吐き気について?原因は?その対応は?
「胃がムカムカして気持ち悪い」「何度も嘔吐してしまってつらい」というような経験はありませんか?長く続く吐き気に悩まされている方もいるでしょう。吐いても吐かなくても、胃がムカムカするのはつらいですよね。いったいなぜ吐き気が起こるのでしょうか。今回は吐き気を催す原因や、対応方法を詳しく紹介します。
吐き気の原因?
吐き気には、大きく別けて2種類あり、吐き気を感じる中枢が刺激されて起こるものと、胃や腸が刺激されて起こるものとがあります。吐き気や嘔吐などの症状がある場合、まずは何が原因なのかをはっきりさせましょう。原因がわかることで、次から同じような症状にならないように予防できたり、正しい対応方法がわかったりします。
<食事>
食事は吐き気の原因としてとくによく見られるものでしょう。からいものなど胃腸に刺激が強いものを食べすぎたり、傷んでいるものを食べたりしたときに症状が現われます。食べすぎやお酒の飲み過ぎも原因の一つです。
夏になると食中毒が流行するため、吐き気や嘔吐に悩まされる方が少なくありません。卵や乳製品に多いサルモネラ菌、鶏肉に多いカンピロバクター、人間の傷口を介して感染することがある黄色ブドウ球菌などが代表的です。
冬になるとノロウイルスの流行が見られることもあります。ノロウイルスは感染者の吐瀉物や、火が十分に通っていない牡蠣から感染することが多いウイルスです。
<ストレス>
ストレスがたまると、自律神経のバランスが崩れるため胃腸に不調が出やすくなります。自律神経とは、交感神経と副交感神経のことです。
普段はこの2つの神経がうまくバランスを取りながら体の状態を保っているのですが、ストレスなど何かしらの要因によってバランスが崩れてしまいます。すると胃腸の働きが悪くなったり胃酸が多く出たりして不調を来してしまうのです。
<風邪>
風邪の症状としては鼻水や咳、のどの痛みなどが代表的ですが、ときに吐き気や嘔吐などの症状を伴うこともあります。お腹の風邪と診断がつく場合がありますが、多くは感染性胃腸炎が原因でしょう。ノロウイルスやカンピロバクターなどのウイルスが原因となります。
<乗り物酔い>
乗り物酔いは動揺病とも呼ばれており、車や船の揺れ、不規則な動きなどが原因です。目から入る情報と耳が受ける情報に差が生じることで脳が混乱して吐き気や嘔吐などの症状が起こります。ほかに、においや「車に乗ったら酔うかもしれない」というストレスも原因です。
<つわり>
つわりは、妊娠5週から16週ごろに起こります。はっきりとした原因はわかっていませんが、妊娠の状態を維持するために分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピンというホルモンが原因という説が有力です。
つわりは個人差が大きく、すべての妊婦さんに起こるものではありません。人によってはほとんど症状がない方もいれば、出産までひどい吐き気に悩まされる方もいます。
<病気>
腸閉塞や慢性膵炎、片頭痛やメニエール病、くも膜下出血などは吐き気が起こる代表的な疾患です。これらの疾患が原因の場合は、根本治療が必要となります。
原因ごとの吐き気の対応
吐き気が続くとき、市販薬で症状を抑えようとする方も多いのではないでしょうか。しかし、市販薬には病院で貰えるような吐き気止めの扱いがありません。
また、吐き気があるときは、吐き気を抑えるだけでは根本的な解決につながらないこともあります。正しい対応をしなければ、脱水など二次的な体調不良にもつながります。吐き気の原因ごとに、適切に対応できるようにしておきましょう。
食事
食べすぎが原因の場合は、消化剤が配合された胃腸薬を使うとよいでしょう。飲みすぎの場合は、しっかり水分を取って総合胃腸薬を服用してみてください。食中毒が考えられる場合は、脱水を起こさないように経口補水液などを使って水分を摂るように心がけましょう。
パンシロン01プラス
消化剤のほか、胃腸の働きをよくする生薬や胃酸を中和する成分が配合された総合胃薬です。食べすぎや飲みすぎなどに効果を発揮します。
ストレス
まずはストレスの原因を解消することが大切です。いつもよりゆっくり体を休めたり、気分転換をしたりするのもよいでしょう。それでも症状が改善されない場合は、漢方薬を使用してみてください。
ストレージタイプH(半夏厚朴湯)
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)が主成分の漢方薬です。ストレスによって滞った気のめぐりを改善し、のどのつかえや吐き気をやわらげます。
風邪
風邪の場合は、基本的に水分補給が大切です。ただし、酸味のある水分はかえって吐き気を増強させることがあるので避けましょう。時間の経過とともに吐き気はよくなってきますが、つらいときは漢方薬を頼ってみてください。
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
胃腸炎や風邪による吐き気に使える漢方薬です。体力が中等度で腹痛や微熱などを伴う場合に向いています。
乗り物酔い
酔い止めにはいくつか種類がありますが、酔った後に使うのなら、クロルフェニラミンやマレイン酸フェニラミンなどの抗ヒスタミン薬が配合されたものを使いましょう。予防効果を重視するなら、抗コリン作用のあるスコポラミンが配合されたものを選んでください。
アネロン「ニスキャップ」
予防効果に優れたスコポラミンと、酔った後でも効くマレイン酸フェニラミンの両方が配合された酔い止めです。1日1回で長くしっかり効きます。
つわり
つわりによる吐き気は、残念ながら市販薬では対応できません。一部の方は、太田胃散を飲むと吐き気が楽になったと感じる方もいるようです。かかりつけの産婦人科で妊娠中でも飲める吐き気止めが処方されることがあるので、つらいと感じたら我慢せず受診するようにしましょう。
妊娠初期の時期はむりして食事を摂らなくても胎児は育つので安心してください。水分も摂れなくなったときは、脱水のおそれがあるので点滴をしてもらいましょう。
太田胃散
妊娠中でも飲める総合胃薬です。清涼感があるので飲むと胃がすーっと楽になります。
病気
腸閉塞やくも膜下出血などが原因の場合、まずは原因となる疾患の治療を優先してください。市販薬では対応できないものもあるので、医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。
原因不明の吐き気や嘔吐はどう対応すべき?
急激に蕁麻疹がひろがったり、呼吸が荒くなっていたりなどの症状があれば強いアレルギー症状であるアナフィラキシーショックの可能性があります。気道が腫れると呼吸ができなくなってしまうので、すぐに救急車を呼んで処置をしてもらうようにしてください。
また、吐き気や嘔吐のほかに下痢や高熱の症状もあるときは、胃腸炎の恐れがあります。水分が摂れずぐったりしているようであれば、早めに受診しましょう。
まとめ
吐き気は、食べすぎや飲み過ぎ、風邪や乗り物酔いなどさまざまな原因で起こります。病院を受診すると吐き気止めを処方されることがありますが、市販薬には病院と同じ成分の扱いがありません。原因に応じて胃薬や酔い止めなどを活用して症状をやわらげましょう。
吐き気と同時に蕁麻疹ができたり呼吸が荒くなったりなどの症状があるときは、緊急性が高いためすぐに救急車を呼んでください。また、原因がわからないとき、吐き気や嘔吐の症状が長引いてつらいときも早めに受診するようにしましょう。