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お薬コラム
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更新日:2025/08/30

インフルエンザ時に食べるべき食べ物・ご飯・飲み物は?薬剤師がすすめる栄養回復メニュー

「何を食べさせればいいのか迷ってます…」

 

そんな看病中のご家族からの相談、薬局でもよく耳にします。

 

インフルエンザのときは消化力が落ちるため、体に優しい食事が大切。でもただ“柔らかいだけ”では足りません。

 

今回は、薬剤師の立場から、インフルエンザ時に本当におすすめできる「ご飯・飲み物・栄養の取り方」について、すぐ使える実践メニュー付きでお届けします。

薬剤師ライター クロロボ
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第1章|インフルエンザ時の水分補給はどうする?飲み物の正解とNG

発熱や下痢による脱水に注意

インフルエンザで高熱が出ると、汗・吐き気・下痢によって水分と塩分がどんどん失われていきます。

その結果、脱水症状を起こすリスクが高まり、体調悪化につながることもあります。

特に子どもや高齢者は、のどの渇きを感じにくく、気づかぬうちに脱水が進むことがあるので注意が必要です。

見た目でわからないって、余計に怖いですよね…!

脱水が進むと、体力の低下だけでなく、回復の遅れにもつながります。

だからこそ、早い段階での「正しい水分補給」が重要です。

 

おすすめの飲み物とその理由

最もおすすめなのは、経口補水液(ORS)です。

これは、水分と電解質(ナトリウムやカリウム)を最適なバランスで含んでおり、体への吸収効率が非常に高いのが特長です。

例えば「アクアソリタ」や「OS-1」などがこれに該当します。

(※この2つの違いは第3章で詳しく紹介します)

また、白湯や麦茶などカフェインレスの常温飲料も、日常的な水分補給には安心です。

のどや胃腸に優しく、抵抗なく飲めるのがポイントですね。

一方で、スポーツドリンクは飲みすぎに注意が必要です。

電解質を含んではいますが、糖分が多く含まれているため、飲み過ぎるとかえって負担になることがあります。

スポドリってゴクゴクいけちゃうけど…飲みすぎると糖分オーバーになっちゃうんだよね〜。

 

避けるべき飲み物

水分ならなんでもOKというわけではありません。

以下のような飲み物は、インフルエンザ時には避けた方が無難です。

・カフェイン入り(緑茶・紅茶・コーヒーなど):利尿作用で脱水を進めるおそれ

・炭酸やジュース:胃腸への刺激が強く、糖分過多

・冷たい飲み物:体を冷やし、消化機能を弱める可能性

「のど越しがいいから」とつい選んでしまいがちですが、体が弱っているときは、刺激の少ないものを選ぶことが基本です。

緑茶、コーヒー、炭酸やジュース、冷たい飲み物

 

少しずつこまめに飲ませるコツ

インフルエンザで食欲が落ちていると、飲み物すらつらく感じることがあります。

そんなときは、“少量をこまめに”が鉄則です。

一気に飲むと胃に負担がかかるだけでなく、吐き気を誘発することも。

たとえば、30分に一口(100ml程度)を目安にすると無理なく続けられます。

寝室や枕元にストロー付きの容器や小さめのペットボトルを置いておくと、飲むきっかけにもなって便利です。

 

インフルエンザ時の水分補給は、体調回復の大きな鍵です。

飲む内容も飲み方も工夫しながら、無理なく、やさしく、そしてしっかりと補給していくことが大切です。

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第2章|消化にやさしいご飯と食べ物|インフル時に本当におすすめのメニュー

食欲がないときは無理せず、まずは消化重視

インフルエンザにかかると、発熱や体のだるさだけでなく、胃腸の働きも落ちてしまいます。

とくに高熱が続いているときや、下痢・吐き気があるときは、無理に食べようとせず、消化の良さを最優先にしましょう。

無理してこってりした物を食べると、かえって胃腸に負担がかかり、回復が遅れることもあります。

まずは水分補給をしっかり行い、体が食べ物を受け入れる準備ができてから、少量ずつ食事をとるのが理想です。

 

おすすめの食材・メニュー例

では、どんな食べ物が「体に優しくて、ちゃんと栄養がとれる」のか?

