日焼け跡を消すには？薬剤師が教える正しいアフターケアとおすすめアイテム

日焼け跡って、意外としつこく残ることありますよね。

赤みが引いたと思ったら、今度は黒く色素沈着してしまったり。

この章では、なぜ日焼け跡が残るのか？

その「肌のメカニズム」について、薬剤師の立場からわかりやすく解説していきます。

日焼けには大きく分けて、「サンバーン」と「サンタン」の2種類があります。

まずサンバーンは、日焼け直後に皮膚が赤くなったり、ヒリヒリと痛んだりする症状で、軽いやけどのような状態です。

これは主に紫外線B波（UVB）の影響で、皮膚の表層に急性の炎症を引き起こします。

一方のサンタンは、日焼けから2〜3日ほど経ってから肌が徐々に黒くなる現象です。

こちらは紫外線A波（UVA）が主な原因とされていますが、UVBも影響することが知られています。

紫外線の刺激によって、肌の深部にあるメラノサイト（色素細胞）が活性化し、メラニン色素を大量に生成することで、肌が黒く変化していきます。

このメラニンには、紫外線によるDNAの損傷を防ぐ「天然のサングラス」のような役割があります。

つまり、メラニンの生成は体を守るための防御反応でもあるのです。

ただし問題は、“メラニンが過剰に生成されること”。

この余分なメラニンが肌の奥に蓄積すると、色素沈着を引き起こし、日焼け跡として肌に残ってしまうんです。

さて、「日焼け跡が消えない…」と感じる人には、もう一つ共通点があります。

それがターンオーバー（肌の新陳代謝）の乱れ。

肌は約28日周期で新しい細胞が生まれ、古い角質とともにメラニンも排出されていきます。

このサイクルが正常なら、多少のメラニンが作られても自然に薄くなっていくんです。

ところが、睡眠不足や栄養不足、ストレス、加齢などの影響でターンオーバーが乱れると、

メラニンが排出されずに居座ったままになり、色素沈着が長引くことになります。

特に30代以降は、ターンオーバーが30日〜45日と延びていく傾向があります。

若い頃と同じ感覚で「そのうち消えるでしょ」と放置すると、逆に悪化することも。

ちなみに、乾燥肌の人や摩擦が多いスキンケアをしている人も、ターンオーバーが乱れやすい傾向にあります。

丁寧な保湿や肌への“やさしさ”が、日焼け跡を残さない最大の鍵になるんです。

日焼け跡が残るのは、単に焼けたからじゃないんです。

・メラニンが過剰に生成された

・それがスムーズに排出されなかった

この2つの“肌の内側で起きていること”が重なって、シミや黒ずみが定着するんですね。

次章では、こうしたメラニンとターンオーバーの関係を踏まえて、日焼け直後にやるべき具体的なケア方法を紹介していきます。

「やばい…焼けたかも」

そう気づいたときに、最初の対処でその後の肌の運命が決まるといっても過言じゃありません。

日焼けは、実は“軽いやけど”です。

放置すれば炎症が進んだり、シミ・くすみといった色素沈着の原因になります。

この章では、日焼けしたその日のうちにやるべき応急処置を3つに分けて紹介します。

どれも今日からすぐできるものばかりなので、ぜひ参考にしてください。

まず最優先でやるべきこと、それは肌を冷やすことです。

日焼け直後の皮膚は、紫外線によるダメージで炎症状態にあります。

赤みやヒリヒリした痛みがある場合、それはまさに“サンバーン”と呼ばれる急性炎症。

火傷と同じ扱いで考えてOKです。

このときにやるべき冷却方法は、以下の通り

・濡らしたタオルを軽く絞って、保冷剤をくるむ。10〜15分間、直接皮膚に当てすぎないようタオル越しに当てる。

・ 冷水シャワーや流水を活用するのも効果的

逆にNGなのが、市販の冷却ジェルシートです。

メントールや添加物が含まれていることが多く、傷んだ肌には強い刺激になります。

冷却ができたら、次は保湿へと移りましょう。

冷やしたあとすぐが、ケアのゴールデンタイムです。

冷やした肌は一見落ち着いたように見えますが、実は肌のバリア機能が大きく損なわれている状態です。

このままでは乾燥が進み、ターンオーバーが乱れる原因にもなります。

だからこそ、保湿が超重要なんです。

おすすめの保湿成分は以下のような“肌なじみの良い成分”：

・セラミド

・ヒアルロン酸

・グリチルリチン酸ジカリウム（抗炎症作用あり）

そして保湿のときは、こすらず“置くように塗る”のが鉄則です。

手のひらでそっと押さえるように肌になじませるだけでOK。

