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お薬コラム
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更新日:2022/11/14

ビオフェルミンは医療用と市販薬で中身は一緒?ミヤBM、ビオスリーは?

「お腹の調子が悪いし、整腸薬を買おう。この間病院でもらったあの整腸薬がよく効いたし、同じ名前の市販薬を買えば間違いないだろう。」
そう思っていらっしゃる方、ちょっと待ってください。
実は同じ名前や同じ会社から出ている整腸薬であっても、医療用と市販薬では中身が違う場合があるのです。
せっかく同じものを購入したと思っていても、中の有効成分や1回あたりに飲む錠剤の数などが異なることで、自分が思っていた効果が発揮されないと残念ですよね。
この記事では、代表的な医療用の整腸薬「ビオフェルミン、ミヤBM、ビオスリー」に関して医療用と市販薬での違いを有効成分の種類から用法、配合量まで詳しくご説明させていただきます。
医療用と同じ整腸薬が欲しいと思っている人にぜひ読んでいただきたい内容です。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

ビオフェルミンの医療用と市販薬を比較

ビオフェルミン製剤は医療用、市販薬のどちらについても、同じビオフェルミン製薬により製造されています。
ビオフェルミンの歴史は大正までさかのぼり、ラクトミン製剤である医療用のビオフェルミン配合散からスタートしました。
現在市販薬で販売されている新ビオフェルミンSは、昭和の終わりに、当時販売されていた新ビオフェルミンにビフィズス菌を加え、新たに3種類の成分となって改良・誕生しました。
さらにその後、平成に入ってから、ビフィズス菌のみを含有する医療用のビオフェルミン錠剤が販売されるようになったという流れです。
こういった大正、昭和、平成をまたぐ歴史の流れにより、同じビオフェルミンと名前がつく製品でも、製品によって異なる部分が多くなっているため、詳しくご説明させていただきますね。

製品名 成分 飲み方 成人量1回分あたりの生菌成分量
医療用 ビオフェルミン錠剤 ビフィズス菌 成人:1日3〜6錠
•1日3回に分けて服用
•年齢、症状により適宜増減
ビフィズス菌:12〜24mg
ビオフェルミン配合散 •ラクトミン
(フェーカリス菌)
•糖化菌
成人:1日3〜9g
•1日3回に分けて服用
•年齢・症状により適宜増減
ラクトミン:6〜18mg
糖化菌:4〜12mg
市販薬 新ビオフェルミンS錠 •ビフィズス菌
•フェーカリス菌
•アシドフィルス菌
15歳以上:1回3錠
5歳〜14歳:1回2錠
5歳未満:×
•1日3回食後に服用
ビフィズス菌:6mg
フェーカリス菌:6mg
アシドフィルス菌:6mg
新ビオフェルミンS細粒 15歳以上:1回1g
5歳〜14歳:1回2/3g
3ヶ月〜4歳:1回1/3g
3ヶ月未満:×
•1日3回食後に服用

<医療用と市販薬ではここが違う>

①含まれている生菌成分が違う
上の表を見ていただくとお分かりになると思いますが、医療用と市販薬だけでなく、医療用でさえも錠剤、散剤によって有効成分が異なります。
これらの違いは先ほどお話しした、ビオフェルミン製剤の歴史に深く関係しており、時代の流れと共に、含有する有効成分が変わっていったことが理由として挙げられるでしょう。
ただ、これらの違いで一概にどの製品が効果が高い、低いとは言い切れません。
ビフィズス菌やフェーカリス菌、アシドフィルス菌などは、人間の腸内にもともと存在する腸内細菌の一種で、悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を整える働きをしますが、菌の種類によって、どの菌の方が整腸作用に優れている、というのはありません。
人の腸内環境は千差万別であり、それによって、相性の良い菌というものは異なっているのです。
あくまでもビオフェルミンは製品によって含まれている菌の種類が異なるということをお伝えさせていただきます。

②用法が違う
医療用の製品は、成人量の記載はあるものの、子供については「年齢・症状により適宜増減」となっています。
医療用医薬品は、基本的に医師の指示に従って服用するようになっているため「子供が服用していけないものではないけれど、量については医師が判断する」ということを意味しています。
それとは異なり市販品では、年齢に応じて服用量が決まっています。
錠剤に関しては、粒が飲み込めるようになる目安の5歳から服用となっていますが、散剤の方は生後3ヶ月以降から服用できるようになっています。

ミヤBMの医療用と市販薬を比較

ミヤBM、また強ミヤリンサン錠、新ミヤリンサンアイジ整腸薬はミヤリンサン株式会社により、製造販売されています。
酪酸菌は悪玉菌の増殖を抑え、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の活動しやすい腸内環境を整える働きがあります。
また、芽胞(がほう)という強い膜に覆われているという特徴があり、芽胞のおかげで、胃酸などの影響を受けずに生きたままで腸に到達しやすくなりますし、抗生物質の影響も受けにくいとされているため、医療現場でも古くから重宝されています。

製品名 成分 飲み方 成人量1回分あたりの
生菌成分量
医療用 ミヤBM錠 酪酸菌(宮入菌) 成人:1日3〜6錠
•1日3回に分けて服用
•年齢、症状により適宜増減
20〜40mg
ミヤBM細粒 成人:1日1.5〜3g
•1日3回に分けて服用
•年齢、症状により適宜増減
市販薬 強ミヤリンサン錠 15歳以上:1回3錠
11歳〜15歳未満:1回2錠
5歳〜11歳未満:1回1錠
5歳未満:×
•1日3回食後に服用
90mg
新ミヤリサンアイジ整腸薬 •酪酸菌(宮入菌)
•リボフラビン
(ビタミンB2)
•ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)
15歳以上:1回1.8g
8歳〜15歳未満:1回1.5g
5歳〜8歳未満:1回0.9g
1歳〜5歳未満:1回0.6g
3ヵ月〜1歳未満:1回0.3g
3ヶ月未満:×
•1日3回食後に服用
54mg

