インフルエンザ時に食べるべき食べ物・ご飯・飲み物は?薬剤師がすすめる栄養回復メニュー
「何を食べさせればいいのか迷ってます…」
そんな看病中のご家族からの相談、薬局でもよく耳にします。
インフルエンザのときは消化力が落ちるため、体に優しい食事が大切。でもただ“柔らかいだけ”では足りません。
今回は、薬剤師の立場から、インフルエンザ時に本当におすすめできる「ご飯・飲み物・栄養の取り方」について、すぐ使える実践メニュー付きでお届けします。
第1章|インフルエンザ時の水分補給はどうする?飲み物の正解とNG
発熱や下痢による脱水に注意
インフルエンザで高熱が出ると、汗・吐き気・下痢によって水分と塩分がどんどん失われていきます。
その結果、脱水症状を起こすリスクが高まり、体調悪化につながることもあります。
特に子どもや高齢者は、のどの渇きを感じにくく、気づかぬうちに脱水が進むことがあるので注意が必要です。
脱水が進むと、体力の低下だけでなく、回復の遅れにもつながります。
だからこそ、早い段階での「正しい水分補給」が重要です。
おすすめの飲み物とその理由
最もおすすめなのは、経口補水液(ORS)です。
これは、水分と電解質(ナトリウムやカリウム)を最適なバランスで含んでおり、体への吸収効率が非常に高いのが特長です。
例えば「アクアソリタ」や「OS-1」などがこれに該当します。
(※この2つの違いは第3章で詳しく紹介します)
また、白湯や麦茶などカフェインレスの常温飲料も、日常的な水分補給には安心です。
のどや胃腸に優しく、抵抗なく飲めるのがポイントですね。
一方で、スポーツドリンクは飲みすぎに注意が必要です。
電解質を含んではいますが、糖分が多く含まれているため、飲み過ぎるとかえって負担になることがあります。
避けるべき飲み物
水分ならなんでもOKというわけではありません。
以下のような飲み物は、インフルエンザ時には避けた方が無難です。
・カフェイン入り(緑茶・紅茶・コーヒーなど):利尿作用で脱水を進めるおそれ
・炭酸やジュース:胃腸への刺激が強く、糖分過多
・冷たい飲み物:体を冷やし、消化機能を弱める可能性
「のど越しがいいから」とつい選んでしまいがちですが、体が弱っているときは、刺激の少ないものを選ぶことが基本です。
少しずつこまめに飲ませるコツ
インフルエンザで食欲が落ちていると、飲み物すらつらく感じることがあります。
そんなときは、“少量をこまめに”が鉄則です。
一気に飲むと胃に負担がかかるだけでなく、吐き気を誘発することも。
たとえば、30分に一口(100ml程度)を目安にすると無理なく続けられます。
寝室や枕元にストロー付きの容器や小さめのペットボトルを置いておくと、飲むきっかけにもなって便利です。
インフルエンザ時の水分補給は、体調回復の大きな鍵です。
飲む内容も飲み方も工夫しながら、無理なく、やさしく、そしてしっかりと補給していくことが大切です。
第2章|消化にやさしいご飯と食べ物|インフル時に本当におすすめのメニュー
食欲がないときは無理せず、まずは消化重視
インフルエンザにかかると、発熱や体のだるさだけでなく、胃腸の働きも落ちてしまいます。
とくに高熱が続いているときや、下痢・吐き気があるときは、無理に食べようとせず、「消化の良さを最優先」にしましょう。
無理してこってりした物を食べると、かえって胃腸に負担がかかり、回復が遅れることもあります。
まずは水分補給をしっかり行い、体が食べ物を受け入れる準備ができてから、少量ずつ食事をとるのが理想です。
おすすめの食材・メニュー例
では、どんな食べ物が「体に優しくて、ちゃんと栄養がとれる」のか?
薬剤師の目線から、実際におすすめできるメニューを紹介します。
■ おかゆ(白がゆ、卵がゆ)
・温かくて消化が良い
・水分補給とエネルギー補給が同時にできる
・卵を加えると、たんぱく質もプラスできる
■ 卵(半熟卵、茶碗蒸し)
・消化しやすく、栄養価も高い
・のど越しが良く、食欲がないときにも食べやすい
■ 豆腐(湯豆腐、冷ややっこは避ける)
・高たんぱく&低脂質
・胃に優しいので、病中・病後にもおすすめ
■ 野菜スープ(味噌汁やコンソメスープでもOK)
・加熱した野菜は消化が良く、栄養もとれる
・体を温めて、回復を助ける
■ 果物(すりおろしリンゴ、バナナ、桃の缶詰など)
・自然な甘みで食欲が出る
・ビタミンや水分補給に役立つ
・冷たすぎないよう注意
こうしたメニューは、どれも「調理が簡単」で「買いやすい」ものばかり。
無理せず、負担なく、栄養をとれるのが大事です。
避けるべき食事(脂っこい・冷たい・刺激の強いもの)
反対に、避けたい食事もあります。インフルエンザのときは、胃腸も弱っているので「刺激や負担になるものはNG」です。
・揚げ物、ラーメン、焼き肉などの脂っこい料理
・アイスクリームや冷たい飲料(胃腸を冷やす)
・キムチ・スパイスのきいたカレーなどの刺激物
・消化に時間がかかる肉の塊や食物繊維が多すぎるもの
こうした食事は、たとえ「元気が出そう」でも、病中は避けましょう。
回復期に食事を戻すタイミングと注意点
熱が下がって「食欲が戻ってきたな」と思ったら、すぐに通常の食事に戻さず、徐々にステップアップしていくのが大切です。
おかゆ→軟飯→普通のご飯というように、段階的に戻していくことで、胃腸への負担を最小限に抑えられます。
また、回復してからも数日は、脂質控えめ・塩分控えめ・消化重視を意識すると、体がラクになりますよ。