化粧水→乳液→クリームというステップは、肌の状態に応じて調整しましょう。

なお、赤みやヒリつきが強い場合は、普段使っている化粧品は一時中止するのが無難です。

敏感な肌には“無添加・アルコールフリー”など、表示にも気をつけましょう。

肌表面のケアと同じくらい大切なのが、内側からの補修です。

日焼け後の身体は、思っている以上に脱水状態になっています。

ポイントは以下の3つ

・常温〜冷たい水をこまめに飲む（ゴクゴクよりちびちび）
・スポーツドリンクや経口補水液も活用
・抗酸化ビタミン（A・C・E）の摂取

中でも特に重要なのが、ビタミンCです。

ビタミンCには以下のような働きがあります：

・メラニンの生成を抑える（＝色素沈着の予防）
・傷んだ細胞の修復を助ける
・コラーゲン生成をサポートし、肌のハリを守る

おすすめの食品は、キウイ・いちご・ブロッコリー・赤ピーマンなど。

サプリやビタミン補給ドリンクを活用しても構いません。

また、ビタミンE（ナッツやアボカド）やビタミンA（緑黄色野菜）も一緒に摂ると相乗効果が期待できます。

日焼けは、「焼けた後」が勝負。

冷やす・保湿・内側ケアの3ステップをできるだけ早く行うことで、

日焼け跡の“定着”をグッと防ぐことができます。

次章では、こうした応急処置のあとの日々の生活習慣やスキンケアで、どのように日焼け跡を薄くしていくかを詳しく紹介します。

応急処置を終えたあとは、「あとは自然に戻るのを待つだけ」と思っていませんか？

それ、すごくもったいないです。

実は、生活習慣とスキンケアを少し意識するだけで、日焼け跡が薄くなるスピードは大きく変わります。

この章では、肌のターンオーバーを整えるために意識したい3つの生活習慣と、肌に優しいスキンケアの選び方を紹介します。

肌が黒くなるのはメラニンのせい。

でもそのメラニンは、ターンオーバー（肌の生まれ変わり）によって自然に排出される仕組みになっています。

だからこそ、肌の回転率＝ターンオーバーを正常に保つことがカギなんです。

ではどうすれば整うのか。ポイントはこの3つ。

1. ゴールデンタイム（22時〜2時）の睡眠がカギ

肌の修復や代謝を担う“成長ホルモン”は、夜の眠りが深いタイミングに分泌されます。

とくに「22時〜2時」は肌のゴールデンタイムと呼ばれていて、この時間帯にぐっすり眠れているかどうかが勝負。

夜ふかしやスマホいじりがクセになっていると、どんなに高い美容液を使っても効果半減になります。

寝る前1時間はスマホやパソコンから離れて、ゆっくり湯船に浸かるのがおすすめです。

2. 緑黄色野菜・良質な脂・たんぱく質を意識

肌のターンオーバーに必要なのは「栄養素の土台」です。

以下の食材は、日焼け後の肌にとても有効です。

・ビタミンC：ブロッコリー、赤ピーマン、いちご
・ビタミンE：アボカド、アーモンド、オリーブオイル
・βカロテン（ビタミンA）：にんじん、かぼちゃ、ほうれん草
・たんぱく質：鶏むね肉、納豆、卵、豆腐

サプリメントを活用してもよいですが、基本は食事から摂るのがベースです。

とくに脂質は“良質な脂”を選ぶことが重要。

魚（DHA・EPA）やナッツ類をうまく取り入れると、肌のうるおいも保てます。

3. 軽い運動で血流を促し代謝UP

運動が苦手な方でも、1日20分程度のウォーキングやストレッチで十分です。

大切なのは、筋肉を動かして血流をよくすること。

血行が良くなることで、酸素や栄養素が肌のすみずみにまで届きやすくなり、ターンオーバーの効率が上がります。

とくに冷房の効いた部屋にずっといると代謝が落ちがちなので、朝晩の軽い運動はおすすめです。

生活習慣で土台を整えるのと並行して、肌に直接触れるスキンケアにも気を配りましょう。

とくに日焼け後の肌はバリア機能が低下していて敏感な状態になっています。

刺激になる成分を避けるだけで、肌の回復スピードがぐっと変わります。

❌避けるべき成分

・アルコール（エタノール）
・合成香料・着色料
・ピーリング剤（AHAやスクラブ）
・収れん成分（メントール、クエン酸など）

これらは、日焼け直後の肌には刺激が強すぎます。

「美白に効く」と書かれていても、炎症状態の肌には不向きなこともあります。

✅おすすめ成分（肌を整える・沈静化する）

・グリチルリチン酸ジカリウム（抗炎症）
・アラントイン（炎症抑制・傷んだ肌の保護）
・トラネキサム酸（美白＋抗炎症）
・セラミド・ヒアルロン酸（保湿）
・ヘパリン類似物質（保湿＋血行促進）※炎症が落ち着いたあとに

