洗眼薬
花粉の時期や大掃除をした後など、目の不快感が強い時は「できることなら目の奥まで洗いたい」そんな気持ちになることはありませんか。
洗眼薬はそんな思いに応えるよう設計された、まぶたの裏まで洗浄してくれる医薬品です。
ただ「洗眼薬って本当に必要なの?」という疑問もありますよね。
今回は洗眼薬の必要性について考えつつ、オススメの洗眼薬をご紹介させていただきます。
洗眼薬とは?
洗眼薬は目に入った花粉やほこりなどの異物を取り除く効果のある医薬品です。
目に付着した異物がそのままになることで角膜などを傷つけるというリスクから守る働きや、花粉やハウスダストでアレルギー性結膜炎を起こす人の症状緩和が期待できると考えられています。
洗眼薬って必要なの?
洗眼薬の使用について「かえって角膜を傷つける」などといった意見を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
実際のところ、眼科医であっても洗眼薬の賛否が分かれているという事実は否めません。
ただ、2021年に出された最新のアレルギー性結膜炎のガイドラインによると、
「眼表面に飛入した抗原などを洗い流すためには、防腐剤を含有していない製剤や人工涙液を用いた洗眼が有用と考えられている。
水道水による頻回の洗眼は避ける。
眼周囲の皮膚の汚れや皮膚に付着した抗原が眼表面に接触しないように注意を払う。」
引用:日本眼科学会:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第3版)(第2章―3) (nichigan.or.jp)
という記載があり、花粉症などで目にかゆみを引き起こす原因疾患である「アレルギー性結膜炎」にとっては、洗眼薬の有用性が認められています。
反対派の方が挙げるデメリットの中には、今は含まれていない防腐剤のことが指摘されていたり、ガイドラインにも書いてあるように、目周囲の汚れなどが混じらないようにすれば防げるものも見られます。
最終的な洗眼薬の必要の有無について、こちらで明言することは難しいですが、洗眼薬は正しい使用方法で行えば、異物の除去に関して有用であると言えるでしょう。
市販の「洗眼薬」の種類は?
市販の洗眼薬は大きく分けて以下の2種類に分かれます。
・一般的な洗眼薬
薬液を入れた備え付けのカップを目の周りにあてがい、洗眼を行うタイプの洗眼薬です。
洗眼薬で有名なアイボンなど、通常思い描く洗眼薬といったらこちらのタイプでしょう。
・点眼型洗眼薬
目薬のように目に直接薬液を点眼するタイプの洗眼薬です。
従来の洗眼薬でデメリットとされていた、まつ毛や目の周囲のゴミが目の中に混入するというリスクを排除し、メイクをしたままでも、気になった時に使用できます。
現在では参天製薬の「ウェルウォッシュアイ」のみがこちらに該当します。
洗眼薬使用時の注意事項は?
洗眼薬を使用する際は、いくつか守らないといけない注意事項があり、いい加減に使用するとかえって目を傷つけたり、細菌感染を起こしたりする可能性があります。
以下の代表的な注意事項は必ず守りましょう。
● 開封後は1〜3ヶ月を目安に(製品によって多少異なる)
● 片目ごとに液は交換する
● カップは毎回水洗いし、衛生状態を保つ
● 頻繁に洗眼しすぎない(製品によるが1日3〜6回を目安に)
● 化粧は必ず落としてから(点眼型洗眼薬は化粧OK)
● コンタクトは外してから(点眼型洗眼薬はコンタクトOK)
● ドライアイの人は使用しない
● 目の痛みがある・ものもらいがある人は使用しない
市販の洗眼薬に含まれる有効成分は?
