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更新日:2023/01/05
市販の酸化マグネシウムについて薬剤師が解説!医療用との違いは?どのような便秘に効果ある?

酸化マグネシウムは、便秘薬として使われている成分です。市販薬には数多くの便秘薬がありますが、そのなかでもクセになりづらくお腹が痛くなりにくい成分として知られています。

 

今回は酸化マグネシウムが含まれている市販薬や効果、特徴などについて詳しく見ていきましょう。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

酸化マグネシウムとは?

酸化マグネシウムは市販でよく売れているのはもちろん、医療用でも頻繁に処方されているものです。まずは、どのような特徴があるのか、どういった商品があるのかについて解説します。

酸化マグネシウムの特徴

酸化マグネシウムは下剤成分の一つです。下剤といっても、腸をむりやり刺激するものではありません。腸に水分を集めて便をやわらかくすることで排便を促すものです。
そのため、お腹が痛くなりにくいといわれています。また、腸に刺激を直接与えないことから、クセになりにくいことも特徴です。

酸化マグネシウムが配合された代表的な市販薬

酸化マグネシウムが配合された市販薬はいくつかあります。ここでは、ドラッグストアや薬局でもとくに人気が高い3つの商品を紹介しましょう。

 

酸化マグネシウムE便秘薬

5歳から服用できる酸化マグネシウム配合の便秘薬です。お腹が痛くなりにくいといわれていますが、人によってはゆるくなりすぎることがあるので、まずは少量から試しましょう。15歳以上でしたら1回3~6錠となっているので、最初は3錠から試してみるのがおすすめです。ほのかなレモン味になっており、小さな子どもでも服用しやすくなっています。

 成分量(6錠中)  酸化マグネシウム:2,000mg
 服用可能な年齢  5歳から
コーラックMg

コーラックといえばピンクの小粒を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、酸化マグネシウムが主成分のタイプも販売されています。腸を刺激せず水分を集めて便をやわらかくするため、お腹が痛くなりにくいことが特徴です。口に含むとすぐに溶けるよう設計されているため、錠剤を飲み込むのが苦手な方でも服用しやすいでしょう。嚥下機能が低下した高齢者でも服用しやすくなっています。

 成分量(6錠中)  酸化マグネシウム:1,980mg
 服用可能な年齢  5歳から
スルーラックマグネシウム

酸化マグネシウムが主成分の便秘薬です。便をやわらかくし、自然なお通じを促します。5歳から服用できるので、便秘しがちな子どもに飲ませることも可能です。量を調節して飲めるので、まずは少量から試してみて便の様子を見ながら錠数を増減していきましょう。

 成分量(6錠中)  酸化マグネシウム:2,000mg
 服用可能な年齢  5歳から

医療用の酸化マグネシウムとの違いは?

酸化マグネシウムは、病院で処方されることもある成分です。基本的に成分に違いはありません。ただし、1錠あたりに含まれている酸化マグネシウムの量は違うことがあるので注意してください。

市販薬の場合は1錠あたり約333mgの酸化マグネシウムが含まれています。医療用の場合は250mgや330mg、500mgなどいくつか種類があるので、病院で貰っている薬の代わりに市販薬を使用する場合は服用量に気をつけましょう。

効果がある便秘症状とは?

酸化マグネシウムは、次のような方に向いています。

• 便が固くてなかなか出ない方
• 便秘気味の方
• コロコロとした便が出る方

水分を集めて便をやわらかくする効果があるため、便が固めの方に適しています。コロコロとした便は水分が不足している証拠ですので、酸化マグネシウムを服用することで症状が改善しやすいでしょう。一度に大量の酸化マグネシウムを服用するとお腹が痛くなったり下痢をしたりすることがあるので、自分に合う量をまずは見つけてみてください。

ほかの下剤に比べて良い点は?

酸化マグネシウムは、長く使用してもクセになりにくいといわれています。そのため、「服用を続けていたら効かなくなってきた」「量を増やさないと効かないようになった」ということがほとんどありません。

また、腸を直接刺激することもないのでお腹が痛くなりにくいといわれています。ただし、酸化マグネシウムの効きやすさは人によって違うので、少量でもお腹が痛くなってしまう方もいます。

腸を刺激するタイプの便秘薬は、服用してから8時間程度で効き始めるものがほとんどです。一方で酸化マグネシウムの場合は個人差が大きく、3時間ほどで効き始める方もいれば8時間ほどかかる方もいます。

酸化マグネシウムといえば、子どもや妊婦さんでも服用できることも大きな特徴でしょう。腸を刺激するタイプの便秘薬は15歳以上からとなっているものがほとんどです。しかし酸化マグネシウムなら5歳から服用できます。子宮を刺激しにくく胎児への影響もないことから、妊婦さんでも服用することが可能です。

服用時の注意点は?

酸化マグネシウムは子どもや妊婦さんでも使えることから、安全性が高い成分として知られています。しかし、残念ながらすべての方に服用が適しているわけではありません。

気をつけたいのは、腎臓の働きが弱っている方です。マグネシウムの排泄は腎臓で行われていますが、機能が落ちている方だと排泄されず体に溜まってしまうことがあります。腎臓に負担をかけることがあるため、腎臓の疾患で治療を受けている方は服用しても大丈夫か担当医に相談するようにしてください。

酸化マグネシウムが向いている方とは?

次のような方は、腸を刺激するタイプではなく酸化マグネシウムの使用が向いていると考えられます。

• 便秘薬を初めて使用する方
• 子どもでも使える便秘薬を探している方
• 妊婦の方
• 便が固くて出ない方

酸化マグネシウムはお腹が痛くなりにくいため、「便秘薬でお腹が痛くなったらどうしよう…」という初心者の方でも使いやすくなっています。どうしてもお腹が痛くなるのではと不安な方は、少ない量から試してみてください。

5歳からでも服用できるため、子どもの便秘にも対応できます。妊婦さんが服用しても問題ありません。添付文書の服用前に医師、薬剤師などに相談すべき人の項目には「妊婦又は妊娠していると思われる人」と記載がありますが、医療機関で妊婦さんに処方される便秘薬はほとんどが酸化マグネシウムですので安心してください。

便をやわらかくして排便を促す効果があることから、固くて出ない方に向いています。便が入り口付近で固まって出ない方、コロコロした便が出てすっきりしなに方は酸化マグネシウムの使用が向いているでしょう。

まとめ

市販の酸化マグネシウムと医療用とに大きな違いはありません。配合されている成分も効果も同じです。ただし、市販と医療用とでは1錠あたりに含まれている酸化マグネシウムの量が違う場合があるので注意しましょう。

酸化マグネシウムには便に水分を含ませてやわらかくする効果があるため、固くて出ない方に向いています。子どもや妊娠中の方でも服用することが可能です。ただし、腎臓の機能が落ちている方は服用できないことがあるため、治療中の疾患がある方は担当医に相談するようにしてください。