市販薬のパイロンPL顆粒Proについて薬剤師が解説!風邪への効果、服用時の注意点、医療用PL配合顆粒との違いとは?
風邪薬としてよく知られているPL配合顆粒。市販薬では2017年に「パイロンPL顆粒」が、2021年には「パイロンPL顆粒Pro」が販売になりました。
医療用のPL配合顆粒の認知度が高いこともあり、発売当時から市販のPL顆粒シリーズを手に取る方の姿をよく見かけます。人気の市販薬ではありますが、服用にあたって注意点もあるのでしっかり確認しておきましょう。
今回は新しく出たパイロンPL顆粒Proの注意点や有効成分、医療用のPL配合顆粒との違いなどについて詳しく解説します。
パイロンPL顆粒Proとは?
パイロンPL顆粒Proとは、さまざまな風邪の症状に効く成分が配合された総合風邪薬です。最初に販売されたパイロンPL顆粒よりも配合されている成分の量が多くなっています。パイロンPL顆粒Proは、以下の症状に効果的です。
• のどの痛み
• 発熱
• 鼻水
• 鼻詰まり
• くしゃみ
• おかん
• 頭痛
• 関節の痛み
• 筋肉の痛み
多くの症状に効果があるので便利ですが、15歳未満の方は服用できないので注意してください。また、パイロンPL顆粒Proは一日に4回服用する必要があります。朝、昼、夜と寝る前に飲む必要があるので飲み忘れないように気をつけましょう。
パイロンPL顆粒Proの有効成分は?
パイロンPL顆粒Proには、次の3つの成分が配合されています。
• 解熱鎮痛成分
• 抗ヒスタミン成分
• 鎮痛補助成分
これらの成分が配合されているため、さまざまな風邪の症状に効果を発揮してくれるのです。では、具体的にそれぞれどのような成分が配合されているのかを見ていきましょう。
解熱鎮痛成分
熱を下げたり痛みをやわらげたりする解熱鎮痛成分として、サリチルアミドとアセトアミノフェンの2種類の成分が配合されています。サリチルアミドは、熱や痛みの原因となる物質の産生を抑える成分です。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれています。
アセトアミノフェンは炎症を抑える効果はほとんどありませんが、小さな子どもや妊婦さんなど幅広く使える解熱鎮痛成分です。胃に優しく、マイルドに効果を発揮します。
抗ヒスタミン成分
抗ヒスタミン成分とは、ヒスタミンの働きを抑えることで鼻水や鼻詰まり、くしゃみを抑える成分です。パイロンPL顆粒Proには、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩が配合されています。
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩は、第1世代の抗ヒスタミン薬です。抗ヒスタミン薬には第1世代と第2世代のものとがあり、第1世代のほうが眠気が出やすくなっています。そのため、パイロンPL顆粒Proは眠気が出やすい風邪薬といえるでしょう。
鎮痛補助成分
鎮痛効果を助ける成分として、無水カフェインが配合されています。中枢神経を刺激することで眠気や疲労感を取る効果もあることが特徴です。
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩による眠気も無水カフェインにより緩和すると考えられますが、完全になくなるわけではないので注意しましょう。
また、無水カフェインは人によって胃に負担をかけることがあります。カフェインが合わない体質の方は服用を控えてください。
パイロンPL顆粒Proはどのような風邪症状に効果があるか?
パイロンPL顆粒Proは、のどの痛みや発熱、鼻水やくしゃみ、頭痛など風邪の諸症状に効果を発揮します。ただし、配合成分が解熱鎮痛成分と抗ヒスタミン薬、鎮痛補助成分のみのため、咳や痰をやわらげる効果はありません。
総合風邪薬なのですべての症状に効果があると思い込んでしまうかもしれませんが、風邪で起こるすべての症状に効くわけではないので注意しましょう。咳や痰も気になる場合は、パイロンPL顆粒ProではなくパイロンPL錠ゴールドなどほかの市販薬を選んでください。
パイロンPL顆粒Proを服用するときの注意点とは?
