『うおの目、たこ、いぼ』について
手や足にできたうおの目・たこ・いぼでお困りの方はいませんか?
あまり痛みがなくても、目につく場所であれば気になるものですよね。今回は、3つの皮膚の病気について、違いや対処方法をお伝えします。
うおの目・たこ・いぼの違いとは?
似たような見た目ですが、皮膚の変化は、それぞれ違う原因で起きています。
うおの目は足への圧迫刺激が原因
うおの目は、主に足の裏・足の指にできる皮膚病変です。一定の場所に強い圧迫刺激がかかり続けることで、角質が厚く固くなり、さらには内側に向かって鉛筆の芯のように食い込んでいきます。うおの目は、内側に尖った角質によって痛みがあるのが特徴。 |
また、子どもにはほとんどできません。子どもの足の裏にうおの目のようなものを見つけた場合、それは「ミルメシア」と呼ばれる“いぼ”のことが多いです。
たこは外側に盛り上がるのが特徴
たこは、うおの目とよく似ていますが、まったく違ったでき方をしています。 特定の場所に刺激がかかり続けることで、刺激を受けた周辺の皮膚全体の角質が厚くなるのは同じです。うおの目とは違い、外側に向かって硬い皮膚が盛り上がり、痛みはあまり感じません。 |
いぼはウイルスによるものが大半
いぼは、さまざまな種類がありますが、一般的に“いぼ”と言ったときにはウイルス性のいぼを指します。伝染性軟属腫ウイルスや、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因です。1つできてしまうと、他の箇所や他人にうつる可能性があります。 いぼの原因となるHPVは、子宮頸がんや性感染症の1種であるコンジローマを引き起こすHPVとは別の種類。いぼから感染する心配はありません。 |
治療方法の違いは?
うおの目、たこ、いぼが似て非なる皮膚の病気だということをお伝えしました。それぞれ、治療方法にも違いがあります。
うおの目・たこは角質を柔らかくする
うおの目は、尖った角質が内側に向かって食い込んでいるため、痛みがあります。食い込んだ角質を除去するのが一番の治療です。
たこは、あまり痛みを伴わないことが多いですが、必要に応じて除去します。
うおの目・たこの治療のためには、角質を柔らかくすることが必要です。「サリチル酸」の塗布で角質が柔らかくなります。
スピール膏ワンタッチEX
サリチル酸の角質軟化溶解作用を利用した角質剥離剤です。患部のみに薬剤が浸透できるようサイズ調節シールが付属しています。保護用パッドにより外部からの刺激を守ります。
イボコロリ
液体タイプのサリチル酸製剤で、硬くなった皮膚にピンポイントで塗布できます。
スピール膏ワンタッチEX、イボコロリを使用する際の注意
サリチル酸が含まれたスピール膏を使用する際の注意点は、うおの目やたこの中心部に合わせてシールを小さく切ることです。あまり広範囲に貼ってしまうと、正常な皮膚までふやけてしまいます。ふやけて傷ついた皮膚から細菌が入り、感染症を起こしてしまうことも。小さすぎるかなと思うくらいの大きさで貼ってください。
また、スピール膏が剥がれないよう、テープや絆創膏で固定した方がよいでしょう。
液体タイプのサリチル酸製剤イボコロリも、正常な皮膚につかないように使用します。もし他の部位についた場合にはすぐに拭き取ってください。
うおの目の痛みがひどい場合には、メスで切り取る処置を受けた方が良いかもしれません。市販薬の対応で改善が見られない場合、皮膚科で相談しましょう。
イボコロリは、うおの目・たこ・いぼの全てに効果があります。ただし、子どもに多い「水いぼ」には使用できません。表面の固くなっているいぼにだけ使うようにしてください。
いぼは皮膚科受診が必要かも
いぼの原因はウイルスが多く、感染性もあります。そのため、皮膚科で液体窒素などを使った治療が効果的です。
いぼは自然に治ることもありますが、皮膚科で治療をおこなった方が治りは早まります。ただし、ウイルス性のいぼは、皮膚科で治療したとしてもすぐには治癒しません。長ければ半年〜1年通うこともあります。気長に根気よく治療することが大切です。
内服では、生薬の1種である「ヨクイニン」をウイルス性のいぼに使用できます。ヨクイニンは、ウイルスを攻撃する免疫細胞の働きを高めるとされ、自然治癒を待つよりは治癒率が高いです。
錠剤・粉薬のほかに煎じ薬のタイプもあります。煎じるタイプは、ヨクイニンを煮詰めて内服します。少し手間がかかるので、まずは錠剤や粉薬のタイプを試すのがよいでしょう。
イボコロリ内服錠
有効成分ヨクイニンエキスが、いぼや肌荒れに効果を発揮します。
セルフケアの注意点は?
うおの目・たこ・いぼは市販薬でもある程度対応が可能です。そのため、自己流の処置で漫然と過ごしてしまう方も少なくありません。
ただ、市販薬を使っても治らない場合や何度も繰り返してしまう場合、思っているのとは違う病気が隠れている可能性も。たとえば、足裏に腫瘍があることで圧迫刺激を受けやすく、たこが何度もできるという場合も考えられます。うおの目を取ろうと自己流の処置で傷をつけてしまい、感染症を起こすという報告もまれにあります。たかがうおの目、と考えずに、長引いている方は皮膚科を受診しましょう。
うおの目・たこ・いぼを作らないためには?
うおの目・たこは、以下のようなさまざまな原因で生じます。
・足の形の問題でできやすい
・靴が合っていない
・革靴などの固い靴で長時間歩く
・歩き方の問題
・加齢や病気で痩せて脂肪が減った
改善の難しい原因もありますが、一番簡単な対処法は靴を見直すことです。
専門店で足の形にあう靴を選ぶ、インソールを入れて足の裏への圧迫刺激を軽減するなどしてみましょう。
また、日頃から足の裏をよく観察し、保湿剤や角質除去剤を使うなどセルフケアもおこなうと効果的。角質除去剤としては、尿素クリームやサリチル酸ワセリンがおすすめです。
いぼの原因となるウイルスは、指のささくれや皮膚の小さな傷跡から体に侵入します。ささくれや傷ができないよう、保湿ケアをすることが大切です。また、顔にできる平べったいタイプのいぼ(扁平性疣贅)は、ニキビと間違われやすいもの。扁平性疣贅もウイルス性なので、触っているとどんどん広がってしまいます。治りが悪いなと思ったら、できるだけ触らず、皮膚科で診てもらうことも考えましょう。
まとめ
今回は、うおの目・たこ・いぼの3種類の皮膚の病気について解説しました。
見た目には似ていますが、原因や対処法はそれぞれ異なります。市販薬でもある程度対処可能なので、使用方法をよく確認しながらセルフケアをおこなってください。予防のためには、足の形に合った靴を履くこと、足裏の保湿をすること、ささくれや傷ができないようケアすることが大切です。
市販薬でもなかなか治らず長引いている場合には、別の病気の可能性もあります。一度皮膚科を受診してみましょう。
<参考資料>
・石也 尚興. 第81回日本皮膚科学会東京支部学術大会③ 教育講演2 難治性ウイルス性疣贅の治療. 2018
・日本皮膚科学会ホームページ 皮膚科Q&A
・長谷川泰子 他. 趾間部の鶏眼から骨髄炎を発症したと考えられた3例. 創傷 5 (1): 45-50, 2014.