クラリチン錠10㎎(医療用医薬品)は市販で買える?
「クラリチン錠」という薬をご存じですか?アレルギー性鼻炎や皮膚の湿疹などに使われる医療用医薬品です。クラリチン錠の有効成分は「ロラタジン」で、市販薬でも同様のものを購入することができます。今回は、クラリチン錠についての使い方や注意点についてご紹介します。
購入可能な市販薬とは?
医療用医薬品の「クラリチン錠」と同じ有効成分を同量含む市販薬が、いくつか販売されています。医療用とは違い、アレルギー鼻炎専用の薬として販売されており、蕁麻疹や皮膚のかゆみに使うことはできません。
クラリチンEX
医療用医薬品と同じ有効成分「ロラタジン」を同じ量配合した薬です。1日1回でしっかり長く効き、比較的眠くなりにくい成分なので、働いている方でも飲み忘れや眠気の心配が少なく、使いやすいといえます。15歳以上から使用可能です。
クラリチンEX OD錠
クラリチンEXと同様の薬で、水なしで飲めるOD錠タイプです。
ロラタジンAG
クラリチンのシリーズと同様に、医療用医薬品と同じ量のロラタジンが含まれた薬です。1箱で30日分(30錠)となっており、1日あたりのコストを安く抑えられます。
医療用医薬品としての基本情報
医療用医薬品のクラリチン錠について、効果や使い方をご紹介します。
クラリチン錠10㎎の主成分とは?
有効成分の「ロラタジン」が10㎎を含まれています。
ロラタジンは第2世代の抗ヒスタミン薬という種類の薬で、眠気、口の渇きといった副作用が少ないのが特徴です。効果の持続時間が長く、1日1回の服用で24時間効果を発揮します。
クラリチン錠は、抗アレルギー作用と抗ヒスタミン作用の2つを持ち、アレルギー性鼻炎の症状をしっかりと抑えてくれます。
抗アレルギー作用というのは、アレルギー症状の原因となる「ヒスタミン」が体内で放出されないようにブロックする働きです。アレルギー物質そのものが出てこないようにするので、症状の緩和が期待できます。
それでも、ヒスタミンの放出を完全に抑えることはできません。ヒスタミンは、体内で「受容体」と呼ばれるスイッチを押します。このスイッチが押されると、鼻水やくしゃみといったアレルギー症状が出る仕組みです。
抗ヒスタミン作用は、放出された「ヒスタミン」がアレルギー症状を起こすスイッチを押さないよう、スイッチの周りでブロックする作用のことをいいます。
クラリチン錠10㎎の効能は?
医療用医薬品のクラリチン錠は、いくつかの病気・状態に対して効果があります。
・アレルギー性鼻炎
・蕁麻疹
・皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
一方、市販薬はアレルギー性鼻炎薬にしか使用できません。蕁麻疹や湿疹、皮膚炎などは、治療の必要なほかの病気との区別のために受診する必要があります。
クラリチン錠10㎎の使い方
クラリチン錠は、1日1回、食後に内服します。朝昼夕のどのタイミングでもかまいませんので、ご自身が忘れずに続けられる時間帯を選びましょう。
もし飲み忘れてしまったときには、次の食事のタイミングで内服するか、1日分飛ばしてください。
花粉症に伴う鼻炎に使用する場合は、花粉が飛び始める前から飲み始め、シーズンが終わるまで続けることが望ましいです。早いうちに飲み始めることで、症状を軽く抑えることができます。
クラリチン錠10㎎の医療用医薬品の種類
医療用医薬品のクラリチン錠は、他にも2種類の剤形が存在します。
・クラリチンレディタブ錠10㎎
水なしで飲める口腔内崩壊錠です。7歳以上から使用できます。濡れた手で触ると溶けてしまうため、よく乾かしてから扱ってください。
水なしですぐに溶けますが、成分は口の粘膜から吸収されないので、水か唾液で飲み込むようにしましょう。
・クラリチンドライシロップ1%
水に溶かして飲むことができるドライシロップタイプ(粉薬)です。3歳以上のお子さまで、量の調節が必要な場合などに使われます。わずかに甘みがあり、ニオイはありません。少量の水で溶かして飲むことができるので、粉薬が苦手なお子さまでも安心です。
クラリチン錠10㎎の注意点
クラリチン錠は比較的誰でも使用できる薬ですが、いくつか気をつけたい点もあります。注意点を守り、安全に使用しましょう。
腎機能の悪い方、ご高齢の方
腎機能の悪い方は、クラリチンの血液中の濃度が高くなってしまう場合があります。思わぬ副作用を起こすことがあるため、注意してください。ご高齢の方は、とくに腎臓が悪いと指摘されていなくても、年齢とともに腎臓の働きは落ちるものです。
一時的に市販薬を使用する分にはよいですが、長期に使用したい場合は病院でご相談ください。
喘息、慢性副鼻腔炎の方
喘息、慢性副鼻腔炎で、「エリスロマイシン」という薬を長期間飲んでいる方がいます。エリスロマイシンを飲んでいる方は、クラリチンの服用を避けてください。
エリスロマイシンとクラリチンを一緒に飲むことで、クラリチンの作用が強くなりすぎてしまい、副作用が生じる危険性が高まります。
影響のないアレルギー性鼻炎の薬はいくつもありますので、医師や薬剤師にご相談ください。
シメチジンという胃薬を使っている方
シメチジン(先発品:タガメット錠)という成分の胃薬を使っている方は、クラリチンの服用を避けてください。シメチジンとクラリチンを一緒に飲むことで、クラリチンの作用が強くなりすぎてしまい、副作用が生じる危険性が高まります。
ほかの胃薬であれば問題ありません。シメチジンを飲んでいる方は、影響のないアレルギー鼻炎の薬について医師や薬剤師にご相談ください。
妊婦・授乳婦の方
妊婦・授乳婦の方は、クラリチンを自己判断で飲まないようにしましょう。
お腹の中の赤ちゃんへ成分が渡ってしまうことがあります。また、母乳を通して赤ちゃんがクラリチンの成分を摂取してしまうかもしれません。
妊娠中・授乳中でも使用できるアレルギー性鼻炎の薬はありますので、我慢せず耳鼻科等でご相談ください。
まとめ
今回は、アレルギー性鼻炎などに使われる医療用医薬品「クラリチン錠」について、その効果や使い方、注意点をまとめました。
クラリチンは、比較的安全にどなたでも使用できる薬です。1日1回の服用で眠くなりにくい薬のため、学校や仕事のある日でも使いやすいでしょう。
市販薬でも同様のものを購入できます。アレルギー性鼻炎の症状でお悩みの方は、試してみてはいかがでしょうか。
〈参考資料〉
・クラリチン錠10mg・レディタブ錠10mg 添付文書