パイロンPL顆粒Proは多くの症状に効果がある便利な風邪薬ですが、万能薬というわけでは決してありません。使用が適さない方もいるので確認しておきましょう。
眠気が出る可能性あり
抗ヒスタミン薬として配合されているプロメタジンメチレンジサリチル酸塩は、眠気が出やすい成分です。そのため、添付文書には「服用後、乗物または機械類の運転操作をしないでください」と記載がされています。
乗物の運転のほか、高い場所での作業も控えてください。思わぬ事故につながる恐れがあるので、眠気が出ると困る方は服用しないようにしましょう。
どうしても風邪薬を服用したい方は、眠気が出にくいものを選ぶか抗ヒスタミン薬が配合されていないものがおすすめです。
持病を悪化させる可能性があり
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩には、抗コリン作用があります。抗コリン作用とは、アセチルコリンという神経伝達物質の働きを遮断するものです。この抗コリン作用により、次のような副作用が起こる恐れがあります。
• 排尿困難
• 緑内障
前立腺肥大症や緑内障がある方は、担当医に相談してからパイロンPL顆粒Proを服用するようにしてください。
また、解熱鎮痛成分のサリチルアミドとアセトアミノフェンの働きにより胃に負担がかかることがあります。胃腸の調子が悪い方、解熱鎮痛成分で胃に負担がかかりやすい方は服用を控えたほうがよいでしょう。
このほか、頻脈や高血圧、不眠などの症状が出ることもあります。これらの副作用はパイロンPL顆粒Proのみに限らず、多くの風邪薬で起こる可能性があるものです。風邪薬を服用する際は、自分の体質に合っているかどうか十分に確認しましょう。
医療用のPL配合顆粒との違いは?
パイロンPL顆粒Proは市販で販売されているものですが、医療用として「PL配合顆粒」も存在します。この2つにどのような違いがあるのかを比較してみました。下の表を見てもらうとわかるとおり、医療用のPL配合顆粒と市販のパイロンPL顆粒Proに違いはありません。配合されている成分の種類も量もまったく同じです。
商品名 | PL配合顆粒 | パイロンPL顆粒Pro |
処方箋が 必要か |
必要 | 必要なし |
配合成分 (4包中) |
・サリチルアミド:1,080mg ・アセトアミノフェン:600mg ・無水カフェイン:240mg ・ プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:54mg |
・サリチルアミド:1,080mg ・アセトアミノフェン:600mg ・無水カフェイン:240mg ・ プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:54mg |
効能効果 | 感冒もしくは上気道炎に伴う下記症状の改善及び緩和
鼻汁、鼻閉、咽・喉頭痛、頭痛、関節痛、筋肉痛、発熱 |
かぜの諸症状(のどの痛み、発熱、鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、悪寒(発熱によるさむけ)、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和 |
パイロンPL顆粒シリーズの違いは?
市販されているパイロンPL顆粒のシリーズには、現在3つの種類があります。
• パイロンPL顆粒Pro
• パイロンPL顆粒/パイロンPL錠
• パイロンPL錠ゴールド
名前は似ていますが、それぞれ配合成分や量が異なるので注意しましょう。
医療用とまったく同じものがパイロンPL顆粒Pro
成分は同じものの配合量が少なくなっているものがパイロンPL顆粒/パイロンPL錠
咳や痰に効く成分も入っているものがパイロンPL錠ゴールド
商品名 | パイロンPL顆粒Pro | パイロンPL顆粒 パイロンPL錠 |
パイロンPL錠ゴールド |
配合成分 (1日量中) |
・サリチルアミド:1,080mg ・アセトアミノフェン:600mg ・無水カフェイン:240mg ・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:54mg |
・サリチルアミド:648mg ・アセトアミノフェン:360mg ・無水カフェイン:144mg ・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:32.4mg |
・サリチルアミド:648mg ・アセトアミノフェン:360mg ・無水カフェイン:144mg ・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:32.4mg ・デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物:48mg ・ブロムヘキシン塩酸塩:12mg |
効能効果 | かぜの諸症状(のどの痛み、発熱、鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、悪寒(発熱によるさむけ)、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和 | かぜの諸症状(のどの痛み、発熱、鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、悪寒(発熱によるさむけ)、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和 | かぜの諸症状(せき、たん、のどの痛み、発熱、鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、悪寒(発熱によるさむけ)、 頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和 |
まとめ
市販のパイロンPL顆粒Proは、医療用のパイロンPL顆粒とまったく同じ成分が同じ量だけ配合された商品です。熱や頭痛、鼻水やのどの痛みなどの症状に効能効果をもちます。咳や痰に効く成分は入っていません。
眠気が出たり、排尿困難や緑内障などの副作用が出たりする恐れがあるため注意しましょう。乗物の運転をする方、前立腺肥大症がある方、眼圧が高い方は服用しないようにしてください。
〈参考資料〉
・パイロンPL顆粒Pro|薬局で購入できるくすりを探す|シオノギヘルスケア
・パイロンPL顆粒|薬局で購入できるくすりを探す|シオノギヘルスケア
・パイロンPL錠|薬局で購入できるくすりを探す|シオノギヘルスケア
・パイロンPL錠 ゴールド|薬局で購入できるくすりを探す|シオノギヘルスケア