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更新日:2023/01/15
常備薬にはアセトアミノフェン?ロキソプロフェン?解熱鎮痛薬の選び方を薬剤師が解説

空気の乾燥と共に風邪やインフルエンザなど、急な発熱のリスクが高くなるこの時期。

体調を崩してしまってから薬を買いに行くのは大変ですので、できることなら発熱や頭痛、喉の痛みにも使える解熱鎮痛薬が常備されていると安心です。

ただ、市販の解熱鎮痛薬は種類が多すぎて、どれを選んだらいいのか迷いますよね。

このコラムでは特に、ロキソプロフェンなどNSAIDsと呼ばれるものか、もしくはアセトアミノフェンか、どちらを含む製品を選んだらいいのかをメインとし、解熱鎮痛薬選びのポイントを解説します。

後半では、ポイントを踏まえて薬剤師が選んだおすすめ製品もご紹介させていただきますね。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

解熱鎮痛薬とは?

まずはそもそも解熱鎮痛薬とはどのような薬かを簡単にご説明させていただきます。
解熱鎮痛薬は文字通り、熱を下げる効果と痛みを鎮める効果があり、発熱や頭痛・生理痛などに効果を示す薬を指します。
市販で購入できる解熱鎮痛薬は大きく『NSAIDs』と『アセトアミノフェン』に分けることができ、各々次のような特徴が挙げられるでしょう。

<NSAIDs>
非ステロイド性抗炎症薬を表し、ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリンなどが含まれます。
解熱鎮痛作用の他に、抗炎症作用ももつため、喉の腫れや捻挫などの怪我で炎症が起きた場合などには、痛みと共に腫れを抑える効果が期待できます。
『アセトアミノフェン』と比較して、解熱鎮痛効果も高いと言われていますが、その分胃腸障害が起きやすいなどといった服用時の注意点が多くなっています。

<アセトアミノフェン>
医療用医薬品では「カロナール」として知られている成分です。
『NSAIDs』と異なり、炎症を抑える作用はありません。
また、解熱鎮痛作用もマイルドになるものの、副作用が起きにくく、幼児から高齢者、また妊娠している女性などでも使いやすい解熱鎮痛薬です。

有効成分は、少ない方が良い?たくさん入っていた方が良い?

解熱鎮痛薬には、解熱鎮痛成分以外にも、胃薬、鎮痛補助成分、催眠鎮静成分などが含まれることがあります。
他の成分が入ることで、胃に優しくなったり、鎮痛効果が高まったりするメリットがありますが、成分が増えるほど、副作用のリスクが増すことも否めません。
また、解熱鎮痛成分のみでも、発熱を鎮め、痛みを抑える効果は十分にあります。
実際に病院でもらう痛み止めは、痛み止め成分のみが配合されたものがほとんどです。

そこで今回は、常備薬として解熱鎮痛成分のみを含むシンプルな製品の選び方を解説します。

その他の成分を含む解熱鎮痛薬の製品については、こちらのコラムをご参照ください。

常備薬として解熱鎮痛薬を選ぶ時のポイントは?

ポイント1:使う人の年齢
ポイント2:胃腸が弱い方か強い方か
ポイント3:インフルエンザに使えるかどうか
ポイント4:妊婦に使えるかどうか

ポイント1 対象年齢の違いで決める

・15歳以上→NSAIDs&アセトアミノフェン
・15歳未満→アセトアミノフェン

市販の解熱鎮痛薬は、使用できる年齢がそれぞれ異なるため注意が必要です。
まず、『NSAIDs』と呼ばれる、ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリンなどが含まれる製品は全て15歳以上でないと服用できないようになっています。
15歳未満の子供は『アセトアミノフェン』を含む製品から選ぶようにしましょう。
顆粒タイプであれば、製品によっては1歳から服用することもできますが、一緒に配合されている成分の種類や、剤形タイプによって、服用可能な年齢が異なりますので、購入する前に必ず確認するようにしましょう。

ポイント2 胃腸に自信があるかどうかで選ぶ

・胃腸に不安のない人→NSAIDs
・高齢者や胃腸に不安のある人→アセトアミノフェン、NSAIDsの中でもロキソプロフェン

NSAIDsは胃腸障害の副作用が起きやすいため、高齢の方や胃に痛みが出やすい方は注意が必要です。
そういった方々は胃腸に負担が少ないとされる『アセトアミノフェン』を含む製品を選ぶと良いでしょう。
また、『NSAIDs』の中でも、体の中に吸収された後、代謝されてから作用を示すプロドラックの『ロキソプロフェン』であれば、比較的胃に優しいとされています。

ポイント3 インフルエンザに使えるかどうかで決める

・インフルエンザではない→NSAIDs&アセトアミノフェン
・インフルエンザかもしれない発熱でも対応したい→アセトアミノフェン

インフルエンザの発熱に対して、安全に使用できる解熱鎮痛薬は、『アセトアミノフェン』といわれています。
NSAIDsの中でもアスピリンや、ジクロフェナク、メフェナム酸といった薬をインフルエンザの発熱に使用することで、インフルエンザ脳症という合併症の発症リスクが高まるというデータが出ているためです。
ロキソプロフェンやイブプロフェンなどでは、インフルエンザ脳症の発症リスクが高くなるといった報告は今のところ見受けられませんが、インフルエンザの解熱に自己判断でNSAIDsは使わないようにしましょう。

ポイント4 妊婦に安全に使用できる解熱剤は?

