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更新日:2025/05/19

夏でもエアコンで乾燥する?冷房時の“肌・喉トラブル”を防ぐ5つの方法

「夏だから乾燥とは無縁」だと思っていませんか?

 

実はエアコンの冷房は、湿気と一緒に空気中の水分を奪い、肌や喉にダメージを与える原因になります。

 

汗の蒸発を促すことで、知らず知らずに“夏型乾燥”が進行しているかも。

 

本記事では、夏に冷房を使うときの乾燥の仕組みと、すぐに取り入れられる5つの対策をご紹介します。

薬剤師ライター クロロボ

第1章:冷房でなぜ乾燥?夏特有の仕組みを解説

「夏に乾燥なんてあるわけない」と思っていませんか?

でも実は、エアコンの冷房こそ、空気を乾燥させる主な原因になっています。

ここでは、冷房中に湿度が下がる仕組みと、それが肌や喉にどんな影響を与えるのかをわかりやすく解説します。

◆ 冷房中の部屋が乾燥する理由とは?

冷房時に空気が乾燥するのは、エアコンが除湿しているからです。

エアコンの内部では、室内の空気が冷やされます。

そのとき、空気中の水蒸気が結露して水滴となり、ドレンホースから外に排出されていきます

つまり、室内の空気から水分が奪われていく=湿度が下がるというわけです。

たとえば、30℃・湿度60%の部屋で冷房をつけて27℃まで下げた場合、湿度は40%台に落ちることも珍しくありません。

しかも、日本の夏は「湿気が多い=加湿されている」と誤解しがちなので、対策が遅れがちです。

冷房で涼しくなる一方、空気中の水分は奪われていきます。夏でも“隠れ乾燥”には要注意です。

 

◆ 乾燥で起こる“夏型不調”に要注意

乾燥状態が続くと、喉の痛みやイガイガ、咳が出やすくなることがあります。

喉の粘膜が乾いて炎症を起こすことで、風邪に似た症状が出るケースも少なくありません。

さらに、肌のカサつき、ドライアイ、かゆみや湿疹の悪化も夏の冷房乾燥でよく見られる不調です。

肌のバリア機能が弱ることで、紫外線の影響がより強く出るようになるのも要注意ポイントです。

なんかカサカサするな〜と思ったら湿度のせい。気づかなくて、けっこうどころか…めっちゃ困ったよ〜。

 

薬局でよくある「夏の風邪」の正体

私が薬局で働いていてよく受ける相談のひとつが、

「夏なのに喉が痛くて…風邪かな?」というケース。

詳しく話を聞いてみると、多くの方が「夜間ずっと冷房をつけっぱなし」で、加湿器は使っていない状況でした。

特に風が直接当たる位置で寝ている人ほど、乾燥トラブルが起きやすい傾向があります。

冷房で湿度が下がり、しかも風が肌や喉に直撃。

これでは乾燥するのも当然です。

薬だけでは限界があるため、「環境を見直してくださいね」とお伝えしています。

 

夏の乾燥は“エアコンの除湿”が主因

エアコン冷房によって室温が下がると同時に、空気中の水分が奪われていきます

この「除湿」こそが、喉・肌・目の乾燥を引き起こす犯人です。

「夏=湿気の季節だから乾燥は関係ない」という思い込みは、今日で終わりにしましょう。

次章では、今日からできる乾燥対策のアイデアを具体的にご紹介します。

冷房を使いながら、快適な湿度もキープしていきましょう。

第2章:すぐ試せる!夏の乾燥対策アイデア5選

「加湿器がないと乾燥対策できない」と思っていませんか?

実は、身の回りにあるものやちょっとした工夫だけで、エアコンによる夏の乾燥は十分カバーできるんです。

ここでは、今日から実践できるお手軽な対策法を5つ紹介します。

ポイントは「お金をかけない」「家にあるもので完結する」「エアコンとの相性も抜群」です!

