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更新日:2022/10/10

スポーツドリンクの2つの種類、アイソトニック、ハイポトニックについて解説!

スポーツドリンクを選ぶとき、味や価格、メーカーで商品を決めている方が多いのではないでしょうか。それでも基本的には問題ないのですが、もう一歩だけ踏み込んで選ぶことで、より自分に合ったスポーツドリンクを選べるようになります。

 

その際にチェックしたいのが「アイソトニック飲料」「ハイポトニック飲料」という点です。今回は、アイソトニックとハイポトニックにどのような違いがあるのか、それぞれどのようなシーンでの利用に向いているのかなどを詳しく解説します。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

スポーツドリンクとは?

スポーツドリンクとは、電解質や糖分が配合された飲料のことです。汗には、水分以外に電解質(塩分など)が多く含まれています。汗が目に入るとしみたり、舐めてみると少ししょっぱかったりするのは電解質が含まれているためです。

スポーツドリンクは汗で失われやすい水分と電解質の両方を効率よく補給できるように、電解質と糖分がバランスよく配合されています。そのため、運動を行うときや発熱・下痢などで水分が失われやすいときの水分摂取におすすめです。

ところで、電解質を摂らずに水分だけを飲んでいると体の中で何が起こるかご存知ですか?水分のみを摂ると、体内の電解質がどんどん薄まっていきます。すると、これ以上電解質が薄くならないように水分を尿として排出する働きが高まってしまうのです。つまり、いくら水分だけを摂っても本当の意味での水分補給はできません。

浸透圧と水分移動について

アイソトニックやハイポトニックの話に入る前に、まずは浸透圧について軽く触れておきましょう。半透膜を境にして濃度の異なる液体があった場合、薄いほうから濃いほうへと水分が移動していきます。このときにかかる圧力の差が浸透圧です。

スポーツドリンクのCMやパッケージを見ると、「体液とほぼ同じ浸透圧」とうたわれているのをよく見かけるかと思います。浸透圧がほぼ同じ飲料を摂取した場合は速やかに吸収されるため、スポーツドリンクでは浸透圧が調整されているのです。

アイソトニック、ハイポトニックとは?

スポーツドリンクは体液とほぼ同じ浸透圧で作られていますが、商品によって実はやや異なります。

アイソトニック飲料

体液とほぼ同じ浸透圧で作られているものを、アイソトニック飲料といいます。安静時の浸透圧とほぼ同じになるように作られているため、運動前の水分補給に最適です。糖分が多く含まれていることから、エネルギーの補給源としても使用できます。

浸透圧 体液とほぼ同じ
特徴 糖分が多いため、運動時の
エネルギー源になる
おすすめの
飲むタイミング
運動前

ハイポトニック飲料

ハイポトニック飲料は、体液より浸透圧が低めに作られています。運動中や運動後など汗をかいた後は、体内の水分が失われて体液が薄い状態です。そのため、ハイポトニック飲料のほうが素早く吸収されます。

浸透圧 体液より浸透圧が低い
特徴 糖分が少ないため、
体重コントロールを
したいときに使いやすい
おすすめの
飲むタイミング
運動中、運動後

おすすめのスポーツドリンク

では、おすすめのスポーツドリンクをアイソトニック飲料とハイポトニック飲料にわけてそれぞれ紹介します。

アイソトニック飲料

ポカリスエット

定番のスポーツドリンクといえば、ポカリスエットでしょう。ほかのスポーツドリンクと比べるとカロリーはやや高めです。甘みが強いと感じる方が多いかもしれません。ゼリーや粉末、凍らせて飲むアイススラリーなど多くのラインナップが揃っています。

成分量(100mlあたり)
カロリー 24kcal
食塩相当量 0.12g
炭水化物 6.2g

アクエリアス

ポカリと並んで知名度の高いスポーツドリンクです。運動パフォーマンスをサポートするイソロイシンやバリン、ロイシンなどのアミノ酸も配合されています。似ている商品にカロリーゼロの「アクエリアスゼロ」も販売されていますが、こちらはハイポトニック飲料なので注意しましょう。

成分量(100mlあたり)
カロリー 19kcal
食塩相当量 0.1g
炭水化物 4.7g

ビタミンウォーター

1日分のビタミンCやビタミンB6などのビタミンが補給できるタイプのスポーツドリンクです。さっぱりとしたレモン風味になっているので、スポーツドリンクの味が苦手な方でも飲みやすいでしょう。甘すぎずさっぱりした味わいです。

成分量(100mlあたり)
カロリー 16kcal
食塩相当量 0.1g
炭水化物 4.1g

ハイポトニック飲料

アミノバリュー

バリン、ロイシン、イソロイシンが配合された、機能性表示食品として販売されているスポーツドリンクです。甘みは控えめで、すっきりとしたシトラス風味になっています。アミノ酸の働きにより、疲労感をやわらげる効果が期待できることが特徴です。

成分量(100mlあたり)
カロリー 18kcal
食塩相当量 0.124g
炭水化物 3.6g

アクエリアスゼロ

ゼロキロカロリーなので、減量中の方や体重コントロールをしている方でも飲みやすいでしょう。燃焼系アミノ酸と呼ばれるL-カルニチン、疲労感をやわらげるクエン酸なども配合されています。

成分量(100mlあたり)
カロリー 0kcal
食塩相当量 0.1g
炭水化物 0.7g

脱水時には経口補水液も有効

すでに熱中症の症状が出ていたり、脱水が疑われるような状態になったりしているときはスポーツドリンクよりも経口補水液がおすすめです。

経口補水液はスポーツドリンクと比べて多くの電解質を含んでいるため、効率よく電解質の補給を行うのに役立ちます。吸収率も高いため、すでに水分不足により何かしらの症状が出ている場合は、経口補水液を選びましょう。

 

OS-1

軽度から中等度の脱水症状や、感染症による嘔吐や下痢などの症状がある方に向いています。スポーツドリンクよりも塩分濃度が高いため、予防的に日頃から飲むのには適していません。アップル風味やゼリータイプ、粉末タイプのものもあります。

成分量(100mlあたり)
カロリー 10kcal
食塩相当量 0.292g
炭水化物 2.5g

アクアソリタ

OS-1より電解質の量がやや少なく、経口補水液にありがちなしょっぱさが軽減されています。吸収効率はOS-1のほうが勝りますが、甘さが控えめなので甘いものが苦手な方でも飲みやすいでしょう。

成分量(100mlあたり)
カロリー 7kcal
食塩相当量 0.2g
炭水化物 1.9g

まとめ

スポーツドリンクには、アイソトニック飲料とハイポトニック飲料の2種類があります。

アイソトニック飲料は体液とほぼ同じ浸透圧になっているもので、運動前の水分補給に適しています。

ハイポトニック飲料は体液より低い浸透圧になっており、汗をかいて体液が薄くなっている運動中や運動後の使用がおすすめです。