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更新日:2023/01/20
市販のカロナール?『アセトアミノフェン』製剤について、薬剤師が解説!

新型コロナウイルスによる発熱やワクチンの副反応に有効であると、知名度が増した解熱鎮痛剤の成分、『アセトアミノフェン』。

ただ「ロキソプロフェンなど、他の解熱鎮痛薬とは何が違うの?」といった疑問を持つ方も少なくないでしょう。

また、いざ購入しようと思った時に、どのアセトアミノフェン製剤を選んだらいいかも迷いますよね。

そこで、このコラムでは市販の『アセトアミノフェン』製剤について、他の解熱鎮痛成分との違いなどの基本的知識から、製品選びの注意点を踏まえたオススメ製品までお伝えさせていただきます。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

アセトアミノフェンとは?

『アセトアミノフェン』は解熱鎮痛成分の一つで、文字通り発熱を抑え、痛みを鎮める作用があります。
副作用が比較的出にくく、小児から高齢者まで幅広く服用することができるというのが大きな特徴です。
また、新型コロナウイルスに対しても、当初臨床データがあまりない状態であっても、安全に使用できるとされていました。
(現在は『アセトアミノフェン』に限らず、『NSAIDs』でも問題なく使用できるとされています。)
医療用医薬品では、カロナール錠としてよく知られています。

アセトアミノフェンとその他の解熱鎮痛成分との違いは?

解熱鎮痛成分は、大きく『アセトアミノフェン』『NSAIDs』の2つに分けることができます。
(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症剤を指し、ロキソプロフェンや、イブプロフェンアスピリンといった成分が挙げられます。)
それぞれの違いについて、簡単に以下の表にまとめさせていただきました。

アセトアミノフェン NSAIDs
 解熱鎮痛効果 弱め 強め
 抗炎症作用 なし あり
 胃への負担 少ない 大きい
 服用可能な年齢 乳児から大人まで 15歳以上〜
 インフルエンザへの使用 できる できない
 妊婦への使用 できる 妊娠後期は禁忌

<解熱鎮痛効果>
効果に関しては、個人差もあるため一概に決めつけることはできませんが、一般的に『NSAIDs』と比較すると、『アセトアミノフェン』のほうが解熱鎮痛効果がマイルドであると言われています。

<抗炎症作用>
腫れや赤みといった炎症を抑える作用が『NSAIDs』にはありますが、『アセトアミノフェン』にはありません。
分かりやすい例で言うと、喉の腫れ・痛みがある際に『アセトアミノフェン』は喉の痛みを抑えることができますが、腫れに対する効果は期待することができません。

<胃への負担>
『NSAIDs』は空腹時の服用や、長期にわたる服用により、胃腸に負担がかかることが知られており、胃腸機能の弱った高齢者などが服用することで、胃潰瘍などが起きるリスクもあります。
『アセトアミノフェン』は胃への負担が少ないとされていますので、胃腸に自信のない人でも比較的安心して使用することができます。

<服用可能な年齢>
『アセトアミノフェン』は胃腸障害を含め、比較的副作用の少ない成分であるため、乳児から高齢者まで幅広く使用することができます。
それに対し『NSAIDs』は小児に対して安全性が確立されていないものが多く、医療用であっても小児への使用が制限される成分もあります。
市販薬に含まれている『NSAIDs』も同様で、特に単剤で販売されている製品は、15歳以上でないと使用ができないものがほとんどです。

<インフルエンザへの使用>
インフルエンザの発熱に対して、安全に使用できるのは『アセトアミノフェン』であると言われています。
『NSAIDs』の一部であるアスピリンや、ジクロフェナク、メフェナム酸といった薬をインフルエンザの発熱に使用することで、インフルエンザ脳症という合併症の発症リスクが高まるというデータが出ているためです。
ロキソプロフェンやイブプロフェンなどでは、インフルエンザ脳症の発症リスクが高くなるといった報告は今のところ見受けられませんが、インフルエンザの解熱に自己判断でNSAIDsは使わないようにしましょう。

<妊婦への使用>
市販の解熱鎮痛薬であっても、『アセトアミノフェン』であれば妊婦に対しても安全に使用できると言われています。
NSAIDsは、胎児毒性があるといわれているため、妊娠後期の妊婦さんに関しては禁忌となっています。
ただし、どの市販薬も自己判断での服用は控え、妊娠している場合は、電話でも構いませんので、主治医にどういった症状で解熱鎮痛薬を服用したいのか、相談の上で服用可否の判断を仰ぎましょう。

市販のアセトアミノフェン製剤の種類は?

