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更新日:2022/04/28
【花粉症用点鼻薬】鼻水、鼻づまりに効果がある市販点鼻薬を薬剤師が解説

花粉症による鼻水、鼻づまりに悩む方も多いのではないでしょうか。今回は花粉症治療薬の中でも、点鼻薬について詳しく解説します。

鼻水、鼻づまりが気になっていて点鼻薬を使ってみたい
眠くならない薬で症状を抑えたい
今使っている点鼻薬の効果が悪いので、別の薬に変えようか悩んでいる
上記のような悩みをお持ちの方にとっては、点鼻薬の選び方、各製品の特徴や注意点がわかる記事となっています。ぜひ最後までお読みください。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 中森 彩斗

花粉症による鼻水、鼻づまりのメカニズムは?

病名として花粉症の鼻水、鼻づまりは「季節性アレルギー性鼻炎」「通年性アレルギー性鼻炎」と呼ばれます。鼻のさまざまな症状は花粉に対するアレルギー反応の一つです。

花粉が鼻粘膜に付着することで、免疫細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出されます。とくにヒスタミンは、アレルギー反応に関係する物質です。ヒスタミンの反応を薬で抑えることが治療にとって重要なポイントです。

本来は異物などを体の外に追い出し、体を守ろうとする反応が過剰に働いてしまった結果が鼻炎の症状といえます。

花粉症に効果がある点鼻薬の有効成分と働き、特徴を紹介!

花粉症の点鼻薬は、鼻の粘膜に直接使用して効果を発揮します。成分によっては効果が早く実感できます。しかし、注意点もありますのでしっかり確認してくださいね。

では、それぞれの有効成分の良い点、悪い点を解説します。

副腎皮質ステロイド成分:炎症を抑え、『くしゃみ、鼻水、鼻づまり』を改善!

成分名:ベクロメタゾンプロピオン酸エステルプレドニゾロンフルニソリドフルチカゾンプロピオン酸エステルなど
副腎皮質ステロイドは、花粉などが原因でおこる免疫の過剰な反応を抑えてくれる成分です。

<良い点>
抗炎症効果が高いため、比較的症状がひどい方に選んでいただきたい成分です。鼻炎の「くしゃみ」、「鼻水」、「鼻づまり」の3症状すべてに効果があります。点鼻なので全身性の副作用の心配が少なかったり、成分として眠気がなかったりと、安心して使用できます。
<悪い点>
副腎皮質ステロイドの使用期間は1~3か月と決まっており、通年性アレルギー性鼻炎に悩む方は注意が必要です。効果が実感できるまでは、時間がかかる成分です。市販薬の成分を確認する上では、副腎皮質ステロイドだけなのか、他にも成分が含まれるのか確認してくださいね。

抗ヒスタミン成分:ヒスタミンをブロックし、『くしゃみ、鼻水』を改善。

成分名:クロルフェニラミン
ヒスタミンは、花粉症の中でも「くしゃみ」「鼻水」の症状に関与しているといわれています。抗ヒスタミン成分がヒスタミンの反応を薬が抑えてくれるため、くしゃみや鼻水の症状を緩和してくれるのです。

<良い点>
効果が比較的はやく実感できる成分です。また、花粉症だけでなく風邪の鼻炎にも効果があるため、幅広い病気に使用できます。
<悪い点>
眠気がでる可能性があるため、車の運転や眠くなって困る方は注意が必要です。効果に関しても抗ヒスタミン薬は鼻づまりが強い方には向かない成分です。血管収縮成分や抗アレルギー成分などを配合する製品を選ぶと良いでしょう。

血管収縮成分:血管を収縮することで「鼻づまり」を改善!

