

春の胃腸炎はストレス?ウイルス?原因から市販薬の使い方まで徹底解説!
春になると「胃がムカムカする」「下痢が続く」という声が増えます。
実は、春の胃腸炎はウイルス感染だけでなく、新生活のストレスや自律神経の乱れが大きな原因のひとつ。
この記事では、春に胃腸炎が増える理由から、家庭でできるセルフケア、市販薬の選び方と注意点まで、薬剤師の目線で詳しく解説します。
今すぐできる対策をチェックしましょう!


第1章:春に胃腸炎が増える3つの理由とは?
春になると、なぜか胃のムカムカや腹痛を訴える人が増えてきます。
冬を乗り越えたばかりなのに、どうして春先に胃腸炎が多いのでしょうか。
ここでは、その原因を3つに分けてしっかり深掘りしていきます。
寒暖差による自律神経の乱れ
春は1日の中で寒暖差が激しい季節です。
朝晩は冷え込むのに、昼間は上着がいらないほど暖かいことも珍しくありません。
この気温差が、自律神経に大きな負担をかけます。
自律神経は、胃腸の働きをコントロールする役割を持っています。
寒暖差で自律神経が乱れると、胃腸の動きが鈍くなったり過敏になったりしやすいです。
結果として、胃のムカムカや腹痛、さらには下痢や便秘といった不調が現れます。
特に朝晩の冷え込みが強い日は、寝ている間に身体が冷えてしまうことも。
身体が冷えると血流が悪くなり、胃腸の働きも低下してしまいます。
胃腸を守るには、なるべく気温差に合わせた服装で体温をキープすることが大切です。
新生活のストレスが胃腸を刺激
春は、環境が大きく変わる季節でもあります。
入学や就職、転勤、引っ越しなど、生活のリズムががらっと変わる方も多いでしょう。
人間の身体は、環境の変化にストレスを感じやすく、その影響は胃腸にも及びます。
ストレスがかかると交感神経が優位になり、胃酸の分泌が増えたり腸の働きが乱れたりします。
これが、胃の痛みやムカムカ、下痢といった不調につながるのです。
さらに春は、人間関係の変化や新しい環境に適応しようと頑張りすぎてしまう時期。
気づかないうちに疲労や緊張が積み重なり、胃腸に負担をかけてしまいます。
適度にリラックスする時間を作り、心と体を整えることが、春の胃腸トラブルを防ぐポイントです。
春先はウイルス感染のリスクも増加
もうひとつ忘れてはいけないのが、春先のウイルス感染です。
特に気をつけたいのが、ロタウイルスによる感染性胃腸炎。
厚生労働省の発表でも、ロタウイルスは春先に流行のピークを迎えるとされています。
ロタウイルスは、子どもを中心に感染が広がることが多いですが、大人も油断できません。
家族内で感染が広がりやすく、特におむつ交換やトイレの使用後などで感染経路が生まれます。
感染予防の基本は、やはり手洗いと消毒の徹底です。
食事の前やトイレの後はもちろん、外から帰ったらすぐに手を洗う習慣をつけましょう。
ロタウイルスはアルコール消毒が効きにくいことも知られています。
次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒が有効とされているので、家庭内で使う消毒剤も選び方に気をつけたいところです。
春先のウイルス胃腸炎は、気温が上がることで油断しやすくなります。
ですが、まだまだ感染リスクが残っている時期です。
特にお子さんがいるご家庭では、しっかりと予防対策をとりましょう。
以上が、春に胃腸炎が増える3つの理由です。
春は気温差や新生活のストレス、そしてウイルスのリスクが重なりやすい季節です。
これらのポイントを押さえておくだけでも、春の胃腸トラブルをぐっと減らすことができますよ。


第2章:つらい春の胃腸炎、家庭でできる対処法
春の胃腸炎はつらいものです。
できるだけ病院に行かず、家庭でケアできたら安心ですよね。
この章では、家庭でできる対処法を3つのポイントに絞ってご紹介します。
脱水症状を防ぐ水分補給の基本
胃腸炎でいちばん怖いのが、脱水症状です。
嘔吐や下痢が続くと、体の水分と電解質が一気に失われます。
だからこそ、水分補給が最優先になります。
おすすめは、経口補水液です。
たとえば「OS-1」や「アクアソリタ」などがあり、効率よく水分と電解質を補えます。
水よりも吸収率が高く、失った成分をすばやく補給できる点がメリットです。
飲み方にもコツがあります。
一度にたくさん飲むと胃がびっくりしてしまうので、こまめに少量ずつ飲むのがポイントです。
5〜10分ごとに一口ずつでもかまいません。
吐き気が強いときは、冷やすと飲みやすくなります。
常温よりも冷えた方が喉を通りやすく、気持ち悪さが和らぐこともあるんですよ。
無理にたくさん飲もうとせず、「ちょっとずつ」を意識するだけでも脱水予防につながります。
脱水は進行すると重症化のリスクがあるため、しっかり対策していきましょう。
食事は消化の良いものを無理なく
水分補給ができたら、次は食事です。
ただし、焦らずゆっくりが基本です。
胃腸が弱っているときは、消化の良い食事を選ぶことが大切です。
おすすめは、お粥、うどん、バナナなどのシンプルな食材。
柔らかく消化しやすいため、胃腸への負担が少なくて済みます。
無理に特別なメニューを用意する必要はありません。
注意したいのは、食事を極端に控えすぎること。
「食べない方がいいかな」と不安になりますが、必要な栄養が不足すると回復が遅れてしまいます。
無理のない範囲で、少しずつ食べ進めましょう。
胃腸炎のときは、「食べられるときに食べる」のが基本です。
無理にたくさん食べる必要はありませんが、体が求めているときにはしっかり栄養をとることが回復につながります。
無理に薬は使わず、受診の目安を知る
市販の下痢止めや整腸剤を使いたくなる気持ちはわかりますが、ここは慎重に。
胃腸炎のときに下痢止めを使うと、ウイルスや細菌を体外に排出する力が妨げられることがあります。
まずは自然な回復を待ちましょう。
休息と水分補給をしっかり続けることが、基本のケアです。
ただし、次のような場合は早めに医療機関を受診してください。
・高熱が続いている
・ぐったりしている、意識がぼんやりする
・水分が取れない、尿が半日以上出ていない
・繰り返し嘔吐している
これらの症状は脱水が進んでいるサインでもあります。
無理をせず、迷わず医師に相談しましょう。
春は忙しい時期ですが、自分の体調管理が何よりも大事です。
しっかりとケアして、早めの回復を目指しましょう。
以上が、家庭でできる春の胃腸炎対処法です。
脱水を防ぎ、無理なく食事をとり、必要に応じて医療機関を活用する。
シンプルですが、この3つを押さえておくだけで、安心してケアができますよ。


