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お薬コラム
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更新日:2025/05/05

その夏バテ、自己流は危険!薬剤師が教える「タイプ別 食欲不振」の正しい対策法

「とりあえずサプリ」「冷たいものは避ける」…間違いではありませんが、それで本当に改善しますか?

 

薬剤師の立場から言えば、夏の食欲不振は原因によって“効く対処法”が違います。

 

今回は「冷房バテ」「消化機能の低下」「水分代謝の乱れ」などタイプ別の症状と、正しい対策を医学的視点でご紹介します。

薬剤師ライター クロロボ
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第1章:その「なんとなく不調」…原因は“冷えバテ”かも?

「最近なんだかだるい」「食欲がない」「夜もぐっすり眠れない」

こうした“なんとなく不調”の背景に、実は冷えによる夏バテが隠れているケースが増えています。

かつての夏バテは、強い暑さや発汗による体力消耗が主な原因でした。

しかし現代では、エアコンの効いた室内で長時間過ごすことが多く、体の深部が冷えることで自律神経が乱れやすくなっています

このような状態を冷えバテと呼びます。

内臓の働きが低下し、胃腸の不調、睡眠の質の低下、疲れやすさなど、さまざまな不調の原因になります。

暑いはずなのに体が冷えてる…そんな感覚、ありませんか?

■ こんな人は要注意!冷えバテ セルフチェック

以下の項目に当てはまる数をチェックしてみてください。

✅エアコンのある室内で過ごす時間が長い
✅冷たい飲み物やアイスをよく摂る
✅夜に寝つきが悪く、睡眠が浅い
✅食欲がわかない日が増えた
✅手足やお腹が冷えやすい
✅肩こりや生理痛がいつもよりつらい

3つ以上当てはまる場合、「冷えバテ」の可能性があります。

特に女性は筋肉量が少なく、冷えによる不調が出やすい傾向があります。

まさか夏にまで冷えが関係してるなんて…油断してたら足先キンキンだよ〜!

 

■ 放っておくと秋以降まで不調が続くことも

「夏の終わりになれば自然と治る」と考えて油断していると、秋まで不調を引きずってしまう人も少なくありません。

自律神経の乱れが慢性化すると、疲労感・睡眠障害・消化不良といったトラブルが続きます。

そのため、早めの対策と生活の見直しがとても重要です。

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第2章:タイプ別に解説!夏バテ食欲不振の生活改善法

夏バテの症状といっても、原因は人それぞれ。

自律神経の乱れ、内臓の冷え、栄養不足――バテ方のタイプによって、対処法も変わります。

この章では、代表的な3タイプの「夏バテ食欲不振」に合ったセルフケアをご紹介します。

どのタイプも、まずは生活習慣の見直しがカギです。

【冷房バテタイプ】:自律神経が乱れて、だるさも食欲も回復しない

冷房の効いた部屋で長時間過ごすと、体の芯が冷え、自律神経のバランスが崩れがちになります。

眠りが浅くなったり、胃腸の働きが落ちたりして、なんとなく不調が続いてしまう――これが「冷房バテ」です。

 

◆ 睡眠環境を整える

夜は部屋の明かりを少し暗めにして、スマホやPCの使用を控えましょう。

眠りの質を高めるメラトニンの分泌が促され、体が回復しやすくなります。

ボクも寝る前にスマホいじるのやめたら、ぐっすり度がアップした気がするよ〜!

 

◆ 服装で冷えをブロック

室温がちょうどよくても、足元やお腹は意外と冷えています。

薄手のカーディガンや腹巻き、レッグウォーマーなどで体を冷やしすぎない工夫を。

 

◆ 入浴で副交感神経を優位に

38〜39℃のぬるめのお湯に10〜20分つかると、リラックスモードに切り替わり、体がゆるみやすくなります。

お風呂入るとふわ〜って体がゆるんで、気持ちもほぐれるんだよね〜!まさにリラックスタイムって感じ〜!

【食冷えバテタイプ】:冷たい飲食物が、内臓の元気を奪う

氷たっぷりのドリンクや冷たい麺類は、夏の定番。

ですが、摂りすぎると胃腸が冷えきって、働きが落ち、食欲不振や下痢を引き起こします。

 

◆ 常温の飲み物を意識する

1日1回でもいいので、白湯や常温の水に切り替えてみましょう。

それだけで胃腸の負担がかなり軽くなります。

ボクも最近、 朝はあったか〜い白湯にしてるよ〜! お腹にやさしくて、 なんかホッとするんだよね〜!

 

◆ 味噌汁を1品追加するだけで違う

あさりやワカメ、豆腐を入れた味噌汁は、内臓を温めるだけでなく、汗で失ったミネラルも補えます。

夏でも「汁物」は回復の鍵です。

 

◆ 夏野菜は火を通して取り入れる

トマトやきゅうりも、スープや炒め物にすれば冷えすぎを防げます。

体を温める調理法で“内臓の保温”を意識しましょう。

トマトときゅうりのスープと夏野菜の炒め物

【栄養不足バテタイプ】“食べられない”ことで、さらに食べられなくなる悪循環

食欲がないと食事が簡素になり、エネルギー不足に。

結果、疲れやすさ・だるさが続き、胃腸の動きも鈍くなってしまいます。

 

◆ 朝食は抜かない。軽くてもOK

バナナ+味噌汁、ゆで卵+トーストなど、ちょっとした組み合わせでも、体のスイッチが入りやすくなります。

 

