

インフルエンザに効く市販薬はなし!アセトアミノフェンでの対応と病院受診の目安
「市販薬で治せるのでは?」と思う人も多いですが、インフルエンザには治療薬はなく、医師の診断が必要です。
市販薬でできるのは対症療法。
高熱にはアセトアミノフェンが役立ちますが、強い倦怠感や長引く発熱がある場合は病院受診が不可欠です。
安心して判断できる基準をまとめました。
第1章|インフルエンザと市販薬の正しい位置づけ
インフルエンザの季節になると、必ず聞かれるのが「市販薬で治せますか?」という質問です。
結論から言えば、市販薬にはインフルエンザそのものを治す効果はありません。
治療薬は市販されていない
抗インフルエンザ薬(タミフル・リレンザ・イナビル・ゾフルーザ)は医師の診断と処方が必須です。
市販薬には、ウイルスを直接退治する作用はありません。
市販薬の役割は「体を楽にすること」
一方で、市販薬が全く役立たないわけではありません。
高熱や頭痛、関節痛などの症状をやわらげ、体がウイルスと戦いやすい環境を整えるのが市販薬の役割です。
つまり「治す」ではなく「支える」。
この違いを理解しておくことがとても重要です。
よくある「市販薬」に関する相談と答え
子どもに市販薬を飲ませても大丈夫?
アスピリンは使用禁止(ライ症候群のリスク)。
小児にはアセトアミノフェン配合の小児用製剤(例:小児用バファリンCIIなど)が選択肢になります。
妊娠中でも市販薬を使える?
アセトアミノフェンは比較的安全性が高いとされます。
妊娠中・授乳中でも使えるケースはありますが、必ず医師や薬剤師に相談してください。
高齢の親に市販薬を飲ませてもいい?
高齢者は肝機能や併用薬との相互作用に注意が必要です。
市販薬は一時的な対応にとどめ、早めの受診が望ましいです。
重要ポイントまとめ
・市販薬に治療薬はない(治すのは医師の処方薬)
・市販薬は症状をやわらげる“支え役”
・子ども・妊婦・高齢者には特別な配慮が必要
第2章|安全に使える市販薬はアセトアミノフェン
インフルエンザにかかったとき、市販薬の中で最も信頼できるのがアセトアミノフェンです。
この成分は医療用で広く処方されている「カロナール」と同じ有効成分で、病院でも解熱鎮痛薬の第一選択として使われています。
作用とメリット
・解熱・鎮痛作用で発熱や頭痛、筋肉痛を和らげる。
・胃にやさしいためNSAIDsと比べて消化管への負担が少ない。
・妊婦や小児でも比較的安全で、厚労省や医療機関の指針でも使用が認められている。
他成分との比較(注意点)
・アスピリン:小児・では15歳未満はライ症候群のリスクがあるため使用禁止。
・NSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェンなど):インフルエンザ脳症との関連が指摘され、小児への使用は避けた方が安全。
つまり、インフルエンザのときに安心して選べるのは「アセトアミノフェン単剤」です。
アセトアミノフェン単剤の市販薬
市販薬の中でも「アセトアミノフェンだけを有効成分とする製品」は限られています。
代表的なものを紹介します。
カロナールA
医療用と同じ「カロナール」の市販版。
医療用のカロナール300mgと同じ有効成分量を配合しています。
「病院でもらう薬」と同じ成分が薬局で手に入るのは大きな安心材料です。
バファリンルナJ
7歳以上から服用でき、大人まで使用可能。
水なしで飲めるチュアブル錠で、外出時や子どもでも飲みやすい設計になっています。
小児用バファリンチュアブル
3歳以上から使える子ども用のバファリン。
水なしで飲めるチュアブルタイプで、子どもが嫌がらずに服用できる点が特徴です。
ラックル®速溶錠
意外と知られていないアセトアミノフェン単剤の市販薬。
医療用カロナール300mgと同じ有効成分量を配合。
速溶錠で口の中で軽く溶けやすく、水と一緒に飲む設計になっています。
「飲みやすさ」に工夫がある製品です。
まとめ
・インフルエンザ時に安心して使える市販薬は、アセトアミノフェン単剤。
・医療用カロナールと同じ成分であり、妊婦や小児にも比較的安全。
・店頭で選ぶときは、パッケージ裏を確認し、「アセトアミノフェンのみ」と記載があるものを基準にしましょう。
第3章|薬での対応と病院受診の目安
市販薬で症状を和らげることはできます。
しかし、薬で対応できる範囲と、病院を受診すべきタイミングを見極めることが大切です。
アセトアミノフェン市販薬の正しい使い方
アセトアミノフェンは、市販薬の中で最も安心して使える解熱鎮痛成分です。
3歳以上から使える小児用製品もあり、家庭で備えておくと幅広く対応できます。
服用間隔は4〜6時間あけて、1日最大3回まで。
効果が不十分だからと短時間で追加すると、副作用のリスクが高まります。
また肝臓で代謝されるため、お酒をよく飲む人や肝機能に不安がある人は注意が必要です。
薬を使う目安
発熱は体がウイルスと戦っているサインであり、必ずしも下げる必要はありません。
37℃台で比較的元気に過ごせている場合は、無理に解熱せず休養を優先しましょう。
一方で、38℃を超える高熱で眠れないときや、頭痛・筋肉痛で動けないほどつらいときは薬を使うべきです。
薬を飲むかどうかの目安は、「生活に支障が出ているかどうか」です。
受診が必要なサイン
次のような場合は、市販薬だけに頼らず、早めに医療機関を受診してください。
・38℃以上の高熱が2日以上続く
→ 解熱剤で一時的に下がっても、ウイルス感染や肺炎の可能性があります。
・強い倦怠感や関節痛で動けない
→ インフルエンザの重症化や合併症のサインになり得ます。
・水分がとれず脱水が心配なとき
→ 特に小児や高齢者では危険で、点滴が必要になる場合もあります。
・小児・高齢者・妊婦・持病がある方で症状が強いとき
→ 免疫力が弱い層では重症化しやすく、早期の医療介入が安全です。
アセトアミノフェンは安全性が高い市販薬ですが、正しい用法用量を守ることが前提です。
発熱時には、「生活に支障があるかどうか」を基準に薬の使用を判断し、
症状が長引いたり強いサインがあるときは、早めに受診してください。
まとめ|インフルエンザ市販薬のポイント
・市販薬に治療薬はない:治すのは医師が処方する抗インフルエンザ薬のみ。
・アセトアミノフェンが第一選択:解熱・鎮痛に使え、妊婦や小児でも比較的安全。
・生活に支障があるときに服用:我慢できる熱は休養を優先。つらいときのみ服薬。
・受診が必要なサインを見逃さない:高熱が続く、強い倦怠感、脱水、リスクの高い人は早めに病院へ。
インフルエンザを市販薬で“治す”ことはできません。
大切なのは 体を楽にして休養すること と、 重症化のサインを見逃さないこと。
無理をせず、必要なときは迷わず受診してください。
【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公式情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
◆ メーカー公式製品情報
・第一三共ヘルスケア|カロナールA
・ライオン|小児用バファリンチュアブル
・ライオン|バファリンルナJ
・日本臓器製薬|ラックル®速溶錠