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お薬コラム
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更新日:2025/05/07

夏の下痢に効く!薬剤師が選んだ市販薬7選【冷え・食あたり・体質別】

「また夏になるとお腹が…」そんな経験、ありませんか?

 

冷たい飲み物や冷房による“冷え”、食あたり、水分バランスの乱れなど、夏の下痢にはさまざまな原因があります。

 

本記事では、薬剤師の視点で“すぐに効く”ものから“体質を整える”薬まで7つを厳選。

 

症状別に合う薬の選び方や使用上の注意も、わかりやすくご紹介します。

薬剤師ライター クロロボ
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第1章:夏に下痢が増えるのはなぜ?代表的な原因を整理

夏になると「お腹の調子が悪いな…」と感じる人、実は少なくありません。

特に、下痢の症状で悩む人が一気に増えるのがこの時期の特徴です。

ではなぜ、夏は下痢を起こしやすいのでしょうか?

ここでは、夏場に多い3つの原因と、受診すべき目安を整理しておきます。

冷えによる腸の過剰反応

夏の下痢でまず挙げられるのが、「冷え」です。

冷房が効きすぎたオフィスや電車、冷たい飲み物やアイスの摂りすぎ。

これらが腸をじわじわ冷やし、腸のぜん動運動を過剰に刺激します。

すると、便が十分に水分を吸収される前に排出され、結果「軟便」や「水様便」になってしまうのです。

冷たいのばっか飲んでたら、そりゃお腹もグルグル言うよね〜

とくに女性や冷え性の人エアコンが苦手な人は要注意。

クーラーの効いた室内で長時間過ごすと、自覚がないまま内臓の冷えが進んでしまいます。

食あたり・水あたりによる下痢

次に多いのが、食中毒や水分摂取による下痢(いわゆる水あたり)です。

高温多湿な環境では、細菌やウイルスが食べ物や飲み水に繁殖しやすくなります。

たとえば、調理後に常温で長時間置かれたお弁当、手洗いが不十分なまま調理した料理などは要注意。

このようなケースでは、体が有害物質を早く外に出そうとして腸の動きが活発になり、急な腹痛や吐き気、下痢につながります。

暑い時期は、ちょっとした油断でお腹を壊しがちです。食べ物や水まわりの衛生管理、いつもより丁寧にしておきたいですね。

また、水道水が原因となるケース(井戸水や古い配管など)もゼロではありません。

旅先での「水が合わない」トラブルも、まさにこのタイプです。

水分バランスの乱れと脱水傾向

もうひとつ見落としがちなのが、体内の水分・電解質バランスの乱れです。

夏は発汗量が多くなり、水分補給をこまめに行うようにはなりますが、

冷たい飲み物やカフェイン、アルコール類ばかり摂取すると、かえって腸内環境が乱れやすくなります。

腸は水分量の変化に敏感。

摂取と排出のバランスが崩れると、便の性状も不安定になりやすいというわけです。

加えて、夏場に多い「栄養の偏り」や「食べすぎ」も、腸への負担を増やします。

冷たい麺類やコンビニ食に偏ると、消化機能が弱まり、結果的に下痢を引き起こすこともあります。

夏って食も飲み物も偏りがちだよね〜。気づいたらお腹もぐったり…ボクもたまにはあったかいの飲むようにしてるよ〜!

急性・慢性の判断と、受診の目安

下痢には「急性」と「慢性」があります。

大まかな目安は症状の持続期間が1週間以内かどうかです。

急性下痢:数時間~数日でおさまるもの(食あたり、冷えなど)

慢性下痢:数週間以上、再発をくり返すもの(体質・疾患が疑われる)

慢性のケースでは、「過敏性腸症候群」「潰瘍性大腸炎」などの病気が隠れていることも。

1週間以上くり返す下痢は、単なる体調不良ではなく病気のサインかもしれません。早めに消化器内科を受診しましょう。

また、以下のような症状があれば、自己判断せず早めの受診が必要です。

・血便が出る
・吐き気・嘔吐をともなう
・発熱している
・下痢が1週間以上続く
・脱水症状(口の渇き・尿が出ない)を感じる

下痢の原因を見極めるのが最初の一歩

夏の下痢は「冷え・食あたり・水分バランス」が3大要因です。

どれが原因かを整理するだけでも、対応策や薬の選び方が変わってきます。

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第2章:夏の下痢に効く!薬剤師がすすめる市販薬7選

夏の下痢は、「冷え」「食あたり」「体質の弱さ」など原因によって選ぶべき薬が異なります。

薬の選び方を間違えると、逆に症状が長引くこともあるため要注意。

この章では、薬剤師としておすすめできる市販薬を、原因タイプ別に厳選7種紹介します。

まず確認!下痢のタイプは大きく3つ

冷え・緊張タイプ

冷たい飲み物や冷房の影響で腸が刺激され、一気にトイレに駆け込むような症状。

一過性であることが多く、外出先などでも突然襲われやすいタイプです。

 

