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更新日:2026/02/28

冷え性に漢方は効く?当帰芍薬散ほか体質別・冷え性漢方の話

手足の冷えや慢性的なだるさに悩み、「冷え性に漢方は効くのだろうか」と検索した方も多いのではないでしょうか。

 

漢方では冷え性を“体質の偏り”として捉え、血や水の巡りを整えることで改善を目指します。

 

代表的な処方に当帰芍薬散(医療用ではツムラ38として処方)がありますが、冷え性のタイプによって選ぶ漢方は変わります。

 

本記事では体質別に冷え性漢方の基本と考え方を整理します。

薬剤師ライター クロロボ
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第1章:冷え性はなぜ起こる?体質と原因

冷え性は単なる寒がりとは違います。

室温が十分でも手足だけが冷たい状態は、体内で作られた熱が末端までうまく運ばれていない状態です。

人の体は筋肉で熱を生み出し、その熱を血液が全身へ届ける仕組みになっていますが、この「作る力」と「運ぶ力」のどちらかが弱くなると、末端の血管は収縮し、冷えとして現れます。

つまり、冷えは熱産生と血流のバランスの崩れによって起こります。

特に現代は座位時間が長く、下半身の筋肉が十分に使われにくい生活になっています。

ふくらはぎは血液を心臓へ押し戻すポンプの役割を担っているため、ここが働かなければ血流は滞ります。

さらにストレスが続くと交感神経が優位になり、末梢血管が収縮します。

その結果として、末端血流の低下が手足の冷えにつながります。

血流と生活習慣が関係していますね。

 

西洋医学と漢方の視点

西洋医学では、冷えは主に血流障害や自律神経の乱れとして説明されます。

血管が収縮すれば末端に血液が届きにくくなり、結果として体温が下がります。

ホルモンバランスやストレスも体温調節に影響を与えることが知られています。

一方で漢方は、冷えを体質の傾向として捉えます。

西洋医学は「機能の異常」を見て漢方は「体の傾向」を見るという違いがあります。

どちらか一方だけでは冷えの全体像はつかみにくく、両方の視点を持つことで理解が深まります。

視点の違いが重要ですね。

 

冷えはタイプで違う

冷え性と一言でいっても、その現れ方は同じではありません。

ここでは一般的に理解しやすい形で、冷えをいくつかのタイプに整理します。

①末端冷えタイプ ②下半身冷えタイプ ③のぼせ冷えタイプ ④むくみ冷えタイプ

① 末端冷えタイプ

手足や指先が冷たい。
血流が末端まで十分に届きにくい状態。

② 下半身冷えタイプ

腰から下が冷える。
筋肉量や基礎代謝の低下が関係しやすい。

③ のぼせ冷えタイプ

顔はほてるのに足が冷たい。
自律神経の乱れが影響することがある。

④ むくみ冷えタイプ

冷えと同時にむくみを感じる。
水分代謝の偏りが関係しやすい。

ここで重要なのは、冷え性は一律に温めれば解決する問題ではないということです。

さらに言えば、冷えの現れ方が違えば、その背景も異なります。

この違いを理解せずに対策を選ぶと、結果が出にくくなります。

まずは自分の冷えがどのタイプに近いのかを知ること。

 

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第2章:当帰芍薬散ほか体質別の選び方

第1章で整理した4つの冷えタイプ。

ここからは、それぞれの背景に対してどのような漢方が用いられるのかを具体的に見ていきます。

漢方は「症状」だけでなく「体の傾向」を重視します。

つまり、冷えの出方に合った処方を選ぶことが基本になります。

 

当帰芍薬散

まず代表的な処方が当帰芍薬散です。

医療用ではツムラ38番として処方されることがあります。

当帰、芍薬、川芎などを含み、血流の改善と水分代謝の調整を目的とした処方です。

とくに「むくみ冷えタイプ」に使われることが多く、冷えと同時にむくみや疲れやすさを感じる人に適しています。

当帰芍薬散は“温める薬”というより、巡りを整える処方です。

ここを誤解しないことが大切です。

 

他の代表処方

桂枝茯苓丸

のぼせを感じるのに足先が冷えるタイプに用いられることがあります。

血の巡りを整えることを目的とした処方です。

 

八味地黄丸

下半身冷えタイプに使われることがあります。

加齢や体力低下に伴う冷えに適応されることがあります。

 

当帰四逆加呉茱萸生姜湯

末端冷えタイプで、指先が極端に冷たい場合に使われることがあります。

末梢血流を意識した処方です。

 

ここで重要なのは、一つのタイプに一つの処方が固定されるわけではないということです。

体質評価によって処方は変わります。

 

葛根湯の正しい位置づけ

「冷えに葛根湯は効きますか?」

よく聞かれる質問です。

葛根湯は体を温める方向に働く処方です。

そのため、「冷えにも良さそう」と感じるのは自然な発想です。

実際、葛根湯は風邪の初期の悪寒に用いられます。

さらに、慢性的な肩こりや首のこわばりなど、筋緊張を伴う症状にも使われます。

ここが誤解を生みやすいポイントです。

葛根湯は“筋緊張を伴うタイプ”には適しますが、

血流や水分代謝の偏りを背景とする慢性的な体質性の冷えを整える処方ではありません。

冷え性は単なる寒気とは異なります。

そのため、慢性冷えの第一選択にはなりません。

適応の軸が違いますね!