とくに「医薬部外品」として販売されている製品には、これらの有効成分が配合されていることが多いです。

また、使用中にヒリヒリする／赤くなるといった反応が出た場合は、すぐに使用をやめましょう。

価格やブランドよりも、いまの肌状態に合っているかどうかで判断するのがポイントです。

日焼け跡を早く薄くしたいなら、まずは生活のリズムと、肌に触れるものを見直すこと。

高価なクリームより、毎日の過ごし方のほうが、ずっと効果的だったりするんです。

日焼け跡のケアは、保湿だけでなく「美白」や「肌荒れ予防」の成分が鍵になります。

ここでは、薬剤師としておすすめできる信頼性の高い製品を厳選して紹介します。

トランシーノ 薬用ブライトニングクリアローション

有効成分「トラネキサム酸」と「グリチルリチン酸２K」をW配合。
メラニンの生成を抑えながら、肌荒れもケアできる薬用美白化粧水です。
また「角質層リファイン成分EXⅡ」などの保湿成分で、乾燥によるくすみにも対応。
美白と保湿を同時にケアしたい方にぴったりの1本です。

キュレル　シミ・ソバカス予防ケア　化粧水３（とてもしっとり）

乾燥性敏感肌向けの薬用美白化粧水。
有効成分「ビタミンC誘導体（L-アスコルビン酸 2-グルコシド）」がメラニン生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぎます。
保湿成分「ユーカリエキス」が角層まで浸透し、肌をしっとり整えます。
無香料・無着色・アルコールフリーで、低刺激処方。

カルテHD バランスケアローション

ヘパリン類似物質を配合した医薬部外品。
肌の保水環境を整え、乾燥や肌あれの予防に効果的です。
皮膚科領域の知見を活かした開発で、信頼性の高い処方。
日焼け後の“揺らぎ肌”をやさしく立て直したい方に。

外からのスキンケアとあわせて、内側からのサポートも大切。

肌の代謝や修復を助けてくれる「ビタミン類」や「抗酸化成分」を補いましょう。

チョコラBBルーセントC

ビタミンC 600mgに加え、L-システイン240mg・ビタミンB2・B6を配合。
シミやそばかす、肌荒れにアプローチする医薬品タイプのサプリです。
肌のターンオーバーを内側からサポートし、メラニンの過剰生成も抑えます。

ハイチオールCプラスEX

L-システイン240mgとビタミンC500mgをW配合。
代謝を促進してメラニンの排出を助け、日焼けによる黒ずみを和らげます。
製造中止になった「ホワイティア」の後継製品として人気です。

資生堂 ザ・コラーゲンドリンク

低分子コラーゲン、ヒアルロン酸に加え、ビタミンC・B2・B6・Eもバランスよく配合。
さらに、独自の美容特許成分（コケモモ＋アムラ果実）をプラスし、紫外線ダメージを内側からサポート。
甘さ控えめで毎日続けやすいのも魅力。

