パスタロンクリーム(医療用医薬品)は市販で買える?
医療用の保湿剤の一種である「パスタロンクリーム」をご存じですか?
保湿成分である尿素を配合したクリームで、硬くなった皮膚を柔らかくする作用もあります。市販でも、類似の商品を購入することができますよ。
今回は、パスタロンクリームについて使い方や注意点などをご紹介します。
購入可能な市販薬とは?
パスタロンクリームと同様に尿素を含んだ市販薬としては、尿素のみ含まれた製品と、尿素に他の有効成分が配合されている製品があります。
尿素のみ配合している製品
医療用と同じく、尿素のみのシンプルな製品はこちらです。
ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム
尿素が20%配合されたクリームです。尿素の割合が多く、水分を保つ作用が高くなっています。ただし、対象年齢は15歳以上です。
30g、60g、150gと3種類の大きさがあります。30gはチューブに入っているため、持ち運びにも便利です。60g、150gの大容量のものはボトルに入っており、広範囲にたっぷり使用したい方に向いています。家に置いておき、入浴後などに使うのに適しているのではないでしょうか。
尿素以外に他の有効成分を配合している製品
尿素以外にも有効成分が含まれているものは、皮膚の状態に合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
ケラチナミンコーワアロマハンドクリーム
尿素10%の他、抗炎症成分グリチルレチン酸が配合されています。乾燥だけでなく、ヒリヒリするなど炎症を起こしている場合にはこちらを選ぶとよいでしょう。
ジャスミン、ラベンダー、ローズの3種類の香りがあるため、お休み前や休憩中のリラックス目的にもよいかもしれません。
ケラチナミンコーワ乾燥かゆみクリーム20
尿素20%の他、抗炎症成分グリチルレチン酸とかゆみ止め成分ジフェンヒドラミン塩酸塩が配合されています。乾燥してかゆみが出ている方は、こちらの製品がよいでしょう。
ワムナールDXII
尿素20%の他、抗炎症成分グリチルリチン酸と血行促進成分トコフェロール酢酸エステルが配合されています。添加物としてヒアルロン酸も添加されており、高い保湿効果を期待できるのが特徴です。
医療用医薬品としての基本情報
医療用医薬品のパスタロンクリームについて、特徴や使用方法をご紹介します。
パスタロンクリームの主成分とは?
医療用医薬品のパスタロンクリームは、尿素が主成分です。
尿素は、体の中から皮膚表面の細胞へ水分を引き込むように作用して、保湿効果を発揮します。また、水分量を増やすことで、ガサガサに硬くなった皮膚を柔らかくしてくれます。
少し刺激を感じることがあるため、傷がある場合や刺激が不快な場合は使用を避けてください。
医療用医薬品では、尿素10%配合と20%配合の2種類があります。
パスタロンクリームの効能は?
パスタロンクリームは、10%と20%のいずれも、以下の疾患に伴う皮膚症状に効果的です。乾燥を改善したり、硬くなった(角化した)皮膚を柔らかくしたりすることで、症状にアプローチします。
老人性乾皮症、アトピー皮膚、進行性指掌角皮症(主婦湿疹の乾燥型)、足蹠部皸裂性皮膚炎、掌蹠角化症、毛孔性苔癬、魚鱗癬
パスタロンクリームの使い方
パスタロンクリームは、乾燥している部分や、それによってガサガサになったり硬くなったりしている部分に1日2〜3回、よくすり込むように使用します。少しベタつくなと感じるくらいたっぷり使用してください。
乾燥によって皮膚が割れて傷になってしまっていると、少し滲みるかもしれません。
パスタロンクリームの医療用医薬品の種類
医療用医薬品の「パスタロン」には、クリームタイプ以外に2種類あります。
パスタロンソフト軟膏10%/20%
軟膏タイプのパスタロンです。クリームと比べるとしっとり感が強く、人によってはベタつき感が気になる場合もあります。パソコン作業など、手作業の多い方が日中に使用するには向かないかもしれません。クリームより刺激が弱めなので、乾燥でひび割れしやすい方に向いています。
パスタロンローション10%
ローションタイプのパスタロンです。スーッと伸びて肌馴染みがよいので、広範囲に塗りたいとき、日中の保湿などに使いやすいでしょう。ベタつきは少ないですが滲みやすいので、傷がある場合は避けた方がよいかもしれません。
パスタロンクリームと同等の医療用医薬品
パスタロンクリームと同等の尿素配合の医療用医薬品は多数あります。
・ケラチナミンコーワクリーム20%
・尿素クリーム10%(20%)「SUN」
・尿素クリーム10%(20%)「日医工」
・尿素クリーム10%(20%)「フジナガ」
・ウレパールクリーム10%
いずれも尿素を主成分としたクリームで、使用方法、適応症なども同じです。
パスタロンクリームの注意点
パスタロンクリームは、ほとんど副作用がなく安全に使用できる保湿剤ですが、2点だけ注意してもらいたいことがあります。
粘膜には塗らない
眼や陰部などの粘膜付近には塗らないようにしましょう。パスタロンを塗布したあとに目を擦ったりしないように意識してください。症状のある部位が手でない場合は、塗布したあとに手を洗っておくとよいでしょう。
潰瘍やびらんに直接塗布しない
潰瘍やびらんと呼ばれるような状態の皮膚には塗らないでください。
潰瘍は、皮膚が炎症を起こすことで、皮膚の表面だけでなく深い部分まで露出している状態の傷です。びらんは、潰瘍よりも少し浅い傷を指します。
ただの切り傷や擦り傷であれば、滲みない限りは塗布してもかまいませんが、深い傷ができている場合には塗布を避けてください。
まとめ
今回は、医療用医薬品「パスタロンクリーム」の使い方や特徴、注意点などについて解説しました。パスタロンクリームの主成分は尿素で、皮膚の水分量を増やして柔らかくする効果があります。乾燥でガサガサになった部分、ひび割れて硬くなってしまった部分などに使用しましょう。
とくに注意が必要な外用剤ではありませんが、粘膜に塗らないこと、深い傷には使わないことを守りましょう。今回の記事を参考に、安全で効果的にパスタロンクリームを使用してみてください。