第3章:薬は必要?市販薬の選び方と使い方
春の胃腸炎は家庭でのケアが基本になりますが、「市販薬は使ってもいいのかな?」と迷う方も多いですよね。
ここでは、薬剤師の視点から、市販薬の選び方と使い方のポイントをご紹介します。
正しく活用すれば、つらい症状を和らげるサポートになりますよ。
市販薬は症状に応じて選ぶ
胃腸炎に使う市販薬は、症状によって選び方が変わります。
万能な薬はないので、自分の体調に合ったものを選びましょう。
まずは整腸剤。
腸内環境を整えて回復をサポートしてくれる薬です。
おすすめは「ビオスリーHi錠」。
乳酸菌や酪酸菌などの有用菌が配合されていて、胃腸炎後の乱れた腸内バランスを助けてくれます。
次に胃腸薬。
「大正漢方胃腸薬」は、消化不良や胃の不快感が気になるときに役立ちます。
胃のもたれや食欲不振に使える、頼りになる市販薬です。
さらに、食あたりや水あたりで急に腹痛や下痢が出たときは、「正露丸」も選択肢のひとつです。
木クレオソートが腸内で働き、腸の動きを穏やかに整えてくれます。
ウイルス性胃腸炎では慎重に考える必要がありますが、食あたりなど急性の症状には頼もしい存在です。
家庭に備えておくと、いざというときに安心ですね。
吐き気が気になる場合は、漢方薬も選択肢に入ります。
おすすめは「クラシエ漢方柴胡桂枝湯エキス顆粒A」。
体力が落ちたときの胃のムカムカや吐き気に使われる漢方で、春の胃腸炎にも活用できます。
どの薬にもいえることですが、使うタイミングと目的をしっかり意識することが大切です。
薬局で選ぶときは、薬剤師に相談してみるとより安心ですよ。
薬剤師がすすめる使い方のコツ
市販薬はあくまでサポート。
基本は水分補給と休息です。
薬だけで治そうとせず、体調を整えることを優先しましょう。
整腸剤は、下痢が落ち着いてからの使用がおすすめです。
腸が弱っているときに使うと、腸内環境を整える助けになります。
胃腸薬は、食事を再開するときのサポート役に。
胃もたれや食欲不振のときに取り入れると、食事がスムーズに進むようになります。
市販薬は「体を助ける補助アイテム」として考えましょう。
まずは休息と水分補給をしっかり続けてくださいね。
市販薬を知って、いざというときに備える
症状に合わせた市販薬を上手に使えば、春の胃腸炎も乗り切れます。
基本は水分と休息で体を整えつつ、必要に応じて薬を取り入れる。
市販薬の選択肢を知っておくだけでも、いざというときの安心感が違いますよ。
つらい症状が長引くときは、迷わず医療機関を頼ることも忘れずに。
自分のペースで体調を整えて、春を健やかに過ごしましょう。
まとめ
●春の胃腸炎は、寒暖差・新生活のストレス・ウイルス感染が重なることで増える。
●脱水予防は基本のケア。経口補水液を少量ずつこまめに飲む。
●食事はお粥やうどん、バナナなど消化にやさしいものを選ぶ。
●市販薬は症状に合わせて選択。整腸剤「ビオスリーHi錠」、胃腸薬「大正漢方胃腸薬」、吐き気には「クラシエ漢方柴胡桂枝湯エキス顆粒A」、食あたりには「正露丸」も検討。
春は気温の変化が大きく、生活環境も変わる時期です。
その影響で胃腸の不調が起こりやすくなりますが、日頃からできるケアを知っておくだけでも安心感が違います。
市販薬も上手に取り入れながら、自分の体調と向き合うことが春の胃腸炎対策になります。
無理をせず、体調の変化には早めに気づいて、健やかに春を乗り切りましょう。