痛み止めの塗り薬の剤形について?ゲル、クリーム、ローションなど、どれを選べばよい?薬剤師が解説!
痛み止めの外用薬には、ゲルやクリーム、ローションやスプレーなどさまざまなタイプの剤形があります。
同じ成分が入っている商品でも多くの剤形があることが珍しくないため、どれを選んだらよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。値段が安いものをなんとなく選んでいる方ももしかしたらいるかもしれません。
そこで今回は、痛み止めの塗り薬の剤形によってどのような特徴があるのかについて詳しく解説します。人気の商品も一緒に紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。
痛み止めの塗り薬(塗布薬)の種類
痛み止めの塗り薬には、大きくわけて次の5種類があります。
• ゲル
• クリーム
• 液
• チック
• エアゾール(スプレー)
同じ主成分が配合されていれば、剤形の違いによって効果が大きく変わることはありません。しかし使いやすさが異なるため、自分に合ったものをしっかりと選ぶことが大切です。どのようにして使いたいのか、どこの部位に塗りたいのかに応じて剤形を選びましょう。
では、それぞれの剤形にどのようなメリットやデメリットがあるのかについて紹介していきます。
ゲル
ゲルは、透明でゼリーに近いような剤形です。水分を多く含んでいるため、塗ったときに清涼感を得られます。
ゲルのメリット
ゲルのメリットは、塗るときに液だれしにくいことです。基剤にアルコールが含まれていることもあり、塗ると清涼感があります。ひんやりした使い心地の方に向いている剤形です。
ゲルのデメリット
アルコールが含まれているため、人によっては皮膚に刺激を感じることがあります。また、すりこんで塗ると、モロモロとした固まりが出てくるためしっかり塗り込みたい方には向いていません。
代表的な商品
ロキソニンSゲル
ロキソプロフェンナトリウム水和物が主成分の塗り薬です。伸びがよいゲルで、患部にスーッと塗れます。塗り薬に特有のにおいはあまりありません。
バンテリンコーワゲルα
インドメタシンが主成分の塗り薬です。l-メントールが配合されているため、強めの清涼感があります。インドメタシンのほか、血流を促進するアルニカチンキも配合されていることが特徴です。
クリーム
クリームはゲルよりもしっとりとしています。油分を含んでいることから、皮膚から吸収されやすい点が特徴でしょう。
クリームのメリット
油分が含まれているので伸びがよく、マッサージしながら患部に塗り込むことができます。マッサージしても、モロモロとした固まりが出てくることがありません。
クリームのデメリット
ややベタつきがあることがデメリットです。塗った後の手がぬるつく感じがし、気になってしまう方もいるでしょう。
代表的な商品
バンテリンコーワクリームα
主成分のインドメタシンのほか、清涼感をもたらすl-メントール、血行をよくするトコフェロール酢酸エステルやアルニカチンキが配合された塗り薬です。清涼感が強めの塗り薬が好みの方に向いています。
フェイタスクリーム
鎮痛成分のフェルビナクが配合された塗り薬です。l-メントールが配合されているので、爽やかな塗り心地を実感できます。弱酸性でなめらかなクリームです。微香性になっているので、においはあまり気になりません。
液(ローション)
液タイプは、手を汚すことなくそのまま塗れるようになっています。肩や腰など、手が届きにくい部分にはゲルやクリームより塗りやすいでしょう。「◯◯液」や「◯◯ローション」とパッケージに書かれているものは、液タイプになっています。
液のメリット
ほとんどの商品は、手を汚さずにそのまま塗れるような仕様になっています。液体でさっと伸びるため、広範囲でも楽に塗り広げられることが特徴です。全体的に、清涼感が強めの商品が多く見られます。
液のデメリット
水のようにサラッとした液体のため、液だれすることがあります。また刺激が強く、部位によってはしみてしまうことがあるかもしれません。低刺激を求める方にはあまり向いていないといえます。
代表的な商品
