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お薬コラム
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更新日:2022/04/27

にきび治療についてコレだけは知っておきたいこと

にきびは、非常に多くの方が経験する皮膚の疾患です。化粧品やスキンケアで治そうとする方が少なくありませんが、誤った対処をしているとかえって悪化させてしまうことがあります。

炎症がひどくなった場合は跡が残ることもあるため、適切な治療を行うことが大切です。今回は、にきびをきれいに治療するうえでみなさんに知っておいてほしいことを、Q&A形式で紹介します。正しい治療を行って、にきびをしっかり治していきましょう。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

Q.市販の塗り薬でにきびは治る?

A.治ります。ただし、一部のにきびのみです。
市販薬で治療できるにきびは、「白にきび」「黒にきび」「赤にきび」の3つです。炎症が進んで膿んでいる「黄にきび」ができている場合は、市販薬を使っても思うような治療効果が出ないことがあります。
ただし、市販のにきび治療薬の成分は、とても限定的なものです。日本皮膚科学会が出している「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」で推奨度A(行うよう強く推奨する)に該当しているアダパレンや過酸化ベンゾイルなどの治療薬は、市販では扱いがありません
そのため、白にきびや黒にきびであっても市販薬で効き目がいまいちだと感じた場合は、早めに皮膚科を受診するのが望ましいとされています。

Q.にきびで病院にかかるのは大げさ?

A.確実に治療するなら医療機関の受診が一番です。
にきびができた場合、市販薬で対処するのもよいですがきちんと治療したいなら医療機関の受診が一番です。ニキビの状態に合わせて適切な治療薬を処方してもらえます。
にきびのように見えても別の皮膚疾患である可能性もゼロではないので、軽いにきびでもできるだけ医療機関を受診するようにしましょう。
にきびで病院にかかるのは、決しておおげさなことではありません。むしろ、正しい判断です。

Q.にきびにステロイドの塗り薬は使って良い?

にきびの治療にステロイド剤の使用は向いていません「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」でも、ステロイドの使用に関しては「推奨しない」とはっきり書かれています。海外の研究でも、ステロイド剤がニキビを改善させるというデータは確認されていません。
むしろ、ステロイド剤はにきびを誘発する働きがあるため、悪化する可能性があります。SNSなどで「ステロイドを使ったらニキビが治った」と発信されていることがありますが、これは誤った情報です。
また、市販のステロイド剤はどれもにきびに対する効能効果が認められていません。決してにきびにステロイド剤は使わないようにしましょう。

Q.にきびに効果がある飲み薬はある?

A.あります。市販でも購入可能です。
にきび治療に使われる飲み薬としては、ビタミン剤や漢方薬、抗菌薬があります。このうち、ビタミン剤と漢方薬は市販でも購入可能です。
ビタミン剤は、肌の生まれ変わりを助けるビタミンB2や、皮脂量を調節してくれるビタミンB6が配合されているものを選ぶとよいでしょう。ただし、にきびにビタミン剤がどれくらい効果があるかについては不確かな部分もあるため、塗り薬も併用することをおすすめします。
漢方薬は、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)や清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)などが代表的です。最初からにきび治療に漢方薬を使うのではなく、ほかの治療で効果が見られなかったときに使うことが推奨されています。

Q.病院でにきびの薬をもらったが、市販では買える?

A.医療用の塗り薬は、市販ではほぼ購入できません。
病院ではアダパレン(ディフェリン)過酸化ベンゾイル(ベピオ)が処方されることが一般的です。毛穴の詰まりを改善することで、ニキビを治療していきます。
ニキビはいくら殺菌しても、毛穴の詰まりを改善しなければ根本的な解決にはなりません。そのため、アダパレンや過酸化ベンゾイルはにきび治療にとても有効です。
しかし市販では、どちらも扱いがありません。病院の薬と同じものは市販ではほぼ扱いがないので注意しましょう

Q.にきびは潰した方が良い?

A.自分で潰すのはNG。
にきびを自分で潰すのは避けてください。たまっている膿をむりやり押しだそうとすることで、炎症を悪化させる危険性があります。また、毛穴のなかにある膿をすべて出し切れず、潰した意味がまったくないことも少なくありません。
皮膚科で潰す場合は、清潔な環境を保ったうえで専用の器具を使い押し出します。「皮膚科でも潰しているから…」といって、自宅でにきびを潰すのは避けましょう。

Q.にきびは化粧品で治る?

A.治りません。
にきびを治すために化粧品を使おうとする方は多いでしょう。しかし、化粧品ににきびを治療する効果はありません
にきび用として販売されている化粧品は、あくまでにきびを予防するものです。できにくくする効果はあっても、治療する効果はないので注意してください。
にきびを治療できるのは医薬品のみです。化粧品のみに頼ってにきびを治療しようとすることで、症状が長引いたり悪化したりすることがあります。

Q.にきびはレーザー治療で治る?

A.積極的に治療を推奨する理由はないと考えられます。
にきびに効果があるレーザー治療として、フラクショナルCO2レーザーやポテンツァなどが知られています。にきびの状態を見たうえで治療効果が期待できる場合には有効となる場合もありますが、積極的には使用されていません。
そもそもレーザー治療は保険が使えず高額になるケースが多いこと、どれほどの効果があるかについて十分なデータがないことが理由です。

Q.こまめに洗顔したほうが治りは早い?

A.やりすぎは禁物。1日2回にとどめましょう。
にきびを治療するためには、お肌を清潔に保つことが大切です。しかし、1日に何度も洗顔すると、お肌の乾燥を招いてしまいます。乾燥が原因でにきびが悪化することがあるのでおすすめできません。
朝と夜に合計2回、洗顔料を使って洗いましょう洗顔後、お肌が乾燥しているようであれば、ノンコメドジェニックやハイポコメドジェニックと記載のある化粧水で保湿も行ってください

※にきびになりにくい処方で作られている製品

Q.保険適用外の治療は効果がある?

A.安全性や効果が十分に確認されていないものがほとんどです。
低容量ピルや男性ホルモン剤、ケミカルピーリングなどは保険が適用されません。ほかにも保険適用外の治療はいろいろとありますが、にきび治療に有効だとされるのはケミカルピーリングのみです。
とはいえ、ケミカルピーリングも積極的に行うべきものではないので注意しましょう。まずはアダパレンや過酸化ベンゾイルなどを使った標準治療を行い、それでも十分な効果がなかった場合に選択肢となります。

 

<参考資料>
「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」日本皮膚科学会ガイドライン