アラセナ-A軟膏は、市販で購入できる?
口唇ヘルペスができて、医療用医薬品の「アラセナ-A軟膏」を使ったことがある方はいますか?
口唇ヘルペスは再発する人も多く、「毎回病院に行くのは大変だなぁ」と困っている方が少なくありません。じつは、口唇ヘルペスの再発の方は、市販薬が使用できます。今回は、口唇ヘルペス治療薬の使い方や注意点をご紹介します。
購入可能な市販薬とは?
口唇ヘルペスの市販薬は、軟膏とクリームの2種類があります。
ただし、過去に医師から口唇ヘルペスの診断・治療を受けたことがある方しか使うことはできません。これは、口唇ヘルペスだと自分で思い込んで重大な病気を見逃すことを防ぐためです。
アラセナS(アラセナSクリーム)
医療用としても使われている「ビダラビン」という抗ウイルス薬成分を、同量配合したものです。第1類医薬品のため、再発の口唇ヘルペスかどうかの確認、受診の目安についてなどの説明を薬剤師から受けなくては購入できません。
口唇ヘルペスになったことがある方は、「この皮膚症状はヘルペスだな」とわかることが多いとは思いますが、時には帯状疱疹や毛嚢炎と見分けが難しい場合もあります。
とくに、ヘルペスのような皮膚症状(水ぶくれ・ただれ)が鼻・目の周辺・おでこなどに出ている場合には、アラセナSを購入せず、すぐに皮膚科を受診してください。この部位に帯状疱疹ができた場合、重症化する可能性が高いためです。
市販の「アラセナS」で対応できるのは、口唇ヘルペスだけなので、注意しましょう。
医療用医薬品としての基本情報
次に、医療用医薬品の「アラセナ-A軟膏」について、効能や使い方をご紹介します。
アラセナ-A軟膏の主成分とは?
主成分は、抗ウイルス薬の「ビダラビン」で、軟膏中に成分が3%含有されています。
口唇ヘルペスに使える成分として、ほかに「アシクロビル(製品名:ゾビラックス軟膏)」というものもありますが、ビダラビンは、アシクロビルが効かない口唇ヘルペスにも効果的です。皮膚症状がなくなるまで、しっかり使い続けるようにしましょう。
ビダラビンは、以下の3つの作用があります。
①ヘルペスウイルスがDNAを作るのを阻害する
②DNAの材料であるヌクレオチドを作らせない
③ウイルスに特徴的なタンパク質を作らせない
この3つの作用で、ウイルスの増殖を強力に抑えてくれます。
アラセナ-A軟膏の効能は?
医療用の「アラセナ-A軟膏」は、単純疱疹(口唇ヘルペス、性器ヘルペスなど)と帯状疱疹の両方に効果があります。
単純疱疹は、単純ヘルペスウイルスに感染したり、感染したあと体に潜んでいたウイルスが再度活発化して再発したりすることで、皮膚や粘膜に水ぶくれ・ただれを起こす病気です。初めて感染したときは、水ぶくれ・ただれの他に高熱を出すことも多いですが、再発のときは免疫ができているため、皮膚の症状だけで一般的には軽症ですみます。少ない方は年に1回程度ですが、多い方は毎月のように再発してしまう、厄介な病気です。
帯状疱疹は、帯状疱疹ウイルスが原因で、単純疱疹とはウイルスの種類が違います。初めて感染したときの症状は「水疱瘡(みずぼうそう)」呼ばれ、子どものうちに罹患することが多いです。初感染のあと、ウイルスは神経に潜んでおり、高齢になったとき・免疫が落ちたときなどに帯状疱疹として発症します。帯状疱疹はワクチンで予防することもできますので、希望される方は医師と相談してください。
アラセナ-A軟膏の使い方
アラセナ-A軟膏は、1日1~4回、皮膚症状のある部位に塗布します。食後とシャワーのあと、など時間を決めて忘れないようにするとよいでしょう。
発症から早く使用を開始するほど効果は高くなるので、なるべく早く受診することが大切です。原則として、発症から5日以内の治療開始が目安となっています。
アラセナ-A軟膏の医療用医薬品の種類
アラセナ-A軟膏と同じ「ビダラビン」が主成分の医療用医薬品は、他に2種類あります。
・アラセナ-Aクリーム
クリームタイプの塗り薬です。軟膏と違って水分が含まれているため、伸びがよく、ベタつきが少なくなっています。皮膚症状が広範囲の方、ベタつくのが嫌な方におすすめです。
・アラセナ-A点滴静注用
単純ヘルペス脳炎、免疫抑制患者(糖尿病の方、免疫抑制剤を使用中の方など)の帯状疱疹の場合に使われる点滴の薬です。
アラセナ-A軟膏の使用の注意点
アラセナ-A軟膏は、副作用が少なく、比較的安全に使用できる薬ですが、いくつか注意したいことがあります。
副作用について
頻度は少ないですが、稀にピリピリとした刺激を感じたり、かゆみ、接触皮膚炎のような症状が出たりする場合もあります。「ピリピリ・ヒリヒリ」した刺激は、もしかするとヘルペス自体の症状という可能性もありますが、気になる場合には皮膚科等を受診してください。
妊婦の方は医師へ伝えて
塗り薬の場合はそれほど影響しないと考えられていますが、妊婦の方やその可能性がある方は医師へ伝えてください。点滴には、催奇形作用があると報告されています。
受診の目安
アラセナ-A軟膏を正しく使用していても、7日間以上症状が改善しない、あるいは悪化している場合には、再度皮膚科等を受診してください。症状が少し重い場合には、抗ウイルス薬の内服が必要なこともあります。
まとめ
今回は、単純疱疹・帯状疱疹の治療薬である、医療用の「アラセナ-A軟膏」とその市販薬である「アラセナS」について、使い方や注意点をご紹介しました。
口唇ヘルペスの再発の場合は、医療用医薬品と同じ成分の市販薬「アラセナS」を使うことも可能です。初めて口唇ヘルペスのような症状が出た方は、ヘルペスかどうかの判断のために皮膚科や内科を受診してください。
「アラセナ-A軟膏」は、副作用がほとんどなく安全に使用できる薬です。処方された場合には、症状がなくなるまでしっかり使いましょう。塗り薬だけで改善しない・悪化している場合には、早めに受診してください。