医療用のアセトアミノフェン製剤(カロナール)であれば、顆粒からシロップ、錠剤、坐薬とさまざまな剤形が販売されていますが、市販の製品に関しては、『アセトアミノフェン』を単剤で含むものは『錠剤(チュアブル錠)』『坐薬』の2種類に限られます。(2022年12月時点)。
チュアブル錠は口の中でラムネのように溶ける製品ですので、子供でも服用することが可能です。
坐薬は、小児用のみであり、大人用は販売しておりません。

市販のアセトアミノフェン製剤を購入する際の注意点

一緒に配合されている有効成分に注意

市販のアセトアミノフェン製剤は

①『アセトアミノフェン』のみを含むもの
②『アセトアミノフェン』に『NSAIDs』など、他の解熱鎮痛成分が合わさったもの
③ 風邪薬などに成分の一部として『アセトアミノフェン』が配合されているもの

の3種類に分けることができます。

他の解熱鎮痛成分が入っていると、『アセトアミノフェン』のメリットがなくなってしまう可能性があるため、単純に『アセトアミノフェン』製剤を購入したいときは、①の『アセトアミノフェン』のみを含む製品を選ぶと良いでしょう。

1錠あたりの成分量に注意

市販の『アセトアミノフェン』製剤は、製品によって1錠あたりの含有量が異なっています。
そのため「病院でもらったカロナールは1回2錠だったから〜」「この間買った市販のアセトアミノフェン製剤は1回3錠だったから〜」といった具合に、適当に服用するのはNGです。
必ず、製品ごとの用法・用量を守りましょう。

対象年齢に注意

『アセトアミノフェン』は子供から大人まで服用できる成分ですが、製品によって服用可能な年齢が異なるため注意が必要です。
特に大人用のものは1錠あたりの含有量が多いため、子供の服用は避けましょう。
また、5歳未満の子供は錠剤自体の飲み込みが難しいため、チュアブル錠や坐薬を選択するようにしてください。

市販のおすすめアセトアミノフェン製剤6選

歴史ある大人用のアセトアミノフェン製剤
タイレノールA

対象年齢:15歳〜
1錠あたりの量:300mg
特徴長い歴史を誇る、市販薬では有名なアセトアミノフェン製剤です。
海外での知名度も高く、観光客にも人気のある製品です。

外出先でもサッと飲みたい人へ
ラックル

対象年齢:15歳〜
1錠あたりの量:300mg
特徴:水に触れると、すぐに溶け出す速溶錠です。
ミント味のタブレットで、携帯しやすいシート包装となっており、外出先でもサッと服用できますよ。

ジェネリック会社から販売されている比較的安価な製品
アセトアミノフェン錠「クニヒロ」

対象年齢:15歳〜
1錠あたりの量:300mg
特徴:医療用医薬品のジェネリックを手掛ける皇漢堂製薬株式会社から販売されているアセトアミノフェン製剤です。
他の製品と比較すると、安価で販売されていることが多いです。

家族みんなで使える!一家の常備薬にもオススメ
バファリンルナJ

対象年齢:7歳〜
1錠あたりの量:100mg
特徴年齢により1回の服用量を1錠~3錠に調節できるため、7歳以上から大人まで幅広く使える製品です。
一家に一箱あれば家族みんなで共有できるでしょう。

3歳から使える、子供専用のアセトアミノフェン製剤
小児用バファリンチュアブル

対象年齢:3歳〜15歳未満
1錠あたりの量:50mg
特徴:子供専用のアセトアミノフェン錠です。
口の中でラムネのように溶かして飲めるチュアブル錠であるため、小さい子供でも服用することが可能です。

小さい子供の急な発熱や嘔吐時に!子供用の坐薬
こどもパブロン坐薬

対象年齢:1歳〜12歳未満
1錠あたりの量:100mg
特徴1歳~12歳まで使用可能な坐薬です。
まだ錠剤が飲めない小さい子供の急な発熱はもちろんのこと、普段は錠剤が飲める年齢の子でも、嘔吐などで薬が飲めない時などの対応に向いている製品です。

まとめ

市販で購入できる『アセトアミノフェン』製剤について、ロキソプロフェンなど、NSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛成分との違いから、製品選びの注意点、そしてオススメ製品までお伝えさせていただきました。

『アセトアミノフェン』は、胃腸障害などの副作用も少なく、小さい子供から高齢者、妊婦の方まで、使いやすい成分です。
また、風邪などはもちろん、新型コロナによる発熱にも使えますし、さらに、NSAIDsが使いづらいインフルエンザであっても、安心して対応することができます。
『アセトアミノフェン』はマルチに活躍が可能なため、常備薬にも適した成分であると言えるでしょう。

ただ、一緒に配合されている成分の有無や、1錠あたりの成分量、使用可能な年齢は購入前に必ず確認するようにしてくださいね。
このコラムが市販のアセトアミノフェン製品をお探しのあなたにとって、お役に立てれば幸いです。