のどの痛み
唾を飲み込むのにも顔をしかめるようなのどの痛み、とても辛いですよね。
風邪をひいた時は必ずのどにくるという方もいれば、大声を出すとのどがやられやすいという方もいるでしょう。
のどの痛みが辛い時は、食事や会話などの日常生活にも支障が出るため、なるべく早く治したいですよね。
そのためには痛みの原因を知り、適切に対処することが重要です。
この記事では、のどの痛みでお悩みのあなたに、適切な薬を、安心して選んでいただけるための知識をお伝えさせていただきます。
のどの痛みが起こる原因
まず、のどに痛みが生じているということは、のどに炎症が起きているという状態です。 |
また、のどの「乾燥」も直接的ではないですが、痛みの原因になるでしょう。
のどはある程度の水分を保持し、潤った状態にすることで、自身を守る仕組みになっています。
ところが、この水分が少なく乾燥している状態になってしまうと、防御反応がうまく働かずに、炎症が起き、痛みが出てくるのです。
のどの痛みに効果のある市販薬
のどの痛みに効果のある薬としては「飲み薬」と、うがい薬などの「外用薬」があります。
それぞれを分けてご説明いたしますので、症状の辛さや、使用する際の状況に応じて使い分けていただくことをオススメします。
のどの痛みに用いられる飲み薬
主な市販薬は、次に挙げるような、のどの痛みに効果のある成分を組み合わせて、販売されています。
有効成分
・非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs(イブプロフェンやロキソプロフェンなど)
プロスタグランジンという体内の痛みや発熱、炎症を引き起こす物質の産生を抑制することで、抗炎症・解熱・鎮痛の作用を示します。
・アセトアミノフェン
脳の中枢神経に作用することで、解熱・鎮痛を行います。
NSAIDsに比べて効果がマイルドですが、副作用が少なく、子供や高齢者でも使用しやすいでしょう。
・トラネキサム酸
のどの炎症の原因となるプラスミンを抑えることにより、抗炎症作用を示します。また、トラネキサム酸には抗炎症作用の他に、シミや肝斑の改善作用、止血作用があります。
・生薬(漢方)
上に挙げた3つの成分は西洋薬と呼ばれ、一つの成分を用いて、症状そのものをターゲットにしています。
それに対して漢方薬は、さまざまな生薬を組み合わせ、体全体のバランスを考えた上で、不調の箇所にアプローチする薬です。
のどの痛みに対しても、痛みの原因や体質によって、さまざまな種類の漢方が用いられますが、その中でもよく配合されている生薬として、以下の成分があります。
カンゾウ:甘みがあり、のどの痛みに有効であると昔から重宝されています。
キキョウ:痰を排出、咳を抑える作用があり、カンゾウと組み合わせて使われることが多いです。
商品紹介
ぺラックT錠
有効成分:トラネキサム酸、カンゾウ
特徴:口腔の粘膜を保護するビタミンを三種類配合されており、眠くなる成分は入っていません。
NSAIDsやアセトアミノフェンといった鎮痛成分は含まれていないため、これら医薬品との併用が可能です。
コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα
有効成分:トラネキサム酸、ロキソプロフェン
特徴:ロキソプロフェンが配合されていることで、のどの痛み以外にも頭痛など風邪によるのど以外の場所の痛みや、発熱にも効果があります。
15歳以上から服用可能、妊娠後期の妊婦さんは服用できません。
龍角散ダイレクトスティック
有効成分:キキョウ、セネガ、カンゾウ、キョウニン、ニンジン、アセンヤク
特徴:水なしで服用可能です。咳を抑える生薬セネガも配合されています。
顆粒のため飲みやすく、生薬の味を感じさせない、ミントとピーチ味です。
3歳以上なら服用することができます。
銀翹散エキス顆粒Aクラシエ
有効成分:キンギンカ、レンギョウ、ハッカ、キキョウ、カンゾウ、タンチクヨウ、ケイガイ、タンズシ、ゴボウシ、レイヨウカク
特徴:のどの痛みから始まる風邪、発熱や口の渇きがある風邪の初期に服用すると効果的です。
駆風解毒湯エキス顆粒KM
有効成分:セッコウ、レンギョウ、ボウフウ、キキョウ、ケイガイ、カンゾウ、ゴボウシ、キョウカツ
特徴:銀翹散よりものどの炎症や痛みの強い風邪に。
古来はうがい薬として使われていたため、水やお湯に溶かして、うがい薬として使用しても。
響声破笛丸料エキス顆粒KM
有効成分:ハッカ、カンゾウ、シュクシャ、レンギョウ、アセンヤク、センキュウ、キキョウ、ダイオウ、カシ
特徴:声枯れに有効な漢方。
大声など、のどの使いすぎによる痛みに高い効果を示します。
