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お薬コラム
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更新日:2022/06/19
市販の漢方薬でも副作用に注意が必要!薬剤師が解説

漢方薬は副作用がないってきくけど、本当なのかな。

市販薬でいろいろな漢方薬があるけど、使うときに注意することあるの?

 

薬局やドラッグストアにいくと、いろいろな市販の漢方薬が棚に並んでいますよね。さまざまな病気に対する漢方薬が販売されています。有名な漢方薬では、葛根湯や麻黄湯などの風邪に使える漢方薬があります。漢方としては多くの方に使用されている漢方ではないでしょうか。

 

今回は漢方薬の効果でなく、使用する上で注意すべきポイントをまとめます。

漢方薬の副作用って?
注意すべき漢方の成分(生薬)
漢方薬を使用する上で注意すべき人

 

市販の漢方薬も注意点をしっかりと気をつければ、使いやすいお薬です。この記事を読んで、漢方薬の注意すべきポイントをしっかり理解してくださいね。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 中森 彩斗

漢方薬の副作用は本当に少ないのか?

漢方薬は副作用も少なく、使いやすい薬と話しをきくことがありますよね。実際は、漢方薬も副作用や注意すべきことが多くあります。
ここでは、漢方薬の副作用や市販薬でも注意が必要なことを解説します。

代表的な漢方薬による副作用は?

漢方薬も薬として効果が認められた医薬品です。漢方薬は他の薬と一緒で飲み過ぎたりすれば体に負担がかかります。また、アレルギーなどがでてしまう人もいます。

市販薬による副作用の発生頻度を調べたデータでは、漢方薬も生産量が増えると副作用の報告が増えた結果が確認されているのです。

〈漢方薬により引き起こされる可能性のあるアレルギー、副作用の症状や病名〉

アレルギー 薬疹、肝障害、肺障害、膀胱炎など
過量服用 頻脈、動悸、高血圧、浮腫、神経浮腫、下痢など
代表的な病名 偽アルドステロン症、間質性肺炎など

アレルギーは飲んだ量に関係なくおこります。漢方薬を飲みはじめてから、今までになかった症状を感じるようであれば注意が必要です。ですが、病気の悪化による症状変化の可能性もあります。漢方薬を飲んで、今まで以上に体調が悪くなったと感じた人は、薬剤師や医師に相談してくださいね。

漢方薬にも1日に飲む量が決められています。飲み過ぎてしまうと体のいろいろな部分に症状がでるのです。漢方薬が一種類だけであれば問題になることはなくても、何種類も漢方薬を飲んでいる場合は副作用などの症状がでる可能性があります。

そこで、病院でもらう漢方薬と市販されている漢方薬には違いはあるのでしょうか。
次の項目で解説します。

市販薬でも注意は必要

漢方薬も市販薬だからといって副作用が起こりにくいわけではありません。また、漢方薬の成分も病院と市販薬で同じ物を含んでいます。

市販されている漢方薬によっては、病院でもらうものよりも成分の量が少なくなっているものもあります。

市販薬でも飲み過ぎてしまったり、何種類も飲んでしまったりすると副作用が出やすくなってしまうので注意してくださいね。

漢方薬で注意すべき成分はなに?

漢方薬を飲み過ぎてしまうと、頻脈動悸高血圧浮腫などがでる場合があると説明しました。代表的な成分と症状を紹介します。また、紹介した成分を含む漢方薬も紹介しますので参考にしてくださいね。

甘草(かんぞう)

甘草は、多くの漢方薬に使用される生薬です。甘草に含まれるグリチルリチンによって、むくみ、高血圧などの症状がおこる「偽アルドステロン症」が起こります。
参考漢方:甘草湯(かんぞうとう)、麦門冬湯(ばくもんどうとう)、五虎湯(ごことう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)、銀翹散(ぎんぎょうさん)、桔梗湯(ききょうとう)

麻黄(まおう)

麻黄は、頻脈、動悸、血圧上昇、排尿障害などに注意が必要な生薬です。心臓を治療されている方は控える必要があり、また体力虚弱には向かない生薬といわれています。
参考漢方:五虎湯(ごことう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)