洗眼薬に含まれる成分には、単純に汚れを落とす以外にも、かゆみや炎症を抑えたり、角膜を保護したりする作用のものまでさまざまあります。
以下に、代表的な成分を挙げさせていただきます。
効果(作用) | 代表的な成分 | 特徴 |
抗炎症 | ・グリチルリチン酸二カリウム ・ε‐アミノカプロン酸 ・ベルベリン塩化物水和物 |
かゆみや充血といった炎症反応を抑えます。 |
抗ヒスタミン | クロルフェニラミン | かゆみなどのアレルギーを引き起こす原因物質であるヒスタミンの働きを抑えます。 |
角膜保護 | コンドロイチン硫酸エステルナトリウム | 角膜を保護し、乾燥や異物から守ります。 |
角膜修復 | アラントイン | 角膜を修復します。 |
調節機能改善 | シアノコバラミン (ビタミンB12) |
目のピント調節の機能を改善する作用があり、視界がぼやけるなどの症状に効果を示します。 |
代謝促進 | ・ピリドキシン塩酸塩 (ビタミンB6) ・タウリン ・L-アスパラギン酸カリウム |
目の代謝を促すことで、疲れ目などの症状を和らげます。 |
血行促進 | トコフェロール酢酸エステル (ビタミンE) |
目の血流を改善し、疲れ目の回復を促す効果などがあります。 |
洗浄・消毒 | ホウ酸 | 結膜の洗浄作用や防腐作用があり、主成分としてだけでなく、添加物として用いられることも多いです。 |
清涼 | ・l‐メントール ・dl‐カンフル ・d‐ボルネオ―ル |
清涼感を与えるため、目がスッキリしますが、根本的な治療効果はありません。 |
おすすめの市販洗眼薬は?
アイボン
有効成分:イプシロン-アミノカプロン酸、アラントイン、グリチルリチン酸二カリウム、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE) 、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
特徴:約25年の歴史を持つ小林製薬のアイボンシリーズの中でも、最初に開発された製品です。
抗炎症作用や抗ヒスタミン作用、また角膜を守る成分などがバランスよく配合され、コンタクトによる目の不快症状を和らげます。
2003年よりアイボンシリーズは全て防腐剤フリーになったため、防腐剤により角膜を傷つけるというデメリットも謳われていましたが、その心配がなくなりました。
アイボン メディカル a
有効成分:イプシロン-アミノカプロン酸、ベルベリン塩化物水和物、グリチルリチン酸二カリウム、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シアノコバラミン(ビタミンB12)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、L-アスパラギン酸カリウム、タウリン、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
特徴:アイボンシリーズ最大の9つの有効成分を配合し、抗炎症、抗ヒスタミン、代謝促進、角膜保護などあらゆる方面から洗浄後の目のケアに働きかけます。
アイボンシリーズの他の製品より定価は気持ち高くなりますが、量販店によっては数十円ほどの差であるため、目の疲れなどが気になる人に気軽に試していただけるでしょう。
ロート ビタフラッシュ
有効成分:ビタミンB6、酢酸d-α-トコフェロール(天然型ビタミンE)、タウリン、L-アスパラギン酸カリウム 、グリチルリチン酸二カリウム 、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
特徴:目の代謝や血行を促進する成分を複数含むことで、疲れた目の回復を促す作用がある洗眼薬です。
ロートフラッシュのシリーズはカップが吸着フィットすることで、上向き、下向きどちらでも使用できる設計のため、上向きに使用することで液が漏れてくるような心配がありません。
また、こちらは清涼感を抑えた製品であるため、使用時の清涼感が苦手な人にもオススメです。
ウェルウォッシュアイ
有効成分:ホウ酸
特徴:現時点(2022年6月)では国内唯一の点眼型洗眼薬です。
昔から眼科でも洗浄に使用されていたホウ酸のみを配合したシンプルな設計で、メイクやコンタクトの有無に関係なく、携帯していつでも使用できます。
洗眼作用に特化した医薬品です。
まとめ
洗眼薬の必要性を踏まえた上でオススメの製品をお伝えさせていただきました。
注意事項を守り、正しい使用方法で使えば、洗眼薬は花粉やハウスダストなどの異物を除去し、目のかゆみなどの不快症状から守ってくれる頼もしい存在でしょう。
点眼型洗眼薬を含め、洗眼薬にはさまざまな種類があるため、有効成分の期待される効果をもとに、ご自身に合わせた洗眼薬を選べるとより良いですね。
この記事がその際にお役に立てれば幸いです。