疲労に効く栄養ドリンクの選び方は?有効成分やポイントを薬剤師が解説
「疲れた。体が重い。」そんな時に背中を一押ししてくれるのが栄養ドリンクです。
ただ、購入する際「目につく製品から適当に選んでいる」という人も多いのではないでしょうか?
栄養ドリンクには、体の疲労を回復させるビタミンやアミノ酸が含まれていますが、製品によってその配合はさまざまです。
含まれる成分を踏まえて製品を選ぶことで、よりあなたの疲れに適した製品に巡り合えるかもしれませんよ。
このコラムでは、栄養ドリンクに含まれる疲労回復をサポートする栄養素について分かりやすくご説明させていただきます。
その後、選び方のポイントを踏まえ、おすすめの製品をご紹介させていただきますね。
疲労に効果がある栄養ドリンクとは?
栄養ドリンクには、医薬品、医薬部外品(指定医薬部外品)に属する製品があり、配合されている有効成分に基づき「効能・効果」が定められています。
おおよその栄養ドリンクには、疲労を回復する効果のあるビタミンB群などが含まれることで、「疲労の回復・予防」や「疲労時の栄養補給」などといった効能・効果の記載があります。
そのため、基本的にはどの栄養ドリンクであっても疲労に効果を示すとも言えます。
しかし、「ビタミンB群」以外にも、疲労に効果を示す成分はたくさんありますし、寝不足からくる疲労なのか、それとも肉体を酷使したことでの疲労なのか、はたまた風邪など病気からくる疲労感なのか、疲労の原因や種類によって適した成分も少しずつ異なります。
風邪の時におすすめの栄養ドリンクはこちらのコラムもご参照ください。
疲労回復の効果がある有効成分とは?
栄養ドリンクに含まれる疲労回復に対して効果のある有効成分について、代表的なものを解説します。
<ビタミンB群>
ビタミンB群とは、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン(ニコチン酸アミド)、ビオチン、パントテン酸、葉酸の8種類をまとめて呼ぶ名称です。
これらの中でも、特に疲労に関して効果的なのがB1、B2、B6と言われています。
エネルギー不足からくる疲労全般、また、幸福感や、やる気を感じさせる脳のホルモンを作るサポートをするため、ストレスによる疲労にも効果的です。
3つのビタミンの役割について簡単にご紹介しますね。
・ビタミンB1(チアミン)
「疲労回復ビタミン」とも呼ばれるほど、疲労に対して有効な成分です。
人間が活動するにあたって、メインとなるエネルギー源の「糖質(炭水化物)」の代謝をサポートする役割があります。
糖質は脳のエネルギー源でもあるため、ビタミンB1を補給することでイライラややる気が出ないといった疲労感も回復してくれます。
・ビタミンB2(リボフラビン)
「脂質」の代謝をサポートすることで、エネルギーを補給してくれます。
また、髪の毛や爪、また皮膚や粘膜の健康維持にも関わるビタミンのため、美肌効果が期待できますし、口内炎に対しても有効です。
・ビタミンB6(ピリドキシン)
「たんぱく質」の代謝に関わることで、筋肉や血液などを作るサポートを行います。
ビタミンB2と同じく、肌荒れや口内炎などに対して効果があります。
<ビタミンC(アスコルビン酸)>
昔は乳酸が疲労の原因であるとされていましたが、最新の研究から、疲労は体内に活性酸素が増えることで起こるダメージであることが分かってきました。
ビタミンCには、抗酸化作用があり、活性酸素を抑える働きがあるため、疲労回復に有効だとされています。
<アミノ酸>
アミノ酸は、筋肉などを含む人間の約20%を構成する「タンパク質」の元になる栄養素です。
種類によって体の中での働きもそれぞれ異なりますが、その中でも疲労に効果があると言われるアミノ酸をご紹介します。
・カルニチン
ビタミンCと同様に、抗酸化作用を持つことで、疲労に対して効果を示します。
また、脂質の代謝にも関与することで、エネルギーを作り出して肉体疲労を改善するほか、ダイエットにも適した成分であると言われています。
・タウリン(アミノエチルスルホン酸)
多くの栄養ドリンクに配合されている成分で、「血圧上昇を抑制する作用」と、「肝臓の働きを助ける作用」があると言われています。
疲れに効くメカニズムは完全には解明されていませんが、筋肉疲労の原因となる老廃物の除去を助け、疲れを改善するなどの説が考えられています。
・BCAA
バリン、ロイシン、イソロイシンという3種類の分岐鎖アミノ酸の総称です。
運動中のエネルギー源として使われるため、筋肉疲労時にはこれらのアミノ酸の摂取が効果的です。
・アルギニン
アルギニンは疲労物質の1種とされるアンモニアの産生を抑える作用があります。
また、成長ホルモンの分泌を促進することで、脂肪燃焼・筋肉増加に働きかけることも報告されています。
疲労回復を目的とした栄養ドリンクを選ぶポイント
カフェインの有無で決める
カフェインは栄養ドリンクに含まれていることが多い成分です。
覚醒作用があるため、眠気を飛ばしたり集中力を上げたりする効果がありますが、その分寝る前やリラックスしたいタイミングでは不向きな成分でもあります。
また、カフェインは大量に摂取すると人体にとって悪影響を及ぼす可能性もあるため、普段からコーヒーなどをたくさん飲む方は摂取量に注意が必要です。
カロリーで決める
栄養ドリンクに含まれるカロリーは100kcalほどあるものから、10kcal以下のものまでさまざまです。
飲みやすさアップのために糖分が加わることなどが、カロリーの差が出る理由と言えるでしょう。
カロリーを気にする人は、味や飲みやすさとの兼ね合いを見て、糖類ゼロやカロリーオフのものがおすすめです。
日中に飲むか寝る前に飲むか
日中に疲労を感じて元気を出したい時には、カフェインありの製品を選ぶと覚醒作用により効果を感じやすいですが、寝る前に飲むと寝つきが悪くなって、かえって疲労の原因になってしまうことも。
寝ている間に疲労を回復したい方は、カフェインレスの製品を選ぶ方が良いでしょう。
また、グリシンというアミノ酸は睡眠の質を高めると言われているため、グリシン入りの製品を選ぶとより良いでしょう。
おすすめの栄養ドリンク6選!