ロキソニンSローションa
優れた鎮痛効果のあるロキソプロフェンナトリウム水和物が主成分の塗り薬です。手を汚すことなく、患部に塗れます。無臭というわけではありませんが、かすかなアルコール臭がする程度のにおいです。塗りやすい形状のボトルになっているので、直では手が届きにくい部位でもしっかり塗れます。
バンテリンコーワ液S
インドメタシンが主成分として配合されています。l-メントールが配合されているため、清涼感は強めです。ボトルがまっすぐな形をしているので、肩や腰にはやや塗りづらいと感じるかもしれません。
チック
チックとは、ゲルを固形状に固めたものです。必要な分だけをくり出して使用します。
チックのメリット
リップクリームのように必要な分だけをくり出し、そのまま患部に塗って使用するため手を汚しません。
チックのデメリット
ゲルやクリームに比べると伸びがよくないため、広範囲に使う場合は塗りづらさを感じる場合があります。また、商品自体が大きめに作られていることもあり保管や持ち運びの際にかさばってしまうこともあるでしょう。
代表的な商品
フェイタスチックEX
フェルビナクが主成分で配合された塗り薬です。チックタイプの製品では、効き目が高めの成分が配合されているほうだといえます。塗るとすぐにサラサラになるのでベタつきません。
ゼノールチックE
サリチル酸メチルが主成分として配合されています。清涼感を与えるl-メントールや血行をよくしたり炎症を抑えたりするdl-カンフル、炎症を抑えるグリチルレチン酸も配合されている商品です。ベタつかず、塗ってすぐに服を着られます。
エアゾール
エアゾールとは、スプレータイプの塗り薬のことです。
エアゾールのメリット
手を汚すことなく、広範囲に一気に塗布できます。また冷却効果も高いため、患部を冷やすことも可能です。手が届きにくいところにもさっとスプレーできます。
エアゾールのデメリット
連続して同じ部位に噴霧すると、凍傷になることがあるので注意してください。また、においが周りに広がりやすいのもデメリットです。ガスが入っているため、飛行機に持ち込めない場合もあります。
代表的な商品
エアーサロンパスDX
フェルビナクが主成分として配合された商品です。泡状になって中身が出てくるため、患部にしっかりと成分がとどまります。冷却効果も高いため、患部が熱をもっている方におすすめです。
ボルタレンEXスプレー
市販薬のなかでもっとも鎮痛効果が高いジクロフェナクナトリウムが配合された商品です。炎症を抑える効果にも優れています。
各剤形のメリット・デメリット・おすすめの使用状況
各剤形のメリット、デメリット、おすすめの使用状況を表にまとめました。ゲルやクリーム、ローションやスプレーなど、どれを選んだらよいか迷っている方は、下記の表を参考に選んでみてください。
剤形 | メリット | デメリット | おすすめの使用状況 |
ゲル | ・液だれしにくい ・清涼感がある |
・アルコールによる皮膚刺激あり ・こすり過ぎで、モロモロした固まりが出る |
・ひんやりした使い心地が良い場合 |
クリーム | ・伸びが良い ・マッサージしながら使用可能 |
・ややベタつきがある | ・マッサージが必要な部位 |
液 | ・手を汚さず使える ・広範囲に塗りやすい ・清涼感がある |
・液だれし易い ・刺激感がある |
・肩や腰など、手が届きにくい部位 |
チック | ・手を汚さず使える | ・伸びが悪く、広範囲には使いづらい ・商品がかさばり易い |
・リップクリームのように手軽に使用したい場合 |
エアゾール | ・手を汚さず使える ・広範囲に塗りやすい ・冷却効果が高い |
・連続噴霧で凍傷リスクあり ・においが周りに広がり易い ・飛行機に持込めない場合もある |
・患部が熱をもっている場合 |
まとめ
痛み止めの塗り薬には、ゲルやローション、クリームやチックなどの種類があります。配合されている成分が同じであれば剤形が違っても効果に大きな差はありません。
しかし、マッサージをするのに適していたり手を汚さずに塗れたりなどそれぞれ特徴があります。痛みの程度や使い心地に合わせて自分に適した剤形の商品を選ぶようにしましょう。