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お薬コラム
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更新日:2024/04/18

カフェインはどんな市販薬に含まれている?摂りすぎNGの理由とは?

「頭痛がするから鎮痛薬を使おう」

「最近花粉症で鼻炎がひどいし、とりあえず鼻炎薬飲んでおこう」

このように日常生活で何気なく飲んでいる市販薬には、カフェインが含まれていることがあることをご存知ですか?

栄養ドリンクや眠気防止薬を始めとし、解熱鎮痛薬や鼻炎薬など、幅広い医薬品に含まれているカフェインは、さまざまな効果が期待できる一方、摂取量を誤ると中毒症状が出る可能性もあります。

このコラムでは、カフェインの効果など基本的な知識から、どのような医薬品にカフェインが含まれるか、そして飲食物と合わせたカフェインの摂り方についてお伝えさせていただきます。
普段からコーヒーやエナジードリンクを愛用している人は、市販薬を飲む際に特に注意が必要なので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

カフェインとは?

カフェインとは、コーヒー豆や茶葉、カカオ豆などの植物に含まれている天然の有機化合物です。
これらの植物から抽出したコーヒーやお茶などの飲み物、またチョコレートなどといった食べ物を通して、私たちは日常生活でカフェインを摂取しています。
カフェインには、眠気覚ましや頭痛の改善をはじめとして、さまざまな効果があることが報告されているため、医薬品や栄養ドリンクにはそれらの効果を期待して、合成のカフェインが配合されていることも多いです。
日常生活で口にする飲食物から、医薬品まで、あらゆる場面でカフェインを摂取する機会があるため、知らぬうちにカフェインの摂り過ぎになっている可能性もあります。

カフェインの主な効果

カフェインには、一般的によく知られている「眠気覚まし」のほか、さまざまな効果があることが報告されています。
医薬品に含まれるカフェインにも、以下に挙げる効果の一部が期待され、有効成分として配合されています。

眠気を感じにくくなる(覚醒作用)

脳ではアデノシンという物質が覚醒と眠気のバランスを調節しており、アデノシンが働くと、覚醒作用を抑え、眠気が出るようになっています。
カフェインはそのアデノシンの作用を抑えるため、覚醒作用がおき、眠気を感じにくくなります。

頭痛を和らげる(脳血管収縮作用)

カフェインには脳の血管を収縮させる作用があるため、頭痛の中でも、血管の拡張によって起こるタイプの頭痛(片頭痛など)を和らげる効果があります。
そのため、頭痛薬や風邪薬にも有効成分の一種としてカフェインが使われていることが多いです。

むくみを解消する(利尿作用)

カフェインは脳では血管を収縮する作用があるのに対し、腎臓においては血管を拡張させる働きを行うため、腎臓の血流が増加し、尿量の増加に繋がります。
コーヒーなどを飲むとトイレの回数や量が増えるのはこの作用によるものです。

食品中に含まれるカフェイン量

カフェインはコーヒーや紅茶、エナジードリンクなど、さまざまな食品に含まれています。
ただし、食品によって含有するカフェインの量には大きな差があります。
以下に、代表的な飲料に含まれるカフェイン量を示しました。

飲料 カフェイン量
 コーヒー(ドリップ)  60mg/100ml
 コーヒー(インスタント)  一杯あたり80mg
 紅茶  30mg/100ml
 煎茶  20mg/100ml
 ほうじ茶  20mg/100ml
 エナジードリンク又は眠気覚まし用飲料
(清涼飲料水)
 32~300 mg/100 mL
(製品1本当たりでは、36~150 mg)

参考:カフェインの過剰摂取について(農林水産省)

いわゆるエナジードリンクと呼ばれる清涼飲料水はカフェイン含有量が100mlあたり32〜300mgと、かなり幅がありますが、製品1本あたり100mgを超えるものも多く、知らず知らずのうちにかなりのカフェイン量を摂取してしまうため、国や医師会からも注意が促されています。1)2)

また、食品に含まれるカフェイン量として、
チョコレートの場合、ミルクチョコレート 25gで7mg、カカオ濃度の高いチョコレートになると25 gで21mgとされています。3)
ブラックガムは1粒で約12mgと言われているため、口寂しさにガムをついつい食べてしまうという人は注意しましょう。

医薬品中に含まれるカフェイン

医薬品には、覚醒効果や頭痛緩和の効果を期待して、カフェインが配合されている製品が数多く存在します。
配合されているカフェインの量は製品によっても異なりますが、1回分で40mg〜200mgもある製品も存在するため、食品などと合わせることでカフェイン摂取量が過剰にならないか注意が必要です。
カフェインが含まれる代表的な医薬品の種類、製品をご紹介させていただきますね。

解熱鎮痛薬

カフェインは、イブプロフェンなどといった成分の鎮痛効果を補助する作用があると言われています。
そのため、鎮痛効果をアップする目的に加え、カフェイン自身がもつ頭痛緩和効果を期待して、解熱鎮痛薬に配合されています。
製品例:バファリンプレミアム、イブA錠、ノーシン

