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お薬コラム
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更新日:2023/02/09
ボルタレンゲル(医療用医薬品)は市販で買える?

痛み止めの塗り薬である「ボルタレンゲル」をご存じですか?透明なゲルで、湿布と違い見た目に目立たないため、好んでいる方も多い薬です。

今回は、医療用医薬品の「ボルタレンゲル」について、使い方や注意点、類似の市販薬をご紹介します。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 中山 歩実

購入可能な市販薬とは?

ボルタレンゲルは、有効成分「ジクロフェナク」を含んだゲル状の塗り薬です。市販薬でも、同じ成分の塗り薬を購入することができます。

 

ボルタレンACゲル

ジクロフェナクが、医療用医薬品と同量の1%配合されています。無香料のゲルなので、お出かけの日などでも使いやすいです。

ボルタレンEXゲル

こちらも、ジクロフェナクが医療用医薬品と同量の1%配合されたゲルです。l-メントールが入っているため、ひんやりと清涼感が感じられます。医療用医薬品のボルタレンゲルには、l-メントールが含まれていません。

医療用医薬品としての基本情報

医療用医薬品の「ボルタレンゲル」について、効果や使用方法をご紹介します。

ボルタレンゲルの主成分とは?

主成分として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる種類の「ジクロフェナク」が1%含まれています。炎症を抑えたり、痛みをやわらげたりする成分です。

ジクロフェナク」はNSAIDsの中でも、鎮痛効果が高いとされています。

ゲルとは?

ゲルとは、塗り薬の剤形(タイプ)の一種です。ゼリーのような形状ですが液体成分が多く、塗り広げるうちに液体に近くなります。水分を多く含むため、塗ったときの清涼感クリームや軟膏よりもベタつき感が少なく、肌なじみがよいのが特徴です。

ボルタレンゲルの効能は?

ボルタレンゲルは、以下のような場合の腫れや痛みに効果があります。

変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛(筋・筋膜性腰痛症等)、外傷後の腫脹・疼痛

骨や関節の疾患から、日常で生じる打ち身など、幅広くさまざまな場合に使用できる塗り薬です。

ボルタレンゲルの使い方

腫れや痛みのある部位に、1日数回塗り広げます。

あまり厚く塗り重ねる必要はありません。また、目や陰部などの粘膜部分、傷口には塗らないようにしましょう。不意に触ってしまわないよう、塗った後は手を洗うようにしてください。
塗った箇所はラップなどで密封せず、通気性が保たれた状態にしておきます。密閉してしまうと、塗った箇所にヒリヒリ感やかゆみを感じたり、赤みが出てしまったりするかもしれません。

ボルタレンゲルの医療用医薬品の種類

有効成分としてジクロフェナクを含む外用薬は、様々な剤形があります。ご自身にとって使用感の好きなものを選びましょう。

【塗り薬】
ボルタレンローション1%
ローションタイプの塗り薬です。患部にあたる箇所はスポンジのようになっていて、スポンジの部分に浸透した液体成分を患部に塗布していきます。ゲルタイプと違い手が汚れないため、職場などでサッと使いたい方に向いているかもしれません。患部に塗布した液体成分はすぐに乾燥するので、洋服についたり垂れたりすることは少ないです。

【貼り薬】
ボルタレンテープ15㎎、30㎎
湿布タイプのジクロフェナクです。薄茶色で目立ちにくい色ですが、腰など洋服で隠れる箇所に使用したい場合の方が使いやすいかもしれません。テープ剤なので肌にしっかり密着し、剥がれにくいです。

ボルタレンゲルの注意点

外用剤は副作用がないと思われがちですが、そうではありません。使用方法を守らなければ、全身の副作用が出てしまうことがあるのです。ボルタレンゲルを使用する上で、注意していただきたいことをお伝えします。

擦り込みすぎない

ゲルは、擦り込みすぎ・厚く塗りすぎなどによって、皮膚が白く色づいて見えたり、ボロボロと成分が剥がれたりすることがあります。
薄く塗り広げるだけで、成分はしっかりと皮膚から浸透しています。何度も刷り込んだり、多量に使ったりする必要はありません。

アスピリン喘息の方は使用できない

NSAIDsと呼ばれる種類の鎮痛薬で喘息発作を起こしたことがある方は、ボルタレンゲルを使用できません。

外用剤(塗り薬)は副作用がなく安全と思っている方は少なくありませんが、飲み薬と同様に全身性の副作用が生じる危険性はあります。以下のNSAIDsで喘息発作を起こしたことがある方は、ボルタレンゲルを使用しないでください。外用剤であっても、痛み止めを使用したい場合は自己判断で市販薬を購入せず、医師や薬剤師に相談しましょう。

先発品の名称 成分名
 ロキソニン錠  ロキソプロフェン
 ボルタレン錠・坐剤  ジクロフェナク
 セレコックス錠  セレコキシブ
 ナイキサン錠  ナプロキセン
 モービック錠  メロキシカム
 ハイペン錠  エトドラク
 バファリン配合錠※
バイアスピリン錠
 アスピリン

※市販の「バファリン」の中には、アスピリンが含まれているものと含まれていないものがあるので注意

塗った箇所を太陽光に当てない

頻度は高くないですが、「光線過敏症」という副作用が起こる可能性があります。

光線過敏症は、ボルタレンゲルを塗っている箇所が太陽光に当たることで、発疹や赤み、炎症などが生じてしまうものです。塗って数週間経ってからでも、症状が出る可能性があります。
首や肩周り、手首など、太陽光に当たる可能性のある部位に塗った場合には、ストールや手袋などで太陽光が当たらないように注意してください。

肌に合わない場合もあるので注意

直接皮膚に使用する薬剤のため、臨床試験での主な副作用は皮膚炎、そう痒感、発赤、皮膚のあれ、刺激感など、皮膚に関するものがほとんどです。発現頻度は0.1%~5%未満であり、それほど頻度は高くありませんが個人差もあるため、皮膚に違和感を感じたら担当医師、または、薬剤師に相談してください。

まとめ

今回は、医療用医薬品の「ボルタレンゲル」について、効果や使用方法、注意点をご紹介しました。炎症を抑え、痛みを和らげる塗り薬として、骨や関節の疾患だけでなく、日常で生じる打ち身などにも使用することができます。
類似の市販薬もいくつか販売されていますので、必要な場合には試してみてはいかがでしょうか。