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お薬コラム
Medication Column List
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更新日:2022/03/11

頭痛

「頭がズキズキして痛い」
「痛みがつらくて寝込んでしまう」

 

頭痛は誰にでも起こりうるものですが、時には日常生活に支障が出るほど痛みが強く出てしまうものです。頭痛がつらいとき、手元に市販の頭痛薬があると助かりますよね。

 

しかし、市販の頭痛薬には多くの種類があるため、どれを選んだらいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、頭痛薬の種類や特徴などを詳しく解説します。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

頭痛の種類

頭痛は一次性頭痛二次性頭痛の2つに大きくわけられます。

一次性頭痛は、次のように大きく3つにわけられます。

緊張型頭痛

緊張型頭痛とは、いわゆる「頭痛もちの頭痛」です。ストレスや肩こりなどによって血行が悪くなることが原因だといわれています。頭全体が締め付けられるような痛みが特徴です

片頭痛

片側に拍動性の痛みを生じます。光や音に過敏になったり、頭痛が起こる前に目がチカチカする前兆が見られたりすることがほかの頭痛との大きな違いです。脳の血管が拡張により神経が刺激されることが原因だといわれていますが、まだ明らかにされていません。

群発頭痛

群発頭痛は自殺頭痛とも呼ばれ、目の奥をえぐられるような非常に強い痛みを伴うことで知られています。ただし、年中頭痛がするというわけではありません。群発期といって1~2ヶ月間に集中して、毎日15~180分ほどの頭痛が続きます。

市販の薬で治療可能な頭痛の種類

しかし片頭痛は、医療機関でしか受けられない治療もあるので注意しましょう。片頭痛の治療は、市販の頭痛薬よりも、血管を収縮させる働きがあるトリプタン系の薬を使った治療のほうが推奨されています。

市販の頭痛薬で効果が不十分だと感じた場合は医療機関を受診してトリプタン系の薬を処方してもらいましょう。そのほか、片頭痛には予防薬もあります。

頭痛に効果がある市販薬

頭痛に効果がある市販薬は、大きくNSAIDs、アセトアミノフェン、漢方薬の3つです。なかでも、NSAIDsやアセトアミノフェンを選ぶ方がとくに多いでしょう。

NSAIDs

NSAIDsとは、非ステロイド性抗炎症薬のことです。イブプロフェンロキソプロフェンアスピリンエテンザミドなどの成分が該当します。痛みの原因となる物質が作られるのを阻害することで、症状をやわらげる成分です。

 

ロキソニンS

主成分としてロキソプロフェンが配合されています。鎮痛効果が高く、眠くなる成分が入っていないので使いやすいでしょう。

リングルアイビー

主成分としてイブプロフェンが配合された頭痛薬です。液体カプセルなので速く溶けて、素早く鎮痛効果を発揮します。

アセトアミノフェン

アセトアミノフェンは、医療用として処方されるカロナールの成分としても知られている成分です。イブプロフェンやロキソプロフェンなどと同じく痛みを抑える効果がありますが、NSAIDsとは違い、痛みの原因物質の産生を阻害する働きはありません。

視床や大脳皮質に働きかけて痛みを感じにくくすることで症状を抑えていると考えられています。

 

タイレノールA

アセトアミノフェンが1回量あたり300mg配合された頭痛薬です。悪寒や発熱があるときは食後の服用が推奨されていますが、空腹時でも飲めます。

バファリンルナJ

7歳から飲めるアセトアミノフェン単剤の頭痛薬です。水なしでも噛んでそのまま服用できます。

漢方薬

釣藤散(ちょうとうさん)五苓散(ごれいさん)呉茱萸湯(ごしゅゆとう)は、頭痛に効果があるとして知られている漢方薬です。

 

釣藤散

釣藤散は高血圧による頭痛に効果があります。顔が赤くなりやすく、目が血走っている方に向いているでしょう。

五苓散

五苓散は気圧の変化や二日酔いなどによる頭痛に使われます。体力にかかわらず使用できるので、使う人を選びません。

呉茱萸湯

呉茱萸湯は片頭痛に効果があるといわれています。体の冷えを取り除きます。胃腸が弱い方によく使われる漢方薬です。

市販で購入可能な頭痛薬の有効成分の種類や特徴

多くの鎮痛成分がありますが、なかでもアセトアミノフェンイブプロフェン、ロキソプロフェンなどのNSAIDsが代表的な成分です。市販薬の多くは、これらの成分を単剤で配合したりいくつか組み合わせたりしたものになっています。