栄養ドリンク

カフェインがもつ覚醒作用による、眠気覚まし効果や集中力のアップを期待して、多くの製品で配合されています。
製品例:リポビタンD、チオビタ・ドリンク、ユンケル黄帝液

鼻炎薬

鼻炎薬に主成分として含まれていることが多い抗ヒスタミン薬には眠気の副作用が出やすくなっています。
そこで、眠気の副作用を防止する目的でカフェインが一緒に配合されることがあります。
また、花粉症などで鼻炎症状がひどいと頭がぼーっとして頭痛がしてくるという方もいますが、そういった頭重感の軽減や頭痛緩和にも効果を発揮します。
製品例:新コンタック600プラス、コルゲンコーワ鼻炎ジェルカプセル、エスタック鼻炎カプセル12

カフェイン製剤

カフェインによる覚醒作用そのものを目的とした製品です。
眠気を覚ます、倦怠感を除去するといった効果が期待できますが、1回量で200mgなどと、カフェイン含有量が多めになっているため、用法用量を守るのはもちろんのこと、飲み合わせなどに特に注意が必要です。
製品例:カフェロップ、エスタロンモカ12

カフェインの適切な摂取目安

カフェインが含まれる飲食物や医薬品を紹介させていただきましたが、それではカフェインは1日どれくらい摂っても良いのでしょうか。
以下に、世界で推奨されているカフェインの摂取目安量を示しました。

悪影響のない最大摂取量 機関名
 妊婦  300mg /日  世界保健機関(WHO)
 200mg /日  欧州食品安全機関(EFSA)
 授乳中の女性  200mg /日  欧州食品安全機関(EFSA)
 健康な子供及び青少年  3mg/kg 体重/日  欧州食品安全機関(EFSA)
 健康な成人  400mg /日  欧州食品安全機関(EFSA)

参考:食品中のカフェイン(食品安全委員会ファクトシート)より

健康な成人の場合の、1日あたりのカフェイン最大摂取量目安は400mgとされています。
そのため、コーヒーやお茶を普段から愛用している場合は、エナジードリンクは1日1本までにするなどといった対応が必要になるでしょう。
また、より一層注意したいのは、普段の生活に医薬品を服用する機会が加わるときです。

例えば、普段から
・コーヒー 2杯(280ml :168mg)
・煎茶 2杯(300ml:60mg)
・エナジードリンク 1本(250ml:80mg)
計308mg
のカフェインを摂取している人が、

・頭痛のためイブA錠を1日2回飲んだ場合(2回分:160mg)

1日合計カフェイン量は468mgとなり、1日の摂取目安量400mgを超えてしまうことになります。

また、妊婦や授乳婦、子供においては摂取目安量がさらに低く設定されているため、摂取にあたってはさらに慎重になる必要があるでしょう。

カフェインを過剰摂取すると起こる危険な症状とは?

体内でカフェインが過剰になると、めまい、心拍数の増加、興奮などといった症状が現れ始め、さらに体内濃度が上がった場合は意識消失や精神錯乱、痙攣などといった重篤な症状に移行します。
その結果、日本においても死者が出ているという報告があります。
日本中毒学会が行った調査によると、カフェイン中毒で搬送された患者は睡眠防止薬としてカフェイン製剤を服用している人が多数を占め、コーヒーやエナジードリンクを合わせて飲んでいた人もいたとのことですが、エナジードリンクのみで中毒症状を起こした人についても報告されています。4)
心停止に繋がるような重篤な状態には、相当な量のカフェイン量を摂取しない限りなかなか起きませんが、1日の目安量を守ることは心身の健康にとっても重要であると言えるでしょう。

まとめ

カフェインの効果など基本的な知識から、どのような医薬品にカフェインが含まれるか、そして飲食物と合わせたカフェインの摂り方についてお伝えさせていただきます。
カフェインは覚醒作用や頭痛の緩和効果をもつことで、医薬品にも利用されるほどの有効性が認められる一方で、その効果を求めるあまりに過剰摂取から中毒症状を起こす恐れも報告されています。
さまざまな飲食物にも含まれることもあり、摂取量には注意が必要なカフェインですが、1日の摂取目安量(成人では1日400mg)をしっかり認識し、自分の摂取量を把握することが大切です。
特に注意の喚起が行われているのが睡眠防止薬(カフェイン製剤)やエナジードリンクの多用ですが、解熱鎮痛薬や鼻炎薬などといった、普段飲まない医薬品を使用する場合にもカフェイン含有量には注意するようにしてくださいね。

 

〈参考資料〉
1)カフェインの過剰摂取について(農林水産省)
2)エナジードリンクとカフェイン(千葉県医師会理事 西牟田敏行監修 日本医師会)
3)Q12 チョコレート・ココアには「カフェイン」が含まれていると聞きますが、子供や妊婦が食べても大丈夫ですか?(日本チョコレート・ココア協会)
4)カフェイン含有製品の摂取後に救急搬送された患者の背景,臨床経過,予後などに関する後方視的多施設共同調査(上條吉人  (埼玉医大 病院 ER・中毒セ)  ,  藤田友嗣  (岩手医大 病院 高度救命救急セ)  ,  臼井聖尊  (東北大 医 法医学) )