のどの痛みに用いられる外用薬
続いて、のどの痛みに効果のある外用薬をご説明します。
こちらもまずは、のどに対して使用される外用薬の成分として、代表的なものを紹介させていただきます。
有効成分
成分 | 作用 | 特徴 |
アズレンスルホン酸ナトリウム | 抗炎症 | 口腔内の傷の治りを助ける作用も。 |
ポビドンヨード、 ヨウ素 |
殺菌 | ・幅広い細菌・ウイルスなどの病原体に作用を示す。 ・長期連用、妊婦・授乳婦は注意が必要(下記注意*) |
塩化セチルピリジニウム(CPC) | 殺菌 | ポピドンヨードに比べて殺菌の対象となる病原体は少ないが、独特のニオイや味がなく、子どもにも使いやすい。 |
クロルヘキシジン | 殺菌 | 口腔内の雑菌を殺菌することから、マウスウォッシュにも用いられる。 |
デカリニウム | 殺菌 | 細菌や真菌に効果あり。 主にトローチで用いられる。 |
カンゾウ、キキョウ | のどの痛み・腫れに 総合的な作用を示す |
飲み薬と同じく、全般的なのどの症状に。 |
*ポビドンヨード、ヨウ素の注意:無闇に長期使用することは控えましょう。普段の食事で海藻類から摂取する量よりもはるかに多くのヨウ素を吸収し、ヨウ素過剰症を引き起こすことがあります。
特に妊娠中や授乳中の過剰摂取は、お母さんだけではなく、赤ちゃんの甲状腺機能異常の原因になると言われていますので、避けた方が無難でしょう。
またヨードは甲状腺機能に影響することもあるため、甲状腺の疾患を持つ方も注意が必要です。
外用薬の種類
上に挙げた成分を用いた外用薬には、主にのど飴・トローチ、うがい薬、のどスプレーの3種類が挙げられます。
以下にそれぞれの特徴を示しました。
種類 | 有効成分 | 長所 | 短所 |
のど飴・トローチ | CPC、漢方、デカリニウムなど | ・身近なコンビニなどでも購入できる ・味などバリエーションが豊か ・手軽に使える |
強い殺菌作用は期待できない |
うがい薬 | ポビドンヨード、ヨウ素、アズレンスルホン酸、CPC | ・のどスプレーと比較すると、コストパフォーマンスが良い | ・洗面台がない場所では使用できない ・希釈タイプは作るのに一手間必要 |
のどスプレー | ポビドンヨード、ヨウ素、アズレンスルホン酸、CPC | ・洗面所がない場所でも使用できる | ・うがい薬に比べて高価 ・使用時に息を吸い込まないよう注意が必要。(小児などでは難しい場 合も) |
商品紹介
ルルトローチ
有効成分:デカリニウム、キキョウ、カンゾウ
特徴:生薬が配合されているが、フルーツミント味でスッキリ。
生薬に加えてデカリニウムが殺菌作用を示します。
ヴイックス メディケイテッド ドロップ
有効成分:CPC
特徴:コンビニなどでもよく見かけるドロップ。
味のバリエーションも豊かで気軽に使いやすいでしょう。
イソジンうがい薬
有効成分:ポビドンヨード
特徴:昔懐かしの希釈して使用するタイプのうがい薬。
大容量タイプもあるので、家族などで共有しやすいです。
キレイキレイうがい薬
有効成分:CPC、グリチルリチン酸二カリウム(カンゾウから抽出した成分)、l-メントール
特徴:ハンドソープで有名なキレイキレイのうがい薬。
ピーチとアップルから選べて、子供も使いやすい味になっています。
パープルショット(消炎のどスプレー)
有効成分:アズレン
特徴:抗炎症成分アズレンをメインにしたのどスプレー。
炎症を抑えてくれるので、カラオケなどのどの使いすぎによる痛みにも効果的。
のどぬ〜るスプレーB
有効成分:ポビドンヨード
特徴:長いノズルが患部に届きやすい。
同ブランドの、のどぬ〜るナイテクトはアズレン&CPC配合、のどぬ〜るクリアミントはCPCが主成分となっています。
「のどぬ~る」の名称がつく商品の全てがポビドンヨード製剤ではなく、用途によって成分が異なるため、よく見て購入しましょう。
まとめ
辛いのどの痛みの原因、効果のある市販薬を飲み薬と外用薬に分けてご紹介させていただきました。
市販薬は有効成分が被っていない限りは、2種類の飲み薬を併用したり、飲み薬と外用薬を組み合わせたりして使用することもできます。
しかし、たくさん薬を飲めばその分早く治るわけではなく、有効成分それぞれの違いを知り、うまく使い分けることが望ましいです。
また、薬を使い始めて5〜6日経ってものどの痛みが改善されなければ、病院を受診しましょう。
市販薬では対応しきれないような強い細菌に感染していたり、もっと重大な原因が隠されていたりする可能性がゼロではないからです。
辛いのどの痛みにお悩みのあなたにとって、お役に立てることを願っています。