カロナール錠って?安全な薬?市販の薬についても解説
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、カロナール錠の名前が広く知れ渡りました。ワクチン接種時に起こる副反応の症状をやわらげるのにカロナール錠が使いやすいためです。一時期は、カロナール錠と同じ成分を含む市販薬が売り切れて、メーカー欠品を起こすほどでした。
ところで、そもそもカロナール錠とはどのようなお薬なのでしょうか。今回はカロナール錠の効果や副作用、市販で購入できるカロナール錠と同じ製品などを紹介します。
カロナール錠とは?
カロナールとは、数ある解熱鎮痛薬の商品の一つです。主成分としてアセトアミノフェンが配合されています。痛みや発熱に対して使われるお薬です。次の症状に対して効能効果を取得しています。
•頭痛、耳痛、症候性神経痛、腰痛症、筋肉痛、打撲痛、捻挫痛、月経痛、分娩後痛、がんによる疼痛、歯痛、歯科治療後の疼痛、変形性関節症の鎮痛
•急性上気道炎時の解熱・鎮痛
•小児科領域における解熱・鎮痛
アセトアミノフェンが主成分の医薬品には、錠剤のほかに粉やシロップ、坐薬などがあります。年齢や体重によって量を調節すれば、赤ちゃんからでも使用できることが特徴です。
カロナール錠の副作用は?
カロナール錠は、副作用が出づらい解熱鎮痛薬として知られています。解熱鎮痛薬といえば胃に負担がかかりやすいものですが、カロナール錠は胃腸系の副作用が少ないのです。
ただし、長期間にわたって服用することで、肝機能に影響を与える恐れがあります。もともとカロナール錠に含まれているアセトアミノフェンは、ほとんどが肝臓で代謝されるものです。過量のカロナール錠を服用すると、肝臓の代謝能力が間に合わなくなり、負担をかけてしまうと考えられています。
まれに重篤な肝障害が起こることがあるため、1日に1,500mgを超えて長期にわたり服用する場合は、定期的に肝機能の検査をしなければなりません。また、アセトアミノフェンが含まれているほかの薬との併用でも肝障害が起こることがあるので、風邪薬などと併用するときは配合成分に注意して使用する必要があります。
市販で購入可能なアセトアミノフェン製剤とは?
カロナール錠と同じ主成分であるアセトアミノフェンを含むお薬は、市販にも多くの種類があります。「カロナール」という名前の商品はありませんが、同等の効果が期待できるものが多くあるので、ここではその一例を見ていきましょう。今回は、主成分としてアセトアミノフェンのみを含む商品を紹介します。
タイレノールA
市販薬でもとくに知名度の高いアセトアミノフェンが主剤の商品です。悪寒や発熱があるときを除き、空腹時でも服用できます。海外での知名度も高く、観光客からの人気も高い商品です。
ラックル速溶錠
口の中に入れるとすぐに溶ける設計になっています。水なしで飲めるので、症状が気になったときにすぐ服用できるでしょう。錠剤をうまく飲み込めない方、のどの痛みが強くて嚥下が難しい方にも向いています。
小児用バファリンCⅡ
3才から服用できるお薬です。小さな子どもでも飲みやすいフルーツ味になっています。小粒なので錠剤を飲み込むのが苦手な方でも服用しやすいでしょう。水なしで噛んで服用できる「小児用バファリンチュアブル」もあります。
バファリンルナJ
7才から服用できるお薬です。眠くなる成分が配合されていないので、学校がある方でも気にせず服用できます。チュアブル錠になっているので水なしですぐに服用することが可能です。
こどもパブロン坐薬
お尻から入れるタイプなので、錠剤を飲み込めない子どもにも使用できます。1才から使用できるお薬です。食欲がないときや嘔吐しているときにも使いやすいでしょう。12才まで使用できます。
解熱鎮痛薬以外でアセトアミノフェンが含まれる市販薬は?
カロナールと同じ成分であるアセトアミノフェンが配合されているお薬は、解熱鎮痛薬だけではありません。市販されている風邪薬にも多くの商品にアセトアミノフェンが含まれています。
たとえばパブロンゴールドAや新ルルAゴールドDXなどは、アセトアミノフェンが主成分の代表的な商品です。風邪薬と解熱鎮痛薬は、一見するとまったく別の薬に見えるかもしれません。しかし、よくよく成分を見てみるとどちらも同じ成分が使われていることがあります。
解熱鎮痛薬と風邪薬を同時に飲むと、成分が重複する可能性がとても高いので一緒には使わないようにしてください。成分を重複して服用することで、胃腸障害が起きやすくなったり肝障害のリスクが上がったりします。
カロナール錠が効かないときは多めに飲んでもいい?
頭痛や発熱でカロナール錠を飲んでも、思ったより効果が出ないことがあるかもしれません。そのようなときでも、決して決められた量を超えて飲むことはしないようにしてください。
カロナール錠は効果がマイルド
カロナール錠は、いくつかある解熱鎮痛薬のなかでも効き目がマイルドなものとして知られています。イブプロフェンやロキソプロフェンと比べると効果が弱いので、人によっては物足りなく感じることがあるでしょう。そのような場合は、担当医へ相談してみてください。一度に服用するカロナール錠の量を調節してもらえたり、ほかの鎮痛剤を出してくれたりすることがあります。
市販薬は成分量が少ない場合がある
市販のアセトアミノフェン製剤と病院で貰えるカロナール錠とでは、含まれている成分の量が違うことがあるので注意しましょう。15歳以上の場合、市販薬だと1錠あたり300mgのアセトアミノフェンが含まれています。
一方、病院で貰えるカロナール錠の場合は、1錠あたり500mg含まれているものもあるのです。アセトアミノフェンは服用量が増えるにつれて効果も増していくので、成分量が少ない市販薬では望んでいる効果が出ないこともあるでしょう。
このような場合も、医師に相談してアセトアミノフェンの量を調節してもらうか、ほかの成分に変えてもらうようにしましょう。
まとめ
カロナール錠は、頭痛や発熱、歯痛などに効果がある解熱鎮痛薬です。胃の負担が少なく小さな子どもでも使いやすいことから、市販や医療用を問わず広く使用されています。胃腸障害が起こる頻度は少ないですが、人によって胃の負担を感じることがあるので、できるだけ食後に服用しましょう。
市販ではタイレノールAや小児用バファリンなどがありますので、使いやすいものを選んでみてください。なお、効果が不十分だと感じた場合は自己判断で飲む量を調節せずに、医師に相談するようにしましょう。
<参考資料>
カロナール錠、医薬品インタビューフォーム