定番の製品から選びたい人へ
リポビタンD
有効成分:タウリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、イノシトール、ニコチン酸アミド、無水カフェイン
カロリー:74kcal
カフェイン:◯
特徴:60周年を迎えたリポビタンシリーズで、一番昔から販売されているオーソドックスな製品です。
「ファイト、イッパーツ」のフレーズでも有名で、コンビニなどでもよく見かけることができるでしょう。
パイナップルベースのミックスフルーツ風味です。
チオビタドリンク
有効成分:タウリン、イノシトール、ニコチン酸アミド、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、カルニチン塩化物 、無水カフェイン
カロリー:70kcal
カフェイン:◯
特徴:「愛情一本」でお馴染みの、50年以上に渡って愛されるロングセラー製品です。
疲れを取るビタミンB群に、カルニチンやタウリンが配合されています。
飲みやすいミックスフルーツ風味で、1本あたりの値段が安いのも魅力の1つです。
BCAA配合で肉体疲労にお勧め!
リポビタンライフ
有効成分:タウリン、L-バリン、L-ロイシン、L-イソロイシン、L-アルギニン塩酸塩、ローヤルゼリー、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ニコチン酸アミド、イノシトール、無水カフェイン
カロリー:64kcal
カフェイン:◯
特徴:肉体疲労に効果がある3種類のBCAAに加え、アルギニン、タウリンも加え、計5種類のアミノ酸が疲労回復を促します。
また、女王蜂の生命の源と言われるローヤルゼリーも含まれ、リポビタンシリーズの中でも人気がある製品です。
アリナミンRオフ
有効成分:ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、L-バリン、L-ロイシン、L-イソロイシン、カルニチン塩化物
カロリー:2kcal
カフェイン:×
特徴:ビタミンB1製剤に強いアリナミン製剤の中から、糖類ゼロ&ノンカフェインの製品です。
疲労を回復するビタミン&アミノ酸をしっかり含み、ラベンダー+グレープフルーツの香りで寝る前にもスッキリ飲むことができます。
寝ている間に疲労を取りたい人へ
リポビタンフィール
有効成分:タウリン、グリシン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ニコチン酸アミド、カルニチン塩化物
カロリー:7kcal
カフェイン:×
特徴:カフェインが含まれていないことに加え、グリシンが含まれるので寝る前に適した製品です。
カシス×グレープフルーツ風味で、糖質もオフのため寝る前でもカロリーを気にせず安心して飲めますね。
アリナミンナイトリカバー
有効成分:ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ニコチン酸アミド、カルニチン塩化物、グリシン、タウリン、イノシトール
カロリー:7kcal
カフェイン:×
特徴:グリシンが睡眠の質を高めることに加え、ビタミンB群が寝ている間にも疲労回復に努めます。
眠りが浅い人や寝覚の悪い人にもおすすめのジンジャー風味です。
まとめ
疲労回復に効果のある栄養ドリンクについて、代表的な有効成分を踏まえ、選び方のポイント、またおすすめの製品をご紹介させていただきました。
栄養ドリンクには疲労回復に対して有効とされる「ビタミンB群」や「ビタミンC」「アミノ酸」などが配合されています。
その中でもBCAAと総称される3種類のアミノ酸は肉体疲労に効果があるとされるため、運動後の疲労などにお困りの方にぜひおすすめしたい成分です。
また、栄養ドリンクを飲むタイミングによって、カフェインや寝つきをサポートするグリシンの有無は確認して購入した方が良いでしょう。
もちろん、飲みやすさも重要であるため、カロリーや味なども考慮して製品を絞るも一つの手です。
疲労でお困りで栄養ドリンクを探しているあなたにとって、このコラムがお役に立てれば幸いです。