うがい液、イソジンの効果は?使い方、注意点などを解説!
のどの調子が悪くて病院に行ったとき、よく処方されるのが「イソジン」という呼び名でお馴染みのイソジンガーグル液です。市販でもイソジンは取り扱われており、さまざまなメーカーの商品が販売されています。
ところで、イソジンにはどのような成分が含まれているのか、どういった効果があるのかをご存知でしょうか?今回はイソジンの成分や効果、使い方の注意点などについて詳しく解説します。
うがい液、イソジンとは?
イソジンガーグル液は、医療用のイソジンです。有効成分としてポビドンヨードが7%配合されています。そのまま使うのではなく、薄めて使うものなので注意してください。
市販薬でもポビドンヨードを主成分としたイソジンがいくつか販売されています。医療用と同じく7%のポビドンヨードを配合したもの、味が苦手な方でも使いやすいように工夫されたものなど種類はさまざまです。なかには、薄めずそのまま使える利便性の高い商品もあります。
有効成分ポビドンヨードとは?
イソジンの有効成分はポビドンヨードです。以前はヨードをアルコールに溶かしたヨードチンキが消毒に使われていました。しかし刺激性が強かったため、現在はポリビニルピロリドンとヨードを合わせたポビドンヨードがおもに使われています。
ポビドンヨードの効果
殺菌力に優れており、粘膜にも使えることからうがい薬としてはもちろん、手術時や傷口の消毒をするときにもよく使われている成分です。抗生物質が効きづらい耐性菌にも効果を発揮することから、幅広い菌やウイルスの殺菌に用いられています。殺菌効果を示す菌やウイルスとして、次のものが代表的です。1)
〈細菌〉
• バシラス属
• 大腸菌
• ブドウ球菌属
• カンピロバクタージェジェニ
• ビブリオ属
〈真菌〉
• カンジタ属
• クリプトコッカス・ネオフォルマンス
• マラセチア・フルフル
• アスペルギルス属
• フザリウム・バーティシリウム
〈ウイルス〉
• アデノウイルス5型
• ノロウイルス
• ロタウイルス
• ライノウイルス
• ムンプスウイルス
〈その他〉
• 赤痢アメーバ
• 膣トリコモナス
• 梅毒トレポネーマ
• クロストリジウム属芽胞
• ペニシリウム属芽胞
ポビドンヨードの注意点
ポビドンヨードは小さな子どもでも使用できるものですが、いくつか注意点もあります。まず、妊娠中の方や授乳中の方はできるだけイソジンの使用を避けてください。短期間の使用なら問題ないと言われていますが、漫然と使用することでお母さんを介してヨードが赤ちゃんに移行する可能性があります。赤ちゃんにヨードが移行すると、甲状腺に蓄積されて機能に影響が出ることがあるので注意してください。できれば使わないのが一番です。
また、ポビドンヨードは衣類に付着すると、なかなか落ちません。こすり洗いをしても落ちないことがあるので、付着しないように気をつけましょう。
使用する際は必ず使い方を守ってください。薄めて使うものがほとんどですが、薄くしすぎたり濃くしすぎたりすると本来の殺菌効果を発揮できません。
そのほか、うがい薬用として販売されているイソジンを傷口の消毒に使うことはできないので注意してください。傷口に使う場合は専用のイソジンが販売されているので、そちらを使用しましょう。
市販のイソジンうがい液の紹介!
では、市販されている代表的なイソジンのうがい薬を紹介します。
イソジンうがい薬
医療用のイソジンガーグル液と同じく、ポビドンヨードが7%配合されたうがい薬です。口腔内やのどの殺菌・消毒、口臭の除去に効果があります。うがいをするときは薄めて使用してください。昔ながらのイソジンなので、独特の香りや味があります。
イソジンうがい薬P
こちらも医療用と同じく7%のポビドンヨードが主成分として配合されているうがい薬です。イソジン独特の香りが苦手な方でも使いやすいように、フルーティーな香りや味付けがされています。ほんのり香る程度なので完全にイソジンの味や香りが消えているわけではありませんが、だいぶ使いやすいでしょう。
イソジンうがい薬C
薄めることなくそのまま使えるタイプのうがい薬です。そのまま口に含んでうがいできるので、小さな子どもでも自分一人で使えるでしょう。すっきりとした清涼感があり、口の中をさっぱりとさせたいときにもぴったりです。
【番外編】イソジンクリアうがい薬
商品名に「イソジン」とついてはいるものの、ポビドンヨードは含まれていません。主成分は殺菌成分のセチルピリジニウム塩化物水和物です。炎症を抑えるグリチルリチン酸二カリウムも配合されています。
独特の味や香りがなくポビドンヨードが苦手な方でも使いやすいうがい薬です。グリチルリチン酸二カリウムも配合されているので、のどの痛みやはれを抑えたい方にも向いています。
イソジンは風邪の予防に効果がある?
イソジンを使っている方の多くは、「風邪を予防したい」と、細菌やウイルスの除去を目的として使用しているのではないでしょうか。たしかにイソジンの主成分であるポビドンヨードには、細菌やウイルスをやっつける効果があります。
しかし、実はイソジンうがい薬を使っても風邪の予防に大きな効果はありません。むしろ、水道水でうがいを行ったときよりも風邪を引いた方が多かったという研究結果もあります。2) 感染症対策でうがいをするのなら、イソジンを無理に使用する必要はなく、水道水でも十分に効果があるといえるでしょう。
妊娠中や授乳中のうがいはどうしたらいいの?
妊娠中や授乳中の方は、赤ちゃんにポビドンヨードの成分が移行する可能性があるため、使用は控えなければなりません。しかし、感染症対策のためにうがいをしたいと考えている方もいるかと思います。
そのようなときは、ポビドンヨードではなくセチルピリジニウム塩化物水和物という殺菌成分が配合されたうがい薬を選びましょう。こちらなら、妊娠中や授乳中であっても使用できます。
もしくは、水を使ってうがいをするだけでも構いません。うがい薬を使っても風邪の予防に効果があるという明確なデータがないため、うがい薬の使用にあまりこだわる必要はないでしょう。
まとめ
イソジンには、細菌やウイルスなどを殺菌する効果があります。幅広い種類の微生物に効果を発揮するため、手術のときや傷口の消毒をするときにも使われている成分です。ただし、うがい用のイソジンを傷口の消毒に使うことはできませんので注意してください。
また、妊娠中や授乳中の方は赤ちゃんの甲状腺機能に影響が出ることがあるので、できるだけ使用は控えましょう。甲状腺の機能にもともと障害がある方も、医師や薬剤師に相談して使用してください。
衣類に付着するとなかなか取れないため、付かないように気をつけて使用しましょう。薄めて使うものが多く販売されていますので、使用方法をしっかりと守って適切に薄めて使用することが大切です。
〈参考資料〉
1)イソジン公式サイト|ポビドンヨード (isodine.jp)
2)健康コラム | 京都大学環境安全保健機構 産業厚生部門 (kyoto-u.ac.jp)