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お薬コラム
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更新日:2025/07/30

ブスコパンA錠は市販で買える?効果・副作用・薬剤師が選び方を解説

突然の腹痛。

 

すぐに病院には行けないけれど、何とかしたい——そんなときに頼れる市販薬「ブスコパンA錠」。

 

実は医療現場でも使われていた薬で、痛みのタイプによっては非常に効果的です。

 

ただし注意点もあります。

 

今回は薬剤師の視点から、ブスコパンA錠の正しい使い方と、安全に使うためのポイントを解説します。

薬剤師ライター クロロボ
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第1章|ブスコパンA錠ってどんな薬?市販でも買えるの?

「腹痛に効く市販薬って、どれが正解なんだろう?」

­ドラッグストアの棚の前で、そんな風に迷った経験はありませんか?

ロキソニン、カロナール、ブスコパン。

­どれも“痛み止め”に見えて、じつは作用のしかたも、向いている痛みもまったく違います。

その中でも今回取り上げるのは、「ブスコパンA錠」

­この薬は、市販で手に入る“けいれん性の腹痛”に特化した医薬品です。

 

ブスコパンA錠は市販で買える?

まず、ブスコパンA錠は第2類医薬品です。

­つまり、薬剤師がいないドラッグストアでも販売でき、ECサイト(Amazonや楽天など)でも購入可能

­ただし、体調に関するチェックや年齢確認が入ることもあります。

医療用では「ブスコパン錠10mg」として使われてきた薬ですが、その処方薬と同じ有効成分・同じ用量で、スイッチOTC化されたのが「ブスコパンA錠」です。

処方薬と同じ成分・同じ量で買えるのは心強いですね。腹痛の“ピンポイント対策”に備えておくのもアリです。

 

スイッチOTCってなに?

「スイッチOTC」とは、もともと病院で処方されていた医療用医薬品を、市販用に切り替えて販売している薬のこと。

­効き目がしっかりしていて、かつ副作用リスクが比較的低いと認められた薬が対象です。

ブスコパンは、長年病院で腹痛の治療に使われてきた実績がある薬

­その安全性が認められたことで、一般用医薬品(OTC薬)として市販されるようになりました。

 

痛み止めといえばロキソニン?カロナール?ブスコパン?

「痛み止め」と聞いてまず思い浮かべるのは、ロキソニンカロナールですよね。

­でもこの2つ、実は“炎症”や“発熱”に関係する痛みが得意なんです。

薬剤名(成分名) 主な分類 向いている痛み ロキソニン NSAIDs (非ステロイド性抗炎症薬) 頭痛、歯痛、筋肉痛、月経痛など カロナール 解熱鎮痛薬 (中枢性) 熱、軽い頭痛、かぜの発熱など ブスコパンA錠 抗コリン薬 (副交感神経遮断薬) 胃腸のけいれんによる痛み、さしこみ、 ストレス性腹痛

つまり、胃腸が「キリキリ」「グーッ」と動いて痛みを出している場合には、

­ロキソニンでもカロナールでもなく、ブスコパンが正解というわけです。

どれでも同じってわけじゃないんだね。選び方って、大事だね〜!

 

じゃあ、どんなシーンで使うのがベスト?

ブスコパンA錠が活躍するのは、こんなシーンです。

・緊張やストレスで急にお腹が痛くなるとき

・飲みすぎ、食べすぎでお腹がギュルギュル動いている感じ

・旅行中、冷たいものをとって突然の腹痛

・生理のときのお腹の違和感(※子宮収縮への効果も)

※下痢止めではないので、症状に応じて使い分けが必要です。

 

「痛み止め」と一口にいっても、その痛みの“原因”によって、選ぶべき薬は変わります。

ブスコパンA錠は、内臓の動きすぎ=けいれんによって生じる痛みに使う薬。

­ロキソニンやカロナールと並んでいるとつい混同しがちですが、まったく別のカテゴリの薬なんです。

腹痛の「質」を見極めて、薬を選ぶ。

­それが、市販薬でセルフケアする第一歩になります。

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第2章|どんなときに使う?効果・副作用・他薬との注意点まとめ