◆ ビタミンB1+アリシンのセットが効率的

・ビタミンB1:豚肉、玄米、カツオ、枝豆

・アリシン:ネギ、玉ねぎ、にんにく

これらを一緒に摂ると吸収率がアップし、疲労回復につながります。

レバニラ炒め、豚の生姜焼き(玉ねぎ入り)

 

◆ 脂っこい肉=スタミナ、は誤解も

胃腸が弱っているときに鰻や焼肉は逆効果になることも。

赤身肉や豆類、魚など、消化に優しいタンパク質源を選びましょう。

スタミナつけようと思って焼肉ガッツリ…で、あとから胃が重くなりました・・・

 

■ 生活改善が“体調の土台”を作る

食欲不振を感じたとき、つい市販薬に手が伸びがちですが、まずは日々の食事や睡眠、冷え対策を整えることが先決です。

生活習慣こそが、体調を支える“ベース”になります。

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第3章:それでもつらい時に…薬剤師おすすめ市販薬

生活習慣を見直しても、「どうしても不調が抜けない」「食べる元気が出ない」――。

そんなときこそ、薬の出番です。

ただし、あくまでこれは“補助的な選択肢”。

まずは食事・睡眠・冷え対策を軸に体調を整えること。

それでもつらさが続くとき、体に合った市販薬でそっと後押ししてあげましょう。

ここでは、夏バテのタイプ別におすすめの市販薬を紹介します。

【冷房バテタイプ】冷えと自律神経の乱れが主な原因に

このタイプは「なんとなくだるい」「イライラする」「眠れない」「食欲が落ちた」など、

いわゆる“冷え+自律神経の不調”がセットで現れるのが特徴です。

こうした体調の波には、漢方薬が相性◎です。

 

◆ おすすめ市販薬:加味逍遙散(かみしょうようさん)

・冷え性で、ストレスを感じやすい女性向けの処方
・自律神経のバランスを整えつつ、気分の浮き沈みや食欲不振にも対応

【注意点】
・効果が出るまでに数日~1週間かかることもあります
・「冷え」が少ない方には不向きです

ストレスや冷えが気になる方に、体質に合えば穏やかに整えてくれる処方です。

【食冷えバテタイプ】胃腸が冷えて働かない、そんなときの整え方

食べるとすぐ胃がもたれる、下痢しやすい、便がゆるい――。

このタイプには、「胃をあたためて元気にする」処方が適しています。

 

◆ おすすめ漢方薬:六君子湯(りっくんしとう)

・胃が弱く、食欲がないタイプに
・「気虚(ききょ)」というエネルギー不足に対応し、胃腸機能をサポート

 

◆ 補助的に使える整腸薬

・腸内環境が乱れている方は、乳酸菌製剤・酪酸菌製剤の力を借りるのもおすすめです。
・整腸薬は即効性ではなく、数日~1週間かけて腸内環境を整えていくイメージで使用しましょう。

ビオスリーHi錠

強ミヤリサン(錠)

【栄養不足バテタイプ】体の“エネルギー不足”を感じるときに

食事のバランスが崩れ、栄養が足りていないと、エネルギーが生まれず、疲労感や無気力が続きます。

このタイプは、「疲れがとれない」「何もしたくない」といった状態が特徴的です。

 

◆ おすすめ栄養補給系市販薬

アリナミンEXプラスα

ビタミンB1誘導体配合。末梢神経の回復や疲労感の改善に実績あり。

 

キューピーコーワiプラス

血流促進成分やビタミン群配合で、だるさや目の疲れにも対応。

 

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

「胃腸が弱く疲れやすい人向け」の漢方。
夏バテで食事がとれない人におすすめ。

どれも、「元気が出ないけど、薬に頼ってもいいのかな?」というときの心強い選択肢です。

 

■ 長引く不調は「体からのサイン」

夏バテのつらさは、本人にしかわからないもの。

だからこそ、自分に合ったケアとペースで向き合うことが大切です。

薬は「最後のひと押し」。

生活改善で整えた土台の上に、薬を乗せることで、回復へのスピードが加速します。

それでも「1週間以上つらさが続く」「だんだん悪化している」――

そんなときは、迷わず医療機関を受診しましょう

無理せず、あなたの体と心にやさしく。

夏を、軽やかに乗り越えていきましょう。

まとめ:夏バテの食欲不振に打ち勝つためのポイント

●夏バテは“冷え”や自律神経の乱れが原因になることも
暑さだけでなく、冷房や冷たい飲食物が不調の引き金になります。

●タイプ別のセルフケアで体を整えることが第一歩
冷房バテ・食冷え・栄養不足など、原因に合わせて生活改善を。

●それでもつらい時は“補助的に”市販薬を活用
漢方・整腸薬・ビタミン剤など、体質に合ったものを選びましょう。

●1週間以上続くなら医療機関へ相談を
夏バテの影に他の病気が隠れていることもあるため、放置はNGです。

 

夏の食欲不振は、“生活の乱れ”が原因になっていることが多いです。

まずは冷え・栄養・リズムを見直すのが基本

それでもつらいときは、自分に合った市販薬で負担を軽くするのも有効です。

ただし、長引く不調は医師に相談を。

 

【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公式情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
◆ メーカー公式製品情報
ツムラ|漢方処方製品情報
アリナミン製薬|アリナミンブランドサイト
ミヤリサン製薬|ミヤリサン製品情報
アリナミン製薬|ビオスリーHi錠
興和株式会社|キューピーコーワシリーズ製品情報