薬剤師の目線から、実際におすすめできるメニューを紹介します。

■ おかゆ(白がゆ、卵がゆ)

・温かくて消化が良い
・水分補給とエネルギー補給が同時にできる
・卵を加えると、たんぱく質もプラスできる

おかゆ(白がゆ、卵がゆ)

■ 卵(半熟卵、茶碗蒸し)

・消化しやすく、栄養価も高い
・のど越しが良く、食欲がないときにも食べやすい

■ 豆腐(湯豆腐、冷ややっこは避ける)

・高たんぱく&低脂質
・胃に優しいので、病中・病後にもおすすめ

湯豆腐

■ 野菜スープ(味噌汁やコンソメスープでもOK)

・加熱した野菜は消化が良く、栄養もとれる
・体を温めて、回復を助ける

野菜スープ(味噌汁やコンソメスープでもOK)

■ 果物(すりおろしリンゴ、バナナ、桃の缶詰など)

・自然な甘みで食欲が出る
・ビタミンや水分補給に役立つ
・冷たすぎないよう注意

Vegetable soup (miso soup or consommé soup is also fine)

こうしたメニューは、どれも「調理が簡単」で「買いやすい」ものばかり。

無理せず、負担なく、栄養をとれるのが大事です。

 

避けるべき食事(脂っこい・冷たい・刺激の強いもの)

反対に、避けたい食事もあります。インフルエンザのときは、胃腸も弱っているので刺激や負担になるものはNGです。

・揚げ物、ラーメン、焼き肉などの脂っこい料理

・アイスクリームや冷たい飲料(胃腸を冷やす)

・キムチ・スパイスのきいたカレーなどの刺激物

・消化に時間がかかる肉の塊や食物繊維が多すぎるもの

こうした食事は、たとえ「元気が出そう」でも、病中は避けましょう。

脂っこい料理や冷たい物は逆効果。胃腸にやさしい食事が安心です。

回復期に食事を戻すタイミングと注意点

熱が下がって「食欲が戻ってきたな」と思ったら、すぐに通常の食事に戻さず、徐々にステップアップしていくのが大切です。

おかゆ→軟飯→普通のご飯というように、段階的に戻していくことで、胃腸への負担を最小限に抑えられます。

また、回復してからも数日は、脂質控えめ・塩分控えめ・消化重視を意識すると、体がラクになりますよ。

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第3章|薬剤師が選ぶ!インフル時に役立つドラッグストアの食品・飲料5選【目的別】

インフルエンザにかかったとき、「食べられない」「飲みやすいものが見つからない」「何を買えばいいの?」と悩む人は多いはずです。

そんなときに頼りになるのが、身近なドラッグストア。

市販品の中から、薬剤師の視点で“本当に使えるもの”を目的別に厳選して紹介します。

 

ドラッグストアだからできるセルフケア

インフルエンザ時の体調不良は突然やってきます。

そんなとき、すぐに買える・常備できる市販品は心強い味方です。

病院に行かずに済むレベルの体調不良であれば、「どう乗り切るか」もセルフケアの大切な要素になります。

 

【目的①:軽い脱水時】

アクアソリタ

「なんとなくだるい」「ちょっと熱があるけど水分は摂れる」というときは、まず軽めの経口補水から。
アクアソリタはOS-1などに比べて塩分(ナトリウム)が控えめで、飲みやすく続けやすい味わい。
発汗や微熱による軽度の脱水にちょうどよく、胃腸への刺激が少ないのも特徴です。

 

【目的②:脱水が進んだとき】

OS-1

38℃以上の高熱や下痢・嘔吐があると、体内の水分と電解質は一気に失われます。
そんなときに活躍するのが、経口補水液の代表格「OS-1」です。
ナトリウム・カリウム・ブドウ糖などがバランスよく配合され、医療現場でも使われるレベルの補水効果があります。
ただし、味がやや塩辛く感じる人も多いため、体調や好みによって使い分けましょう。

 

【目的③:栄養補給に】

メイバランス Miniカップ

食事が摂れないと、エネルギーだけでなくビタミン・たんぱく質なども不足します。
そんなときに便利なのが、メイバランス Miniカップ。
医療・介護の現場でも活用される栄養補助食品で、1本で200kcal前後、たんぱく質やビタミンも補える優れもの。
味も種類が豊富なので、好みに合わせて選びやすいのもポイントです。

