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更新日:2022/07/08

市販の目薬は悪者?正しい知識で不安解消!噂の真相を薬剤師が解説

目の不調を感じ、市販の目薬を購入しようかなと思っても

「いや、市販の目薬はかえって目に悪いとも聞くしな・・・」

そう言って敬遠されている方はいらっしゃいませんか。

 

確かに、市販の目薬に含まれる防腐剤や血管収縮剤、それにアイボンなどを始めとする洗眼薬などに対して、良くない噂が出回っているようにも感じます。

このコラムでは、そういった目薬に対する不安な噂について、本当のところどうなのか、詳しく解説していきます。

 

また、使用時に不安に思いがちなことについてもお答えしていますので、目薬を安心してお使いいただくためにも、なんとなくのイメージで市販の目薬に不安を感じている方に限らず、ぜひ読んでいただきたいです。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

市販の目薬の不安な噂編

Q.目薬に入っている防腐剤は目にとって良くないものなんでしょう?

A.ある特定の防腐剤において、使い方によっては角膜を傷つける可能性がありますが、市販の目薬だけではなく、医療用の目薬にも同様の防腐剤は含まれています。

開封後の薬液の腐敗を防ぐために、市販、医療用問わず、目薬には防腐剤が添加されていることが多いです。
防腐剤には塩化ベンザルコニウムやクロロブタノール、パラベンなどの種類がありますが、殺菌効果が高いことから、塩化ベンザルコニウムが最も使用されている頻度が高いでしょう。
しかし、この塩化ベンザルコニウムは、目の上での濃度が高くなったり、長い時間目の上に留まっていたりすることで角膜上皮障害を起こすことが報告されています。
健康な人の目で、正しい使い方をしている分には、過度に心配することはありません。
しかし、

● 正しい使用方法を超えて、頻回に点眼する
● 眼科を受診せず、市販の目薬を漫然と長期にわたって使用する
● ソフトコンタクトレンズ上から点眼する(コンタクトに吸着することによって、目に留まる時間が長くなる)

といった行為は角膜上皮障害を招く可能性がある行為ですので避けましょう。
また、ドライアイの人や高齢者など、もともと角膜が弱っている人は注意が必要であると言われているため、比較的目に負担の少ない防腐剤を使っている製品や、防腐剤フリーのものを選ぶ方が望ましいです。
これらに該当する方は、可能なら眼科で使用する目薬について医師に相談することをお勧めします。

Q.血管収縮剤ってあまりよくないと聞くけど?

A.充血を改善する成分ですが、根本的な原因を解決しているわけではなく、また連用することでリバウンドを起こす可能性もあります。

テトラヒドロゾリンやナファゾリンといった成分は血管を収縮させることで、目の充血を抑える働きがあります。
充血は比較的早く治るものの、根本的な原因にアプローチしているわけではありません。
そのため、充血を起こしている原因が、細菌性の結膜炎や角膜の傷である場合には、血管収縮剤が症状をマスクすることで、正しい処置が遅れてしまう可能性も否めません。
また、血管収縮剤を連用して、充血した状態を誤魔化していることで、使用をやめたときに症状がリバウンドしてしまう可能性があります。
これらの理由により、血管収縮剤は一過性のものと思って、長期に渡ってその作用に頼るのは控えた方が良いでしょう。
なかなか改善されない充血に対しては、必ず眼科を受診するようにしましょう。

Q.洗眼薬(アイボン)を使うとドライアイになるって本当?

A.正しい使用方法以上に頻繁に使用することでドライアイのような症状が出る可能性はあります。

アンボンなどの洗眼薬を用いた洗眼は、必要以上に頻繁に行うことで、目の層のバランスが崩れて、安定した涙の層を保てなくなってしまいます。
結果、目が乾燥し、ドライアイを引き起こすリスクがあります。
そのため、ドライアイと既に診断を受けている人は、洗眼薬は使用しないようにと製品の注意書きにもしっかり書いてあります。
しかし、用法をしっかり守って、正しい使用法で行う場合には、花粉やハウスダストなどといった、アレルギー症状を起こす原因となる異物除去に関しての有用性が日本結膜炎学会でも認められています。

参考:日本眼科学会:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第3版)(第2章―3) (nichigan.or.jp)

洗眼薬を使用することで、目が潤うような気持ちにもなりますが、主な働きは異物を取り除くことです。
目の乾燥などの症状を定期的に感じている方は、洗眼薬での対応は控えるようにしましょう。

洗眼薬を正しく使用するための注意事項や、おすすめの洗眼薬はこちらもご参考になさってください。

使用後の不安編

Q.使用後に見たら目薬の中に白いフヨフヨしたものが浮いているけど、大丈夫?