ブスコパンA錠の主成分は『ブチルスコポラミン臭化物』

この薬のカギとなる成分が、ブチルスコポラミン臭化物という成分です。

­これは、副交感神経にブレーキをかけることで、内臓の過剰な動きをおさえます。

わかりやすくいえば、「お腹が必要以上に動いているせいで痛い」というときに、

­その“動き”自体を止めてくれるイメージです。

特にけいれんによる痛みに対して選ばれる成分です。

 

どんな症状に効くの?

ブスコパンが活躍するのは、以下のような“内臓が動きすぎて痛みが出ている”ケースです。

・胃のキリキリ感、グルグル鳴る感じ

・ストレスや緊張による腹痛

・生理中の下腹部の違和感(子宮の収縮による)

・過敏性腸症候群(IBS)にともなう腹部の不快感

“キリキリ”“グルグル”って、まさにこの感じ…ブスコパンの出番だね・・・

旅行中、朝食のあとに突然腹痛に見舞われてホテルのベッドで動けなくなったことがありました。

­持っていたブスコパンを飲んで30分ほどで落ち着き、無事にその日の予定を消化できました。

­こういう“突然の腹痛”がある人には、常備しておくと安心です。

 

気をつけたい副作用

ブスコパンは比較的安全性の高い薬ですが、「抗コリン作用」という性質上、以下のような副作用が出ることがあります。

・口が渇く

・目がかすむ(散瞳)

・便秘

・尿が出にくい(排尿困難)

いずれも、「副交感神経を抑える」ことが原因で起こります。

­頻度はそこまで高くありませんが、体質によって出やすい人もいるので注意が必要です。

この“抗コリン作用”って、けっこうクセ強いのかも…?

 

服用を避けるべき人(禁忌・慎重投与)

次のような持病がある方は、ブスコパンA錠の使用を避けるか、薬剤師と相談が必要です。

・閉塞隅角緑内障
・前立腺肥大症(排尿障害のある方)
・重度の心疾患(特に頻脈性不整脈)
・重篤な肝機能障害

とくに閉塞隅角緑内障の方は、眼圧が急上昇して視力障害が起こるリスクがあるため、添付文書上「禁忌」とされています。

 

運転・機械操作は禁止

見落とされがちですが、服用中は自動車の運転や危険作業は禁止です。

理由は、「抗コリン作用」によって以下の影響が出るおそれがあるためです。

・瞳孔が開いて視界がぼやける(散瞳)

・めまいや眠気、注意力の低下

・判断力の鈍化

安全運転が求められる現代において、服用前後のスケジュール管理も重要になります。

これ飲んだ日は、運転はアウトですね〜。

 

他の市販薬との併用に要注意!

市販薬同士の併用で、抗コリン作用が重なりすぎることがあります。

以下は注意すべき製品例です。

ロートエキス含有製剤(下痢止め)

・ストッパ下痢止めEX

・イヅミ正露丸(一部メーカーの正露丸に限る)

 

風邪薬や鼻炎薬に含まれる抗ヒスタミン薬

・パブロン、ルル、コンタックなどに含まれるクロルフェニラミンなど

 

これらと併用すると、口の渇き・便秘・排尿困難・散瞳などの副作用が増強される可能性があります。

­「お腹が痛いけど風邪気味でもある」というようなときは、特に薬剤師に相談してください。

市販薬同士でも重なることがあるので、飲み合わせは薬剤師に確認が安心です。

ブスコパンA錠は、“動きすぎた内臓を落ち着かせる”という点で、他の痛み止めとはまったく違う存在です。

効果があるぶん、使う人や状況を選ぶ薬でもあります。

­「運転はダメ」「他の薬との併用に注意」など、意外と知られていない注意点もあるため、セルフメディケーションの範囲内でも正確な知識を持って使うことが大切です。

 

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第3章|どこで買える?通販と店舗の違いと薬剤師が教える選び方のコツ

ブスコパンA錠はどこで買える?