 

冷えタイプと代表処方の整理

冷えタイプ 背景 代表的処方例 むくみ冷え 水分代謝の偏り 当帰芍薬散 のぼせ冷え 血の巡りの乱れ 桂枝茯苓丸 下半身冷え 温める力の低下 八味地黄丸 末端冷え 末梢血流低下 当帰四逆加呉茱萸生姜湯

ここで覚えておきたいのは、

処方は“症状名”ではなく“体の傾向”で選ばれるという点です。

冷え性という言葉だけで薬は決まりません。

自分の冷えのタイプを理解すること。

それが最も自然な選び方です。

 

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第3章:冷え性漢方Q&A

Q1 冷え性に漢方は本当に効く?

A. 体質が合えば有効です。
漢方は症状名だけで選ぶ薬ではなく、体の傾向に合わせて処方されます。
冷えの背景にある血流や代謝の状態と処方が一致すれば改善が期待できます。
一方で、体質に合わなければ十分な変化は得にくくなります。
つまり、効果は「薬の強さ」ではなく「体質との適合」で決まります。

合ってるかどうかが勝負か。

 

Q2 ツムラ38は市販でも買える?

A. 当帰芍薬散は市販でも購入できます。
ツムラ38は医療用医薬品として処方される当帰芍薬散です。
市販薬にも当帰芍薬散製剤はありますが、製品によってエキス量や用量設計が医療用と異なる場合があります。
また、剤形や添加物が異なることもあります。
同じ「当帰芍薬散」でも、成分量や服用回数が一致しているとは限りません。
購入時には製品情報を確認することが重要です。

買えるけど中身チェック必須だね~

 

Q3 漢方はどれくらいで効果が出る?

A. 処方と目的によって異なります。
風邪の初期に用いられる処方は比較的早く変化を感じることがあります。
一方で、慢性的な冷えの体質改善を目的とする場合は、一定期間の継続が必要になることがあります。
即効型と体質改善型では時間軸が異なります。
目的を明確にしたうえで継続期間を考えることが重要です。

 

Q4 漢方薬でも副作用はある?

A. ゼロではありません。
漢方薬も医薬品です。
甘草を含む処方では、まれに偽アルドステロン症が報告されています。
これは、血圧の上昇、むくみ、手足の脱力感、低カリウム血症などが起こる状態です。
長期間の服用や、他の甘草含有薬との併用でリスクが高まることがあります。
また、体質に合わない場合には胃の不快感や下痢などの胃腸症状が出ることもあります。
自然由来であっても安全性が無条件に保証されるわけではありません。
体調の変化を感じた場合は、服用を中止し相談することが重要です。

具体的症状の理解が必要ですね。

 

Q5 男性でも使える?

A. 性別ではなく体質で判断します。
漢方は男女別に処方されるものではなく、体の傾向を基準に選ばれます。
男性でも末端冷えや下半身冷えは珍しくありません。
冷えの背景が一致すれば、性別に関係なく使用されます。

 

Q6 食事や生活習慣で気をつけることは?

A. 運動・睡眠・たんぱく質が基本です。
筋肉は体内で熱を生み出す重要な器官です。
睡眠不足は自律神経のバランスを乱します。
たんぱく質不足は基礎代謝の低下につながります。
漢方は生活習慣の代わりにはなりません。
体の土台を整えることが、冷え対策の前提になります。

土台づくりが基本ですね。

 

まとめ:冷え性漢方の核心4ポイント

冷えはタイプで違う 末端・下半身・のぼせ・むくみなど、まずは自分の冷えの出方を整理することが出発点。 漢方は体質に合わせて選ぶ 症状名ではなく体の傾向で処方が決まる。合わなければ十分な効果は得にくい。 当帰芍薬散は巡りと水分代謝を整える代表処方 むくみを伴う冷えに用いられることが多い。 生活習慣が土台になる 運動・睡眠・たんぱく質は、漢方よりも先に整えるべき基礎。

冷え性は「体質だから仕方ない」と片づけるものではありません。

体の傾向を理解し、生活の土台を整え、必要に応じて漢方を選ぶ。

この順番を守るだけで、対策はぐっと現実的になります。

漢方は魔法ではありませんが、体質と合えば合理的な選択肢です。

焦らず、整える。

それがいちばん確かな冷え対策です。

 

【参考情報】
この記事の作成にあたり、冷え性と漢方薬に関する情報は、各メーカー公式サイトおよび公的機関の情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
◆ メーカー公式製品情報
株式会社ツムラ|当帰芍薬散(医療用漢方製剤)公式情報
クラシエ薬品株式会社|クラシエ漢方製品情報
◆ 添付文書・副作用情報
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)|医療用医薬品 添付文書検索