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お薬コラム
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更新日:2022/03/12

歯の痛み

「歯の痛みがつらくてご飯が食べられない」「痛みで夜も寝られない」
あまりに痛みが強いと、日常生活にもいろいろな支障が出てしまうものです。歯の痛みが出た時点で歯医者に行くのがもっともベストな選択ですが、仕事や学校でなかなか行けない方も多いでしょう。

そのようなときは、市販薬を使ってみてください。歯を根本的に治療するものではありませんが、一時的に痛みを取り除いてくれます。今回は、歯の痛みに使える市販薬の特徴や虫歯の予防方法などを見ていきましょう。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

歯の痛みについて

歯痛が起こるのは、歯の象牙質がむき出しになってしまうことが関係しています。象牙質とは、歯の中心部にある組織のことです。本来なら象牙質はエナメル質に覆われているので露出することはありません。しかし、なんらかの原因でむき出しになると痛みを生じるようになってしまいます。

歯痛のメカニズム

・虫歯
虫歯の原因はミュータンス菌です。ミュータンス菌の働きによってエナメル質や象牙質が溶かされるため、虫歯が進むと痛みを生じます。

・親知らず
まっすぐに生えている親知らずであれば問題になることはあまりありません。斜めに生えている場合、奥歯との隙間に歯ブラシが届きづらくなるため、虫歯ができる可能性があります。そのほか歯茎が炎症を起こしたり感染症が起こったりすることも痛みが生じる原因です。

・歯周病
歯周病になると、歯を支えている骨や歯茎が溶けてしまいます。痛みを伴うことはあまりありませんが、症状の程度によっては痛くなることもあるでしょう。

・知覚過敏
冷たいものや熱いものが染みる場合は、知覚過敏かもしれません。歯の表面が削れて薄くなり象牙質が向きだしになったり、歯茎が下がって根が見えてきたりすると傷みを伴います。

歯医者の治療が原則

歯の痛みを感じたら、なるべく早く歯医者を受診するのが原則です。そのまま放置していると、最悪の場合は歯を抜かなければなりません。

また、ときには歯の痛みを放っておくことが命をおびやかすことがあります。虫歯の原因となるミュータンス菌が血液中に入ると脳梗塞や脳腫瘍を起こすことがあるのです。歯周病が悪化すると肺炎や認知症につながることもあるため、痛みを感じたら早めに歯医者を受診しましょう。

市販薬は痛みを抑えるだけの一時しのぎ

市販薬にも歯の痛みを止めるものがいくつかあります。痛みがすっかりなくなると「虫歯が治った」と思ってしまうかもしれません。しかし、市販薬はただ一時的に痛みを感じなくしているだけです。薬の効き目が切れたら再び痛み出します。

決して根本治療をしているわけではないので注意しましょう。あくまでも市販薬は、一時的に痛みをやわらげるだけのものです。歯医者に行くまでのつなぎとして使うのにとどめ、必ず早めに歯医者を受診してください

歯痛に効果がある市販薬

歯の痛みに使える市販薬には、主に次の5種類があります。歯茎に炎症がある様子がなければ、解熱鎮痛薬の飲み薬を選ぶとよいでしょう。赤くなっていたり腫れていたりする場合は、炎症を抑える成分が入っている塗り薬が効果的です。痛みの種類や範囲に合わせて使いやすいものを選んでみてください。

解熱鎮痛薬

ロキソプロフェンイブプロフェンアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛成分が入った飲み薬が歯痛に有効です。具体的な商品名だとロキソニンSやリングルアイビー、タイレノールAなどがあります。

鎮痛効果の高さはロキソプロフェンイブプロフェンアセトアミノフェンです。アセトアミノフェンはロキソプロフェンやイブプロフェンと比べると鎮痛効果がマイルドですが、胃の負担が少なくなっています。

痛みが強い方は鎮痛効果が高いロキソプロフェンやイブプロフェンの入った解熱鎮痛薬を選ぶとよいでしょう。

 

ロキソニンS

病院で処方してもらえるロキソニンと同じ成分が同じ量だけ含まれています。市販の鎮痛薬のなかではもっとも効果が高いため、とくに痛みがつらい方に向いているといえるでしょう。

リングルアイビー

主成分としてイブプロフェンが配合された頭痛薬です。液体カプセルなので速く溶けて、素早く鎮痛効果を発揮します。

コンジスイQ

コンジスイQは、塗るタイプの歯痛薬です。痛みを鎮めるフェノールやdl-カンフル、オイゲノールなどが配合されています。ゲルタイプなので痛みがあるところにお薬がとどまりやすいことが特徴です。妊娠中の方でも使用できます。

正露丸

正露丸は腹痛や下痢に使うイメージが強いかもしれませんが、虫歯痛にも適応があるお薬です。虫歯の穴に正露丸を詰めるだけで痛みがやわらぎます。正露丸の主成分である木クレオソートに、歯の神経をマヒさせる働きがあるためです。ただし、歯茎が膿むほど進行した虫歯には効果がありませんので注意してください。

デンタルクリーム

デンタルクリーム虫歯や歯肉炎などによる歯痛などに効果がある塗り薬です。局所麻酔作用のあるジブカイン塩酸塩やアミノ安息香酸エチルが痛みを止め、塩化セチルピリジニウムが殺菌します。口内炎や口角炎にも使えることが特徴です。

虫歯の予防薬


痛みでつらい思いをしないためにも、まずは虫歯にならないよう予防を心がけましょう。
歯磨きをしっかり行うことが基本ですが、それに加えて虫歯予防のための市販薬を使う方法もあります。

 

エフコート

虫歯予防薬として代表的なのがエフコートです。エフコートはフッ素が配合された洗口液で、歯磨きの後にうがいをするだけで虫歯の予防ができます。フッ素には歯のカルシウムが溶けるのを防いで再石灰化を促す働きがあるため、虫歯予防に効果的なのです。4歳から使えるので、子どもの虫歯予防にもよいでしょう

このような症状があったら早めに受診しよう

・市販薬を使っても痛みが引かない
・歯の詰め物が取れて痛みが出ている
・かぶせもののかみ合わせが悪く痛みが出ている
・歯茎に強い腫れや出血がある
・歯の痛みに加えて頭痛や発熱がある

このような症状がある場合は、早めに歯医者を受診するようにしてください。症状が進行しており、市販薬では対応できない状態になっています。まれに大きな疾患が隠れている場合もあるので、痛みを我慢せず適切な治療を受けるようにしましょう。

まとめ

歯の痛みは、誰でも抱えやすいトラブルの一つです。虫歯や親知らず、歯周病や知覚過敏などが原因で痛みが生じます。痛みが出たら歯医者を受診することが基本ですが、どうしても時間の都合が合わない方は、市販薬を使って一時的に痛みを止めるのもよいでしょう。

解熱鎮痛薬や塗り薬などがありますので、使いやすいものを選んでください。あまりに痛みが強く市販薬を使っても効果がなかったり、頭痛や発熱などの症状もあったりする場合はできるだけ早く歯医者を受診して治療を始めましょう。