腰痛
腰痛が続くと、動くのが億劫になったり寝返りができず寝不足になったりとさまざまな影響が出てくるものです。つらい腰痛は、できることなら早く痛みを取りたいですよね。病院にかかる前に、まずは市販薬で様子を見てみようと思われる方も多いでしょう。
そこで今回は、腰痛に効果がある市販薬や成分を詳しく解説します。腰痛を悪化させないためのアドバイスも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
腰痛の原因について
腰痛が起こる原因としては、姿勢の悪さや運動による負担、加齢などが代表的です。
しかし、はっきりと原因が特定できる腰痛は少なく、80%以上の腰痛は原因が特定できないといわれています。圧迫骨折や椎間板ヘルニアなどはすぐに原因が特定できますが、生活習慣によるものはなかなか難しいのです。
姿勢の悪さ
前屈みになったり猫背の状態が続いたりすると、腰に負担がかかるため腰痛が起こることがあります。たとえば、長時間にわたって車を運転したり高さの合わない椅子に座っていたりすることが要因です。
激しい運動をする
重い物を持ったり、腰に負荷をかけたりする動作も腰痛を引き起こす原因となります。一時的に軽い腰痛が起こるだけのときもありますが、筋膜性疼痛症候群といって、強い痛みやしびれが起こることもあるものです。
加齢による筋肉の衰え
年齢を重ねると、どうしても体全体の筋肉が衰えてしまいます。腰を支える筋肉が衰えることで姿勢をキープできなくなり、負担がかかることで腰痛が発生するのです。また、長年にわたり続けてきた姿勢のクセや動作が原因になることもあります。
腰痛に効果がある市販薬
腰痛を和らげられる市販薬としては、ビタミン剤や解熱鎮痛薬、湿布薬や漢方薬などが代表的です。それぞれ腰痛を和らげるメカニズムや特徴が異なります。
ビタミン剤
馴染みのない方にとっては意外かもしれませんが、ビタミン剤も腰痛に効果的です。ビタミンB1やビタミンB12、ビタミンEが腰痛に効果がある成分として知られています。ビタミン剤に速効性はなく、鎮痛薬や湿布薬のように痛みを根元から取り除いてくれるものではありません。しかし、神経や筋肉の働きに直接働きかけることで腰痛を改善してくれます。
アリナミンEXゴールド
神経ビタミンとも呼ばれるビタミンB1やビタミンB6、ビタミンB12などを配合した市販薬です。筋肉の疲れを和らげて緊張をときほぐし、痛みを改善します。
ユンケル1・6・12EX
神経の修復に役立つビタミンB6やビタミンB12、血行をよくするニコチン酸アミドやビタミンE誘導体などが配合されたビタミン剤です。1日1回1~2錠で効果を発揮します。
鎮痛薬
鎮痛効果のある飲み薬は、飲んでから15~30分ほどで効果が出てくることが特徴です。すぐにでも痛みを止めたい方に向いているでしょう。全身に効果が出るので、広範囲に痛みが出ている方におすすめです。
ロキソニンS
病院で処方してもらえるロキソニンと同じ成分が同じ量だけ含まれています。市販の鎮痛薬のなかではもっとも効果が高いため、とくに痛みがつらい方に向いているといえるでしょう。
ラックル 速溶錠
胃にやさしい鎮痛成分アセトアミノフェンが配合されています。水に触れると、すぐ溶け出す速溶錠で、つらい腰痛に早く効きます。
湿布薬
痛む部位に直接貼ることで、痛みをピンポイントで取り除くお薬です。配合されている成分によって鎮痛効果が大きく変わるため、CMの印象やパッケージだけで選ばず、主成分をよくチェックして購入しましょう。
ボルタレンEXテープL
市販の湿布薬のなかではもっとも鎮痛効果が高い湿布薬です。主成分としてジクロフェナクナトリウムが配合されています。1日1回貼るだけで効果が24時間続くため、貼り直しの必要がありません。
ロキソニンSテープL
鎮痛効果の高いロキソプロフェンが主成分の湿布薬です。ボルタレンEXよりも効果はやや控えめですが、胃腸障害などの副作用が起こる頻度は低くなっています。
漢方薬
鎮痛薬や湿布薬とは違い、痛みを直接止めるのではなく、痛みが起きている原因に着目して腰痛を和らげるお薬です。漢方薬は体質との相性が大事なため、自分に合ったものを選びましょう。
芍薬甘草湯
急に腰痛が現われ、筋肉が突っ張っているような痛みを感じる場合に使われます。体力の有無にかかわらず飲めるので、使いやすいでしょう。ギックリ腰の改善にも用いられます。
八味地黄丸
腰の低い位置、ウエストラインのあたりに出る腰痛の緩和に向いている漢方薬です。どちらかといえば、加齢に伴う腰痛に適しているでしょう。
腰痛に効果がある成分とは?
