眠気防止薬(カフェイン製剤)
「テスト前日だからどうしても寝ていられない」
「大事な会議があるから絶対に起きていないといけない」
誰もが一度はこのような経験があるのではないでしょうか。寝てはいけない場面をしのぐために便利なのが市販の眠気防止薬です。今回は眠気防止薬の種類や選び方、使うときの注意点などを詳しく解説します。
眠気防止薬とは?
眠気防止薬とは、眠気を抑えるのに効果的なカフェインが入った薬のことです。カフェインには中枢神経を興奮させる働きがあるため、眠気防止に高い効果を発揮します。
眠気が強くなってきてから服用すると眠気のほうが勝ってしまう可能性があるため、早めの服用がおすすめです。通常、服用してから10分ほどで効果が出てきます。持続時間は2~3時間程度です。
市販のカフェイン製剤の種類
眠気防止薬として販売されているカフェイン製剤には、錠剤、液体、飴、水なしで飲めるものなどいくつか種類があります。含有されているカフェインの量は、どれも1回あたり100~200mg程度です。使いやすい剤形で選ぶのもよいですし、入っているカフェインの量で選んでも構いません。
市販のカフェイン製剤の選び方
では、具体的にどのようにしてカフェイン製剤を選んでいけばよいのでしょうか。ここでは、3つの選び方を紹介します。
眠気が気になるときにさっと服用したい方
授業中や仕事中などは、水を出して錠剤を飲むことが難しい場合もあるでしょう。そのようなシーンで使いたい方は、水なしで服用できる飴やチュアブルタイプの眠気防止薬がおすすめです。
トメルミン
水なしですぐに服用できます。口腔内崩壊錠といって、口に含むだけで錠剤が溶けるため、あらゆるシーンで活躍してくれるでしょう。1回1錠、1日に3回まで服用できます。1錠あたりのカフェイン含有量は約167mgです。
カフェロップ
飴のように舐めて服用します。スティック包装になっているので、持ち運びにも便利です。1回4粒、1日3回まで服用できます。4粒あたりのカフェイン含有量は約167mgです。
ダイヤルモカ
噛んで服用するチュアブルタイプなので、いつでも使用できます。服用するときに口を動かす必要があるので、仕事や勉強中だけでなくドライブ中の眠気覚ましにもよいでしょう。1回1錠、1日に3回まで服用できます。1錠あたりのカフェイン含有量は約167mgです。
液体タイプのものがよい方
栄養ドリンクのように飲んで服用したい方は液体タイプのものを選ぶとよいでしょう。錠剤や飴などのタイプと比べると割高にはなってしまいますが、カフェイン以外にもビタミンやアミノ酸などが含まれているため疲労感の軽減にも効果的です。
モリピン内服液
1本あたり200mgのカフェインが含まれています。疲労にも効果を発揮するタウリンやニコチン酸アミド、チアミン塩化物塩酸塩やピリドキシン塩酸塩なども配合されていることが特徴です。眠気を取り除くとともに、体を元気にしたい方に向いています。
エスタロンモカ内服液
1本あたり150mgと、コーヒー3杯分に相当するカフェインが配合されています。そのほか、タウリンやニコチン酸アミド、チアミン塩化物塩酸塩なども配合されているため、倦怠感を取り除きたい方にもぴったりです。
ポンツシン内服液
1本あたり200mgのカフェインが配合されています。倦怠感に効果的なタウリンやビタミンB1塩酸塩のほか、体の疲れに用いられるゴオウチンキという生薬が配合されていることが特徴です。
リーズナブルなものが欲しい方
できるだけお財布に優しい眠気防止薬をお探しの方には、次の2つの製品が向いているでしょう。500~1,000円前後する眠気防止薬が多いのか、エスタロンモカのシリーズは400円程度で購入できます。
エスタロンモカ錠
1回1錠、1日3回まで服用可能です。1箱に24錠入っているので、24回使うことができます。1錠あたりのカフェイン含有量は100mgです。カフェインのほかに、倦怠感を取り除くチアミン硝化物も配合されています。
エスタロンモカ12
1回2錠、1日2回まで服用可能です。2錠あたり200mgのカフェインが配合されています。エスタロンモカ錠より1回あたりのカフェイン含有量が多いことが特徴です。倦怠感を取り除くチアミン硝化物やピリドキシン塩酸塩、シアノコバラミンも配合されています。
カフェイン製剤に入っているその他の成分
眠気防止薬の主成分はカフェインですが、ほかの成分が入っていることも少なくありません。その他の成分にどのようなものがあるのか見ていきましょう。
ビタミン類
ビタミンB1(チアミン)やビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB6(ピリドキシン)やビタミンB12(シアノコバラミン)、ニコチン酸アミドなどの成分が代表的です。どの成分もカフェインと一緒に働き、倦怠感を取ってくれます。体の疲れも感じている方は、ビタミン類も配合されたものを選ぶとよいでしょう。
アミノ酸類
アミノ酸類として、タウリンが配合されているものもあります。心臓や肝臓の機能を高めたり、高血圧を予防したりなど、さまざまな働きがあることが特徴です。
カフェイン製剤の注意
カフェインが配合されている眠気防止薬は、使い方を間違うと思わぬ副作用が起きる危険性があります。また、人によって服用できないこともあるので注意しましょう。
カフェイン中毒が起こることがある
一度に多量のカフェインを摂取すると、食欲不振や吐き気、手足の震えや動悸、めまいなどの中毒症状が起こることがあります。
カフェインの許容量については個人差が大きいので、一概に「1日○○mgまで」と言うことはできません。参考までに米国食品医薬品局(FDA)では、1日あたり400mgのカフェインであれば健康への悪影響はないとしています。
総合風邪薬や栄養ドリンクとの併用に注意
カフェインは、眠気防止薬のほかにも総合風邪薬や栄養ドリンクなどさまざまなものに含まれているものです。気にせずにあれこれと使用していると、カフェインを多量に摂取してしまう恐れがあります。安全のため、これらのものとは併用しないようにしてください。
心臓病や胃潰瘍がある方は服用しない
カフェインには、心臓が収縮する力や脈拍数を増やす働きがあります。心臓に負荷をかける原因となるため、心臓病の方は服用できません。また、胃酸の分泌を促進する働きもあるため、胃潰瘍の方も服用は避けてください。胃の調子が悪い方も使用は避けた方が無難です。
まとめ
どうしても寝ていられないときは、眠気防止薬を使ってみるとよいでしょう。配合されているカフェインが、中枢神経を興奮させて眠気を予防してくれます。錠剤や飴、チュアブルタイプなどさまざまな剤形があるので、自分に合うものを選んでみてください。
多量にカフェインを摂取すると中毒症状を起こすことがあるため、総合風邪薬や栄養ドリンクとの併用は避けましょう。心臓病や胃潰瘍がある方は服用できないので注意してください。
<参考資料>
・カフェインの過剰摂取について:農林水産省