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お薬コラム
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更新日:2022/09/07

アルコール消毒について

感染症対策に意識をもつ方が増えた影響で、アルコール消毒を行う方が数年前よりもかなり増えました。

薬局やドラッグストアで消毒用のアルコールを購入するとき、「何を基準に選んだらいいの?」「値段の違いで効果に差はあるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、消毒用アルコールの選び方や効果の違いについて詳しく解説します。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

アルコール消毒とは?

アルコール消毒とは、殺菌消毒成分であるエタノールを使って消毒を行うことです。エタノールには細菌やウイルスの細胞膜を壊し、無毒化する働きがあります。そのため、アルコール消毒を行うことで清潔な状態を保つことができるのです。

『消毒用アルコール』とは?

細菌やウイルスの消毒を目的に消毒用アルコールを選ぶ場合は、濃度に注目することが大切です。日本薬局方では、消毒用アルコールの濃度は76.9 ~ 81.4vol%の範囲内で定められています。
ただし厚生労働省は、新型コロナウイルスの消毒や除菌を行う場合は、濃度が70%以上95%以下のエタノールであればよいとしているため、必ずしも76.9 ~ 81.4vol%の範囲内でなければ効果がないというわけではありません。

70%以上95%以下のエタノールがどうしても手に入らない場合は、60vol%台のものでも一定の有効性があるとしています。

医薬品や指定医薬部外品として販売されている消毒用アルコールの多くは80vol%前後で販売されているため、こちらの濃度を一つの目安にするとよいでしょう。

消毒用アルコールの正しい使い方

消毒用アルコールを手に取り、15秒間しっかりとすりこんでください。15秒経たないうちにアルコールが乾いてなくなってしまった場合は、量がたりない可能性があります。追加でアルコールを取って指の先から手首までまんべんなくすりこんでいきましょう。

無水エタノールでも手指の消毒はできる?

無水エタノールには、濃度が99.5vol%以上含まれています。消毒用アルコールよりもエタノールの濃度が高く、すぐに揮発してしまうため手指の消毒には向きません。水拭きができないキーボードやリモコンなどの電化製品に使用することが一般的です。

消毒用アルコールの値段が製品により違う理由

消毒用アルコールには、大きくわけて「消毒用エタノール」「消毒用エタノールIP(IPA)」の2種類があります。「消毒用エタノール」は酒税法が適用になるため価格が高くなってしまうことが特徴です。

一方で「消毒用エタノールIP」は、エタノールのほかにイソプロパノールが配合されることで酒税法の対象から外れるため、安い価格で販売できます。

殺菌効果に大きな違いはないため、こだわりがなければイソプロパノールが配合されたタイプのほうを選ぶとよいでしょう。

アルコール消毒の効果

アルコール消毒は、一般的な細菌やインフルエンザウイルス、新型コロナウイルスには効果があります。しかし、ノロウイルスやロタウイルスには効果がありません。消毒用アルコールに配合されているエタノールは、エンベロープという膜をもたないウイルスには効きづらいのです。

エンベロープをもたないこれらのウイルスには、アルコール消毒ではなく次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒を行います。

消毒液について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご参照ください。

消毒用アルコールの製品の選び方

消毒用アルコールを選ぶときは、次の2つのポイントを参考に選んでいきましょう。

エタノールの濃度を確認する

除菌とうたっている商品でも、エタノールの濃度が不明だったり殺菌には適さない濃度のエタノールしか配合されていなかったりするものがあります。

殺菌や消毒は、医薬品もしくは医薬部外品の消毒用アルコールでしかできません。濃度が不明なものは購入しないように気をつけてください。

使いやすい剤形のものを選ぶ

スプレージェルシートタイプなど、消毒用アルコールにはさまざまな剤形のものがあります。自宅で使うならスプレー、外出先で使うならジェルやシートタイプなど、シーンに合わせた剤形の商品を選びましょう。

おすすめの消毒用アルコール

では、殺菌や消毒をするのに適した消毒用アルコールを剤形ごとにわけて紹介します。

手指消毒用の液剤

消毒用エタノールIP「ケンエー」(スプレー式)

76.9~81.4vol%のエタノールに加えて、イソプロパノールが配合された商品です。酒税法の対象とならないため、エタノールのみが配合された商品よりも安く購入できます。

手ピカジェルプラス

76.9~81.4vol%のエタノールが含まれている、ジェルタイプの消毒用アルコールです。従来の「手ピカジェル」と比べると消毒効果がアップしています。携帯用サイズも販売されているので、持ち運びにも便利です。

ウェットタオル、コットンタイプ

白十字 ショードックスーパー(ボトル)

76.9~81.4vol%のエタノールが配合された、シートタイプの消毒用アルコールです。毛羽立ちしにくく保水性が高いシートを採用しているため、手指の消毒はもちろん掃除にも使えます。

アルウエッティ one2 エタノール

濃度が83%のエタノールが配合(エタノールの量 83/100ml)された商品です。2枚ずつの小分けになっているため、シートが乾燥してエタノールの濃度が下がる心配がほとんどありません。

まとめ

アルコール消毒は、細菌やウイルスから体を守るために有効な手段です。一般的な細菌やインフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなどに効果を発揮します。
少量をさっと手につけるだけでは十分な殺菌効果は発揮されません。15秒かけて手先から手首までしっかりすりこむように意識してください。
スプレーやジェル、シートタイプなどさまざまな剤形があるので、使いやすいものを選びましょう。なお、配合されているエタノールの濃度が不明なものは十分な殺菌効果が得られない可能性があるため、できるだけ購入は控えましょう。

 

〈参考資料〉
新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について|厚生労働省