A.ほこりや化粧品、目やになどの可能性があります。
目に痛みなどの不調が出て来ない限りは焦って受診することはないですが、その目薬はもう使わないようにしましょう。

目薬を使用するときに、まぶたやまつ毛に容器の先が付着してしまうと、目やにや化粧品、ほこりなどが容器の中に吸い上げられてしまう可能性があります。
こういった異物が薬液に混入することで、白いフヨフヨとした浮遊物として観察され、開封後まだ間もない目薬であっても、目に感染を起こすリスクが出てきます。
万が一使用後に異物が浮いているのを見つけても、目の痛みなどの異常が出てこなければ焦って眼科を受診するほどではありませんが、薬液の中に何か浮遊する異物を見つけた場合は、残念ですがその目薬は廃棄し、新しいものを用いるようにしましょう。
また、目薬を使用するときは容器の先が付着しないように、目から2〜3センチ離すよう心がけましょう。

Q.妊娠に気付かず市販の目薬をさしてしまった

A.目薬は全身に対する影響が少ないため、胎児や妊娠にとって大きな悪影響が出るとは考えにくいですが、念のため妊娠発覚後はプラノプロフェンやトラニラストが入っている目薬は避けましょう。

妊娠中、特に初期は妊娠に気づいていないことが多いにも関わらず、胎児に対して薬の影響が出やすい時期です。
そのため、目薬に関しても、使用してしまったことを不安に思われる方がいらっしゃいますが、目薬は目に対して局所的に作用するようにできており、飲み薬に比べると全身への影響ははるかに少ないため、おおよそ安心であると言えるでしょう。
しかしながら、目薬のごく一部は目頭から鼻を通って吸収されていき、全身の循環に移行していくのは事実です。
もうすでに使用してしまった分を過度に不安がることはないですが、妊娠発覚後は、抗炎症成分であるプラノプロフェンや抗アレルギー成分のトラニラストが入った目薬は念のため避けるほうがいいでしょう。
使用したい市販の目薬があれば、受診している産婦人科の医師に相談することをおすすめします。

Q.子供用ではない目薬を子供に使ってしまった

A.プラノプロフェンやアシタザノラスト、トラニラストが含まれる目薬は原則7歳以上からですが、それ以外の目薬であれば子供用でなくても1歳以上の子供から使用できるものが多いです。

市販の目薬に含まれる成分であれば、特に「子供用」と記載がなくても、子供への使用で大きな悪影響が出るとは考えにくいでしょう。
しかし、プラノプロフェンとアシタザノラスト、トラニラストに関しては、7歳未満の子供には避けた方が良い成分とされています。
ただ、医師の指示のもと、同様の成分が含まれている医療用の目薬を子供に処方する場合もあり、絶対に子供への使用が禁止されている成分ではありません。
万が一誤って使用した場合も過度に不安がらず、念のため医師に適応年齢ではない目薬を使用した旨を報告し、かゆみや痛みに対して適切な目薬を処方してもらいましょう。
また、1歳未満の赤ちゃんは、自分でうまく症状を訴えることができないことから、なるべく市販の目薬を使用せずに小児科や眼科を受診するようにしてください。
成分としては問題ありませんが、子供用でない目薬にはメントールといった清涼成分が含まれていることも多いので、それがしみると感じる可能性はあります。
なるべくなら、刺激が少なく設定されている「子供用」を使用するのが無難でしょう。

まとめ

市販の目薬に関して、不安に思われがちな項目に関してお答えさせていただきました。
防腐剤や血管収縮剤といった成分は、誤った使用法や長期連用を避けるよう心がけて使用すれば、過度に敵対視する存在ではありません。
不安であれば、防腐剤や血管収縮剤が含まれていない目薬もたくさん販売されていますので、その中から選択することをおすすめします。
また、使用後に焦って不安になりがちなことに関しても、市販の目薬で取り返しのつかない事態になることはそこまで多くないでしょう。
焦らず、様子を見て眼科を受診するようにしてください。
この記事で目薬に関する不安が少しでも解消されれば幸いです。