとめ

経口補水液は、水分や電解質を効率よく摂取するのに適した飲料です。スポーツドリンクよりも吸収率が高いため、脱水症状の予防よりも症状が出たときの緩和に使うのに向いています。嘔吐や下痢、発熱などが続くときの水分補給のために常備しておくと安心です。

ただし、心臓や腎臓の働きが落ちている方は経口補水液の飲用を避けたほうがよいケースもありますので医師に相談するようにしてください。