食あたり・水あたりタイプ

細菌やウイルスが原因で、食中毒のように発熱や嘔吐を伴うケースも。

旅行先や夏のバーベキューなどで起きやすく、感染性の可能性もあるので注意が必要です。

 

胃腸虚弱・体質由来タイプ

もともと胃腸が弱い人が、夏の疲労や寝冷え、水分のとりすぎなどで下痢を起こしやすくなります。

慢性的にお腹の調子が不安定な人は、体質から見直すケアが効果的です。

タイプ別|夏の下痢におすすめ市販薬【厳選7種】

上記の3タイプに合わせたおすすめ薬を、以下の表にまとめました。

タイプ 製品名 特徴 冷え・緊張 ストッパ下痢止めEX 水なしで服用可能。 突発的な下痢に対応。 トメダインコーワ 口で溶けるフィルムタイプ。 フィルム 携帯に便利。 食あたり・ 正露丸クイックC 液体カプセルで即効性あり。 水あたり ワカ末止瀉薬錠 生薬配合で腸の調子を整える。 スメクタテスミン 天然成分が有害物質を吸着・除去。 胃腸虚弱・ ビオスリーHi錠 3種の生菌が腸内環境を整える。 体質由来 ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒A 漢方薬で水分バランスを調整。

代表的な薬の成分と使い方のポイント

【冷え・緊張タイプにおすすめ】

ストッパ下痢止めEX

急な下痢に即効で効く定番の止瀉薬です。
水なしで飲める小さな錠剤なので、外出時にも重宝します。

有効成分:ロートエキス(腸の動きを抑える)
対象年齢:15歳以上
車の運転:控えること(目のかすみ,異常なまぶしさ副作用あり)
服用タイミング:症状が出たときに1錠(1日3回まで)

 

トメダインコーワフィルム

薄型フィルムで舌にのせるだけ。
コンパクトなのに、成分はしっかりしていて冷えに由来する下痢に有効です。

有効成分:ロペラミド塩酸塩
対象年齢:15歳以上
車の運転:控えること(眠気の副作用あり)
服用タイミング:症状が出たときに1錠(1日2回まで)

水なしOK&持ち運びやすい薄型フィルム。外出先の急な下痢にもすぐ使えて、頼れる一枚です。

 

【食あたり・水あたりタイプにおすすめ】

正露丸クイックC

おなじみの正露丸を、ニオイが気にならない液体カプセルに改良。
有効成分が腸管内の水分量を調整し、下痢を改善します。

有効成分:木クレオソート
対象年齢:5歳以上
車の運転:可能
服用タイミング:症状が出たときに1錠(1日3回まで)

下痢と痛みにすばやく効く成分配合。食あたり・水あたりには、常備しておくと安心ですね。

 

ワカ末止瀉薬錠

ベルベリン塩化物水和物や生薬が配合された、比較的マイルドな下痢止め。
粘膜保護と殺菌のバランスがよく、胃にもやさしい。

有効成分:ベルベリン塩化物水和物、ゲンノショウコエキス
対象年齢:8歳以上
車の運転:可能
服用タイミング:症状が出たときに1錠(1日3回まで)

 

スメクタテスミン

フランス製の天然ケイ酸アルミニウム(スメクタイト)を配合。
腸粘膜の保護と水分バランスの改善に優れています。

有効成分:天然ケイ酸アルミニウム(スメクタイト)
対象年齢:11歳以上
車の運転:可能
服用タイミング:症状が出たときに1錠(1日3回まで)

 

【胃腸虚弱・体質由来タイプにおすすめ】

ビオスリーHi錠

3種類の活性菌(乳酸菌・酪酸菌・糖化菌)を配合。
腸内環境を整えて、下痢を起こしにくい体質に導きます。

有効成分:乳酸菌・糖化菌・酪酸菌
対象年齢:5歳以上
車の運転:可能
服用タイミング:毎食後

下痢にも便秘にも使える整腸剤。PTP包装タイプなら外出先でも使いやすくて便利です!