成分名:オキシメタゾリン、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン
血管収縮成分は血管を収縮することで、鼻の粘膜の腫れを抑えてくれる成分です。

<良い点>
血管収縮成分の特徴は、「鼻づまり」に対して速効性があることです。効果を感じる時間としては5~15分といわれています。他の成分と一緒に配合することでより効果を短時間で実感できる成分です。
<悪い点>
長期間使用すると、薬剤性の鼻炎によって症状が悪化する可能性があります。短期使用が重要です。

市販点鼻薬に含まれる、その他の有効成分を紹介

点鼻薬の有効成分として副腎皮質ステロイド成分、抗ヒスタミン成分、血管収縮成分を解説しました。点鼻薬に配合される成分はこの3つだけではありません。その他の有効成分を2つ紹介します。

抗アレルギー成分:アレルギー症状を抑えて「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」を解消

成分名:クロモグリク酸ナトリウム
花粉などの原因物質をきっかけにヒスタミンやその他の化学物質が放出され、症状がでます。抗アレルギー剤は、ヒスタミンやその他の化学物質の放出を抑えてくれます。症状が軽いときから使用するのがより効果的です。

殺菌成分:鼻腔内の殺菌消毒作用で感染予防

成分名:セチルピリジニウム塩化物、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物
殺菌成分は、粘膜での細菌の増殖を抑える目的で配合されます。

市販で購入できる点鼻薬、おすすめは?

具体的な市販で購入できる点鼻薬の製品を3つ紹介します。

・エージーアレルカットEXc(季節性アレルギー専用)
・新ルル点鼻薬
・ロートアルガードST鼻炎スプレー

 

花粉症がつらい、毎年鼻炎に悩む方に:エージーアレルカットEXc(季節性アレルギー専用)

有効成分としては副腎皮質ステロイド「ベクロメタゾンプロピオン酸エステル」のみの点鼻薬です。l-メントールとハッカ油を添加物に含んでおり、爽快感が特徴です。
毎年、花粉症の鼻炎症がつらい方は、症状が軽い内から使用すると効果的でしょう。1日最大4回使用でき、使用間隔は3時間以上おいて使用してください。また、1年間の内、3か月以上は使用できない点には注意が必要です。

鼻炎の症状を迅速に抑える点鼻薬:新ルル点鼻薬

抗ヒスタミン成分「クロルフェニラミン」や血管収縮成分「ナファゾリン」、殺菌成分などを含む点鼻薬です。鼻の通りを良くする配合となっており、速効性も期待できます
1日6回まで使用ができます。ただし、効果が実感できても連続で使用する期間は2週間までです。3日間使用しても効果が実感できない場合は医師へ相談してくださいね。

抗ヒスタミン成分と抗アレルギー成分を配合:ロート アルガードST鼻炎スプレー

抗ヒスタミン成分「クロルフェニラミン」と抗アレルギー成分「クロモグリク酸ナトリウム」、血管収縮成分、殺菌成分を配合しています。ヒスタミンだけでなく、免疫に関わる化学物質を抑えてくれることから、鼻水、鼻づまり、くしゃみの症状に対して効果を発揮します
しっかりと素早く症状を抑えたい人にはおすすめ製品ですね。1日5回まで使用可能、連続使用は2週間までです。3日間使用しても効果が実感できない場合は医師へ相談してください。

まとめ

花粉症のつらい鼻症状に対する点鼻薬を解説しました。鼻水やくしゃみ、鼻づまりの症状に対して効果のある成分は違いがあります。しっかりと違いを理解しておくことで、点鼻薬の選び方も変わります。

それぞれの成分ごとで注意しなければいけないことも解説しました。使用期間、眠気、薬の使いすぎによる鼻炎だけでなく、普段から心臓病、緑内障、甲状腺の治療している方は注意が必要です。薬局・ドラッグストアの薬剤師、登録販売者に相談したり、かかりつけ医へ相談したりするなど、自己判断で使用しないようにしてくださいね。

 

<参考資料>
鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版準拠
エージーアレルカットEXc<季節性アレルギー専用>(詳細 …
新ルル点鼻薬(詳細)|第一三共ヘルスケア
ロート アルガード ST鼻炎スプレー | ロート製薬: 商品情報サイト