ブスコパンA錠は、全国のドラッグストアだけでなく、Amazon・楽天市場・ASKULといった大手ECサイトでも購入できます。

分類は第2類医薬品なので、通販でも店舗でも比較的スムーズに買えるのが特徴です。

医療用と同じ成分・同じ用量ながら、ネットで買える。

この手軽さは、セルフケア時代における大きなメリットです。

ネットでサクッと買えるのも、すごく助かるよね。

なお、第2類医薬品ではありますが、第1類のようなチェックフォーム入力や薬剤師の説明義務はありません。

サイトによっては注意文の確認や年齢表示がされる程度。

そのため、通販も店舗も選びやすさはほぼ同等です。

 

通販 vs 店舗|どう使い分ける?

ブスコパンA錠はどちらで買っても大きな価格差はありません。

それよりも、「どう使いたいか」「何を重視するか」で選ぶのがポイントです。

通販で買うのが向いている人

・忙しくて店舗に行く時間がない
・常備薬としてストックしておきたい
・ポイント還元やまとめ買いを活用したい

→ Amazonや楽天で手軽に買えます。発送も早く、価格も安定しています。

 

店舗で買うのが向いている人

・今まさにお腹が痛い/すぐに必要なとき
・持病や妊娠などで、他の薬との飲み合わせが心配
・自分に合う薬かどうか、薬剤師に直接相談したい

→ 実店舗であれば、薬剤師が対面でアドバイスしてくれる安心感があります。

 

痛みのタイプで薬を選ぼう

薬剤師として強調したいのは、どんな痛みかによって、薬は変わるということ。

ブスコパンは、けいれん性の内臓痛に特化した薬です。

発熱や炎症が原因の痛みには、効きません。

「お腹が痛いから、なんとなくこれ」ではなく、“だからこの薬を選ぶ”という選び方が重要です。

痛みのタイプ おすすめの薬 ズキズキする、炎症系の痛み ロキソニン(NSAIDs) 熱がある、全身のだるさ カロナール(アセトアミノフェン) キリキリ、グーッとくる腹痛 ブスコパン(抗コリン薬)

 

医師の受診が必要なケースも

以下のような場合は、市販薬で様子を見るのではなく、必ず医師の診察を受けてください。

・痛みが2日以上続く
・吐き気・発熱・血便などを伴う
・妊娠中・授乳中の方
・高齢者や持病のある方(特に緑内障・排尿障害)

市販薬はあくまで軽度な不調に対応するものであり、重症化する前に見極める判断力もセルフメディケーションの一部です。

 

ブスコパンA錠は、通販でも店舗でも簡単に入手できる、使いやすい市販薬です。

ただし、便利さに流されて、「どれでもいいや」で選ぶと、思うように効かなかったり、症状を見落としてしまうこともあります。

薬を“選ぶ力”こそが、セルフケアのカギになります。

手軽に買えるのは魅力だけど、“自分に合う薬を選ぶ力”が一番の安心につながりますね。

まとめ|効かせたいなら“選び方”がカギ

・けいれん性の腹痛に使う市販薬:ブスコパンA錠は「内臓の動きすぎ」に効く抗コリン薬。
・“痛みの種類”で薬を選ぶことが大切:炎症・発熱系には効果がない。
・運転や市販薬との併用に注意が必要:抗コリン作用が重複する恐れあり。

 

「腹痛=痛み止め」ではなく、どこが、なぜ痛むのかで薬は変わります。

ブスコパンは“動きすぎたお腹”にピンポイントで効く薬。

何となくで選ばず、「だからこの薬を選んだ」が言えるようになると、

セルフケアのレベルがグッと上がりますよ。

 

【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公式情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
◆ メーカー公式製品情報
ブスコパンA錠 | 製品情報