市販薬のロキソニンSテープについて薬剤師が解説!医療用ロキソニンテープとの違いは? 使用上の注意点は?
ロキソニンテープは医療機関を受診した際によく処方される湿布薬です。痛み止めの効果が高く、においが少なくて使いやすいことから重宝している方も多いのではないでしょうか。
ロキソニンテープは処方箋が必要な薬でしたが、市販でも「ロキソニンSテープ」が購入できるようになり話題となりました。現在は薬剤師の説明不要で購入できるようになっているため、どなたでも気軽に使用できます。
では、医療用のロキソニンテープと市販のロキソニンSテープにはどのような違いがあるのでしょうか。今回は医療用と市販薬との違いや使用上の注意点などについて詳しく解説します。
ロキソニンSテープとは?
ロキソニンSテープとは、2016年にスイッチOTCとして販売された湿布薬です。スイッチOTCとは、医師の処方箋がないと購入できなかった医薬品のうち、安全性の高さが認められたものが市販でも購入できるようになったものをいいます。つまり、中身は処方箋が必要だったロキソニンテープと同じということです。
ロキソニンSテープには、有効成分のロキソプロフェンナトリウム水和物が配合されています。ロキソプロフェンナトリウム水和物は、痛みや炎症の原因となるプロスタグランジンの働きを抑える成分です。腰痛や肩こり、腱鞘炎など幅広い症状に使用できます。
有効成分 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 |
分量(膏体100g中) | 5.67g(無水物として5g) |
効能効果 | 腰痛、肩こりに伴う肩の痛み、関節痛、筋肉痛、腱鞘炎(手・手首の痛み)、肘の痛み(テニス肘など)、打撲、捻挫 |
用法用量 | 1日1回患部に貼付してください |
医療用のロキソニンテープとの違いは?
医療用のロキソニンテープには、ロキソニンテープ50mgとロキソニンテープ100mgの2種類があります。市販のロキソニンSテープは、両方のロキソニンテープとまったく同じ濃度です。
ロキソニンテープ100mgは一見すると成分量が多く入っているように見えますが、表示が膏体100g中ではなく200g中となっているため量が多いように見えるだけです。濃度としてはロキソニンテープ50mgもロキソニンテープ100mgも変わりません。
効能効果については、医療用と市販薬では一部違いがあります。医療用では変形性関節症に使用できるなど異なる部分もあるため、現在、医師の治療を受けている方などは自己判断で市販薬に切り替えることはせず、医師の指示に従い治療を行うようにしてください。
ロキソニンSテープ | ロキソニンテープ50mg | |
有効成分 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 |
分量(膏体100g中) | 5.67g(無水物として5g) | 5.67g(無水物として5g) |
効能効果 | 腰痛、肩こりに伴う肩の痛み、関節痛、筋肉痛、腱鞘炎(手・手首の痛み)、肘の痛み(テニス肘など)、打撲、捻挫 | 下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛: 変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛 |
用法用量 | 1日1回患部に貼付してください | 1日1回患部に貼付してください |
有効成分ロキソプロフェンナトリウム水和物とは?
ロキソニンSテープに配合されているロキソプロフェンナトリウム水和物は、鎮痛効果や抗炎症効果に優れている成分です。痛みを止めるだけでなく炎症も抑えてくれるため、高い効果を発揮します。市販の鎮痛成分のなかでも効き目は高いほうです。
市販の鎮痛成分を効果の高さによって1から5までのレベルにわけるとすると、ロキソプロフェンナトリウム水和物はレベル4くらいの強さに該当します。そのため、腰痛や肩こりなどの痛みが強い方にもしっかりと効果を発揮してくれるでしょう。ロキソプロフェンナトリウム水和物は、効果と安全性のバランスがよいことから、処方薬としても頻繁に使用されています。
使用時の注意点
処方薬でもよく使用され、さらに市販でも人気のロキソニンテープですが、使用にあたっていくつか注意点があります。
• ロキソプロフェンナトリウム水和物でアレルギー症状を起こしたことがある方は使用しない
• ロキソプロフェンナトリウム水和物によって喘息発作を起こしたことがある方は使用しない
• アスピリン喘息の方は使用しない
• 妊娠中もしくは妊娠の可能性がある方は医師や薬剤師などに相談してから使用する
主成分であるロキソプロフェンナトリウム水和物にアレルギーがあるとわかっている方は使用しないでください。アスピリン喘息の方も、症状を引き起こす可能性があるので使用できません。
また、気管支喘息もちの方は注意して使用しましょう。これまでに解熱鎮痛成分で発作を起こしたことがない方であれば使用できますが、そうでない方は使用しないようにしてください。
妊娠中や妊娠の可能性がある方は医師や薬剤師などに相談してから使用しましょう。ロキソプロフェンナトリウム水和物は、出産予定日12週以内の方は使用できません。妊娠中でも使いやすい鎮痛薬はほかにもありますので、よほどの事情がない限りロキソニンSテープの使用は控えるのが無難です。
市販薬のロキソニンテープの種類
市販薬には、現在4種類のロキソニンテープが販売されています。それぞれどのような特徴があるのかを見ていきましょう。なお、効能効果や使用方法はどれも同じです。
ロキソニンSテープ
7cm×10cmと小さめの湿布薬です。肩や手首など、範囲が狭い部分への使用に向いています。1日に1回貼るだけで効果が24時間持続します。1日に4枚を超えては使用しないでください
有効成分 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 |
分量(膏体100g中) | 5.67g(無水物として5g) |
サイズ | 7cm×10cm |
ロキソニンSテープL
ロキソニンSテープと同じ濃度ですが、大きさが10cm×14cmと大きくなっています。1日2枚を超えて使用しないようにしてください。
有効成分 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 |
分量(膏体100g中) | 5.67g(無水物として5g) |
サイズ | 10cm×14cm |
ロキソニンEXテープ
ロキソニンSテープと比べると、高い濃度のロキソプロフェンナトリウム水和物が配合されていることが特徴です。血行をよくするトコフェロール酢酸エステルやl-メントールも配合でより鎮痛効果が高くなっています。貼る枚数は1日4までならOKです。
有効成分 | ・ロキソプロフェンナトリウム水和物 ・トコフェロール酢酸エステル ・l-メントール |
分量(膏体100g中) | 8.10g(無水物として7.14g) |
サイズ | 7cm×10cm |
ロキソニンEXテープL
ロキソニンEXテープと同じ濃度の主成分が配合された、大きめの湿布薬です。有効成分の濃度が高くサイズも大きいことから、強い腰の痛みなどに向いています。1日に2枚を超えては使用しないでください。
有効成分 | ・ロキソプロフェンナトリウム水和物 ・トコフェロール酢酸エステル ・l-メントール |
分量(膏体100g中) | 8.10g(無水物として7.14g) |
サイズ | 10cm×14cm |
まとめ
ロキソニンSテープは、医療用のロキソニンテープと同じ成分が同じ量だけ配合された湿布薬です。ただし、市販のロキソニンSテープは医療用のように変形性関節症には使えませんので注意してください。
市販にはロキソニンSテープシリーズのほか、ロキソニンEXテープシリーズもあります。こちらは、より高い濃度のロキソプロフェンナトリウム水和物が配合された湿布薬です。さらに高い鎮痛効果を希望される方は、こちらのシリーズを選んでみるのもよいでしょう。