毛髪用薬（男性の抜け毛、薄毛）

男性の抜け毛が増えたり薄毛になったりする原因の多くは壮年期脱毛症です。壮年期脱毛症は、男性ホルモンの一つであるジヒドロテストステロン（DHT）の働きによって起こります。ジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプターに結合すると、脱毛因子が分泌されて毛母細胞の増殖が抑制されてしまうのです。

すると、髪の毛が長く太く育っていく成長期の期間が短くなり、細くて短い髪の毛がどんどん増えていきます。これが抜け毛が増えて薄毛になる原因です。

健康な方であれば成長期の期間は約3～5年ほど続きますが、壮年期脱毛症を発症している方だとわずか1年から数か月ほどにまで短くなってしまいます。

男性が脱毛症になる原因の多くは壮年期脱毛症です。このほか、円形脱毛症や牽引性脱毛症なども知られています。

円形脱毛症とは、コイン状に髪の毛が抜け落ちてしまう疾患のことです。以前はストレスが原因だと考えられていましたが、現在は自己免疫疾患の一つだと考えられています。本来はウイルスや細菌など病原体にしか反応しない免疫が、誤って自分自身を攻撃してしまうのです。そのほか、遺伝的な体質や甲状腺の病気なども関係していると言われています。

牽引性脱毛症とは、髪の毛を強く引っ張ることで起こる脱毛症です。同じ場所で髪の毛を結び続けたり、編み込みをしたりすることで髪の毛が引っ張られて脱毛を起こします。

市販で対応できる脱毛症は、壮年期脱毛症と円形脱毛症の2種類です。この2つの脱毛症に効く成分としては、おもに次の3種類が知られています。

ミノキシジルは、壮年期脱毛症に効果がある成分です。短くなった成長期の期間を正常に戻し、さらに血流を良くすることで脱毛症を改善していきます。

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」でも、ミノキシジルの外用薬は推奨度A（行うよう強く勧める）と高い評価を得ている成分です。市販では1％もしくは5％の濃度のものが販売されています。

もともとは高血圧の治療薬として開発されていたこともあり、血圧に異常がある方や狭心症や不整脈など心臓の病気がある方は注意して使用しましょう。担当医に相談し、許可を得てから使用するようにしてください。

カルプロニウムは、壮年期脱毛症と円形脱毛症の両方に効果がある成分です。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」による推奨度はC1（行ってもよい）とそこまで高い評価ではありません。

しかし、5％のカルプロニウムを用いた試験では6例中4例で脱毛減少や発毛が確認されています。市販では1～2％の濃度のものしか販売されていませんが、一定の効果が期待できると考えられています。

エストラジオールは女性ホルモンの成分です。成長期にある髪の毛を増やす働きがあることで知られています。クリニックなどではあまり使用されていない成分ですが、円形脱毛症をはじめ、さまざまな脱毛症に効果が期待できる成分です。

抜け毛の改善をするおもな成分はミノキシジルとカルプロニウム、エストラジオールの3種類です。市販の発毛剤や育毛剤には、このほかに次のような成分も配合されていることがあります。

発毛剤や育毛剤には、ビタミンが配合されているものが少なくありません。よく配合されているのが、次の成分です。

• パントテニールエチルエーテル
• ピリドキシン塩酸塩
• トコフェロール酢酸エステル

パントテニールエチルエーテルは毛母細胞の細胞分裂を促進するサポートをする成分です。ピリドキシン塩酸塩は過剰な皮脂分泌を抑えることで、頭皮環境を守ります。トコフェロール酢酸エステルは血行を良くする成分です。

ジフェンヒドラミン塩酸塩は、頭皮のかゆみを抑える成分として配合されています。かゆみが出ると頭皮が荒れたりフケが出たりすることがあるため、抑えてあげることが大切です。頭皮環境を良好に保つ働きがあります。

では、脱毛症に効果がある市販薬をここでは4つ紹介します。

ミノキシジルが市販では最大濃度の5％配合された発毛剤です。ミノキシジルのほか、頭皮環境を整える6種類の成分が配合されています。ミノキシジルが配合された市販薬はこのほかにも多く販売されていますが、サポート成分が多く配合されていることがリアップX5プラスネオの大きな特徴です。

ミノキシジルが5％配合された発毛剤です。ミノキシジルのみが配合されたシンプルな処方になっています。そのため、ほかの発毛剤と比べると価格は安めです。発毛剤は最低でも4か月は続けて使うことが大事です。リグロEX5ならお財布を気にせず続けて使いやすいでしょう。

脂性肌の方向けにはカロヤンプログレEX O、乾燥肌の方向けにはカロヤンプログレEX Dが販売されています。主成分はカルプロニウムです。市販では最大濃度となる2％のカルプロニウムが配合されています。壮年期脱毛症だけでなく円形脱毛症や粃糠性脱毛症などにも使えることが特徴です。

女性ホルモンの一種であるエストラジオールが主成分の発毛剤です。かゆみ止めのジフェンヒドラミン塩酸塩や有効成分の浸透性を上げるサリチル酸、血行を促進するトウガラシチンキなどが配合されています。壮年期脱毛症だけでなく、円形脱毛症や粃糠性脱毛症にも使用可能です。