 

◆ 1.洗濯物を部屋干しして加湿効果アップ

最も手軽で効果的な加湿方法が、洗濯物の室内干しです。

とくにおすすめなのは、エアコンの吹き出し口の近くに干すこと

冷房の風が当たると、水分が蒸発しやすくなるため、効率よく湿度を上げることができます

筆者の体感では、8畳の部屋にバスタオルを3枚干すだけで、湿度が5~10%ほど上昇します。

カビの心配がある方は、換気や除湿機との併用で対応できますし、サーキュレーターを回すのもおすすめです。

◆ 1.洗濯物を部屋干しして加湿効果アップ

 

◆ 2.濡れタオル+扇風機の簡易加湿セット

「加湿器がないけど、何かないかな?」というときに便利なのがこの組み合わせ。

濡らしたタオルを室内に干して、扇風機の風を当てるだけです。

これだけで、水分が強制的に蒸発して室内の湿度がじわじわ上昇します。

寝室で行うなら、就寝前にタオルを用意して、枕元に扇風機を弱風で当てるだけでも十分効果があります。

小さな洗面器にお湯を張って、扇風機で気流を当てるだけでも加湿効果がありますよ。

これ、ホテルとかでもけっこう便利なんだよね〜。 扇風機がなくても、濡れタオル干すだけでちょっと加湿になるよ〜。

 

◆ 3.エアコンの風向きを調整して乾燥を防ぐ

乾燥対策で意外と見落としがちなのが、エアコンの風向き設定です。

実は、冷風が体に直接当たると、肌や喉の乾燥がグンと進みます

メーカー公式(パナソニックやダイキンなど)でも、「風は天井方向へ送る」「人に直接当てない」が基本です。

これは、風が直接肌に触れることで皮膚表面の水分が蒸発しやすくなるからです。

また、空気がよく循環するため部屋の温度ムラも抑えられ、省エネ効果もあります。

設定温度を下げる前に、まず風向きを見直してみるのがポイントです。

冷風が直接当たると、肌の水分って思った以上に奪われます。風向き、見直してみましょう。

 

◆ 4.観葉植物で“ゆる加湿”+癒し効果

植物は天然の加湿器でもあります。

植物は葉っぱから「蒸散」と呼ばれる水分放出をしており、自然に部屋の湿度を少しずつ上げてくれます

とくにおすすめは、ポトス、サンスベリア、モンステラなどの手入れが簡単な観葉植物。

湿度調整だけでなく、リラックス効果や空気清浄効果も期待できるので一石二鳥です。

置き場所は、風がやさしく当たる場所(エアコンの間接風が届くあたり)が最適。

植物が元気なら、室内も乾燥しすぎていない証拠です。

 

◆ 5.スキンケアとリップケアは“夜が本番”

寝ている間は、無防備に乾燥が進む時間帯です。

特にエアコンの風を浴びながら眠る人は、皮膚の水分がどんどん奪われやすい状態になります。

だからこそ、寝る前の保湿ケアが乾燥対策には欠かせません。

お風呂上がりに化粧水+乳液、ボディクリームやリップバームでしっかりフタをするのがポイントです。

寝具やパジャマにも注目。

コットン素材や保湿インナーを選ぶと、肌への摩擦や乾燥を抑えることができます。

高価な化粧品を買わなくても、シンプルな保湿を継続することが大事です。

 

「今すぐできる」が何よりの乾燥対策

加湿器がなくても、工夫次第で乾燥はちゃんと防げます

洗濯物やタオル、植物やスキンケアなど、ちょっとした手間をかけるだけで、部屋の湿度はぐっと変わります

夏の冷房乾燥を乗り切るために、「温度」だけでなく「湿度」も暮らしのキーワードにしてみてください。

第3章:乾燥を防ぐ家電選びと薬剤師の健康アドバイス

ここまでは「すぐできる乾燥対策」にフォーカスしてきましたが、エアコンによる乾燥を根本から改善するには、家電の力も重要です。

そして何より、薬剤師としてお伝えしたいのは、乾燥を軽く見ないでほしいということ。

肌や喉がカサつくだけじゃありません。

乾燥は、免疫や感染症リスクにも直結するんです。

ここでは、家電選びのコツ薬剤師ならではの健康管理アドバイスをまとめてお届けします。

◆ 実は選べる!加湿機能付きのエアコンという選択肢

加湿対策=加湿器、というイメージが強いですが、最近はエアコン自体に加湿機能がついているモデルも増えています

給水の手間がなく、空間もスッキリ。

冷暖房と加湿を一台でこなせるのは、かなり便利です。

以下は、加湿機能付きエアコンの中でも、信頼性が高く使い勝手がいいモデルの代表例です。

 