 

ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒A

水分代謝を整える漢方薬。
下痢だけでなく、むくみや口渇、頭痛など“水”にまつわる不調にまとめて対応できます。

有効成分:五苓散(チョレイ・タクシャ・ブクリョウなど5種の生薬)
対象年齢:2歳以上(成人用)
車の運転:可能
服用タイミング:食前または食間

 

このように、夏の下痢には「原因に合った薬選び」が重要です。

タイプ別に特徴を押さえたうえで、自分や家族に合う薬を選んでみてください。

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第3章:薬に頼りすぎない!下痢を防ぐ夏の生活習慣

「夏になるとお腹がゆるくなる」「薬に頼るのは気が引ける」——そんな声、よく聞きます。

実際、夏の下痢は日々の生活習慣に左右されることも多く、ちょっとした工夫でグッと予防できるんです。

この章では、食事・冷え対策・整腸ケアの3方向から、薬に頼りすぎない体づくりをサポートします。

 

冷たい麺や脂ものばかり?夏の“ゆる腹”を招く食習慣

夏は食欲が落ちて、つい冷たいそうめんやアイス、揚げ物に偏りがちです。

でも、これらは腸を冷やしたり、消化に時間がかかるので、実は下痢の原因に。

特に「冷たいもの+脂っこいもの」の組み合わせは腸にとって負担が大きく、

胃腸が弱い人は、これだけでお腹を壊すこともあります。

ボクも冷やし中華にコロッケのせて食べたら、お腹が大騒ぎだったよ〜!おいしいけど、腸は悲鳴あげてたかも…!

 

おすすめの食べ物・飲み物は“やさしい”がキーワード

お腹に優しい食事の代表格は、おかゆ・うどん・具だくさんスープ

特に、温かくて消化のよいものを意識すると、腸の働きが落ち着きやすくなります。

飲み物も同様で、以下のようなものがベストです:

・白湯・常温の麦茶:水分補給しつつ、腸を冷やさない
・経口補水液:下痢時の脱水対策に。常備しておくと安心
・野菜スープ・味噌汁:電解質やミネラルを補える

一方、炭酸・アルコール・乳製品は、症状があるときは控えたほうが無難です。

おすすめの食べ物・飲み物は“やさしい”がキーワード

 

冷え対策は「昼と夜」で使い分けを

意外と見落とされがちなのが、冷房による冷え

日中は冷房が効いた室内に長時間いることで、腸がじわじわ冷えていきます。

さらに、寝ている間にお腹が冷えると、朝の下痢につながるケースも。

対策はシンプルです:

・室温は25〜27度を目安に。冷やしすぎない
・寝るときは腹巻きや薄手のタオルケットを活用
・足元や首元を冷やさない服装を意識

寝汗対策にエアコンつけっぱなしにして、お腹だけ冷えてることってありますよね……。

 

整腸ケアも忘れずに!毎日の積み重ねが大事

腸内環境を整えるには、腸にいい菌を毎日補うことも大切。

ヨーグルトや発酵食品を意識するのも一つですが、

「合うか分からない」「味が苦手」な方は、整腸剤や乳酸菌製剤を生活に取り入れるのもおすすめです。

たとえば:

ビオスリーHi錠:3種の菌が腸のバランスを調整
新ビオフェルミンS錠:乳酸菌のみでマイルドに整える

加えて、便通のリズムを保つこと・軽い運動や入浴で血流を促すことも、

腸を元気に保つための大切な日課です。

薬を飲まなくても調子がよくなる。

そんな体を目指して、まずは日常の小さな工夫から始めてみませんか?

まとめ|夏の下痢、薬と生活習慣でしっかり対策

●夏の下痢は「冷え・食あたり・体質」でタイプが分かれる
原因に合った薬を選ばないと、逆に悪化することもあります。

●タイプ別に7種類の市販薬を紹介
ストッパや正露丸クイックC、ビオスリーHi錠など、それぞれに特徴があります。

●薬だけに頼らず、食事や冷え対策も重要
冷たい食べ物の摂りすぎや、寝冷えが意外な落とし穴に。

●整腸剤や乳酸菌で、腸内環境の底上げを
体質から整える意識も、再発予防には効果的です。

夏の下痢って、「たまたま」じゃなくて、毎年繰り返してる人も多いですよね。

そういうときこそ、“薬を飲んで終わり”じゃなくて、生活を見直すきっかけにするといいかもしれません。

薬はあくまで「手段」。

冷え対策や整腸ケアも一緒に取り入れて、お腹の調子が崩れにくい体づくりをしていきましょう。

常備薬も、この機会に見直しておくと安心です。

 

【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公式情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
◆ メーカー公式製品情報(医薬品・サプリメント含む)
ライオン|ストッパ下痢止めEX
興和|トメダインコーワフィルム
大幸薬品|正露丸クイックC
クラシエ薬品|ワカ末止瀉薬錠
佐藤製薬|スメクタテスミン
ビオスリー製薬|ビオスリーHi錠
ツムラ|ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒A