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お薬コラム
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更新日:2022/04/26
繰り返し起こる「じんましん」は怖い病気?原因が分からなくても慌てないで

じんましんは、1〜2割の人が一生のうちに一度は経験すると言われており、非常に身近な病気です。

突然現れ、時に強いかゆみを伴うじんましんにお悩みの方も多いと思います。

でも、そもそもじんましんってなに?アレルギーなの?

この記事では、じんましんのメカニズムや原因を踏まえた上で、効果のある市販薬をご紹介させていただきます。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

じんましんとは

<症状は?>

じんましんは、皮膚の一部がぷっくりと赤く盛り上がって、かゆみを起こす疾患です。
かゆみ以外にもヒリヒリとした熱感を伴うこともあります。
似たような皮膚疾患の「かぶれ(接触性皮膚炎)」は、かゆみや赤みなどの症状が徐々に進行して数日間続くのに対し、じんましんは急に発生したかと思うと、数十分や数時間経てば、赤みやかゆみが跡形もなく消えるという大きな特徴があります。
また、1日1回ないし数回で発現を繰り返すことが多いです。

<メカニズムは?>
何かしらの刺激となる要因が加わることで、皮膚の内部に存在する肥満細胞という細胞が活性化され、その内部からヒスタミンが分泌されます。
ヒスタミンは血管を拡張させる作用があり、血漿(けっしょう)成分を血管外の真皮へ漏れ出しやすくして、皮膚の発疹を引き起こします。
また、かゆみを誘発する作用もあるため、同時にかゆみも現れます。
分泌されたヒスタミンが体内で代謝されると、これらの反応は収束し、赤みやかゆみは跡形もなく消えてなくなります。

<原因は?>
実はじんましんは70%以上が原因不明であると言われています。
それ以外の原因が分かるものは、アレルギーが関係しているものと、そうでないものに分類されますが、アレルギー性のじんましんは全体のわずか数%しかありません。

アレルギー性じんましんの主な原因
● 食べ物
● 医薬品・化粧品
● 植物
● 虫など

非アレルギー性じんましんの主な原因
● ストレス、疲労
● 物理的刺激・・・寒暖差、日光、皮膚の擦れ、圧迫など
● 汗・・・皮膚の神経から分泌されるアセチルコリンという物質が原因
● 仮性アレルゲン・・・パイナップル、山芋など

仮性アレルゲン:アレルギーとして反応してかゆみや湿疹を発生させるのではなく、アレルギーの時と同じ症状を引き起こす成分(ヒスタミン、チラミンなど)を含んでいる食べ物など。

じんましんが起こったら

じんましんが起こった場合は、放っておいてもしばらくすれば治るとはいえ、かゆみや灼熱感が強いと辛いですよね。
そんな場合は「冷やす」と比較的かゆみや熱感などの症状はマシになります。
抗ヒスタミン作用のある市販薬の服用も有効的でしょう。
また、原因が特定できていないじんましんに対しては、じんましんが起きた状況などをメモしておくことも重要と言えます。
「直前に何をしていたか」「食事は何を食べたか」「どれくらい症状が続いたか」その辺りを記録しておくことで、自分のじんましんの傾向を知ることができますし、原因の究明に役立つ可能性があります。

アナフィラキシーショックについて

アナフィラキシーは、食べ物や虫などに対して全身性のアレルギーが起こることであり、じんましんだけでなく、呼吸困難や低血圧、ふらつきなど、複数の臓器でアレルギー反応が発生します。
アナフィラキシーショックは命にかかわる状態であるため、じんましん以外に、呼吸が苦しそう、唇が腫れている、声掛けに対する反応が薄い、などがある場合は、ためらわず救急車を呼んで病院を受診しましょう。
アナフィラキシーショックについて、詳しくはこちらの記事もご参照ください

 

