モーラステープは、市販で購入できる?
医療用医薬品の湿布薬として有名な「モーラステープ」は、全く同じものを市販薬で購入することはできません。ただし、同じ成分の「パップタイプ」なら、市販薬があるため購入することが可能です。
購入可能な市販薬とは?
医療用医薬品の「モーラステープ」と同じ成分の市販薬はこちらです。
オムニードケトプロフェンパップ
市販で唯一(2022年10月20日現在)、主成分が「ケトプロフェン」の製剤で、冷感成分のl-メントールが配合されています。「パップ」というのは、いわゆる昔ながらの湿布で、水分量が多く、貼った時に冷たさを感じるタイプです。テープに比べると少し剥がれやすいかもしれません。
処方薬のモーラステープは薄い茶色で肌に馴染むように作られていますが、オムニードケトプロフェンパップは白い湿布です。
医療用医薬品としての基本情報
医療用医薬品の「モーラステープ」について、詳しくご紹介します。
モーラステープの主成分とは?
主成分は「ケトプロフェン」で、飲み薬の「ロキソプロフェン」「イブプロフェン」などと似た作用を持つ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる成分です。しっかりとした鎮痛作用があり、軽い痛みであればほとんどの方で改善します。
モーラステープの効能は?
モーラステープは、以下のような場合の腫れや痛みに対して、炎症を抑えたり、痛みを和らげたりする効果があります。
筋肉痛、外傷、腰痛症、変形性関節症、腱鞘炎、関節リウマチなど。
モーラステープの使い方
モーラステープは、1日1回、痛いところへ貼ってください。傷がある場合は、その部分を避けましょう。
もし途中で剥がれてしまったとしても、1日に2回貼る(貼り直す)必要はありません。8〜12時間程度貼っていれば、成分自体はすでに皮膚へしっかり浸透しています。
モーラステープの医療用医薬品の種類
医療用医薬品のモーラステープには、いくつか種類があります。
〈成分量の違い〉
モーラステープ20㎎/L40㎎
20mgは、L40mgと比べると成分量が半分で、大きさは1回りほど小さいです。小さい方が関節など動きの大きな部位にも貼りやすいですが、大きいものを切って使うこともできます。
〈パップタイプ〉
モーラスパップ30㎎/60㎎
パップタイプは、テープと違い1日2回貼り替えて使います。テープに比べると少し剥がれやすいです。切って使うこともできますが、厚みがあるので少し切りにくいかもしれません。
モーラスパップXR120㎎/XR240㎎
XRと名前についているパップは、1日1回の貼り替えです。XRはパップタイプですが少しテープに近い材質で、通常のパップよりも薄く剥がれにくいように工夫されています。
〈外用薬タイプ(塗り薬)〉
セクターゲル/クリーム/ローション
ケトプロフェンが主成分の塗り薬もあります。ゲルはサラッとした使用感の塗り薬で、指を使って広げながら塗るものです。クリームはベタつきが少なく伸びがよいですが、ゲルに比べれば少し刺激があるため、傷のある部分には向きません。ローションは、塗る際に手が汚れない点が使いやすいでしょう。
モーラステープの注意点
湿布薬は副作用がなく気軽に使えると思われがちですが、モーラステープにはいくつか注意点があります。
光線過敏症に注意
光線過敏症というのは、テープを貼っていた部分に紫外線を浴びることで生じる皮膚炎のことで、発疹や炎症、痒みといった症状が出ます。
モーラステープを貼っていた部分を太陽の光に当ててしまうと、発疹や炎症を生じる可能性が高いです。手首や膝、肩などに貼った場合は剥がしたあとが日光に当たりやすいですので、十分に注意してください。
使用中〜使用後1週間以内が光線過敏症の発生しやすい時期です。症状が出た場合には、ステロイドの塗り薬を使った治療が必要になりますので、早めに皮膚科を受診してください。
アスピリン喘息の方は使用できない
アスピリン喘息をお持ちの方がモーラステープを使用すると、喘息の発作を起こす可能性があります。アスピリンに限らず、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)と呼ばれる種類の薬で喘息を起こしたことがある方は、受診の際にお伝えください。
先発品の名称 | 成分名 |
ロキソニン錠 | ロキソプロフェン |
ボルタレン錠・坐剤 | ジクロフェナク |
セレコックス錠 | セレコキシブ |
ナイキサン錠 | ナプロキセン |
モービック錠 | メロキシカム |
ハイペン錠 | エトドラク |
バファリン配合錠※ バイアスピリン錠 |
アスピリン |
※市販の「バファリン」の中には、アスピリンが含まれているものと含まれていないものがあるので注意
妊娠後期になったら使用できない
妊娠後期(妊娠28週以降)の方は、モーラステープを使用しないでください。
モーラステープを使用すると、「胎児動脈管収縮」が起こる可能性があるためです。モーラステープを使用することで、お腹の中の胎児が血液や酸素を効率よく体内に巡らせるために必要な「動脈管」が閉じてしまい、胎児の健康に悪影響を及ぼします。
妊娠中は腰痛などで湿布薬を使いたくなってしまうかもしれませんが、モーラステープは使わず、医師へ相談してください。
高齢者はとくに皮膚症状に注意
先ほどご紹介した「光線過敏症」だけでなく、テープによるかぶれやかゆみ、皮膚剥離(皮膚が剥けること)といった皮膚にまつわる副作用は高齢者に多いです。高齢になると、若い頃に比べて肌が弱くなり、皮膚症状が出やすくなります。
同じ箇所に何度も貼らない、少しずつ位置をずらして貼るなど気をつけて使用しましょう。皮膚に赤みやかゆみ、かぶれの症状があるときには、モーラステープを貼らずに皮膚症状の改善を待ってください。
まとめ
今回は、医療用医薬品の湿布薬として有名な「モーラステープ」の特徴や注意点についてご紹介しました。
湿布薬は副作用がないと思われがちですが、モーラステープはいくつか注意したい副作用があります。とくに、剥がしたあとに日光をあてないこと、妊娠後期は使わないことを忘れずに、安全に使用してください。
市販薬では「オムニードケトプロフェンパップ」が同じ成分の湿布薬です。急に必要な場合や痛みが一時的なものである場合には、市販薬も活用しましょう。