附子(ぶし)

附子は動悸や吐き気、嘔吐や神経症状として、唇や舌のしびれ、手足のしびれに注意が必要な生薬です。ですが、発症はまれです。ただし、子どもへの使用は量の調整が難しく、子ども向けの市販薬にはあまり使用されません。
参考漢方:真武湯(しんぶとう)、八味地黄丸(はちみじおうがん)、大黄附子湯(だいおうぶしとう)、甘草附子湯(かんぞうぶしとう)

地黄(じおう)

地黄に関しては主に胃腸の症状に注意が必要です。胃もたれ、食欲不振、みぞおちの痛み、下痢などの症状です。地黄を含む漢方の中には、下痢などの症状に使用する漢方があります。症状が悪化している場合と判断が難しい場合があります。
参考漢方:牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう) 、八味地黄丸(はちみじおうがん)

黄ゴン(おうごん)

黄ゴンは、間質性肺炎や肝臓の機能に影響します。間質性肺炎の症状は、乾いた咳、息苦しさ、息切れなどです。肝臓の機能への影響は、発熱、痒み、発疹、黄疸などです。黄疸は、皮膚や白目が黄色くなります。ですが、黄疸に気がつくころには、全身のだるさも継続しているでしょう。
参考漢方:黄芩湯(おうごんとう)、小柴胡湯(しょうさいことう)、柴苓湯(さいれいとう)、防風通聖散(ぼうつうしょうさん)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

漢方薬を選ぶ際に注意して欲しいポイント

ここまでは注意して欲しい漢方薬について説明しました。ここからは「注意して欲しい人」について説明します。

病院で治療をしている方

すでに病院で定期的に薬をもらっている人は注意が必要です。過量服用でもお話ししましたが、病気によっては副作用がでやすい場合もあります。

薬局、ドラッグストアの薬剤師や医師に相談するようにしましょう。また、かかりつけ病院以外や薬局やドラッグストアで相談する際には、普段から飲んでいる薬がわかるように「お薬手帳」をもっていくと見せるだけで伝えられて便利です。

妊婦・授乳中の方

妊娠や授乳をしている方はぜひ、病院で相談するようにしてくださいね。
妊娠中は、必要最低限の薬を慎重に使用する必要があります。また、妊娠周期によっても使用できる薬が変わるのです。

授乳中の方は、妊娠しているときよりは使用できる薬は増えます。しかし、妊娠周期と同様に、授乳の状況によって使用できる薬は変わってきます。やはり、医師に相談してくださいね。

アレルギーをもっている方

漢方薬の成分は「生薬」といわれる天然の素材です。生薬は、多くが植物です。多くの食品に関して、アレルギーをもっている人は、漢方薬の成分でもアレルギーを起こしてしまう可能性があります。

アレルギーに関係する食物と生薬を一部紹介します。

食品名 生薬名
 小麦  小麦(ショウバク)
 ごま  胡麻(ゴマ)
 もも  桃仁(トウニン)
 さといも  半夏(ハンゲ)
 カキ  牡蛎(ボレイ)

このようにアレルギーと関係する生薬を含む漢方薬が多く存在します。
食品アレルギーを多くもつ人は、薬剤師や医師に相談するくださいね。

まとめ

漢方薬も他の医薬品と同様に正しく使用することで効果を発揮してくれます。また、病気の症状を治すだけでなく、体質に対してもアプローチできる医薬品です。

・漢方薬にもアレルギーや副作用があり飲みはじめからも注意が必要
・市販の漢方薬を使いはじめてから、体調が改善しないなら薬剤師や医師に相談
・普段から病院に通っている人、妊婦や授乳中の人、食物アレルギーのある人は医師に相談

上記に注意点をしっかりと確認して、市販の漢方薬を使用するようにしてください。もちろん、病院にいく前に悩むことがあれば、ぜひ薬局やドラッグストアの薬剤師に気軽に相談してくださいね。