腰痛に効果がある成分として、主に次の6種類が知られています。
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質からエネルギーを作るのに必要な栄養素です。エネルギーを効率よく作ることで筋肉に乳酸がたまるのを防ぎ、疲労感やこわばりが出るのを改善します。
ビタミンE
ビタミンEは、血行を改善する働きがある成分です。筋肉に酸素や栄養素を運び、疲労物質を回収することで腰痛を和らげます。
ビタミンB12
メコバラミンとも呼ばれる成分で、傷ついた神経を修復する働きが特徴的です。筋肉を構成する成分であるタンパク質やリン脂質といった成分の合成を促します。
コンドロイチン
コンドロイチンとは、背骨でクッションのような役割をしている椎間板に多く含まれている成分です。椎間板のクッション性が低下すると、骨に圧力がかかり腰痛が起こる原因になります。コンドロイチンを摂取することで、椎間板のクッション性を維持したり働きを改善したりすることが可能です。
クロルゾキサゾン、メトカルバモール
クロルゾキサゾンやメトカルバモールは、筋肉をゆるめる働きがあります。凝り固まった筋肉をほぐし、痛みを改善する成分です。
痛み止め成分
ロキソニンプロフェンやイブプロフェンなどの痛み止め成分は、痛みの原因物質が作られるのを阻害することで腰痛をやわらげます。効果が高いものや胃に負担をかけにくいものなどいくつか種類があるので、痛みの程度や体調に合わせて自分に合うものを選びましょう。
患部は冷やした方が良い?温めた方が良い?
「腰痛があるとき、腰は冷やすべき?それとも温めるべき?」と悩んでしまう方は多いのではないでしょうか。湿布薬にも温感タイプと冷感タイプがあるので、どちらを使うべきか疑問に思ってしまうものです。患部を冷やすのかそれとも温めるのかどうかは、痛みが急性か慢性なのかで使いわけます。
急性の腰痛は冷やす
急性の痛み、つまり突然痛みが出るようになった場合は冷やしたほうが効果的です。とくに患部が熱をもっている場合は、冷やすことで炎症を抑えることができます。久しぶりに運動したり重い物を持ったりして痛めた場合は、患部を冷やせる冷感タイプの湿布薬を選びましょう。テープ剤ではなくパップ剤のほうが冷やす効果に優れているのでおすすめです。
慢性の腰痛は温める
何週間も何か月も続くような慢性の腰痛は、温めた方が痛みが和らぎやすいといわれています。温めることで血液循環が改善されるためです。腰痛が長期間にわたり続く方は温感タイプの湿布を選ぶとよいでしょう。
生活上のアドバイス
腰痛を予防するためには、腰に負担をかけないような動作を心がけることが大切です。重いものを持ち上げるときはかがんでから持ち上げ、椅子に座るときは深く腰掛けて背筋を伸ばすように意識します。腰に負担がかかりにくいように、サポーター(コルセット)を着用するのも効果的です。うつ伏せ寝ではなく仰向けや横向きで寝るのもよいでしょう。
まとめ
腰痛の原因を特定することは難しいですが、姿勢の悪さや激しい運動、加齢による筋肉の衰えなどが要因となります。動けないほど痛みが強かったり長引いていたりする場合は病院の受診が勧められますが、一時的に痛みを止めるために市販薬を使うのもよいでしょう。
市販には鎮痛剤の内服薬やビタミン剤、湿布薬などがあります。痛みが広範囲の方は内服薬やビタミン剤、局所的な方は湿布薬のように使い分けてみてください。腰痛を発症しやすい方は腰に負担がかからないよう動作に気をつけたり寝方に気をつけたりするのも効果的です。