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更新日:2023/02/02
市販薬のアラセナSについて薬剤師が解説!使うタイミングは?購入場所は?医療用アラセナ‐A軟膏との違いは?

口唇ヘルペスの治療薬として知られているアラセナは、市販でも購入できます。ヘルペスができる度に病院へ足を運ぶのは時間もかかるため、「市販で購入できるのは助かる」と感じている方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、市販のアラセナSと医療用のアラセナ-A軟膏には違いがあります。まったく同じ使い方ができるわけではないので注意しましょう。今回は市販で購入できるアラセナSの使い方や医療用のアラセナ-A軟膏との違いなどについて詳しく解説します。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

アラセナSとは?

アラセナSとは、口唇ヘルペスの再発治療薬として販売されている薬です。第1類医薬品に分類されているため、薬剤師からの説明を受けなければ購入できません。
主成分はビダラビンです。ビダラビンは、口唇ヘルペスの原因となるヘルペスウイルスが増殖するのを抑えることで症状を抑えていきます。

「再発治療薬」として販売されていることもあり、口唇ヘルペスを初めて発症した方には販売できません。これまでに一度でも病院で口唇ヘルペスの診断を受けたことがある方のみ使用できます。

アラセナSには軟膏タイプとクリームタイプの2種類があるので、使いやすいほうを選んで使用してください。軟膏タイプは皮膚への刺激が少なく患部の保護作用があることが特徴ですが、ベタつきやすく伸びが悪いことがデメリットです。

クリームタイプは伸びがよくベタつきが少なくて使いやすいですが、軟膏タイプよりも刺激があります。また、軟膏タイプは塗ると唇が少しテカってしまいますが、クリームタイプはテカリがあまりありません。効果に差はないので、自分に合うほうを選びましょう。

アラセナSの使い方

1日1~4回、患部に薄くのせるように塗ってください。擦り込む必要はありません。

口唇ヘルペスに特徴的なピリピリやチクチクを感じたらなるべく早く治療を開始することがポイントです。アラセナSは口唇ヘルペスの原因であるヘルペスウイルスの増殖を抑える薬のため、症状がひどくなる前から使うことでより効果を発揮しやすくなります。

食後や就寝前に塗るのがおすすめ

食事の前にアラセナSを塗ると、せっかく塗った薬が取れてしまいます。食後や就寝前など、薬が取れにくいタイミングで使うのがおすすめです。1日4回塗る場合は、毎食後と就寝前に塗るとちょうどよいでしょう。

かさぶたが取れて患部が乾燥したら塗布を止めてもいい

アラセナSは、約5日間使うことで改善が見られます。患部のかさぶたが取れ、乾燥してきたら使用を止めても構いません。

ただし、5日経っても症状が改善しなかったり逆に悪化したりしている場合は市販薬が効かないほど悪化しているか、口唇ヘルペスではない可能性があります。その場合は早めに医療機関を受診してください。

アラセナSの購入場所は限られる!

アラセナSは、一般的な医薬品のようにどこでも購入できるわけではありません。第1類医薬品に分類されているため、薬剤師の説明受ける必要があります。そのため、薬剤師不在のドラッグストアでは購入できないので注意してください。

インターネットでも購入できますが、薬剤師がメールで確認事項を送ってきたり、事前にいくつか質問に答えたりする必要があるため、やや時間がかかってしまいます。すぐに購入したい方は、薬剤師がいるドラッグストアや薬局に行きましょう。

医療用のアラセナ‐A軟膏との違いは?

「医療用のアラセナ-A軟膏の代わりに使えるの?」と疑問に思っている方もいるでしょう。有効成分は市販も医療用も同じビダラビンです。配合量も同じため、効果に違いはありません。

しかし、効能効果が違うので注意が必要です。市販のアラセナSは口唇ヘルペスが再発した場合にのみしか使用できませんが、医療用の場合は再発ではない口唇ヘルペスのほかに帯状疱疹にも使用できます。

アラセナSを帯状疱疹の治療目的で使用することはできないので注意してください。公式ホームページにも『アラセナSは「口唇ヘルペスの再発」の方のための医薬品ですので、効能以外は使用しないでください。』と記載されています。

アラセナS(市販薬) アラセナ-A軟膏(医療用)
有効成分  ビダラビン  ビダラビン

成分量(1g中)

 30mg  30mg
効能効果  口唇ヘルペスの再発  帯状疱疹、単純疱疹

アラセナSの使用上の注意点

アラセナSは第1類医薬品ではあるものの、薬剤師からの説明を受ければ比較的簡単に購入できます。しかし、注意点もあるので気をつけましょう。

これまでに口唇ヘルペスの診断を受けたことがない方には使用できない

アラセナSは、口唇ヘルペスの再発治療薬です。再発ではなく初めてできた方には販売できません。販売の際は必ず「これまで診断を受けたことはありますか?」と確認していますので、正しく答えてください。

妊娠中の方は使用を控える

アラセナSの主成分であるビダラビンは、妊娠中の方への安全性がまだ確立されていません。妊娠中の方へアラセナSを販売することはできませんので、担当医へ相談するようにしてください。

6歳未満の子どもには使用しない

アラセナSは、6歳以上の子どもから使用できます。6歳未満の子どもは再発ではなく初感染の可能性が高いため、使用しないようにとなっているのです。

アラセナSに関するQ&A

では、最後にアラセナSに関してよく聞かれる質問にお答えします。

なぜ、口唇ヘルペスの再発にしか使えないのですか?

口唇ヘルペスが疑われる場合でも、初回の場合は自己判断でヘルペスだと断定することは簡単ではありません。違う原因で湿疹ができている可能性もあります。適切な治療をしなければ症状が悪化することもあるため、再発の方のみが使用できるようになっています。過去に一度でも医師から口唇ヘルペスだと診断された方であれば使用可能です。

正常な皮膚に付着しても大丈夫ですか?

口唇ヘルペスができていない皮膚にアラセナSが付着しても問題はありません。ヘルペスウイルスに感染していない部位には効果を発揮しないため、健康な皮膚に付着しても特別な心配は不要です。

唇以外にもアラセナSを使ってもいいですか?

アラセナSは唇やその周辺にできたヘルペス専用の塗り薬です。唇や周辺以外の部位には使用できません。もしほかの部位にヘルペスができた場合は、医療機関を受診してください。

まとめ

アラセナSは、口唇ヘルペスの再発専用の治療薬です。唇がピリピリしたりチクチクしたりし始めたタイミングで使い始めるようにしてください。アラセナ-A軟膏と同じ成分が同じ量だけ配合されていますので、医療用との大きな違いはありません。

ただし、医療用は帯状疱疹に使えますが、市販薬は口唇ヘルペスのみが対象となっているので注意しましょう。

第1類医薬品に分類されているため、薬剤師がいるドラッグストアや薬局で購入できます。インターネットでも購入できますが、確認に少し時間がかかるケースもありますので、急ぎの方は市販で購入したほうがよいでしょう。