消毒液(外傷を除く)
コロナ禍でたくさん使うようになった「消毒液」、何の消毒に向いたものか意識したことはありますか?
消毒液は、何にでも効くというわけではないため、用途によって使い分けることが大切です。今回は、さまざまな消毒液の使い分け・正しい使い方について解説します。
よく使用されている消毒液5種類について
市販で購入可能で、よく使用されている表1の消毒液5種類について詳しく解説させていただきます。
表1.消毒液に対する有効な細菌、ウイルスの一覧表
消毒液の 成分名 |
一般的な 細菌 |
ウイルス | 手指への 使用 |
備考 | |||
インフルエンザ | ロタ | ノロ | 新型コロナ | ||||
エタノール | 〇 | 〇 | △ | △ | 〇 | 〇 | |
次亜塩素酸Na | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 (物の消毒) |
× | ゴム手袋着用 |
ポビドンヨード | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | 金属に 使わない |
ベンザルコニウム | 〇 | △ | × | × | △ (物の消毒) |
〇 | 石けんと 併用しない |
クロルヘキシジン | 〇 | △ | × | × | × | 〇 |
エタノールは体にもモノにも
最もよく用いられるのは、エタノール、いわゆる「アルコール消毒」のことです。エタノールは手指の消毒にも、細菌やウイルスの消毒にも使えます。
現在流行している新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザシーズンにもおすすめの消毒薬です。人体だけでなく、テーブルなどの「モノ」の消毒にも使えるため、エタノールを用意しておけば、どんな季節の何の消毒にも便利に使えます。
ただし、ノロウイルス・ロタウイルスを完全に失活させることはできません。すぐに石鹸での手洗いができない場合の応急対処的な使用にとどめてください。
エタノールを購入するときに1点注意してほしいのは、その濃度です。有効性・安全性が確認されているのは、エタノール濃度が70%〜95%の製品だけ。できるだけ70%以上の製品を選ぶようにしましょう。
また、手を石鹸で洗った後にエタノールで消毒をする必要はありません。
石鹸で手洗いをした後に残っている水分でエタノールの濃度が薄まって効果が落ちるだけでなく、両方を使うことで手荒れが起こる可能性が高まります。汚れが目に見えるとき・外から室内へ入ったときには石鹸、汚れが目に見えないときはエタノールのように使い分けるとよいでしょう。
手ピカジェルブラス
pHを弱酸性にして殺菌効果をUP。ウイルスにも効果を発揮します。
次亜塩素酸ナトリウムは人体以外なら万能
次亜塩素酸ナトリウムは、人の体の消毒には使えませんが、細菌やウイルスのほぼ全てに効果がある消毒液です。
とくに、ノロウイルスに対しては最も効果があります。次亜塩素酸ナトリウムを扱う場合には、ゴム手袋を着用してください。
次亜塩素酸ナトリウムは、原液のまま使用してはいけません。使用する目的に合わせて、薄めて使ってください。
必要な濃度 | 原液の濃度 | 1000mlの水に 加える原液の量 |
備考 | |
吐物や便が付着した床・おむつ等 | 0.1% | 5% | 20ml | |
10% | 10ml | |||
吐物等がついた衣服のつけ置き、トイレの便座やドアノブ等 | 0.02% | 5% | 4ml | つけ置きは30分程度 |
10% | 2ml |
※ノロウイルスの消毒で使用する際の薄め方
ミルトン
ピューラックス-10
ポビドンヨードは手指消毒に
ポビドンヨードは、ヨウ素が含まれる消毒液で、「茶色」の独特な外観をしています。
細菌全般やインフルエンザウイルスに効果があるため、日常的に使いやすい消毒剤です。病院では、手術前の消毒などに使われています。色がついているため消毒ができた範囲がわかりやすく、お子さまにも扱いやすいでしょう。
ただし、目や耳に刺激があるため、顔には使わないようにしてください。また、ノロウイルスが付着したものを触った時の手洗いには使用できますが、ノロウイルスの方の吐物や便が付着したものの消毒には使えません。ポビドンヨードは金属を腐食してしまうため、金属部分に使うのは避けてください。
イソジン®薬用泡ハンドウォッシュF
ポビドンヨード配合のハンドウォッシュです。
ベンザルコニウムはウイルスNG
ベンザルコニウムは、少量で殺菌効果があり、刺激が少ないため使いやすい消毒剤です。
ただし、ウイルスへの効果はほとんどないため、インフルエンザが増える冬のシーズンには避けた方がよいかもしれません。新型コロナウイルスに対しては、テーブルやドアノブなどの消毒には使えることがわかっていますが、手指消毒での効果はまだ検討中です。
通常の石けんと併用すると効果がなくなりますので、同時に使わないでください。
オスバンラビングA
速乾性で、すりこみ式の手指消毒薬です。
クロルヘキシジンは15秒以上しっかり揉み込む
クロルヘキシジンは、水やエタノールに溶かして使用する消毒剤で、あらかじめエタノールと配合したものが商品として一般用に売られています。手指につけた後、15秒以上しっかりと揉み込むことで消毒の効果が得られます。一般的な細菌には効果がありますが、ウイルスへの効果はあまりありません。
刺激も匂いも少ないですが、目や耳に毒性があるため、首より上の部分の消毒には使用しないでください。
ヒビスコールSH
速乾性、すりこみ式の手指消毒薬です。有効成分クロルヘキシジンの他、エタノール72.3w/w%(約80v/v%)を含有します。
まとめ
今回は、5種類の消毒薬がどんな細菌・ウイルスの消毒に向いているのか、使い方について解説しました。
消毒剤は、何にでも使えるというわけではないため、向き不向きを意識して使用することが大切です。しっかり効果を得るためには、正しい濃度の消毒剤を使うことも大事なポイント。今回お伝えした内容を踏まえて、ご自宅の消毒剤のストックを見直してみませんか。