関節痛
関節痛があると、長距離を歩くのがつらくなったり、立ち上がるのに時間がかかったりと、何かと不便なものです。「痛みで階段の上り下りがつらい」「最初の一歩がなかなか踏み出せない」という方もいるのではないでしょうか。
関節痛は市販薬を使うことで症状を楽にすることができます。とはいえ、市販薬はとても種類が多いためどれが自分に合っているのか選ぶのが難しいものです。そこで今回は、関節痛に効果がある市販薬の成分や特徴を詳しく解説します。
関節痛の原因について
関節痛の原因は運動や加齢、疾患によるものが代表的です。
どれか一つが原因になっていることもあれば、複数の要因がからみあって関節痛を起こしている場合もあります。 |
運動
適度な運動は関節痛の予防に効果的ですが、負荷が高すぎる運動はかえって症状を悪化させる原因です。また、同じ動作を何度もくり返すことで肘や膝などに負担が蓄積していくケースもあります。
ゴルフやテニス、野球をしている方が関節を痛めやすいのは、毎日のように関節に負担をかけ続けているためです。負荷をかけ続けると、ときに半月板損傷を起こすこともあります。
加齢
関節と関節の間には、クッションの役割をはたしている軟骨があります。軟骨は加齢によって少しずつすり減ったり変形したりしてしまうものです。クッション性がなくなると関節同士が接触して痛みを生じやすくなります。
高齢者でよく見られるのが、変形性関節症です。軟骨がすり減ることで関節に炎症が起き、水がたまったり関節が変形したりします。
関節リウマチ
関節リウマチとは、軟骨や骨が破壊されることで関節に痛みや変形を生じる疾患のことです。本来は細菌やウイルスに対して働くはずの免疫系が自分自身を攻撃してしまうことで発症します。朝に起こる手足のこわばりが特徴です。そのほか、微熱や倦怠感、食欲不振なども起こります。
関節痛に効果がある市販薬
関節痛に効果がある市販薬には、ビタミン剤や解熱鎮痛薬、湿布薬などがあります。それぞれどのように関節痛を抑えていくのかを見ていきましょう。
ビタミン剤
関節痛には、ビタミンB1やビタミンB12が効果的です。ビタミンB1は食べたものからエネルギーを作る働きがあり、筋肉の疲労を軽減することで関節の働きを助けます。ビタミンB12は、神経の傷を修復する成分です。解熱鎮痛薬やシップ薬のように速効性はありませんが、体の中から関節の働きをサポートしてくれます。
アリナミンEXゴールド
疲労回復に効果的なビタミンB1をはじめ、神経の機能維持に働くビタミンB6やビタミンB12が配合されているビタミン剤です。関節痛だけでなく、目の疲れや腰痛にも効果を発揮します。
ユンケル1・6・12EX
関節痛に効果があるビタミンB1やビタミンB12などのほかに、血行をよくする働きのある成分が2種類配合されたビタミン剤です。目の疲れや腰痛にも効果があります。
解熱鎮痛薬
痛み止めの飲み薬は、飲んで15~30分程度で効果が出てくるので、すぐに痛みを抑えたい方におすすめです。肘や膝など関節痛の症状が広範囲に出ている方にも向いています。
ロキソニンS
病院で処方してもらえるロキソニンと同じく、主成分としてロキソプロフェン配合された解熱鎮痛薬です。
リングルアイビー
鎮痛成分としてイブプロフェンが配合されています。ロキソニンより鎮痛効果はやや劣りますが、薬剤師が不在のドラッグストアでも購入できるため手に取りやすい商品です。液体カプセルになっているので速効性が期待できます。
湿布薬
湿布薬は痛みをピンポイントで抑えることができます。関節に貼る場合はどうしても剥がれやすくなるので、上からサポーターをつけておくとよいでしょう。
ボルタレンEXテープ
市販の湿布薬のなかではもっとも鎮痛効果が高いものです。1日1回で24時間効くため、貼り直しが面倒な方や学校や仕事で時間が取れない方に向いています。
ロキソニンSテープ
鎮痛効果が高く、知名度も高い湿布薬です。微香性なのでにおいはあまり気になりません。1日1回で24時間効果が続くのも特徴でしょう。
漢方薬
関節痛の原因や体質によっては、漢方薬も効果があります。痛みを一時的に止めるのではなく、関節痛が起こる原因そのものにアプローチしながら痛みを抑えられるお薬です。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
体にたまった余分な水分の排出を促すことで、関節痛を和らげます。むくみやすく、汗をかきやすい方に向いている漢方薬です。
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
体が冷えやすく体力がない方に使われます。変形性関節症や神経痛などに効果を発揮する漢方薬です。関節リウマチの治療に用いられることもあります。
関節痛に効果がある成分とは?
ビタミンB1やビタミンB12、コンドロイチンや痛み止めの成分は、関節痛を和らげる代表的な成分です。
ビタミンB1
ビタミンB1は、別名チアミンとも呼ばれています。糖質からエネルギーを作るために必要な成分です。エネルギーを効率よく作ることで筋疲労を軽減し、関節痛を和らげます。
ビタミンB12
神経の傷を修復する働きがある成分です。神経を構成しているタンパク質やリン脂質の合成を促すことで関節痛を取り除きます。
コンドロイチン
コンドロイチンは、軟骨を構成する成分の一つです。軟骨の成分を補うことでクッション機能を向上させます。速効性はないので、継続して飲むことが大切です。
痛み止め成分
飲み薬や湿布薬に配合されている痛み止めの成分は、ほかの成分と比べると素早く痛みを止めてくれます。効果の高さを重視する方はジクロフェナクナトリウムやロキソプロフェンを選ぶとよいでしょう。
患部は冷やした方が良い?温めた方が良い?
痛みがあるとき、冷やすべきか温めるべきか迷ってしまう方は多いはずです。迷ったら「気持ちいいと感じるほう」を選択してもらえれば問題ありません。しかし、一般的には次のように使いわけられています。
急性の関節痛は冷やす
・痛みが出始めてからまだ時間が経っていない
・患部が熱をもっている
・患部が腫れている
このようなときは、冷やすほうが効果的です。冷やすことで炎症を抑え、痛みを軽減できます。湿布薬を選ぶときは、冷感効果のあるパップ剤がおすすめです。
慢性の関節痛は温める
・痛みが長い間続いている
・関節まわりの筋肉がこわばっている
このようなときは温めたほうが効果的です。血流をよくすることで患部に酸素や栄養素が届き、痛みが和らぎやすくなります。湿布薬を使うときは、温感タイプのものを選んでみてください。
生活上のアドバイス
関節痛をやわらげたり予防したりするためには、次のポイントを押さえることが大切です。
・肘や膝などをなるべく冷やさない
・肥満の方は体重を落として関節への負担を減らす
・サポーターをして関節を固定する
・負荷をかけすぎない
・適度な運動を心がける
とくに肥満気味の方は、体重を落とすことで関節への負担を大きく減らせます。関節痛を起こしやすい原因をできるだけ取り除き、快適な毎日を過ごせるようにしましょう。
まとめ
関節痛は、運動によって負荷をかけすぎたり老化によって軟骨がすり減ったりすることで起こります。関節リウマチも痛みが起こる原因です。疾患が原因の場合は病院での治療が必要となりますが、軽い痛みなら市販薬でも対処できます。
体の内側から痛みをケアしたい方はビタミン剤、すぐに痛みを止めたい方は解熱鎮痛薬や湿布薬を選んでみてください。関節痛を予防するためには膝への負荷を減らしたり日頃から軽い運動をしたりしておくことがおすすめです。