正露丸の成分はメーカーで違う!?選び方やおすすめの商品について解説
お腹が痛いときや下痢をしているときに活躍してくれる正露丸。正露丸といえばラッパのマークがついている大幸薬品の商品が一般的です。
しかし、薬局やドラッグストアに行くと似たようなパッケージの正露丸がいくつも並んでいます。「メーカーによって違いはあるの?」「効果はどれも同じ?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、正露丸のメーカーによる違いについて詳しく解説します。
正露丸(せいろがん)とは?
正露丸とは、さまざまなメーカーから販売されている食あたりや下痢などに効能効果をもつ飲み薬のことです。
正露丸にいろいろな種類がある理由
薬局で何種類もの正露丸が並んでいるのは、「正露丸」に商標権がない=どのメーカーでも販売できることが関係しています。
数え切れないほど多くの正露丸がありますが、主成分はどれも木(もく)クレオソートというものです。木クレオソートには100年以上もの歴史があり、昔から胃腸薬としての安全性が認められてきました。
「正露丸は危険」は誤情報
ところで、「正露丸は危険、飲まないほうがいい」という話を聞いたことがありませんか?正露丸の主成分である木クレオソートに発がん性があるという情報が出回り、危険だと言われていた時期がありました。
これは、正露丸の主成分である木クレオソートと、石炭から作られる石炭クレオソートが混同されたことが原因です。木クレオソートに発がん性はありませんので、安心してください。
正露丸に含まれる有効成分と特徴について
正露丸に含まれる成分は、木クレオソートやロートエキス、生薬成分の3つが代表です。それぞれがどのように働きかけるのか、効果や特徴について見ていきましょう。
木(もく)クレオソート
木クレオソートは、ブナやマツなどから精製されて作られる成分です。過剰に動いている腸を元の状態に戻し、腸内に余分な水分が溜まらないようにすることで下痢や腹痛に効果を発揮します。
下痢止めとしてよく使用されているロペラミドに劣らない効果があるとも言われていることが特徴です。腸の動きを止めずに下痢を抑えるため、細菌やウイルスの排出を遅らせることなく症状を抑えられます。
ロートエキス
腸が過剰に動くのをやわらげたり、胃酸分泌を抑えたりする成分です。服用してから30分から1時間ほどで効果が現れるため、即効性が期待できます。
ただし、異常な眩しさや目のかすみなどの症状が現れる可能性があるため、服用後に乗り物の運転をするのは控えてください。
また、前立腺肥大症や緑内障の症状を悪化させることがあるので、これらの疾患がある方はかかりつけ医に相談してから使用しましょう。
生薬成分
ゲンノショウコやオウバク、アセンヤクやカンゾウ、チンピ、ケイヒなど、胃腸症状を改善する効果がある生薬成分が配合されている正露丸もあります。
腸の運動を調整したり胃の働きをよくしたりする効果があるため、より高い効果を期待する場合は生薬成分についてもチェックしておくとよいでしょう。
自分に合う正露丸の選び方
薬局やドラッグストアで「どの正露丸を選べばいいの?」と迷ったときは、次に紹介する3つのポイントを参考に選んでみてください。
配合されている成分で選ぶ
緑内障や前立腺肥大症がある方はロートエキスが配合されていないもの選びましょう。ただし、かかりつけ医からOKが出ていれば服用しても問題ありません。
しっかりと下痢を止めたい方は木クレオソートに加えてロートエキスや生薬成分が配合されているものが向いています。
においの有無で選ぶ
木クレオソートには独特のにおいがあるため、人によっては苦手な方もいるかもしれません。また、においがきついものだと学校や職場で飲みづらいと感じることもあるでしょう。
そのような方は、においがしにくい糖衣錠やカプセルタイプのものを選んでみてください。
下痢の原因で選ぶ
細菌やウイルスが原因の場合、腸の動きを止めてしまうロートエキスの使用は向いていません。この場合は木クレオソートや生薬成分のみが配合された正露丸を使用しましょう。
下痢の原因がわからない場合は、念のためロートエキスが入っていないものを選んでおくのが無難です。
薬剤師が選ぶおすすめの正露丸は?
正露丸の種類によって、配合されている成分は大きく違います。主成分である木クレオソートのみが配合されたもの、加えてロートエキスや生薬成分も配合されたものなどがあるので、使い勝手のよさや症状に合わせてぴったりのものを見つけてみてください。
正露丸クイックC
木クレオソートのみが配合された正露丸です。液体カプセルになっており、素早く溶けるため即効性が期待できます。においもほとんど気になりません。ロートエキスが入っていないので、下痢の原因や持病の有無にかかわらず服用できます。
正露丸(大幸薬品)
正露丸といえば、ラッパのマークがついたこちらの商品を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。主成分の木クレオソートのほか、胃腸の働きを改善するアセンヤクやオウバクなどの生薬成分も配合されています。
独特のにおいがあるため、「においがあっても問題ない」「においがあったほうが効いている気がする」という方に向いているでしょう。感染症が原因の下痢にも使用できます。
イヅミ正露丸
主成分の木クレオソート、生薬成分、そしてロートエキスが配合されたタイプの正露丸です。ロートエキスの働きにより、よりしっかりと気になる症状に働きかけてくれます。感染症が原因で下痢になっている方、前立腺肥大症や緑内障がある方の使用は避けるようにしてください。
まとめ
正露丸はどのメーカーのものも主成分として木クレオソートが配合されていますが、そのほかの配合成分についてはやや違いがあります。使い慣れているメーカーの正露丸を選んでも構いませんが、よければ自分に合った成分のものを選んでみてください。
においがないものがよい方は糖衣錠やカプセルになっているものを、効果を重視する方はロートエキスが配合されているものを選ぶとよいでしょう。ただしロートエキスは、感染症が原因の下痢には向かないほか、前立腺肥大症や緑内障の方には使えない場合があります。どれを購入したらよいか迷った場合は、ロートエキスが配合されていない正露丸を選ぶと安心です。