外用と内服をバランスよく組み合わせることで、日焼け跡ケアのスピードも変わってきます。

日焼け後のケアは、部位によって方法が異なります。

顔、体、頭皮それぞれの特徴をふまえ、正しいアフターケアを行いましょう。

日焼けした顔はとてもデリケートな状態です。

・洗顔はやさしく泡で包み込むようにし、ゴシゴシ洗いはNG。すすいだあとはタオルで“押さえる”だけにとどめましょう。

・メイクは無理にしないことが基本。痛みや赤みがあるうちは休むのが理想です。どうしても必要な場合は、ファンデーションより保湿を優先しましょう。

腕や背中などの広範囲が日焼けした場合は、まず冷やすことが重要です。

冷水シャワーで体温を下げたり、氷タオルを使って炎症を抑えると効果的。

その後は、ローションやミルクタイプの保湿剤をたっぷり使って、水分の蒸発を防ぎます。

紫外線は、頭皮や髪にも影響を及ぼします。

頭皮の赤みやヒリつき、髪のパサつき・枝毛は紫外線ダメージのサインです。

洗髪はアミノ酸系シャンプーのような低刺激タイプでやさしく行い、頭皮用の保湿スプレーでケアを。

今後の予防としては、UVスプレーや帽子の活用も忘れずに。

日焼け後の肌はやけどと同じ「炎症状態」。ここでのケア次第で、回復が早まることもあれば、悪化や色素沈着につながることも。

以下は特に注意したい“やりがちNGケア”です。

NG１. 冷却ジェルシートを直接貼る

ジェルシートは清涼感があって気持ちよさそうに見えますが、肌への刺激が強く逆効果。
炎症がある肌には、濡れタオルや保冷剤でやさしく冷やすのが正解です。

NG２. 炎症があるのに美白成分を使う

美白有効成分（ビタミンC誘導体、トラネキサム酸など）は、肌に刺激となることも。
炎症が落ち着いてから使うのが基本です。

NG３. 熱いお湯での入浴・マッサージ・こすり洗い

血行促進や老廃物排出を狙ったマッサージも、炎症中はNG。
シャワーはぬるめに、洗浄も泡でそっと包み込むように行いましょう。

NG４. アルコール強めの化粧品・収れん系化粧水

毛穴を引き締めるタイプのスキンケアは、日焼け直後の肌には刺激が強すぎます。
化粧水は低刺激・保湿重視で選びましょう。

NG1５ ピーリング・スクラブをすぐに使う

古い角質を落としてターンオーバーを促すアイテムも、炎症がある間は肌を傷つける原因に。
使用は回復してからが鉄則です。

日焼け後のケアに関しては、「どれくらいで元に戻る？」「冬でも対策が必要？」といった素朴な疑問が多く寄せられます。

ここでは、よくある質問に薬剤師の視点からお答えしていきます。

Q1.　日焼け跡ってどれくらいで消えますか？
軽い赤み程度であれば、ターンオーバーが正常に働いていれば1〜2週間ほどで自然に薄くなることが多いです。
ただし、炎症が強かったり、色素沈着が起きてしまった場合は、数ヶ月以上かかることもあります。
ポイントは、できるだけ早く炎症を鎮め、肌に負担をかけないケアを継続することです。
初期対応で回復スピードが大きく変わってきます。

Q2.　ピーリングって使っても大丈夫？

日焼け直後の使用はNGです。
赤みやヒリつきがある状態で使うと、肌をさらに傷める原因になります。
使用するとしても、肌の赤みが完全に引いてから。
それでも乾燥や刺激を感じるようであれば、無理に使わず、保湿中心のケアに切り替えるのが安全です。
肌状態をよく観察しながら判断してください。

Q3.　冬でも日焼けのケアは必要ですか？

はい、必要です。
紫外線にはUVAとUVBがあり、特にUVAは季節を問わず1年中降り注いでいます。
肌の奥深くまで届き、シミやたるみの原因になるため、アフターケアは通年行うのが基本です。
乾燥しやすい冬は、保湿＋紫外線対策の両立が重要になります。

Q4.　黒くなった肌を白く戻すにはどうすれば？

すぐに効果が出る方法はありませんが、ターンオーバーを整えながら、保湿と美白ケアを毎日続けることで少しずつ明るい肌に近づいていきます。
目安としては、数週間〜1ヶ月ほどで徐々に変化が出てくるケースが多いです。
肌の調子が整えば、自然とトーンも明るく見えるようになります。
必要なケアは「毎日コツコツ」が基本。疑問があるときは、自己判断に頼らず、薬局や皮膚科で相談するのも大切です。

・日焼け直後は「冷やす＋保湿」が基本：まずは炎症を落ち着かせることが最優先。
・美白ケアは落ち着いてから：赤みやヒリつきがある間は刺激になることも。
・保湿は毎日コツコツ続けることが鍵：肌の回復には水分保持が不可欠。
・スキンケア＋インナーケアの併用が効果的：肌の外と内からダブルでアプローチ。
・NGケアに注意！：こする、熱い湯、刺激の強い成分は逆効果になる可能性も。

日焼けのダメージは“見た目以上”に肌の奥に残っています。

つい「早く戻したい」と思ってしまいがちですが、急がず、肌をいたわるケアがいちばんの近道です。

高価なクリームや新しいアイテムに頼るよりも、毎日の過ごし方とケアの積み重ねが未来の肌を守ります。

「この夏、ちゃんとケアしてよかった」と思えるような肌づくり、今日から始めてみてください。

【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公式情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
◆ メーカー公式製品情報（医薬品・化粧品・サプリメント）
・トランシーノ 薬用ブライトニングクリアローション
・キュレル 美白化粧水III（とてもしっとり）
・カルテHD バランスケア ローション
・チョコラBBルーセントC
・ハイチオールCプラスEX
・ザ・コラーゲンドリンク