パナソニック「エオリア LXシリーズ」

給水なしで自動加湿。冷暖房・加湿・空気清浄が一体化。
寝室でも使いやすい静音設計です。

 

ダイキン「うるさらX」

加湿・換気・冷暖房を1台でこなす多機能モデル。
外気を取り込んで清潔な加湿ができ、リビングにおすすめ。

 

◆ 薬剤師から見る“乾燥と健康被害”の関係

乾燥でいちばん影響を受けやすいのが、喉や鼻の粘膜です。

この粘膜は、ウイルスや細菌の侵入を防ぐバリア機能を持っていますが、湿度が40%以下になるとこの防御力が一気に低下します。

結果、風邪をひきやすくなったり、アレルギー症状が悪化したりすることも。

冬だけでなく、夏でも「冷房で湿度30%台」なんて状態はよくあるんです。

実際、薬局では「夏なのに喉が痛い」「咳が長引く」と相談される方の多くが、室内の乾燥が原因でした。

体調管理って、温度よりも湿度がカギかもしれませんね…!

◆ “未病”を防ぐ、気温と湿度のセルフチェック

「病気になる前に気づく・防ぐ」ことを、私たち薬剤師の世界では“未病対策”と呼びます。

その第一歩が、温度と湿度をきちんと測って把握することです。

おすすめなのは、温湿度計をリビングや寝室に1台ずつ置くこと

できれば見やすいデジタル表示のものが便利です。

毎日「今日は少し乾燥してるな」と気づくだけで、行動は変わっていきます。

 

湿度が変われば、薬の効き方も変わる?

あまり知られていませんが、肌が乾燥していると、外用薬(塗り薬)の効果にも差が出ます

たとえば、保湿成分としてよく使われるヘパリン類似物質(市販薬にも多数あり)は、ある程度潤いがある肌のほうがなじみやすく、効果的に作用します。

逆に、極度に乾燥した肌だと、塗ってもピリピリしたり、浸透しづらく感じる方もいます。

つまり、湿度は薬の効果を引き出す“環境づくり”にも関係しているということなんです。

 

セルフメディケーションの第一歩は「環境整備」

薬に頼るのは大事。

でも、それだけじゃダメなんです。

風邪薬を飲みながら、加湿をしない。

保湿剤を塗ってるのに、エアコンの風をずっと浴びてる。

これって、本来の効果を自分で打ち消してしまっているようなもの。

だからこそ、薬剤師として言いたいのは、「環境を整えること自体が立派な治療」ということです。

温度と湿度を保つこと。

それだけで、肌トラブルや呼吸器の不調はぐっと減らせます

これは、自宅でできる立派な“セルフメディケーション”です。

おくすりに頼る前に、まずは“整える”こと。湿度や風向き、ちょっと気をつけるだけで、体はちゃんと応えてくれますよ。

薬より先に「空気」を整えるという選択

乾燥を防ぐための家電は、「快適さ」のためだけではなく、“体調管理”の武器でもあると考えてみてください。

加湿機能付きエアコンや加湿器、温湿度計の導入は、肌・喉・免疫の守り役です。

そして、湿度を整えることは、薬を使わなくて済む体づくり=予防医学の基本でもあります。

今日からできる“環境からのセルフケア”、ぜひ始めてみてください。

まとめ|“冷房乾燥”はちょっとした工夫で防げる

・冷房で湿度は下がる:除湿による乾燥で不調を招きやすい。
・肌・喉の不調は湿度不足が原因:風邪や肌トラブルの一因に。
・加湿は身近なものでOK:洗濯物や濡れタオルで十分。
・家電も“体調管理”の一環:加湿機能や温湿度計を活用。

 

夏の肌荒れや喉の不調は、湿度不足が原因のことも多いです。

薬を使う前に、部屋の湿度と風の当たり方を見直すだけで、症状が軽くなることがあります

環境を整えるのも立派なセルフケアです。