お薬手帳について薬剤師が解説!節約、災害時などメリットたくさん
お薬手帳は聞いたことがあるけど、実際にもったことがない。
いつも薬をもらうときに、お薬手帳をもって行くけど、自分でしっかり内容はみない。
実際にお薬手帳をもっているけど、薬局の薬剤師にすすめられてもっているという方も多いのではないでしょうか。
お薬手帳はお薬のことだけでなく、さまざまな情報を記載できます。今回はお薬手帳の使い方、内容、メリットなどを詳しく説明します。あらためて「お薬手帳のもつ意味」を理解して、活用してくださいね。
お薬手帳とは?
お薬手帳の基本的な内容として、目的、使用タイミングなどを解説します。すでに使っている方も、お薬手帳の使い方を再確認してくださいね。
お薬手帳なしで、今飲んでいる薬を言えますか?
お薬手帳には、薬を「いつ」「どこで」「何を」もらったのか記載されています。薬局の薬剤師からすると、他の病院でどのような薬がでているのか知るのは重要です。また、医師、歯科医師も他の病院でどのような薬がでているのかを知ることは、治療や薬を判断する上で大切な情報です。
病院で、歯医者で、薬局で「今飲んでいる薬はありますか?」と聞かれたときに答えられますか。
・ 高血圧の薬を飲んでいます。
・ 痛み止めのカロナール錠を飲んでいます。
飲んでいる薬の数が少ないと、ここまでは答えられるかもしれません。ですが、もう少し詳しく知りたい場合もあるのです。
痛み止めのカロナール錠といっても、カロナール錠200mg、カロナール錠300mg、カロナール錠500mgなど複数存在します。
「カロナール錠300mg 1日3錠 毎食後 30日分」
薬剤師としては上記のような内容までわかることが理想です。ここまで覚えておくのは大変ですよね。ですが、お薬手帳には薬の名前、飲む量、飲み方、日数が書かれています。お薬手帳をもつことで、細かい内容を覚えておかなくても、お薬手帳をみせるだけで済むのです。
お薬手帳の記録は飲んでいる薬だけではない!
お薬手帳には、薬の名前や飲み方などが記載されていると説明しました。他にも大切なことが書かれている場合があります。
□ 薬や食品によるアレルギーの記録
□ 副作用の記録
□ これまでにかかった病気の記録
□ さまざまなワクチンの記録
これらの記録は大切な情報です。
とくに、薬によるアレルギーや副作用の記録はとても大切です。薬は、成分が同じでも名前が違うこともあります。過去にどの薬でアレルギーや副作用がでたかを知ることで、同じ薬を避けて違う薬を選べるのです。
これまでかかった病気の記録に関しては、薬を飲んでいないけれど定期的に検査して経過をみている場合もあります。そのような病気も薬を選択する上で大切な情報です。
ワクチンの記録も大切な医療の記録となっています。新型コロナワクチンの記録なども記載しておくとよいでしょう。
また、薬の名前や飲み方と同様に、アレルギーや副作用の記録、これまでにかかった病気を覚えておくことは大変ですよね。お薬手帳に書いておくことで、伝え忘れを防げます。
お薬手帳を使うタイミングは病院、薬局だけ?
お薬手帳は病院、歯医者、薬局にもって行くことが大切です。その他にも「使うタイミング」として知ってほしいタイミングは、災害時や緊急時です。
お薬手帳は災害時にも活躍します。東日本大震災では、病院のカルテ情報が無い中、日頃から使用していたお薬手帳をもっていた方は、スムーズにお薬の情報を把握できました。また、救護所で提供された市販薬や医薬品の記録をお薬手帳に記録することで、別の避難所に移動する際も医療記録としてお薬手帳は機能しています。
また、災害時だけでなく、自分が病気で急に倒れてしまったときなどの緊急時もお薬手帳は有用です。自分が話せないときには、救急隊がお薬手帳をみることで、服用している薬の把握ができます。
お薬手帳はさまざまな場面で活躍します。検診、ワクチン接種でも、ぜひもって行くようにしましょうね。そして、自分でも記録などを書いておくとよいでしょう。
お薬手帳をもつメリットは?