アセトアミノフェン

アセトアミノフェンは、NSAIDsではありません。NSAIDsは非ステロイド性抗炎症薬のことですが、アセトアミノフェンには炎症を抑える効果がほとんどないためです。市販の鎮痛成分のなかではもっとも鎮痛効果がマイルドなものになっています。

ただし、ほかの鎮痛成分と比べて胃への負担は大きくありません。商品によっては空腹時に飲めるものもあります。

イブプロフェン

市販の頭痛薬では、とくに広く使われている成分です。鎮痛効果はアセトアミノフェンより高く、ロキソプロフェンよりやや低いとされています。鎮痛効果に加えて炎症を抑える働きもあります。薬剤師がいなくても購入できることから、手軽に選びやすい頭痛薬といえるでしょう。

ロキソプロフェン

市販の頭痛薬ではもっとも鎮痛効果が高い成分です。胃に負担がかかりやすいイメージがあるかもしれませんが、ロキソプロフェンはプロドラッグといって胃のなかにある状態では薬効を発揮しません。腸から吸収され代謝を受けることではじめて効果を発揮します。そのため、実は胃への負担が軽減されている成分なのです。

アセトアミノフェン、NSAIDsの特徴まとめ

ロキソプロフェンが一般的には鎮痛効果が高いといわれていますが、体質や頭痛の種類によってはほかの成分のほうが効く場合もあります。自分に合うもの、使い慣れたものを選ぶとよいでしょう。

成分名 アセトアミノフェン イブプロフェン ロキソプロフェン
鎮痛効果の高さ
胃への優しさ

頭痛薬に入っている眠気が出る成分

頭痛薬によっては、鎮痛効果を補助する成分としてブロモバレリル尿素アリルイソプロピルアセチル尿素が配合されているものがあります。
これらの成分が入っていることでより高い鎮痛効果が期待できますが、眠気が出やすくなるため注意しなければなりません。眠気が出ると困るという方は、ブロモバレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素が配合されていない頭痛薬を選びましょう。

頭痛薬に入っている胃薬の種類と効果

イブプロフェンやロキソプロフェンが配合されている頭痛薬は、胃への負担を軽減するために胃薬の成分が配合されているものもあります。胃の負担が気になる方、もともと胃があまり強くない方は、胃薬の成分が入っているものも検討してみてください。

メタケイ酸アルミン酸マグネシウム

胃酸を中和する成分です。中和することで胃酸によるダメージを軽減します。また、胃粘膜を保護する効果があることも特徴です。ロキソニンSクイックやロキソニンSプレミアムに配合されています。

酸化マグネシウム

胃酸を中和する成分です。ロキソニンSプラスやイブクイック頭痛薬などに配合されています。

このような頭痛があったら早めに受診しましょう

・これまでに経験したことがない強い痛みがある方
・激しい嘔吐がある方
・市販薬を使っても症状が改善されない方
・市販の頭痛薬を1か月の半数以上使っている方

このような方は、早めに医療機関を受診してください。経験したことがない痛みがある方、嘔吐を伴う方はくも膜下出血や脳梗塞などの可能性があります。

また、市販薬の頭痛薬を頻繁に使っている方も注意が必要です。1か月に15日以上使っている場合は、薬剤性頭痛といって頭痛薬が原因で痛みが起きている可能性があります。薬剤性頭痛の場合は、医療機関での適切な治療が必要です。

まとめ

頭痛には、大きく緊張型頭痛と片頭痛、群発頭痛とがあります。このうち市販薬で対応できるのは、緊張型頭痛と片頭痛です。ただし片頭痛の場合も、市販薬で思うような効果が得られない方は、専用の薬を使って治療するためにも医療機関を受診してください。

頭痛薬の成分にはアセトアミノフェンやイブプロフェン、ロキソプロフェンなどがあります。胃に優しいものがよい方はアセトアミノフェン、手軽に購入できて中程度の効果が期待できるものがよい方はイブプロフェン、できるだけ鎮痛効果が高いものがよい方はロキソプロフェンを選ぶとよいでしょう。