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更新日:2023/01/15

市販薬のアレグラFXについて薬剤師が解説!眠気が出ないって本当?医療用アレグラ錠との違いは?

「市販のアレグラFXって医療用と何が違うの?」

「アレグラFXは眠気が出ないと聞いたけど本当?」

 

アレグラFXは、花粉症用の薬としてとても知名度が高い市販薬です。ドラッグストアや薬局でも指名買いをされる方が多くいます。

 

アレグラといえば医療用にも扱いがあることで知られていますが、いったい何が違うのでしょうか。今回は市販と医療用とでアレグラにどのような違いがあるのかについて解説します。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

アレグラFXとは?

アレグラFXとは、アレルギー専用の鼻炎薬です。花粉やハウスダストなどによるくしゃみや鼻水、鼻詰まりに効果があります。主成分はフェキソフェナジン塩酸塩です。鼻炎薬といえば眠気が出やすいというイメージをおもちの方が多いと思いますが、フェキソフェナジン塩酸塩は眠くなりにくい成分として知られています。

その証拠に、添付文書に眠気に関する注意書きはされていません。そのため、「眠気が出にくい鼻炎薬が欲しい」という方に人気の商品です。

しばらくはアレグラFXが主商品でしたが、現在はほかに「アレグラFXジュニア」も販売されています。こちらは7歳から服用できる子供用の製品です。以前は要指導医薬品といって使用するご本人が薬剤師から説明を受けないと購入できませんでしたが、現在は第2類医薬品となっているため、どなたでも購入できます。

医療用のアレグラ錠との違いは?

市販のアレグラFXは、医療用のアレグラ錠60mgとまったく同じ成分が同じ量だけ配合されています。もともとアレグラFXは、医療用と同じ成分を市販でも販売できるようにしたスイッチOTCです。そのため、市販薬と医療用とで成分に大きな違いはありません。

ただし、効能効果に関してはまったく同じではないので注意しましょう。アレグラ錠60mgはアレルギー鼻炎のほかに蕁麻疹や皮膚のかゆみにも使用できますが、市販のアレグラFXは鼻の症状にしか使用できません。

市販薬を蕁麻疹などの皮膚症状に使うことはできないため、鼻の症状以外に使いたい場合はほかの市販薬を購入するようにしましょう。皮膚症状にも使える飲み薬としては、ロート製薬の「ジンマート錠」や興和の「レスタミンコーワ糖衣錠」などがあります。

 アレグラFX  アレグラ錠60mg
市販薬か
医療用か
 市販薬  医療用
有効成分  フェキソフェナジン塩酸塩  フェキソフェナジン塩酸塩
有効成分の量(1錠あたり)  60mg  60mg
効能・効果 花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:
くしゃみ、鼻みず、鼻づまり
・アレルギー性鼻炎
・蕁麻疹
・皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒

有効成分フェキソフェナジンとは?

フェキソフェナジンは、第二世代に分類される抗ヒスタミン薬です。アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの働きを抑えることで鼻や皮膚の症状を抑えます。アレグラは市販薬では鼻の症状に使えるアレグラFXとアレグラFXジュニアの扱いしかありませんが、医療用ではアレグラ錠60mgのほかに、アレグラ錠30mgやアレグラOD錠、アレグラドライシロップ5%などいくつかの種類があります。子どもからでも使えること、眠気が出にくいことから多くの方に使用されている成分です。

抗ヒスタミン薬の「世代」とは?

抗ヒスタミン薬には、古くからある第一世代のものと、比較的新しい第二世代のものとがあります。それぞれにどのような違いがあるのか見てみましょう。

 

第一世代

第一世代の抗ヒスタミン薬としては、おもに次の成分があります。

• フマル酸クレマスチン
• ジフェンヒドラミン
• マレイン酸クロルフェニラミン
• プロメタジン
• シプロヘプタジン

古くから存在する抗ヒスタミン薬で、効果が高いものが多い反面、眠気の副作用が出やすいことが特徴です。そのため、眠気が出ると困る方には第一世代の抗ヒスタミン薬は向いていません。また、抗コリン作用が強いものが多く便秘になったり眼圧が上がりやすくなったりするものもあります。

第二世代

第二世代の抗ヒスタミン薬としては、次のものが代表的です。

• フェキソフェナジン
• アゼラスチン
• セチリジン
• ロラタジン
• エピナスチン

比較的、眠気が出にくく抗コリン作用が少ないことで知られています。しかし、まったく眠気が出ないわけではありません。あくまで「出にくい」だけですので、乗物の運転や操作をする場合は気をつけましょう。

アレグラFXを服用するときの注意点

アレグラFXは副作用が少なく、とても使いやすい薬です。医療用でもよく処方されています。しかし、注意点もあるので「100%安全な薬」というわけではありません。また、正しい使い方をしないとあまり効果が見られないこともあるので気をつけましょう。

早めに服用を開始する

アレグラFXの主成分であるフェキソフェナジン塩酸塩は、今あるアレルギーの症状を抑える効果のほかに、症状を悪化させるアレルギー物質が体内で作られないようにする抗アレルギー効果もあります。つまり、症状を抑える効果と悪化させないようにする2つの効果があるのです。

抗アレルギー作用は効き始めるまでに1~2週間ほどかかります。そのため、アレグラFXがもつ本来の効果をしっかり発揮するためには、症状が本格的に出る1~2週間前には飲み始めることがポイントです。花粉の飛散予報を参考に、症状が出る前から飲み始めるようにしましょう。

風邪薬や咳止め薬などと併用しない

風邪薬や咳止め、酔い止めやほかの鼻炎薬などとは併用できません。効果が重複して副作用が出やすくなる恐れがあります。このほか、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムと併用すると、アレグラFXの効果が弱まってしまうためこちらも併用は避けましょう。

まとめ

市販のアレグラFXと医療用のアレグラ錠60mgは、どちらも同じ成分が同じ量だけ含まれています。しかし、市販薬と医療用は効能効果がやや違うので注意しましょう。

医療用のアレグラ錠60mgは蕁麻疹やかゆみなど皮膚の症状にも使えますが、市販のアレグラFXは鼻の症状にしか使用できません。蕁麻疹に使いたい場合は医療機関で処方してもらうか、蕁麻疹にも使えるほかの市販薬を購入するようにしましょう。

 

〈参考資料〉
アレグラFX 添付文書
アレグラ錠60mg 添付文書