

薬剤師が解説|風邪に効く食べ物とNG食材・おすすめレシピ
「風邪のとき食べるといい食材は?」「逆に避けた方がいいものは?」
誰もが一度は考える疑問です。
体にやさしい食べ物を選ぶことは回復を早める一歩になります。
本記事では、薬剤師としての知見をもとに、風邪に効く食べ物・NG食材、そしておすすめのレシピを症状別に整理しました。


第1章|風邪のとき食事で気をつけたいこと
消化にやさしいご飯が基本
風邪をひいたとき、体はウイルスと戦うだけでなく、消化にもエネルギーを使っています。
胃腸の負担を減らすためには、揚げ物や肉の脂身、バターを多く使った料理は控えるのが安全です。
そこで頼りになるのが、やわらかく煮たおかゆや雑炊、温かいうどんです。
どれも消化が早く、体に無理をさせずにエネルギー補給ができるので安心です。
私が薬局で患者さんに伝えるときも「まずはやわらかい炭水化物から」とアドバイスすることが多いです。
薬味を少し変えたり、卵を落としたりして工夫すると、負担を増やさず味に変化をつけられます。
水分補給を忘れずに
発熱や発汗で体は思った以上に水分を失います。
私自身も過去に風邪で高熱を出したとき、めまいを感じて「やばい、脱水か」と思った経験があります。
水や麦茶だけでなく、経口補水液(ORS)やみそ汁などで塩分も一緒にとると効率的です。
体液のバランスを保つことで、回復のスピードも変わります。
特に子どもや高齢者は脱水に気づきにくいため、ゼリー飲料やスープで補うのもいい方法です。
避けたいNG食材
「風邪には刺激物が効く」と考えて、唐辛子やにんにくを多めに摂るのは逆効果になる場合があります。
血行を促す作用はあるものの、胃に負担をかけて消化不良を招く恐れがあります。
また、脂っこいスナック菓子や冷たい飲み物は要注意です。
脂質が多いと消化に時間がかかり、冷たいものは腸を冷やして免疫機能を落とす要因になります。
風邪をひいているときこそ、「食べやすさ」と「胃腸へのやさしさ」を基準に選ぶことが大切です。


第2章|症状別におすすめの食べ物と簡単レシピ
のどが痛いとき
はちみつ大根シロップ
大根とはちみつを1:1で漬けます。
角切り大根200gを清潔な瓶に入れ、はちみつ200gを注いで冷蔵で半日(6〜8時間)置くのが基本です。
お急ぎの場合は2〜3時間でも使用できます。
出てきたシロップを小さじ2(約10ml)をぬる湯で割り、1日3回を目安にお飲みください。
のどの保湿と飲み込みやすさの向上に役立ちます。
※1歳未満にははちみつは使用できません。
卵とじうどん
ゆでうどん1玉、だし400ml、しょうゆ小さじ1、塩少々を用意します。
卵1個を回し入れて10秒ほど静置し、火を止めて半熟で仕上げます。
つるっと飲み込みやすく、刺激が少ない一杯です。
青ねぎは少量にして、粘膜への刺激を避けると安心です。
熱で体がだるいとき
豆腐としょうがのスープ
水300mlに、絹豆腐150g・おろししょうが小さじ1・鶏がら小さじ1/2・塩少々を加えます。
鍋で2〜3分煮るか、電子レンジ600Wで約3分加熱すれば完成です。
たんぱく質補給と体を温めることを両立できます。
しょうがは入れすぎると刺激になりますので、分量をお守りください。
バナナヨーグルト
バナナ1本とプレーンヨーグルト100gを混ぜ、必要に応じてはちみつ小さじ1を加えます。
冷やしすぎず常温に近づけてから召し上がると、消化にやさしく体も冷やしません。
消化しやすい糖質+乳たんぱくが同時にとれ、“ちょい食べ”にも向きます。
食欲がないとき
梅がゆ
米0.5合を洗い、水600ml、梅干し1個(種抜き)を加えます。
鍋で弱火30分炊きます。
酸味で唾液分泌が進み、少量でも食べ進めやすくなります。
塩分は梅の数で調整できるため、まずは1個からお試しください。
ゼリー飲料
1パウチ180〜200kcal程度を目安に選びます。
冷やしすぎず、こまめに分けて摂取してください。
最低限のエネルギーと水分を同時に補えます。
固形がつらいタイミングの“つなぎ”として有効です。
刺激と脂質を抑えて、やわらかく・温かく・少量を回数でとるようにしましょう。
症状に合わせて“作業時間10分以内”の選択肢を持っておくと、体力を温存しながら食事を続けやすくなります。


第3章|風邪のときの食事Q&A
Q1. 風邪のときはやっぱりおかゆ一択ですか。
おかゆは定番ですが、一択ではありません。
のどが痛いときは卵スープ。
食欲がないときはゼリー飲料。
症状に合わせてやわらかく・温かく・少量を回数で選ぶと、体が楽になります。
Q2. 牛乳やヨーグルトは避けたほうがいいですか。
基本的には問題ありません。
ただし、下痢やお腹の張りがあるときは乳糖が負担になることがあるため、控えめにしましょう。
また、冷やしすぎは避け、常温に近づけて摂ることが大切です。
Q3. 栄養ドリンクやサプリで代用できますか。
補助として使うのは可能です。
ただし、栄養ドリンクにはカフェイン入りが多く、睡眠を妨げる可能性があるため、就寝前は不向きです。
薬を飲んでいる場合は飲み合わせに注意が必要ですので、不明なときは薬剤師に相談してください。
Q4. コンビニで買える風邪向けご飯はありますか。
コンビニでは、レトルトのおかゆ・カップスープ・ゼリー飲料・おでんの大根や豆腐が便利です。
最近ははちみつ入り飲料も増えており、のどケアに役立ちます。
いずれも冷やしすぎず温めて摂るのがおすすめです。
Q5. いつから普通の食事に戻せばいいですか。
食欲が自然に戻ってきたときが目安です。
まずはおかゆ → やわらかいうどん → 普段の食事と、段階的に移行すると安心です。
油物や刺激物は、体調が落ち着いてから最後に再開しましょう。
風邪のときは、「食べやすいものを少しずつ」が鉄則です。
体を休めながら、水分と塩分をこまめに補うこと。
今日の体調に合う一品から、無理なく再開してくださいね。
まとめ|風邪時の食事ポイント
風邪のときは「食べなきゃ」と焦らず、食べやすいものを少しずつが大切です。
私自身も仕事中にフラフラしながら梅がゆに助けられたことが何度もあります。
体を休めながら、今日の体調に合った一品を選ぶ。
それが最短の回復への近道になります。
【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公式情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
◆ メーカー公式製品情報
・大正製薬|パブロン ブランドサイト(風邪薬・レシピ情報含む)
・クラシエ薬品|クラシエ漢方製品情報(補中益気湯・小青竜湯 ほか)
◆ 食と健康に関する情報
・Oishi Kenko|症状別レシピ(風邪にやさしい食事)
・Cookpad|風邪におすすめレシピ検索ページ