<医療用と市販薬ではここが違う>

①1回分に含まれている酪酸菌の量
医療用と市販薬で、主成分となる生菌成分は全く同じです。
しかし、ミヤBM錠、ミヤBM細粒の方は1回量20mg〜40mg(1〜2錠、または0.5g〜1g中)であるのに対し、強ミヤリンサン錠は1回量90mg(3錠中)、新ミヤリサンアイジ整腸薬では54mg(1.8g中)と、含有量にはかなりの差が見られます。
これらの違いについて、ミヤリンサン株式会社の見解としては
「市販品については、効果が見られる量としてメーカーが設定しているものであるが、医療用はあくまでも医師の指示に基づいて処方量が決定されるものなので、症状に合わせて増量できるように設定している。」
とのことでした。
「医療用のものに比べて多い量の成分を飲んでも大丈夫なの?」と思う人もいるかもしれませんが、整腸薬に含まれる生菌成分については、仮に少し量が多くても、不要な分は便として体外に排出されるため、過度に心配しなくても問題ありませんよ。

②新ミヤリンサンアイジ整腸薬はビタミンB2、B6も含有
ビタミンB2、B6は腸内においてビフィズス菌や善玉菌の増殖を促進し、悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。
そのため、酪酸菌と一緒に摂取することで、整腸作用のさらなるサポートが期待できるでしょう。

③対象年齢・用法が違う
ビオフェルミンと同じく、医療用は成人量のみの記載で、子供に対しては適宜増減して使用するように、とされているのに対し、市販薬は年齢によって服用量が設定されています。
年齢によって用量がかなり細かく設定されているのが特徴です。

ビオスリーの医療用と市販薬を比較

ビオスリーは医療用、市販薬、共に東亜薬品工業株式会社で製造されています。
3つの生菌成分を含んでいるのが特徴で、それぞれがサポートし合って腸内環境を整える効果があります。

製品名 成分 飲み方 成人量1回分あたりの
生菌成分量
医療用 ビオスリー配合錠 •酪酸菌
•ラクトミン(乳酸菌)
•糖化菌
成人:1日3〜6錠
•1日3回に分けて服用
•年齢、症状により適宜増減
ラクトミン:2〜4mg
酪酸菌:10〜20mg
糖化菌:10〜20mg
ビオスリー配合散 •成人:1日1.5〜3g
•1日3回に分けて服用
•年齢、症状により適宜増減
ラクトミン:5〜10mg
酪酸菌:25〜50mg
糖化菌:25〜50mg
市販薬 ビオスリーHi錠 15歳以上:1回2錠
5歳〜15歳未満:1回1錠
5歳未満:×
•1日3回食後に服用
ラクトミン:10mg
酪酸菌:50mg
糖化菌:50mg
ビオスリーH
(散剤)
15歳以上:1回1包
3ヵ月〜15歳未満:1回1/2包
3ヶ月未満:×
•1日3回食後に服用

<医療用と市販薬ではここが違う>

①対象年齢、用法が違う
こちらもビオフェルミンと同じく、医療用は成人量のみの記載で、小児などに対しては適宜増減して使用するようにとされているのに対し、市販薬は年齢によって服用量が設定されています。
しかしながら、ビオフェルミンやミヤBMよりは年齢による刻み方は少ない方であると言えるでしょう。

②中の成分、含有生菌数は医療用と市販用で「全く一緒」
成人量一回分あたりの生菌成分量を見ると、ビオスリー配合錠だけ少ないように記載されています。
しかし、これは使用する原料の違い(添加物の量など)であり、実際の生菌数はビオスリー配合散や市販薬のものと全く同じです。
そのため、ビオスリーに関しては医療用と市販薬で有効成分、含有量ともに違いがないと言えるでしょう。

まとめ 市販薬は医療用に比べて効果が弱い?

ビオフェルミン、ミヤBM、ビオスリー3つの整腸薬について、医療用と市販品で含まれる有効成分や、用法、含まれる生菌成分量などを比較、ご説明させていただきました。
ビオフェルミンは有効成分そのものに違いがあり、ミヤBMは有効成分は同じでも含有量が異なっていました。
改めて、医療用と市販品どちらの方が効果が高いのかと聞かれると、答えとしては「比較できない」ということになるでしょう。
医療用と市販薬の一番大きな違いは医師の指示の有無です。
医療用の整腸薬は医師の指示に基づき、服用するものですので、症状などに応じて用法や用量が変更されることがありますが、市販の整腸薬は年齢によって用法用量が定められており、それに従って服用する必要があります。
そして、市販薬は医療用のものと比べて、決して効果が低いことはありませんが、かといって市販薬だけで不快な胃腸症状を全て乗り切ろうとするのは避けましょう。
市販の整腸薬を1ヶ月程度服用していても下痢や便秘などの症状などがなかなか治らない場合は、整腸薬だけでは対処できないような原因が隠されている可能性もあるため、必ず医療機関を受診するようにしてください。
この記事が整腸薬をお探しのあなたにとって、お役に立てれば幸いです。