お薬手帳の内容や使い方を解説してきました。ここからは、具体的にメリットを解説します。
薬の飲み合わせがチェックできる
お薬手帳には、薬の名前、飲む量、飲み方、日数が記載されていることは解説しましたね。薬局では、お薬手帳の内容を確認し、その日に処方されている薬との飲み合わせをチェックします。
□ 他の病院と同じ薬はでていないか
□ 同じ種類の薬がでていないか
□ 一緒に使用してはいけない薬がでていないか
このような内容をチェックします。
節約につながるお薬手帳
お薬手帳をもつメリットは、今飲んでいる薬、アレルギーや副作用の記録などの把握だけではありません。お薬手帳を続けてもって行くことでお薬代が安くなります。
逆に、3ヵ月以内に同じ薬局に処方せんをもって行くときにお薬手帳を忘れてしまうと、会計が増えてしまいます。
3割負担の方で、約40円です。約40円でも、毎月病院に通う方や、複数の病院にかかっている方は大きな金額になってしまいますよね。お薬手帳をもつだけで、お薬代の節約にもつながります。
お薬手帳はどこでもらえる?
お薬手帳は薬局でもらえます。とくに「かかりつけ」として通っている薬局では、無料でもらえることが多いです。ここでは、お薬手帳の冊子タイプと電子タイプを紹介します。
冊子のタイプはお薬手帳の定番タイプ!
お薬手帳として普及しているお薬手帳タイプは「冊子タイプ」です。デザインが豊富で、地域によってはご当地キャラを使用したオリジナルお薬手帳を作って配布しています。
インターネットなどでキャラクターデザインの手帳が販売されているので、好きなデザインを購入することもできます。また、お薬手帳のカバーやケースには、カード入れが付いている物もあり、診察券や保険証を一緒に持ち歩けるのです。
自分なりに管理しやすい物を選んだり、デザインで楽しんだりすると持ち運ぶのが楽しくなりますよね。
電子お薬手帳、自宅でダウンロードもできる!
近年では電子お薬手帳と呼ばれる、スマートフォンアプリのお薬手帳がでてきました。スマートフォンのアプリで、冊子タイプのお薬手帳の内容と変わりません。
スマートフォンに入れておけるため、突然の受診でも普段飲んでいるお薬を伝えられます。お薬手帳の内容の登録方法は、薬局で発行してくれるQRコードで簡単に登録可能です。
また、さまざまなメーカーが電子お薬手帳アプリを作っており、お薬手帳機能以外の機能がついている場合もあります。
電子お薬手帳アプリ:eお薬手帳、EPARKお薬手帳、ヘルスケア手帳など
追加機能:メッセージやり取り機能、服薬アラーム機能、処方せん画像送信機能など
電子お薬手帳と冊子のお薬手帳のどちらかに決めなくても大丈夫です。冊子と一緒に電子お薬手帳をもつこともできます。すでに冊子をもっている人は、電子お薬手帳を並行して使ってみるのもいいですね。
まとめ
お薬手帳は、手軽に、正確に自分の飲んでいる薬を伝えられるツールです。お薬だけではなく、重要な情報も記録しておくこともできます。
また、お薬手帳には、薬を飲んでいて気になったことや質問を書いておくメモ帳代わりにも使用できます。気になるけど次回薬局に行くときでいいかな?と思うことなどもメモしておきましょう。聞こうと思っていたのに忘れてしまった、なんてことも防げます。
ぜひ、お薬手帳をコミュニケーションツールとして活用してみてくださいね。
<参考資料>
・お薬手帳のことご存じですか? | 都道府県支部 | 全国健康保険協会
・おくすり手帳について | 公益社団法人 静岡県薬剤師会 公式サイト
・eお薬手帳 | eお薬手帳とは
・東日本大震災時におけるお薬手帳の活用事例