・妊娠中の人→アセトアミノフェン

妊娠中は頭痛や腰痛に悩まされる人も多いです。
そんな時、原則としては、かかりつけの産婦人科から痛み止めを処方してもらうのが一番ですが、都合がつかない場合もあるでしょう。
市販の解熱鎮痛薬であっても、『アセトアミノフェン』であれば妊婦に対しても安全に使用できると言われています。
NSAIDsである、ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリンなどは、胎児毒性があるといわれているため、妊娠後期の妊婦さんに関しては禁忌となっています。
ただし、アセトアミノフェンが安全であるからといって、自己判断での服用はあまりお勧めしません。
妊娠している場合は、電話でも構いませんので、主治医にどういった症状で解熱鎮痛薬を服用したいのか、相談の上で服用可否の判断を仰ぎましょう。

アセトアミノフェン含有のおすすめ解熱鎮痛薬

子供~大人まで飲める、比較的安全な解熱鎮痛薬をお探しの方は、アセトアミノフェンのみを含む製品がおすすめです!

家族みんなで共有できる製品を探している人へ
バファリンルナJ

有効成分:アセトアミノフェン
対象年齢:7歳以上〜
胃への優しさ
インフルエンザ
妊婦
特徴:年齢により1回の服用量を1錠~3錠と調節できるため、7歳以上から大人まで幅広く服用することができます。
家族みんなで共有できるシンプルな解熱鎮痛薬をお探しの方に、ぜひおすすめしたい製品です。

歴史あるアセトアミノフェン錠をお探しの人へ
タイレノールA

有効成分:アセトアミノフェン
対象年齢:15歳以上〜
胃への優しさ
インフルエンザ
妊婦
特徴50年以上の長い歴史がある、市販薬では有名なアセトアミノフェン製剤です。
胃が弱っているときやインフルエンザかもしれない発熱に対しても対応できるため、一箱あると、突然の痛みや発熱にマルチに活躍できるでしょう。

子供の頭痛など、その場ですぐ対応したい人へ
小児用バファリンチュアブル

有効成分:アセトアミノフェン
対象年齢:3歳以上〜15歳未満
胃への優しさ
インフルエンザ
妊婦×(15歳までの服用のため)
特徴:チュアブル錠という口の中でラムネのように溶ける製剤のため、小さい子供(3歳〜)でも口の中で溶かして飲むことができます。
外出先の頭痛や怪我など、その場に水がない状態でもサッと服用できるというのも大きな利点と言えるでしょう。

NSAIDs含有のおすすめ解熱鎮痛薬

大人の方が、常備薬として比較的効果の高い解熱鎮痛薬をお探しの方には、高い効果が期待でき、胃への負担も少ないとされるNSAIDs製剤がおすすめです。

医療用のロキソニンと同じものをお探しの人へ
ロキソニンS

有効成分:ロキソプロフェンナトリウム
対象年齢:15歳以上
胃への優しさ
インフルエンザ×
妊婦×
特徴:言わずと知れたロキソプロフェン製品です。
医療用のロキソニン錠と同じ成分が同じ量含まれ、作っているのも同じ会社であるため、病院でもらうロキソニン錠に近いものを求める人におすすめです。
ロキソプロフェン錠は2011年から市販でも購入できるようになりましたが、現時点(2023年1月)では第1類医薬品に属しているため、購入の際に薬剤師の確認が必要です。

カプセル化で素早い効き目のイブプロフェン製剤
リングルアイビー

有効成分:イブプロフェン
対象年齢:15歳以上
胃への優しさ
インフルエンザ×
妊婦×
特徴: イブプロフェンが単剤で配合されている製品です。
有効成分を液体にし、カプセル剤とすることで、素早く溶けて効き目を発揮するようになっています。
イブプロフェンは海外ではポピュラーなNSAIDsでもあり、ロキソプロフェンと同じプロピオン酸系というNSAIDsに分類され、胃腸障害などの副作用も出にくい設計になっています。

まとめ

『NSAIDs』また『アセトアミノフェン』を含む市販の解熱鎮痛薬について、基本的な知識から、選び方のポイント、またおすすめの製品をお伝えさえていただきました。

子供から高齢者、またインフルエンザにも対応でき、比較的マルチに使いやすいアセトアミノフェン製剤は、製品によって対象年齢が変わってくるので注意しましょう。
強い効き目が期待できるNSAIDsの製品であれば、胃に優しい『ロキソプロフェン製剤』や比較的副作用が起きにくいとされる『イブプロフェン』がおすすめです。発熱はもちろん辛い頭痛、生理痛なども抑えてくれます。

このコラムが解熱鎮痛薬選びにお困りのあなたにとって、お役に立てれば幸いです。

 

〈参考資料〉
参考文献:消化性潰瘍診療ガイドライン2020年(日本消化器病学会)