じんましんに効果のある有効成分

じんましんは、市販の飲み薬や塗り薬で対応することが可能です。

通常は、飲み薬で対応することが推奨されています。

じんましんによって効果がないこともありますが、我慢できないかゆみなどには、塗り薬で和らぐこともあります。

<飲み薬>

抗ヒスタミン薬
じんましんを起こす原因物質であるヒスタミンを、ヒスタミン受容体に結合するのを抑える薬です。

・ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン
眠気が出やすいため、車の運転や仕事に対しては注意が必要ですが、逆にかゆみで眠れないときにはおすすめです。
また、抗コリン作用といい、口の渇きなどが出やすいため注意が必要です。
・メキタジン、アゼラスチン
ジフェンヒドラミンなどと比較すると、眠気が出にくくなっています。
抗コリン作用も弱くなっているため、前立腺肥大や緑内障のある人でも使いやすいでしょう。

<塗り薬>

ステロイド
ステロイドの塗り薬は、優れた抗炎症作用があり、かゆみだけでなく、湿疹や肌の赤みを鎮める効果が期待できます。
しかし、じんましんにおいてのステロイド使用の有効性は、専門家の中でも意見が分かれるところでもあります。
症状が治る場合でも、だらだらと長期に渡って使用しないよう注意しましょう。
ステロイドの種類や使い方、アンテドラッグステロイドについてはこちらの記事もご参考ください。

抗ヒスタミン剤
クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン
抗炎症作用はありませんが、抗ヒスタミン作用で患部のかゆみを鎮めます。

鎮痒剤(ちんようざい)
クロタミトン
詳しいメカニズムは解明していませんが、皮膚に軽い灼熱感を与えることで、かゆみを感じにくくさせる作用があると言われています。

じんましんに効果のある市販薬

ジンマート錠

有効成分:メキタジン、ビタミンB2、B6、ニコチン酸アミド
特徴:比較的眠くなりにくい抗ヒスタミン薬であるメキタジンを主成分とし、皮膚の正常な作用を促すビタミンが3種類含まれます。

アレルギール錠

有効成分:クロルフェニラミン、ビタミンB6、グリチルリチン酸カリウム、グルコン酸カルシウム
特徴:4歳から服用できる抗ヒスタミン薬です。
同ブランドの製品で、同じくクロルフェニラミンを含む、ジェルタイプやクリームタイプの塗り薬もあります。

メンソレータム ジンマート

有効成分:ジフェンヒドラミン、クロタミトン、リドカイン、l-メントール、酸化亜鉛、グリチルリチン酸二カリウム
特徴:クロタミトンとジフェンヒドラミンに加え、局所麻酔成分であるリドカインも加わることで、3方向からかゆみにアプローチします。
また、グリチルリチンと酸化亜鉛が腫れを抑え、メントールによる冷感が熱を持った症状に有効です。

新レスタミンコーワ軟膏

有効成分:ジフェンヒドラミン
特徴:シンプルな抗ヒスタミン薬の軟膏です。
じんましんはもちろん、虫刺されやかぶれなどのかゆみ全般に効果があるので、ストックしておくと、いざというときに心強い存在でしょう。

まとめ

じんましんは辛いかゆみを伴いますが、原因究明の難しい疾患です。
じんましんの出た時の状況などをメモすることで、原因が判明することが望ましいですが、原因が分からなくても焦らず、市販の薬で対応して問題ないとされています。
ただ、まれに内臓疾患からじんましんが出ていることもありますし、抗ヒスタミン薬にしても、病院で処方する医療用医薬品であれば、幅広い種類で対応することが可能です。
「長引くじんましん」「1週間程度市販薬を飲んでも効果が見られない」「どんどん悪化してくる」ようであれば、皮膚科を受診するようにしましょう。
また、じんましん以外に全身性のアレルギー症状が現れているときは、アナフィラキシーショックが疑われますので、その際は救急車を呼ぶようにしましょう。
辛いじんましんの症状でお悩みのあなたにとって、この記事がお役に立てれば幸いです。