おかゆすらツライ時に、これが冷蔵庫にあると安心です。

 

【目的④:エネルギー補給に】

inゼリー エネルギー

ちょっと動くとフラッとする、寝ていてもお腹がすいてくる、でも食事は無理。
そんな時には「飲むだけでカロリー補給」ができるinゼリーシリーズがおすすめ。
とくにエネルギータイプは1個180kcal程度で、手軽に糖質が摂れるのが魅力。
冷蔵庫からすぐに取り出して飲めるのもポイントです。

 

【目的⑤:カフェインなしで滋養補給】

パブロン滋養内服液プレミアム

「栄養ドリンク=カフェイン入り」が多い中で、カフェインレス・医薬部外品のこの製品は珍しい存在。
体力を落としたくないけど、眠りを妨げたくない夜の滋養補給にも最適です。
薬との飲み合わせも少なく、夜間に使いやすいのも魅力。

 

まとめ|いざというときのための買い置きにも◎

今回紹介した5品は、どれも「いざというとき」に役立つものばかり。

日常的に使わなくても、インフルエンザシーズンの常備品として1つ2つ持っておくと安心です。

「何も食べられない・飲めない」状態にならないように、日頃の備えもセルフケアのうち。

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第4章|FAQ|インフルエンザ時の食事・飲み物に関するよくある質問【厳選5問】

Q1. コンビニで買えるもので、インフル時に役立つものは?

水分補給に使えるのは「アクアソリタ」「経口補水液(OS-1)」、食べ物なら「ゼリー飲料」「おかゆ系レトルト」「野菜スープ」などが◎。
ポイントは「常温で飲める・食べられる」こと。冷たい炭酸や脂っこいお弁当系は避けましょう。

 

Q2. 食欲がないとき、何を出せばいいですか?

「水分が摂れるもの」からスタート
野菜スープ、果物のすりおろし(りんご・バナナ)、ゼリー飲料などがおすすめ。
無理に食べさせず、「一口で終わってもOK」という気持ちで。

まずは水分だけでもOK。焦らず、体の回復を待ちましょう。

 

Q3. 看病している家族側の食事って、どうしたらいい?

食事作りに時間も手間もかけづらい時期。
自分の栄養と体調管理も重要なので、レトルトや冷凍食品を活用しながら、ビタミン・タンパク質を意識して取りましょう。
看病する人が倒れたら元も子もないです。

 

Q4. 甘いものを欲しがるとき、どう対応する?

脱水や栄養不足のサインのことも。
ゼリー飲料や果物、カフェインレスのホットミルクなどを使って対応を。
お菓子は体を冷やしやすいものも多いため、量と温度に注意。

 

Q5. 回復期にどんな食事から戻せばよい?

「消化にやさしい+栄養がある」ものから。
おかゆに卵をのせたり、豆腐入りスープ、野菜の煮物など。
揚げ物・生ものはまだ先。1〜2日は胃腸をいたわる食事を続けましょう。

第5章|まとめ|インフル時の「食事・飲み物」は無理せずやさしく対応を

・脱水対策は経口補水液が基本: 軽度〜中等度の脱水に最適です ・飲み物は常温・ノンカフェインで: 胃腸への負担を避けましょう ・食事は消化のよいものから: おかゆ、スープ、卵、豆腐などが◎ ・甘い飲料や脂っこい食事は控えめに: 吸収が悪く、体に負担となります

インフルエンザ時のケアで一番大切なのは、「無理をしない」ことです。

栄養も水分も、“摂らなきゃ”と構えすぎず、負担の少ない形でこまめに摂ることが、回復への近道になります。

市販のドリンクや食品もうまく活用しながら、身体にやさしい選択をしていきましょう。

 

【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公式情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
◆ メーカー公式製品情報
大塚製薬|OS-1(経口補水液)公式情報
味の素株式会社|アクアソリタ 公式情報
明治|メイバランス Miniカップ 製品情報
森永製菓|inゼリーシリーズ 公式情報
大正製薬|パブロン滋養内服液プレミアム 製品ページ
参考FAQ・栄養・飲料に関する情報
ポカリスエット|よくあるご質問(飲み方・濃度など)
消費者庁| 経口補水液(けいこうほすいえき)について